第1798号 (2003年12月15日)の内容

<1面>
米軍による日本人外交官誤射・殺害のもみ消しを弾劾せよ!
「テロとの対決」を名分にした自衛隊のイラク派遣を絶対に阻止せよ!

12・7 革共同政治集会を熱烈に実現
労学市民一五〇〇名の闘志燃ゆ

<4面>
郵政新人事制度の導入を許すな

<5面>
NTT東日本の新たな配転・首切りを許すな
労働貴族の協力加担に抗して

<2面>
深地層研建設反対に起つ(11・23幌延)
全道学生が出兵阻止を決意(11・22札幌)

<3面>
グルジア政変 アメリカに使い捨てにされたシェワルナゼ
ブクロ派「11・9労働者集会」の惨状

<6面>
新潟県教委が思想調査
Topics 成果主義の徹底≠推奨する「連合」
人事院勧告の分析を深めるために

<8面>
『黒田寛一のレーベンと為事』の感想
「哲学と人間と文学の問題」を読んで
「新しい人間の探求」を読んで
うた 侵略者よ怒りの民の底力知れ!

<7面>
万華鏡2003――情勢の断層を読む
手強い敵
モーニング・ディナー
11・29自爆事件
即席民主主義
太陽族

週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
「解放」最新号


























































    


 米軍による日本人外交官誤射

 殺害のもみ消しを弾劾せよ!


「テロとの対決」を名分にした自衛隊の

イラク派遣を絶対に阻止せよ!


 十一月二十九日に、イラクのティクリート近郊の道路上において、日本人外交官二名とイラク人運転手が乗った車両が走行中に銃撃され、三名全員が殺されるという事態が惹(ひ)き起こされた。この事件は、その後に明らかとなったあらゆる情況からして、「テロリストによる犯行」などでは断じてなく、米軍による誤射・殺害であると推断しうる。それは、イラク・ムスリム人民による「反米・反占領」の苛烈なゲリラ闘争に震えあがりパニック状態に陥っている米占領軍が苦しまぎれに強行したスンナ派三角地帯≠ナの人民皆殺しの軍事作戦、その渦中で惹き起こされた事態にほかならない。

真相の隠蔽ともみ消しに狂奔する米軍

 米軍占領当局(CPA)は、事件発生の直後から、「テロリストによる犯行」などという情報≠流しながら、事実の隠蔽に狂奔した。
 @事件発生は二十九日の午前十一時頃(現地時刻)であるにもかかわらず、米軍は発生時刻を「午後五時」と六時間も遅らせて発表し、また「道路近くの売店に水と食料を買いに立ち寄ったところを襲われた」とまったくのウソを発表した。(この発表が「誤り」であったことを、十二月五日にいたって米軍は認めざるをえなくなった。)
 A現場を目撃した住民によれば、「直後には日本人の一人は息があった」とされているのであるが、このことを米軍はひた隠しにした。
 B米軍は、被害車両のトヨタ・ランドクルーザーを現場から移動して米軍基地内に隠匿し、今なお返却していない。――同日に襲われ七名が殺されたスペイン秘密警察の車両や二名が殺害された韓国民間人の車両は、いずれも現場に放置されている。これに比して、まったく扱い≠ェ違っているのだ。
 C事件発表後に現場を訪れた共同通信記者によれば、付近には薬きょうがまったく落ちていなかった。――米軍は、銃の種類がわかる薬きょうをすべて回収したのだ!
 この隠蔽工作こそは、事件が米軍じしんによる犯罪であることを自己暴露しているではないか。
 日本政府の「要求」に応じて米軍が渋しぶ出してきた被害車両の写真によれば、被弾は左側面のガラス窓とドアに集中しているが、同時に、前部ボンネットにも貫通痕がある。このような貫通痕は、――米軍が強弁しているような――「左側を併走する乗用車型の車からの銃撃」では起こりえない。高い銃座を持つ車両(たとえば装甲車)で前方から撃ったものと断定しうる。しかも、ランドクルーザーが銃撃を受けて止まったその後から「米軍車両が通り過ぎていった」という地元住民の目撃証言さえある。
 およそこれらの諸事実からして、事態の直接性が次のようなものであったと推定しうる。――日本人外交官らの乗るトヨタ・ランドクルーザー(ナンバープレートを外したスモークガラスの車)がティクリートに向かう道路を猛スピードで走行中に、これと遭遇した米軍部隊が「テロリスト」と誤認して銃撃し殺害した(これが午前十一時前後)。その直後、殺害した相手が日本人外交官であることに気づき、うろたえた米軍は、その後六時間以上をかけて、米軍の犯行であることをしめす物証の隠滅に奔走し、隠滅工作が終わった後に発生時刻を偽って発表したのだ。

日本車をおとり≠ノしたゲリラ掃討作戦

 この誤射・殺害事件は、決して偶然に惹き起こされたものではない。殺害された日本人外交官たちは、二十九日にティクリートで開かれる予定であったCPAのイラク復興支援会議に向かう途中であった。
 ムスリム人民の反米・反占領のゲリラ戦に追いつめられた米軍は、このかんティクリートをはじめとするスンナ派トライアングル地帯において、「アイビーサイクロン2」と名づけた空爆・砲撃などによる皆殺し作戦を狂乱的に展開してきた。水鳥の羽音にも脅えるような心境になっている米軍部隊は、動く対象≠見つけただけで銃を乱射するというパニック状態に陥っている。韓国の記者は、「われわれの車両を追い越したら銃撃する」とティクリート近辺の米軍から警告されていたという。
 この事件直後の十一月三十日には、ティクリートからほど近いサーマラにおいて、米軍は「新通貨の搬送車列を襲撃してきた武装勢力」との大規模戦闘を展開し、「五十四名を殺害した」と発表した。この戦闘は、「搬送」部隊というおとり部隊≠使って「テロリスト」を誘い出し包囲殲滅(せんめつ)する、という作戦にもとづくものであった、と推察できる。ところが実際には、敵≠ノ脅えきっている米軍は、反米感情をむき出しにして立ち向かってきた住民たちにメクラめっぽうに機銃を乱射し、五十名以上の住民を虐殺したのだ。これはまさに、ベトナム戦争末期に、米軍が狂気にかられて惹き起こしたソンミ村の住民大虐殺と、まったく同様の事態ではないか。二十九日の事件もまた、こうした血迷った作戦がもたらした必然的事態にほかならない。
 いやそもそも、今日このとき、サダム・フセインの出身地でありもっとも米軍への抵抗の激しい「危険地域」であるティクリートにおいて、このような会議を開くことじたいに米軍の策謀が見てとれるではないか。米軍は、「テロリスト」をおびき寄せて殲滅するためにこそ、わざわざCPAの会議を敵の本丸≠ナ開くという策略をめぐらしたのだ。そして、そこに招集した各国外交官やNGOのメンバーをも、ゲリラ部隊をおびき寄せるためのおとりに使ったのだ。当日の二十九日には、要所に配置された特殊部隊などが、敵を待ちうけ見つけしだい攻撃する、という態勢をとっていたにちがいない。ナンバープレートを外したまま猛スピードで走っていた日本人外交官のランドクルーザーは、このような米軍・特殊部隊の網≠ノかかって蜂の巣にされたのである。
 イラク人民の苛烈な反米レジスタンスとアラブ義勇兵の自爆闘争・そしてフセイン派残党のロケット砲攻撃や爆弾闘争などによって連日連夜火だるまにされ、倒壊の淵に追いつめられている米占領軍当局が、この窮地を挽回するためにスンナ派トライアングルにおいて強行した軍事作戦。――その一つが、十一月二十九日の「ティクリート会議」をおとりにしての謀略的軍事作戦であり、その失敗を糊塗することを狙った翌三十日のサーマラにおける「テロリスト掃討戦」=住民大虐殺なのである。
 いまや米軍の士気は日ごとに落ち、パニックのあまり精神障害におちいる兵士が続出している(七〇〇〇人ともいわれる)。ベトナム戦争末期と同様に、脱走兵もあとを断たない(一七〇〇人ともいわれる)。臆病者ブッシュが演出した早朝二時間のタッチ・アンド・ゴー訪問と「感謝祭夕食会」の茶番劇によっても、米軍の戦意低下をおしとどめることなどはできない。「イラク民主化」を掲げた米軍の占領支配は完全に破綻し、「ベトナム化」「泥沼化」の声が米ジャーナリズムでこだましている。このような破綻をのりきるためのブッシュと米占領軍の悪あがきの帰結が、こんかいの日本人外交官誤射・殺害事件にほかならない。

小泉政権の協力・イラク派兵強行を許すな!

 小泉政権は、惹きおこされた事態に仰天し動転し、ブッシュ政権の圧力を受けて事件の真相もみ消しに躍起となっている。小泉は、一部のジャーナリズムが流しはじめた「米軍の関与」説にうろたえ、自民党内部からも沸きあがっている「説明不足」という不満の声に慌てながら、「ぺらぺらしゃべるな」と箝口令(かんこうれい)をしきはじめた。ブッシュはただちに「悲しい」と哀悼の意を表し、アーミテージらの政府高官が相次いで在米日本大使館に弔問に訪れた。――この「異例の弔意表明」というかたちをとった米政府のもみ消し協力の要請に応えて、小泉政権は、被害車両の日本への引き渡しを要求しない、という温情≠みせている。警視庁公安部のもとでおこなわれた二人の遺体の司法解剖の結果について、とりわけ体内に残されているといわれている銃弾について、彼らは嘘をつきとおすにちがいない。〔十二月六日の時点では、「銃弾については答えることはできない」などと発表じたいを拒んでいるほどなのだ。〕
 ハーケンクロイツ同盟の血盟≠ノ賭けて、小泉政権は米軍による誤射・殺害の事実を闇に葬ろうとしている。この破廉恥なもみ消しに全面協力しているのが、民主党・共産党を先頭とする「野党」であり、ほとんどすべてのマスコミ・ジャーナリズムにほかならない。
 小泉政権は、殺された二人を「二階級特進」させて勲章を与え、国葬なみの葬儀をおこなうことによって、彼らを「英雄」に祭りあげた。このような英雄譚(たん)≠でっちあげながら、小泉は、「テロに屈するな」「ここで屈したらテロリストの思うつぼだ」と金切り声をあげて、自衛隊派遣をあくまでも強行する姿勢をぶちあげている。
 すべての労働者・学生諸君。米軍による日本人外交官誤射・殺害のもみ消しを断じて許すな!「テロとの対決」を名分にした小泉政権によるイラクへの自衛隊派遣を絶対に阻止せよ!「米軍の撤退を要求してはいない」などとほざいて米軍のイラク占領支配に塩を贈る日共指導部を弾劾せよ! イラク人民の「反米・反占領」レジスタンスの爆発に悲鳴をあげる占領米軍による狂気の人民大虐殺を弾劾せよ! イスラミック・インター-ナショナリズムにのっとって果敢にたたかうムスリム人民と連帯してたたかおう!
(十二月五日)
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12・7 革共同政治集会を熱烈に実現

労学市民一五〇〇名の闘志燃ゆ
自衛隊のイラク派遣を許すな!―決意を固める労学(東京・中央会館)


新たな闘いの決意を胸にインターを斉唱
 「小泉政権によるイラク派兵阻止!」「米軍による日本人外交官の誤射・殺害事件のもみ消しを弾劾するぞ!」――闘志あふれ、全身からほとばしりでる怒りのシュプレヒコールが、会場に轟きわたった。あたかも、現代世界の暗黒を切り裂く稲妻のように。
 わが同盟は、十二月七日に、東京・中央会館において、革共同政治集会を一五〇〇名の労働者・学生・市民を結集して盛大に実現した。
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11・23幌延 深地層研建設反対に起つ

闘う学生労働者・住民と連帯
連帯会議の学生が「日本の核開発阻止!」を労働者・住民に訴え奮闘
(11月23日、北海道・幌延町)
 「原発とめろ! 北海道学生連帯会議」のたたかう学生たちは、十一月二十三日、道北・幌延町の共進会場で開かれた「北海道への核持ち込みは許さない! 11・23幌延デー全道集会」(主催・北海道平和運動フォーラム、共催・反核道北共闘会議)に参加し、全道各地から集まった労働者・地元住民とあい固く連帯してたたかった。
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11・22 北海道からの出兵阻止!

全道の学生が決意固める
現地闘争の高揚へ闘志みなぎる(11月22日、北海道大学)
 北海道のたたかう学生たちは、十一月二十二日、北海道大学クラーク会館において、自衛隊イラク派遣を断固として阻止するための「イラク派兵阻止! 全道学生集会」を実現した。
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郵政公社による新人事制度の導入を許すな

 郵政公社当局は、郵政事業庁の「人事制度改革」案にもとづいて新たな人事評価制度の試行に踏みきった。郵政労働者は、項目ごとに自己評価を書かされ管理者との対話≠強制されている。

以下、見出し
1 導入された新人事制度 ――その特質

2 「人事評価」基準の見直し
  「業績」なるもの
  「職務上あらわれた行動」の評価基準なるもの

3 「能力主義・実績主義」の緻密化

4 労務管理の飛躍的強化
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手強い敵


内でも外でも「ロバとの戦い」

 バグダッドではアメリカ占領軍がロバというロバを見つけ次第に片っ端から拘束している。――最近こんなニュースが伝えられている。アメリカ軍は、いまや「テロとの戦い」ならぬ「ロバとの戦い」に突入している!
 ロバ引きの荷車を使った同時多発ロケット弾攻撃をお見舞いされた先月の二十一日以来、米軍はすっかりロバ恐怖症にとりつかれてしまった。ロバそのものが、想像もつかない攻撃を繰りだす恐るべき敵対勢力に見えているらしい。
 もちろんロバをいくら捕まえたところで、ゲリラ攻撃を封じこめることはできない。ロバ引きの荷車からロケットを発射する・そのロバに米兵向けのメッセージを付けておく――この、じつに気の利いた闘争形態は、反占領闘争をたたかうゲリラ戦士たちが英知を結集してあみだしたもの。この闘争形態をあみだしたゲリラ部隊にとってこそ、ロバは優秀な兵士≠ニなるもの。バグダッド市内にありふれており、なにが起きても動揺せずに黙々と歩みつづける、拘束されても飼い主を裏切らない、というロバ生来の性質、これを生かすのは、ゲリラ部隊がもつ創意性・想像力にほかならない。
 このゲリラ部隊のアイデア巧みな攻撃に翻弄されているのが占領米軍だ。ロバを使ったゲリラ攻撃を封じこめる有効な手だてがなく、ただひたすら防御対象の付近からロバを一掃するために狂奔しているありさまだ。ハイテク兵器で武装しているがゆえにアメリカは無敵、――こう思いこんできたヤンキーどもは、兵器物神崇拝に陥っているがゆえに、「敵対勢力」の強さ・したたかさの根源にあるものをとんと理解できない。敵対勢力の強さは兵器=ロバの強さのゆえである≠ニ結果解釈するぐらいしか能がない。おまけに、自爆攻撃とかロケット弾攻撃とかのさまざまの闘争形態をば攻撃主体をぬかして「テロ」と一括したうえで、闘争形態たる「テロ」そのものを「敵」と言いなしてきた。これは彼らが、みずからの敵と見なした者のイデオロギーや戦略戦術を分析することもできなくなっているがゆえなのだ。
 そこで、アメリカ支配階級の一部からも、このようなブッシュ政権に批判が噴出している。そもそも敵を間違えている≠ニ。
 「『テロとの戦い』というが、『テロ』は技術であって敵にはなりえない。『テロが敵だ』と言うのは、ナチスドイツとの戦争を『電撃作戦との戦い』と言うようなもの。」これは、元米大統領補佐官ブレジンスキーの弁(「読売新聞」十一月十五日付)。
 民主党系のブレジンスキーの批判は、「テロとの戦い」というブッシュ政権の金看板への痛烈な皮肉。このような民主党サイドからの攻撃にたいしてブッシュ政権は苦戦している。ちなみに、民主党のシンボルはロバなのである(共和党のシンボルがゾウ)。ブッシュ政権は、アメリカ本土においても、「ロバとの戦い」を強いられているというわけだ。
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