第1830号(2004年8月2日)の内容

<1面>
イラク反戦・反安保の炎を!
米占領支配打破・傀儡政権打倒をめざすムスリム人民と連帯し闘おう

<4〜5面>
公教育のネオファシズム的再編成
――石原式「教育改革」の反動性

<2面>
「国松狙撃犯」逮捕の深層
元証券マンのアンチ・ヤンキー文化論
◆6年連続、増加する自殺者
<6面>
国立大病院の大リストラ・極限的労働強化を許すな
シリーズ郵政生き地獄=i最終回)  闘う労組への再構築を
<7面>
J P U(日本郵政公社労働組合)第59回大会――今日版「産報化」打ち破る闘いのうねり
Topics 急拡大する「レイバー・デバイド」
<8面>
パトスを燃やして職場活動をがんばるぞ!
『マルクス ルネッサンス』を読んで
「学生運動への参加」を読んで
<3面>
万華鏡2004――情勢の断層を読む
◆「率直な意見交換」
◆追悼 ヤツェク・クーロン
◆ゴーマンマン
◆狼の故郷
◆マドリード列車爆破の真相

週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
  「解放」最新号
 

































    


イラク反戦・反安保の炎を!


米占領支配打破・傀儡政権打倒をめざすムスリム人民と連帯し闘おう

見だし
危殆に瀕する米傀儡政権

米「友邦同盟」の瓦解

「対テロ」を名分とした日米軍事同盟の強化

「戦争をやれる国」への飛躍を策すポチ公政権


本文
 こうしたブッシュ政権の対日要求に促迫されながら、小泉政権はこれに全面的に応じようとしている。「友邦同盟」諸国が次つぎとイラクから撤退しているなかで、この忠犬ポチ公政権は、なおもブッシュ帝国に忠誠を誓うために日本国軍を「多国籍軍」の一員としてサマワに居座らせ続けている。彼らは、来春三月にはオランダ軍という保護者≠ェ撤退し、日本国軍がムスリム武装勢力のゲリラ攻撃の標的とされるであろうことへの危機感を募らせている。ゲリラ攻撃に備えるために、防衛庁・自衛隊は、サマワの宿営地上空に無人ヘリを徘徊させるという策をうっている。
 まさに小泉政権は、イラク占領を永続化しようと策しているブッシュ政権と心中する道を選びとった。いまや日本国軍は正真正銘の米軍の共犯者としてイラク人民の前にたち現れているのだ。
 日本国憲法を公然と踏みにじって「多国籍軍」に自衛隊を参画させたことを正当化するために、小泉政権は、日本の労働者・人民にたいしては、米軍の統一指揮下であっても自衛隊は自主的に判断するのだから集団的自衛権行使にはあたらない≠ネどと詭弁を弄している。だが、その他方では、「多国籍軍」への日本国軍参加を既成事実化したことをもって、現実にあわない憲法は変えるべきだ≠ニうそぶきつつ、憲法そのものの改定を強行するための土台固めをすすめているのだ。(参院選の過程において、小泉じしんが「憲法を改正して集団的自衛権を明記する」と絶叫した。)
 こうしたネオ・ファシスト政権の策動に呼応して、いまや日本支配階級の内部から「改憲」への大濁流がまき起こされている。日本経団連は、「国の基本問題検討委員会」で今年末までに改憲問題についての「提言」をとりまとめることを確認した。
 日本経団連会長の奥田らは、中国への経済進出を中国政府との摩擦を回避しつつすすめていくために、中国との政治的関係を改善していくことを必要不可欠と考えているがゆえに、対米協調一辺倒の小泉政権への反発を募らせてもいる。とはいえ、日本支配階級は総体として、日本をアメリカとともに「対テロ戦争」という名の侵略戦争を担いうる「戦争をやれる国」へと飛躍させていくという意志をうち固め、そのための憲法改悪へと突進しているのだ。

8・1国際反戦集会に総結集せよ

 すべての労働者・学生諸君! 
 われわれは、いまこそ、「改憲」を掲げる民主党中央の反動性を暴きだすとともに、「護憲」を標榜する日共中央の指針の内実を暴きだしつつ、イラク反戦・反安保・改憲阻止闘争の高揚をかちとるのでなければならない。
 民主党中央は、憲法第九条にかんして、「国連安保理もしくは国連総会の決議による正当性を有する集団安全保障活動には、これに関与できることを明確にする」と主張している。小泉政権が「多国籍軍」に自衛隊を参画させたことにたいして、彼らは表向きはイラク特措法をタテに「撤兵」を呟(つぶや)いてはいる。けれども、小泉政権が憲法そのものの改悪に手を染めようとしているこのときに、「国連」の名のもとであれば、自衛隊を派遣し武力行使することができるように憲法第九条を改定すべきことを主張しているのが民主党中央なのだ。彼らは、まさに改憲=戦争翼賛政党の本性をむきだしにしているのである。
 他方、日共の不破=志位指導部は、アメリカにたいしては、軍事行動を「自制」するように求めるとともに、小泉政権にたいしては、憲法をタテとして自衛隊の「イラクからのすみやかな撤退」を要求している。だがその内実は、「イラクへの主権の完全な返還」すなわち「真の主権移譲」と「平和復興」にとって障害となるから、というものでしかない。
 国連決議一五四六によって米占領軍が「多国籍軍」と看板を変えてイラクを占領しつづけることが容認されたことについて、彼ら不破=志位指導部は口をつぐんでいる。「国連中心の枠組みでのイラク国民の自主独立の国づくりの応援」という彼らの代案が、この国連決議によって現実的に破産してしまったことに内心では大動揺をきたし、それゆえに自己保身の塊(かたまり)となっているのだ。しかも、この国連決議をタテに小泉政権が「多国籍軍」への自衛隊参加を正当化していることにたいして、彼らは正面切って論破することもできない。このゆえに、国連決議の犯罪性を不問に付したまま、ただただ「集団的自衛権の行使」にあたるから「憲法違反」ということを、かぼそく呟いているにすぎないのだ。
 この日共中央の国連依存主義の破産を暴露しつつ、われわれは、〈米英主導の多国籍軍によるイラク占領の永続化反対! 占領軍の共犯者=日本国軍は撤兵せよ! 憲法改悪阻止!〉の闘いを、ここ日本の地において、断固として創造しようではないか。
 いま、アメリカやイギリスなどにおいて、自国政府が強行したイラク侵略戦争の不正義性を自覚しつつある良心的な労働者・学生たちが、アメリカのイラク占領に反対する闘いに決起し、ブッシュ政権やブレア政権の足下を大きく揺さぶっている。
 アメリカの兄弟たちよ! イラク反戦の運動を、ブッシュ追い落とし=ケリー尻押し運動へと収斂(しゅうれん)させようとしているAFL―CIOなどの既成指導部やANSWER指導部内の民主党の回し者に抗して、「占領反対」の良心的叫びをブッシュ政権のユニラテラリズムにもとづく「対テロ戦争」の帝国主義的侵略戦争としての本質を暴きだすものへと発展させようではないか。
 われわれは、プロレタリア・インターナショナリズムにもとづいて、アメリカやイギリスをはじめとした全世界の労働者・人民にイラク反戦の国際的闘いの創造を呼びかける。アメリカ帝国主義の傀儡アラウィ政権の打倒をめざしてたたかうイラク人民と連帯して、アメリカ帝国主義によるイラク占領の永続化に反対する革命的反戦闘争の国際的波及をかちとろうではないか。
 すべてのたたかう労働者・学生諸君は、8・1第四十二回国際反戦集会に総結集せよ!
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公教育のネオファシズム的再編成


――石原式「教育改革」の反動性

目  次
T 公立学校教育の破壊的再編成
U 「教育改革」のイデオロギー
V 独占資本家階級の教育要求の変化
W 新自由主義的改革の奈落
 A アメリカ製「ニューパブリックマネジメント」の模倣

(以上本号)
 B 公立学校の「教育ビジネス企業」化
 C 教育労働の非人間化


 都当局が進めている都立高校の序列化や中高一貫教育などのエリート教育。また区や市の教育委員会が進めている小中一貫教育や習熟度別学習の導入。――これらを規定しているイデオロギーは、エリート選別を基軸とする能力主義であり、ヨリ根本的に言えば、「弱肉強食」を是とするところの社会ダーウィニズム(優生学思想)にほかならない。(中略)
 だが、考えてもみよ。人間的な感性・思考が十分に陶冶されていない小学校低学年のときから、自分は他者より優れている・自分は人の上に立つために生まれてきた≠ニいう選良意識を徹底的に刷りこまれた子どもたちが、いったいどのような大人になるかということを。現にいま小泉や石原のように「日本のトップ・リーダー」を自任している唯我独尊の連中こそは、そうした子どもたちのおぞましい将来をしめす実物≠ナはないか。新自由主義の「弱肉強食」原理で覆われ、「弱者へのいたわり」とか「老人への尊敬」とかがすっかり死語と化し、御都合主義的な「自己責任」論が跋扈(ばっこ)している現在の日本社会こそは、このような血も涙もない「トップ・リーダー」たちによってつくりだされているのである。他方、小学校の時点で「落ちこぼれ」と烙印され、未来の希望を奪われてしまった多くの子どもたちには、もはや「荒れる」いがいに「自己実現」のすべは与えられていないのだ。(以下略)
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「国松狙撃犯」逮捕の深層



九年後の元オウム信者の逮捕劇

逮捕疑惑≠苫米地を使って暴露

日本国家の暴力装置の再編をめぐる日・米の暗闘


 事件発生以降九年も経ってからの今回の「国松狙撃犯」逮捕という事態は、警察権力が、治安弾圧体制のいっそうの強化を正当化し、これに労働者・人民を協力させていくために、テロの恐怖≠煽ることを狙って、「オウム事件」をこと改めてセンセーショナルに描きだしたものにほかならない。これは、七月十一日の参院選直前の、自民党の敗北が必至とみなされていた情勢のもとで演出された。このタイミングからして、日本国軍の「多国籍軍」参加=イラク駐留継続を正当化するために「対テロ戦争」を呼号する小泉政府・自民党を援護射撃するという警察官僚(その内部の特定部分)の意図にもとづくことは明白である。
 これにたいして、ただちに逮捕にまつわる「疑惑」が暴露された。ここには、日本国家の暴力装置内部の、そしてこれをみずからの全面的統制下におくことを企むアメリカ権力者・暴力装置内の暗闘が影を落としている。
 今回の逮捕劇を主導した部分は、警察庁長官・佐藤英彦の近ぢかの退官を口実として、国松銃撃事件の結着=*笈きを強引にはかったといえる。
 日本警察権力内でも一貫して刑事畑を歩いてきた国松は、日本警察に米FBIやCIA流のプロファイリングなどの新手法を、CIA内の新勢力の協力のもとに導入する先頭にたっていたのであった。この国松の策動は、それまで日本の警察機構を牛耳ってきた警備・公安警察内の謀略グループ(対米自立派≠フ田中角栄を黒幕とし後藤田正晴を総帥(そうすい)とする部分=X0)を追い落とすことをこそ企んできた部分(福田赳夫(たけお)=X1につらなるグループ)と、アメリカ支配階級・暴力装置内の特定のグループの後押しを受けたものといえる。そして、この策動に反発した警察権力内の公安畑を中心とする部分が、彼ら自身がつながりのあったCIA内の特定の部分ともつるんで、オウム教団に送りこんだ小杉らのスパイを活用して国松の抹殺をはかった、というのが国松銃撃事件の真相にほかならない。
 これにたいして、CIA内新勢力と日本警察の国松をかつぐ部分は、「小杉供述」の隠蔽工作を暴露し、先述したように警視総監・井上らX0グループにつらなる徒輩を更迭に追いこんだ。そしてこれ以後、日本警察の再編成が一挙にすすめられてきたのであった(権力内謀略グループのわが革命的左翼にたいする数多の謀略襲撃を自己の「赤色テロ」として追認してきた走狗集団=ブクロ派や青解派。これらを使い捨て≠ノする策動など)。
 この経緯からするならば、脛(すね)に傷をもつ公安警察の一部が「テロの脅威」を煽りたてるための元オウム信者逮捕劇を仕組むことによって国松事件の幕引きをはかった、と推察しうる。これにたいして、「日米の諜報機関の一体化」(九九年、アーミテージ=ナイ報告)を策す新勢力に制圧されている米CIAが、CIAになお忠誠を誓わない日本公安警察の一部に追いうちをかけ・みずからの膝下(しっか)に組みしくために、CIAひもつきたる苫米地を使って、オウム逮捕劇の真相≠暴きだしたのだ、と推断しうる。

「対テロ」を口実とした治安弾圧体制の強化を許すな!

 今回の「国松狙撃犯」逮捕劇とこれにまつわる「疑惑」の暴露という事態は、日本国家の暴力装置の覇権≠めぐる、かつ根本的には日米安保同盟の強化の態様をめぐる、日・米の両権力者・暴力装置内の暗闘=権力抗争を、こと改めて浮き彫りにした。だが、警戒せよ! こうした暗闘は、総じて、日米安保同盟の新たな次元での強化=日本国家の「戦争をやれる国」への飛躍をなしとげるための、その具体的態様にかかわるものにほかならない。現に日本の警察権力は、内部抗争をくりひろげつつも、総体として「対テロ戦」を口実に治安弾圧体制の一挙的強化に突進しているのだ。今回の一斉逮捕の翌八日に、警察庁長官・佐藤英彦は「実行行為者が明確になって事件着手するのが通例だが、犯罪行為が明らかになった事件を漫然と放置するのも許されない」とうそぶいた(「産経」七月九日付)。要するに、実行犯が特定されていないからといって重大な「テロ事件」捜査に手をこまねくな、「計画した組織」を丸ごと摘発するためには、証拠があろうとなかろうと構成員を「共謀したもの」として拘束せよ、というのだ。
 昨二〇〇三年四月の警視庁組織犯罪対策部の新設、これと軌を一にした検察庁公安部の再編と増員、さらに今年四月の警察庁外事情報部(国際テロ対策課)の設置――9・11事件以降急速におこなわれたこうした組織再編を背景に、今回の四人の逮捕は準備されたのである。
 反戦・平和の闘いをくりひろげる労働組合、学生自治会、市民団体などの諸組織、そしてわが革命的左翼をすべて「テロ支援組織」とみなし、「共謀罪」を制定することをテコとして一挙に弾圧の強化を画策する小泉政権の策動を粉砕せよ!
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シリーズ郵政生き地獄=i最終回)
 
 
郵政リストラ粉砕! 闘う労組への再構築を


 すべての郵政労働者の諸君!
 われわれ郵政労働者は、リストラ地獄で、極めて苛酷な、奴隷のごとき労働を強制されている。
 深夜勤の導入後、郵便内務労働者は徹夜で超強度の労働を強いられ、そのうえ徹夜明けの日の夜には、また出勤させられている。人間の自然の生理である睡眠ですら、「寝なければ夜の勤務につけない」というプレッシャーに支配されている。家族や友人とまったく正反対の家庭生活を強いられている。
 酷暑と集中豪雨の中で、速達の併配、営業・集荷のノルマ、スタンディングワークなどによって、ヘロヘロになるまでこき使われているのが集配労働者だ。
 貯金・保険の外務労働者は、過大な募集ノルマを強いられ、毎日ドヤしつけられ、他職場への配転の恐怖に追いつめられている。
 特定局や貯金・保険の窓口で働く内務労働者は、金融サービスや金融商品を求める「お客」との対応に心身を擦り減らし、そのうえ、現金の過不足は犯罪者扱いされ、書類の不備は無能呼ばわりされ、身も心もくたくたにされている。
 郵便輸送労働者は、郵政公社による輸送運賃の三〇%カットを受け入れた運輸資本によって、大幅な賃金カット、休日など諸権利のはく奪、殺人的な労働強化の猛烈な攻撃にさらされている。

 すべての郵政労働者の諸君! 自分の職場を直視しよう。全国のあらゆる職場で、ある仲間は過労で倒れ、ある仲間は早期に退職し、また多くの仲間は怪我や病気に苛まれているではないか。
 Aさんは深夜勤当日、何も語ることなく息をひきとった。Bさんは子供と妻に「あと十年生きていたかった」と言い残し、無念の死を遂げた。Cさんは「仕事についていけない」と、当局への抗議を書きつけて自死した。Dさんは遅刻を咎めに管理者が訪ねると、布団のなかで息たえていた。
 いったい、誰が彼らを殺したのだ! 怒りの言葉を発することなく殺された仲間の心の叫びと憤りを、われわれは全身全霊で聞こうではないか。
 多くの郵政労働者を殺し、精神疾患におとしめ、早期退職に追いこんだのは公社当局にほかならない。そして真性の共犯者がJPU本部労働貴族どもだ。

「血を流せ」(総裁・生田)につき従う本部

 昨日まで全逓であった日本郵政公社労働組合(JPU)は、六月二十三日に旭川において第五十九回定期全国大会を開催した。来賓として登壇した郵政公社総裁の生田は「事業の改革のために血を流すこともいとわない」と叫びたてた。そして生田は、八万人の首切りをともなう「アクションプラン・フェーズU」と称する一大合理化計画の実行をぶちあげたのだ。
 JPU本部は、生田に呼応して「郵便ネットワークの再構築」と「集配ネットワークの高度化」という名の大合理化の「試行」実施を受け入れた。本部は、公社から「三月末提示」のなかで「アクションプラン・フェーズU」と称する一大合理化計画をすでにしめされている。地方のダラ幹部どもはそれを承知している。しかるに本部は、この大合理化計画を隠蔽した。
 すなわち、公社当局が構想しているところの、「人材活用センター」を設置し「職権による職種変更制度」を活用した郵便労働者の大量首切り、十二時間拘束十時間勤務形態の導入をテコとした「郵便内務二交替制」の導入、「内務作業のアウトソーシング」などの、八万人首切りの大合理化案を、本部労働貴族や地方のダラ幹どもは隠したのだ。そのうえで、「フェーズU」の一部でしかないこの「試行」(郵便と集配の「ネットワーク再編」)実施の受け入れを決定したのだ。

各地方から本部に批判集中

 「アクションプラン・フェーズU」と称する一大合理化計画にたいして、地方の代議員からは本部への批判が次々となされた。
 深夜勤にたいしては、「導入後三十名以上の仲間が退職した。寝る時間が四時間しかない。実態調査をし見直しを求めよ」「急激な職場の変化についていけず退職する仲間が増えている」などと。
 JPS(郵政版「トヨタ方式」)にたいしては、「画一的トップダウンでJPSが押しつけられている」「スタンディングワークは効果がなく労働強化になっている」などと。
 また、「ネットワークの高度化」の「試行」実施にたいしては、「全体像を明らかにせよ」「首切りにならないよう雇用確保の観点から検討せよ」「十時間勤務、十二時間拘束は試行でも反対だ」などという発言がなされたのだ。
 これらの発言には、様ざまな限界がある。深夜勤そのものは認めていたり、本来のJPS方式は良いものだと考えたり、「試行」実施を前提にしていたり、というように。だがしかし、職場のたたかう労働者の職場討論づくりやアンケート活動や学習会づくり、問題点の討論や要求づくりを基礎とした当局との交渉や折衝、こうした柔軟な闘いによって、地方のダラ幹たちも「試行」実施の見直しや修正、部分的反対の発言をしないわけにはいかなかったのだ。

 毎日まいにち、われわれ郵政労働者は奴隷のごとくこき使われ、職場はさながら生き地獄≠ニ化している。「新たな人事制度」によって労働者が一人ひとり分断されようとしているだけでなく、「自立した個人によるネットワーク」を標榜するJPU本部によって、組合員は個々ばらばらにされている。仕事に追いまくられて、隣の仲間が倒れても後ろをふり向く余裕のない組合員がいる。仲間がリストラで殺されても、通夜にも行かない組合役員は一人や二人ではない。ダラ幹は組合員が早期に退職しようとしていても、見て見ぬふりだ。
 われわれたたかう労働者は、働く者の血の通った連帯を、改めてつくりださなくてはならない。

 全国の郵政労働者の諸君!
 これまでわれわれは十三回にわたって本シリーズを連載してきた。これを武器として職場生産点での団結を強固につくりだし、郵政大合理化粉砕の闘いに決起しよう。郵政労働者の未来を切り開こう。

革共同革マル派全逓委員会


<本シリ−ズの内容>

1.強行導入された殺人的な「深夜勤」――郵便内務職場の実態  (第一八一八号)
2.トヨタ生産方式のあてはめ――年末始繁忙の悲惨な実態    (第一八一九号)
3.また仲間が殺された!――東京だけで七人が過労死      (第一八二〇号)
4.暗雲の職場に怒りの斧をうちおろせ             (第一八二一号)
5.集配労働者を苦しめる「スタンディングワーク」       (第一八二二号)
6.「事故ゼロ」の号令――追いつめられる貯金労働者      (第一八二三号)
7.郵便貯金事務作業のコンピュータ化による大混乱       (第一八二四号)
8.郵政版「トヨタ生産方式」はことごとく大破産!
――熊本で年賀状の大量遅配                 (第一八二五号)
9.「多能工化」を強制される郵便外務労働者          (第一八二六号)
10.切り捨てられる郵便輸送労働者              (第一八二七号)
11.「速達」「通常」の併配                  (第一八二八号)
12.俺たちは機械やロボットじゃない!
――わたしの深夜勤の一日/仲間たちの叫び声         (第一八二九号)

〈関連論文〉
「四日連続『10時間深夜勤』の過酷な実態」          (第一八一七号)
 
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「率直な意見交換」


ポチ公、脳天気なれど波高し

 韓国の済州島でおこなわれた小泉純一郎と盧武鉉の日韓首脳会談(七月二十一日)の後の共同記者会見で、二人は、実に意味深長な表現を使った。
 盧武鉉「小泉首相と率直に話しあった」。小泉「率直な意見交換ができた」。
 国際政治・外交の専門家の世界では、公式の表現で「率直に話しあった」と言ったら、激論を交しました≠ニいうこと。今回の会談で、小泉と盧武鉉はかなりやりあったと思われる。共同記者会見での二人の硬い表情を見ても、そのことはうかがい知れる。
 いったい、二人はどんな激論を交したのか? 公式には発表されていない会談の実態を、想像力を働かせて再現≠オてみることにしよう。
 
盧武鉉「小泉首相を心から歓迎いたします。先の選挙で首相は与党が過半数を獲得する勝利をおさめました。わがウリ党は単独過半数でした。小泉首相におかれましては、北韓〔北朝鮮〕との対話、圧力ではなく対話に努められ、投票日前に曽我さん一家を再会させたことが、勝利のカギとなったと承知しております。今後とも、北韓との対話を続けられることを期待しております。」
小泉「大統領に率直に申しあげたい。さきの六ヵ国協議で貴国が提案された『行動対行動原則』、あれにはわが国も米国も同意できません。北朝鮮は平和利用の核は凍結しないと言い、濃縮ウランについては、やっているのにシラを切っています。これでは北の部分的譲歩など信用できない。なのに貴国は、北の部分的譲歩にも相応の援助で応えると言う。それこそ金正日のおもうツボ、米日韓三国同盟の足並みを乱す、とパウエル長官も懸念しておられる。」
盧武鉉「私も首相に率直に申しあげたい。米国はせっかく六ヵ国協議の枠組みをつくったのに、中国やロシアのような現実主義的アプローチはだめだ、という。二国間協議にもなかなか応じない。そんな態度で交渉を進展させることができるのか、改めるべきは米国の態度ではないですか。それとも、もし六ヵ国協議の進めかたが生ぬるいといいたいのなら、六ヵ国協議の議長国・中国の態度を変えなければいけない。そうしたいなら、小泉首相、あなたが中国に行って話し合いをしてくればいい。だけどあなたは中国には行きたくても行けない。中国に行けない理由を、御自身でよーく反省なされたらいかがですか。」
小泉「〔憮然として〕私は以前から、反省すべきは反省すると申しあげている。わが国と中国との関係をもちだされたが、あなたがたはその前に、あなたがた御自身の同盟国アメリカとの関係をもっと心配なさった方がよいのではないですか。中国、ロシアと協力するのは良いが、同盟国アメリカをないがしろにするおつもりか。在韓米軍なしで貴国の平和と安全を守っていかれるおつもりなのか。」
盧武鉉「その御言葉、さんざん聞いてきました。わが国内の保守派からも、米国共和党筋からも。今日の小泉首相はまるでブッシュ大統領の名代のようだ。率直に申しあげるが、ブッシュ氏が選挙で勝てるとは思えません。」
小泉「わかっております。だからこそ私は北朝鮮との国交正常化を急いでいるのです。もしもケリー民主党が勝った場合には六ヵ国協議だけが進み日朝交渉は進まず、日本はカネだけ出さされて口を出せない、なんてことに。それではこまる。北が『平壌宣言』を守ってくれれば、すぐにでも国交正常化する。ただし北に核を全面放棄してもらわないと。北の核は日本と韓国にとって脅威なのです。」
盧武鉉「いいえ、北韓の核は、同じ民族にたいして使われることはないと信じています。わが国民もそう信じております。一部には『北韓の核開発は認めろ。南北が統一すればわが国の核になる』などと暴言を吐くものもいます。」
小泉「民族主義の暴走は危険だ。日本では今、韓国ブーム、『冬のソナタ』、私も感動した。なのに貴国は「親日・反民族的行為真相究明特別法」を制定した。『親日』を犯罪というのはやめてほしい。」
盧武鉉「私は抑えているのです。私の任期中には日帝の過去の犯罪を公式の争点にはしない、と申しあげてきた。ところが小泉首相はわが国の世論を考慮せずに、靖国神社に参拝し、日帝の犯罪を居直る歴史教科書に肩入れしている。そういう貴殿と私が会うことを、とやかく言う世論もある。韓国本土にはとてもお招きできない。」
小泉「だったら次に会うときは、あなたがわが国に来てください。温泉地がいい。」
盧武鉉「たっぷり入浴剤を入れて白濁したお湯なら、お互いの不信感を隠せますしね。」
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ゴーマンマン


たかがプロ野球 されど許せぬ…… 

 「無礼なことを言うな、たかが選手が。」
 
経営者側との協議を求めたプロ野球選手会(労働組合)にたいする読売グループの総帥・渡辺恒雄のこの発言は、日本勤労大衆の怒りの的となっている。それもそのはず。球団合併・削減が余剰選手・職員≠フ首切りにつながるがゆえに、選手たちが合併に反対し話し合いを求めているのは当然のこと。これを傲然(ごうぜん)と足蹴にしてはばかるところのないナベツネこと渡辺恒雄の態度は、プロ野球ファンならずとも頭にくる。リストラ・首切り、企業倒産、失業・転職を余儀なくされた者ならば誰しもが、ナベツネとそっくり同じ発言を、あるいは同じ精神に貫かれた発言を、経営者から、上司から、あるいは取り引き先の大会社や銀行から聞かされてきているのだから。「選手会がストを打つなら支持する」という声が多いのも、そのゆえであろう。(以下略)
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