第1824号(2004年6月21日)の内容

<1面>
日本軍の多国籍軍参加を阻止せよ
国連新決議と「主権移譲」を賛美する代々木中央を弾劾して闘おう!

有事七法の制定弾劾!

<4面>
金正日専制支配体制の延命のためのあがき 
 ―中朝首脳会談の深層

<5面>
本格的運用以後九ヵ月―綻びを露にする住基ネット

<2面>
日本国軍の多国籍軍への参加反対! 

米大使館に怒りの拳(6・5)

海自展示訓練阻止に起つ(6・4、大阪港)
青解両派の内ゲバ≠装った6・2殺人謀略

<6面>
Topics 郵政簡保外務にフレックスタイム制
シリーズ 郵政生き地獄(7) 郵便貯金事務作業の大混乱
変容する子どもたち 苦悩する教育労働者

<7面>
ダイエー資本の「CAP制度」導入

<8面>
中国農民のミゼラブル

<3面>
万華鏡2004――情勢の断層を読む
◆「誤爆」の真相
◆雇われ大統領
◆牛丼のリスク
◆かなり気がかり
◆リサイクル

週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
  「解放」最新号
 





















































    


日本軍の多国籍軍参加を阻止せよ


国連新決議と「主権移譲」を賛美する代々木中央を弾劾して闘おう!

 
 
CIAひもつきのアラウィを首班とするイラク暫定政府への「主権移譲」。イラク人民を愚弄するこの政治ショーにおのれの政治生命を賭けているブッシュ政権は、シーアイランド・サミットを頂点とする一連のセレモニーを仰々しく演出した。六月四日に欧州歴訪に発ったブッシュは、五日にはシラクと会談し、「主権移譲」にかんする国連安保理新決議の内容について同意をとりつけた。翌六日には「ノルマンディー上陸作戦六十周年記念式典」を恩着せがましくくりひろげ、米欧和解<ードを強調してみせた。激しく対立してきたブッシュとシラクの合意にもとづき、八日には安保理決議一五四六が満場一致で採択された。その成果≠得意満面に誇示しつつ、ブッシュはサミットの議長をつとめ、閉会の翌十一日には、「悪魔=ソ連」を倒した功労者におのれを重ね合わせるレーガン国葬のオマケまでつけた。
 カイライ政権をでっちあげて米軍駐留を要請させ、占領を事実上継続するだけでなくそれを国連に認めさせること。この目的を、ブッシュ政権は達成したとはいえ、それは紙っぺらの上のことにすぎない。「たとえ文書が採択されても、地上の現実が変わるのは遠い未来のことだ」(プーチン)、「決議も主権移譲も奇蹟を起こさない」(国連チリ大使ムニョス)――ほとんどの権力者はこのように、決議には賛成しつつ同時に冷水をあびせている。
 「暫定政府の要請」なるものにもとづいて、「友邦同盟」諸国が派遣している軍隊を国連に承認された「多国籍軍」に看板変更したとしても、イラクからの撤兵を決定する国家が続出している現状に歯止めはかからない。「フランス軍はイラクには存在しない、現在も将来も」とフランス外相バルニエが言い放ったように。
 イラクの「地上の現実」はどうか。「首相」アラウィは一九九二年以後、CIAの指示のもとにイラクの映画館やスクールバスを爆破して子どもを殺害した謀略の指揮者であることが、就任早々に暴露された。この札つきのスパイが六月七日に民兵組織の解体を決定したとはいえ、暫定政府は、親米派のクルド人民兵の抵抗に直面した。そのうえ、ファルージャをはじめとする「スンナ派三角地帯」の諸都市は、住民総武装の要塞都市と化したままである。占領軍が名を変えただけの多国籍軍や新政府にたいして、反米反占領のレジスタンスは早くも火を噴いている。
 ところがなんと、首相小泉はブッシュとの首脳会談において、自衛隊の多国籍軍参加を個人的独断で約束した。多国籍軍は「治安維持と人道支援を任務とし、統一指揮の下に入る」と決議で規定され、このゆえに仏・独はNATO軍を参加させない意志を表明したのである。安保同盟の首輪をつけた忠犬ポチ公は、米軍と一体化してイラク人民に発砲する道に、決定的な一歩を踏みだしたのだ。

以下、見出し
米軍占領是認の国連新決議を追認したサミット

米カイライ政権への「主権移譲」の茶番劇

高揚する反米反占領闘争

闘うイラク人民と連帯せよ
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金正日専制支配体制の延命のためのあがき
 

 ―中朝首脳会談の深層

T 中国・韓国へのすがりつき

「対話重視」の名による拉致問題解決≠フ演出


 北朝鮮の核兵器開発問題をめぐる第三回六ヵ国協議(六月末予定)に向けて、いま、金正日政権はアメリカをはじめとした各国政府との「対話」という柔軟≠ネ姿勢をおしだし、そのアピールにこれ努めている。核兵器開発の「凍結」と引き換えにアメリカから北朝鮮国家の「体制保証」の約束と経済封鎖の解除(各国からの経済援助)とをとりつける――この基本的目標は護持しつつも、第一回(〇三年九月)、第二回(〇四年二月)の協議の難航という事態を突破しアメリカ政府の譲歩を引き出すために、<ポスト・ブッシュ>のアメリカ新$ュ権へのアピールという思惑をもこめて、金正日は「対話重視」をおしだしてみせているのだ。
 第二回協議において韓国・盧武鉉(ノムヒョン)政権が提唱した「段階的解決」方式というべき案、これを中国およびロシア両国権力者が支持する意志を表明したことにふまえて、金正日政権はこの韓国案を受諾する意志を――非公式にであるが――表明した。それだけではない。六ヵ国協議の場では議題にのぼせることを峻拒してきた日本人拉致問題にかんして、金正日は、小泉の再訪朝を受け入れ、拉致家族五人の帰国を認め即実施するというかたちでの結着≠はかり、これと引き換えに日本からの二五万トンの食糧支援と一〇〇〇万ドル相当の医薬品援助の約束を手に入れた(五月二十二日)。――金正日じしんは、八人全員の帰国を認めたが、曽我ひとみさんの夫を「脱走米兵」として逮捕・訴追するというブッシュ政権の強硬な横槍のゆえに、曽我さんの家族三人の帰国は棚あげ≠ニなった。〔小泉の必死のお願いにもかかわらず、アメリカのシーアイランドで開かれた主要八ヵ国サミット(六月八〜十一日)の場においても、ブッシュは強硬姿勢をまったく変えていない。〕
 金正日は、「拉致問題の解決」に自己の政治的命運をかけた小泉の腹の底を見透かしながらも、雀の涙≠ルどの経済援助でも欲しいがゆえに、小泉の要請に応じたのだ。かの竜川での列車大爆発事件(四月二十二日)の反作用を受けてますます深刻化している経済破局、労働者・勤労人民を飢餓地獄につきおとしているこの経済的危機を少しでも凌(しの)ぎ政権の延命を図るために、あえて敵に塩を送ったのである。
 こうした「対話重視」の策を金正日がとりだしたのは、中朝首脳会談(四月十九日〜二十二日)を契機としてであった。金正日の北京訪問というかたちでもたれたこの会談において両権力者は、当面する第三回六ヵ国協議への対応をめぐって腹あわせをはかった。ここにおいて、拉致問題の「解決」を策す日本の小泉政権にたいする対応も協議され確認されたにちがいない。いや、当面の六ヵ国協議への対応策のみならず、<ポスト・ブッシュ>のアメリカ政府の登場――ケリー民主党政権の誕生――に備えるための対応策をも、両権力者は協議したにちがいない。
 イラク軍事占領が完全に破綻したことのゆえにブッシュ政権の命運が尽き果てたことを見さだめた金正日政権は、自己の専制支配体制の生き残りのために、中国の江沢民=胡錦濤政権を後楯にしつつ、「対話」をうたった外交交渉をくりひろげる道へとふみだしたのである。

以下、見出し
 中国との「友誼」の再確認

 米新政権≠フ政策転換への期待

U 南北「連邦制」への傾動

V 経済大破局=体制崩壊の切迫
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本格的運用以後九ヵ月―綻びを露にする住基ネット


小泉政権による強権的運用を許すな


 小泉政権が昨年八月二十五日に住基ネット(住民基本台帳ネットワーク)の「本格稼働」にふみきってから半年以上を経過した今日、小泉政権の思惑とは裏腹に、住基ネットシステムとその運用をめぐる綻びが次々とあらわになっている。
 住基ネットの本格的運用にともなって発行が開始された住基カードをめぐっては、ことの始めから情報漏えいや偽造などの事件があいついでいる。しかも、いまなお一つの県、五つの市町村が住基ネットへの接続を拒否したり、「選択制」を導入したりするなどの抵抗を続けている。全国十二地裁十八都道府県において住基ネット差し止め訴訟がとりくまれ、住基ネットに反対する市民運動も全国各地で創意的に展開されている。これらの粘り強い闘いによって、住基ネットの問題性と危険性がジワジワと社会的にも知られ浸透しつつある。こうしてこんにち、政府・総務省による「住基ネット=便利・安全」などというキャンペーンの欺瞞性が、もはや覆いがたいほどに露見しているのである。

以下、見出し
T 情報漏えい・偽造・微々たる住基カード発行枚数

全国に広がる地方自治体の抵抗
長野県の「侵入実験」の成功
住基カードの「なりすまし取得」
人口比〇・一%にも達しない住基カード発行


U 小泉政権ののりきり策――住基カードの多目的利用

「公的個人認証サービス」の開始
納税申告・電子通貨・パスポート申請……


V 国民総監視=総管理システムの構築を打ち砕け!
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米大使館に怒りの拳(6・5)


 六月五日、早稲田大学、国学院大学をはじめとする首都圏のたたかう学生たちは、「アメリカのイラク占領反対! 日本国軍の多国籍軍参加を許すな!」のスローガンを掲げて、アメリカ大使館にたいする断固たる抗議行動に起った。
六月五日 アメリカ大使館にたいする抗議行動
 


海自展示訓練阻止に起つ(6・4、大阪港)


 六月四日、関西のたたかう学生は、大阪港での海上自衛隊「展示訓練」を阻止する闘いに決起した。
六月四日大阪港 海上自衛隊「展示訓練」阻止闘争 
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Topics 郵政簡保外務にフレックスタイム制

郵政公社総裁生田よ! 全逓委員長石川・全逓書記長菰田よ!
さらに労働者を殺すのか!


 郵政公社の簡易保険事業部門では、現在二万八〇〇〇人の労働者が営業を担当する外務職員として働いている。この簡保外務職員の勤務形態に「フレックスタイム制」を導入するということを、公社当局が決定した。
 「コアタイム」(必ず勤務する時間)を午前十時から午後三時として、その前後に職員が「自由に」勤務時間を設定することができるフレキシブルな勤務形態≠ノする、というのがそれである。
 昼間には不在の家が多い都市部で顧客開拓の効率を上げるためには、サラリーマンが帰宅する夕刻以降の時間帯に集中して外務職員の営業活動をやらせるようにしたい。だが、郵便局員の「定時勤務時間」は午前八時三十分から午後五時十五分までということになっている(もちろん、かの殺人的「深夜勤」に典型的にしめされるように様ざまな変則勤務がくりかえし導入されてきたのであり、じっさいには「定時」は名ばかりのものでしかない)。これを超えて働かせるには、割増賃金の支払いが必要となる。「賃金コスト」を増やすことなく、保険外務労働者に夜間まで営業活動をやらせるために当局は、「フレックスタイム制」を導入しようとしているのだ。
 この三月期決算で、簡易保険事業部門は昨年に比して経常利益を大幅に減らした(昨年三月期二兆円―→今年三〇〇〇億円)。大幅な「逆ざや」損失(契約者に保証した予定利率をじっさいの運用利回りが下回った)や低金利のゆえに新規契約が落ちこんだことによって減益がもたらされた。公社当局はこの挽回のために、労働者に犠牲を強いようとしている。トヨタ経営者の指南をうけて、「必要なときにだけ必要な人員を配置する」=人間ジャストインタイム&式をあらゆる部門で実行しようとしているのだ。
 この「フレックスタイム制」の導入によって、保険外務労働者は夜遅くまで営業活動を強制されることになる。「顧客」となるべき労働者の多くが長時間かつ不規則な労働をさせられているのであり、これに合わせるかぎり、深夜にまでおよぶ長時間労働が不可避である。労働時間は職員が「自由に」きめるとされていることからして、超過勤務を申請すること自体が、当該労働者の能力の低さをしめすものと見なされることにもなる。すでに「人事評価制度」にもとづいて成果主義賃金が導入されているがゆえに、労働者は否応なしに、夜間におよぶ長時間労働を「自主的」にやらざるをえないようにされるのだ。
 「深夜勤」が二月八日に強行実施されて以降、東京だけでも郵便労働者がすでに九人過労死(自殺も含む)させられている。公社当局はこれを徹底的に隠蔽しながら、郵便事業において「減収下でも増益」になったことに味を占め、貯金・保険部門でも「トヨタ方式」にもとづく悪らつな労務政策をひねりだし、トップダウンで強行しようとしているのだ。
 すでに当局は「労組には打診済み」であり、「八月から試験的に実施する」と公言している。「公社の経営基盤を強化するための主導権を組合がとる」と称している石川・菰田の全逓執行部が応諾したことは明らかだ。彼らは組合員に向かって「労働強化ではない。労働の変化だ」と恫喝するほどまでに、公社の第二労務部と化しているのだ。
 「フレックスタイム制」の八月実施によって、保険外務労働者は炎天・熱帯夜のもとで連続的な夜間・長時間労働を強制される。保険労働者もまた次々に過労死に追いこまれることは火を見るよりも明らかだ。
 「さらに労働者を殺しつづけるのか!」すべての全逓労働者は六月二十三日から開催される「第五十九回大会」(旭川)を、怒りの炎で包みこめ!
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