第1797号 (2003年12月8日)の内容

<1面>
万策尽きた米英のイラク占領支配
ブッシュ帝国との心中の道をひた走る小泉政権の自衛隊派遣を阻止せよ!

<4面>
自治体版リストラ協力と改憲下支えの宣言
 自治労「21世紀―自己解体―宣言」の犯罪性

<6面>
リポート労働戦線
「S(スクール)&P(ポリス)サポート制度」を創設
「10年経験者研修」の実態
Topics 年金保険料引き上げに企業経営者が反対

<7面>
北海道・高橋当局による大幅賃下げ攻撃を許すな
関西私鉄大手四社の悪らつな攻撃
◆問答・代々木党本部にて

<5面>
よりましな資本主義≠フ妄想 <下>

<2面>
「米軍が撤退せよという議論はない」!!
日共・赤嶺の国会発言を弾劾せよ
空自の能登空港利用に抗議(11・7)

<8面>
階級的自己解放のために 『組織論序説』を読んで
うた 占領破綻

<3面>
万華鏡2003――情勢の断層を読む
命の値うち
美は時を超える?
郷に入るも傲岸無礼
内部告発

週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
「解放」最新号

















 



























    


万策尽きた米英のイラク占領支配

ブッシュ帝国との心中の道をひた走る

小泉政権の自衛隊派遣を阻止せよ!


 米英のイラク占領支配はいま、ベトナム戦争末期にも比すべき土壇場にさしかかっている。一日もやむことのない反米反占領のゲリラ闘争に耐えかねた米軍は、旧フセイン政権の支持基盤、「スンナ派トライアングル」全域を闇雲に空爆し、ムスリム民衆の怒りをますますかきたてている。米軍が支配しているのは、もはや線ですらなく、大都市の戦略拠点だけになっている。石油支配の夢どころではない。パイプラインも寸断された。
 イラク人民の米軍占領に反対する闘いも、かつてないほどに高揚している。スンナ派三角地域から北部クルド人支配地域、さらには南部シーア派地域へとゲリラ闘争は拡大した。加えて、アルカーイダがイラク占領支配への加担国を攻撃する自爆闘争をもって合流した。アメリカに追随する諸国、とりわけ日本政府は「東京テロ」の予告に震撼させられている。このアルカーイダに呼応して、アフガニスタンではタリバンが本格的に反攻を開始した。
 9・11事件以後、世界中に拡大してきたアメリカの「対テロ戦争」の戦線は、いまやズタズタにされている。このままでは来年秋の大統領選に敗北することが避けられないブッシュは、十一月二十八日に、窮余のパフォーマンスにうって出た。「電撃的バグダッド訪問」が、それである。
 政府内にさえも事前に知らせず、専用機を乗りついで、信用できないCIAの「追跡」をかわし、バグダッド空港に二時間半登場して逃げ帰ったあと、大々的に放送された「大統領のバグダッド訪問」なるもの。それは、9・11事件の当日いっぱいアメリカ国内を逃げ回っていた臆病者ブッシュ≠フ面目躍如たるものでしかない。
 大統領選落選に向かってバク進するブッシュ。それにもかかわらず、このブッシュとの約束を果たそうとして小泉政権は、「テロ予告」に縮みあがりながらも、あくまでも自衛隊のイラク派遣を強行しようとしている。十一月二十九日には、ティクリットで日本大使館員二人が銃撃され、殺害された。これを機に政府・自民党内部からさえもイラク派兵に二の足を踏む者が現出している。この窮地を、「反テロ」キャンペーンを垂れ流しつつ、派遣部隊の武装をより強化する方向で突破することをたくらんでいるのが、小泉政権なのである。死の苦悶にのたうつ一超帝国アメリカとの心中をしか意味しない自衛隊イラク派遣、これをわれわれは断固として阻止しようではないか。
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自治体版大リストラへの協力と改憲・戦争政策

の下支えの宣言


自治労「21世紀―自己解体―宣言」の犯罪性


 九月二十八日に開催された自治労続開大会において、自治労本部は先の第74回大会で否決された「自治労21世紀宣言」を、若干の文案の手直しをおこなったうえで採択した。休会≠ニいうでたらめな議事運営をおこなった本部ダラ幹どもは、反対派代議員の多い県本部のダラ幹どもを懐柔あるいは恫喝し、反対した代議員の切り崩しや入れ替えを追求した。これにたいして、13県本部≠フ協会向坂派系ダラ幹どもは、下部代議員の反対の声に狼狽しながらも、中央本部役員ポストを死守するために必死に下部を説得して回り、続開大会での可決に全面的に協力したのだ。そうすることによって、許しがたいことに、「宣言」の採決は可能となったのだ。
 われわれは、本部による「宣言」の採択強行を弾劾し、それが自治体労働者の「未来への展望を切り拓く」闘いを根底から破壊するものであることをあばきだすのでなければならない。

以下、章見出し
1 本部の時代認識と当局者の立場での政策対置

2 「公共サービス産業」版産業報国会の結成

3 「有効で信頼される政府の確立」!?

4 「自由・公正・連帯」理念の意味転換
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空自の能登空港利用に抗議
(11・7)

自衛隊機の能登空港への乗り入れに抗議し闘う金沢大生が怒りのシュプレヒコール(11月7日)
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命の値うち


君、死にたまふことなかれ


 十一月二十九日、イラクでCPAに派遣された日本の外交官二人がゲリラ・グループに殺害された。自衛隊員がイラクで死んだら一億円――これが命の値うちなのだとか。では、外交官は?
 政府は、防衛庁が殉職自衛隊員に支給する「賞恤(しょうじゅつ)金」を引き上げる方針を十一月はじめに決めた。現在は最高六〇〇〇万円である「賞恤金」を一気に一・五倍の九〇〇〇万円にする。さらに、警察官や海上保安官、PKOで派遣される自衛官などが死亡した場合に首相が支払う「特別褒賞金」(一〇〇〇万円)制度をイラクに派遣された自衛隊員にも適用する。イラクで死亡した自衛隊員の家族には計一億円が払われるというのだ。ケガをした場合でも、通常の五割増しの補償をするというPKO派遣者にたいする制度が適用されるという。もちろん通常の国家公務員災害補償法による年金や一時金も支払われる。派遣されると一日三万円の特別手当も支払われるというから、実に手厚い手当をされることになる。
 機を見て敏なる(?)保険屋どもは、派遣自衛隊員向けに、掛金月一万五〇〇〇円で保険金一億円を支払う、というイラク特措法保険とでもいうべきものを売り出した。この保険に加入しておけば、あわせて二億円もらえることになる。
 自衛隊員の死に一億円が高いか安いかはともかくとして、小泉政府には、急きょ引き上げを決めなければならないわけがある。
 すでにバグダッドの日本大使館に陸上自衛隊幹部二名が常駐している。さらに派遣準備「調査団」の名目で自衛官約十人が派遣された。イタリア警察隊の事務所にたいする攻撃の衝撃が醒(さ)めやらぬ十一月十八日、サマワに到着した調査団は「生きています。元気です」と東京に第一報を入れたのだった。恐怖に震える自衛隊員の顔色が目に浮かぶというもの。しかも、そのうち数人はそのまま残留させられている。
 小泉政権が強行しようとしているイラクへの本格的派遣をまえにして、自衛隊員たちの躊躇(ちゅうちょ)や疑問の声が噴出している。インド洋での米軍などにたいする燃料補給の任務から帰った隊員たちは、マスコミのインタビューにたいして公然と「二度と行きたくない」と声をあらげて語った。本来、「日本を守る」のが任務のはずなのになぜ遠いイラクへ行かねばならないのか、「契約違反」ではないか――このような反発を多くの自衛隊員があらわにしている。
 彼らをなだめすかしてイラクへ送り出すためのエサが「賞恤金」の一挙の引き上げというわけだ。金で自衛隊員の命を買って日本国家の名を揚(あ)げようとたくらんでいるのだ。ネオ・ファシストどもは、自衛隊を派遣する意義を国民が理解することこそが大事なのだ、一人でも死んでくれたほうが軍事力を強化するのに役にたつ、とすらキャンペーンしている。
 だから要注意。銃撃戦で死ぬとかの華ばなしい死に方でないと(一億円)支給の対象にはならない、と防衛庁幹部はほざいている。宣伝にならない死亡には価値がないってこと。インド洋に派遣されている自衛艦の乗員二人が交通事故とストレスで死亡したが、「賞恤金」も特別褒賞金も支払われていないという。すると死に方によっては、一億円はナシってことかも。
 ところで、自衛隊員の「賞恤金」引き上げに反発したのが外務省。自分たち大使館関係者は、占領軍にたいする攻撃が相次ぐバグダッドで武器もなく危険にさらされている。武器を持つ自衛隊が「安全」な南部に派遣されるのになぜ弔慰金の引き上げなのだ、とブチ切れた。さっそく、外務省職員が死亡したときに支払われる「弔慰金」を自衛隊と同じ九〇〇〇万円に引き上げることを決めた。その矢先に、本当に二人が射殺された。
 だが、ちょっと待て。政府は技術者、医師など数十人の民間人を自衛隊とともに派遣する方針を決めている。この人たちはどうなるのか? 当然のことながら、イラク人民は、これらの人びとをも、米軍の占領支配を手助けする敵であると宣言している。
 イラクに「安全」なところなどない。米軍政に加担する自衛隊や日本政府の派遣者が行くところが「危険地帯」になるのだ。バグダッド、モスル、バスラなどの「危険な」都市部で「復興」の作業に従事するとされているこの人たちに何が補償されるのかは、何も語られていない。……
 日本政府の言う「イラク復興支援」「人道的支援」とは、米軍占領支配の下働きでしかない。ゆめゆめだまされることなかれ。君、死にたまふことなかれ。
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