第1785号(2003年9月15日)の内容

<1面>
日帝のイラク調査団派遣阻止! 
軍政破綻の乗りきりをかけた米英の「多国籍軍」派兵策動を許すな!


<4〜5面>
天皇制容認への公然たる転換
日共「新綱領案」の犯罪性

人事院による2年連続の大幅賃下げ勧告弾劾!

<2面>
米ミサイル巡洋艦入港阻止に決起(8・25鹿児島)
小泉政権のBMDシステムの導入を阻止せよ
住基ネットはエシュロンの餌食

<6面>
「自治労21世紀宣言」(案)の続開大会採択を阻止せよ
北海道当局が「グループ制・フラット化」を強行
Topics 日本鉄鋼産業の業績回復

<7面>
全逓第57回定期全国大会
国家と公社に全面奉仕する労組≠テくりに狂奔する本部

<8面>
ワレサよ、恥を知れ!
『バカの壁』の言語観

<3面>
万華鏡2003――情勢の断層を読む
「無償広告」の成果?
二年後の独り言
ワンマンマン
ゴー! ゴー! ピース!

週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
「解放」最新号






































 


    


日帝のイラク調査団派遣阻止!

軍政破綻の乗りきりをかけた米英の「多国籍軍」派兵策動を許すな!

 小泉政権は、「現地情勢が変っているが、まったく派遣できない情勢ではない」(官房長官・福田)などとうそぶきながら、今月末にも自衛隊制服組を含む調査団を戦乱まっただなかのイラクに派遣しようとしている。「DON'T WALK AWAY!(逃げるな!)」「イラク復興はお茶会ではない」(米国務副長官アーミテージ)とアメリカ権力者に一喝されて、この忠犬は、怖(お)じけづいて巻いていた尻尾をオズオズと振ってみせたのだ。
 ブッシュ政権は、あつかましくも国連に多国籍軍の派遣を――米軍の指揮権を確保したうえで――要求するという安保理決議案を提出し、イラク派兵に二の足を踏んでいる諸国をかき集め動員しようと画策している。サダム軍の大逆襲に直面させられ激増する米兵の死傷者とのしかかる巨額の占領経費(米軍駐留経費の追加予算だけで六五〇億ドル=七兆五〇〇〇億円)の負担とに耐えかねて、米英のイラク軍事占領・植民地支配はもはや完全に破産した。「米英軍はみずからの安全を守るのに精一杯」(イラク統治評議会議長ジャファリ)というありさまなのだ。いまやイラクは、完全にアメリカにとっての「第二のベトナム」と化した。いやソ連軍が、全世界から結集したムジャヒディン・ゲリラのまえに惨めな敗走を強いられたかつてのアフガニスタンのような情況にさえなりつつある。
 この「戦略的失敗」(英外相ストロー)をのりきるために、ブッシュ政権は、国務長官パウエルを前面におしたてて、国連を活用する方向に軌道修正をはかっている。
 このブッシュ政権に尻をたたかれて、小泉政権は、当面は先送りにしようとしていたイラク調査団の派遣をおおあわてで決定したのだ。彼らは、来年早々にも、米・英の軍政を支えるために、イラク派兵を強行しようとしている。しかも、九月八日に告示された総裁選をにらんで、自民党総裁たる小泉は、二〇〇五年十一月の党大会にむけて自民党憲法改定案の策定を指示するとともに、自民党幹事長・山崎拓が来年の通常国会において国民投票法案を先行的に制定する意思をむきだしにしている。
 すべての労働者・学生諸君! われわれは、決意も新たにたたかおうではないか! かの北朝鮮「核開発」問題をめぐる六ヵ国協議に際して「拉致問題を日本政府が提起するのは当然」などと民族排外主義の鼓吹に一役買った不破=志位の共産党指導部、彼らは、「イラクへの派兵反対」と口にはするものの、米・英の悪逆無道の軍事占領・支配そのものを免罪している。「二十一世紀の進路の選択」と称して、総選挙にむけた「国連中心のイラク復興支援」策の代案対置にうつつをぬかしているにすぎない。腐敗せる既成反対運動をのりこえ、ムスリム人民・全世界の労働者と連帯して、<イラク派兵阻止!改憲阻止!>の反戦・反安保のうねりを全国から創造せよ!

以下、小見出し
シーア派勢力の削ぎおとしを狙った米CIAの謀略

「中東民主化」政策の破産にあえぐブッシュ政権

国連利用≠フ弥縫策と対北朝鮮政策の修正

イラク派兵・改憲に突進する小泉政権
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天皇制容認への公然たる転換

日本共産党「新綱領案」の犯罪性


 日本共産党の不破・志位指導部は、第七回中央委員会総会において十一月の第二十三回党大会に提案する「党綱領改定案」を決定した(六月二十三日)。不破ら中央官僚は、四月の統一地方選で大敗北を喫したことに意気消沈しきっている党員を奮い立たせ、噴出する不満・反発を封じ込めるためにも、この「綱領改定」を日共の「新たな展望」を切り開くものであり「胸おどるロマン」を与えるものであるなどとおしだしてみせた。
 だが、この不破の思惑は完全に破産した。この七中総にタイミングを合わせて党政策委員長であり党の国会における「顔」である党常任幹部会委員・筆坂秀世の「セクハラ問題」が大々的に暴露され、代々木党員の「酒の飲み」方のみがマスコミに注目されるという有様であった。今回の「綱領改定案」をもって「新しい共産党」を社会的に宣伝し「国民」に印象づけるなどという思惑は完全に吹っ飛ばされてしまった。まさに、「綱領改定案」の採択と同じ日に「党中央委員の解任」を採択せざるをえなかったという事態に、「自由と民主主義の党」の未来が暗示されたのだ、といえる。

以下、見出し
T「天皇制廃止」の廃止

「ブルジョア君主制」という規定の抹消

「将来の課題」の名による「廃止」の彼岸化

U天皇制容認のための詭弁

(1)「統治権を持たないから、君主制とはいえない」という詐術

(2)党の歴史の偽造

(3)「道理」の名による「天皇制との共存」の提唱

V天皇元首化攻撃の補完
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8・25鹿児島 米ミサイル巡洋艦入港阻止!

鹿大生が労働者と連帯し奮闘
労働者とともに力強いシュプレヒコールをあげるたたかう学生たち(8月25日、谷山港) 
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ワレサへの手紙

ワレサよ、恥を知れ!


 「このアメリカの戦争をわれわれは賞賛するべきである」(四月十一日)――このワレサ発言を聞いて、われわれは一瞬耳を疑った。三月の国連安保理開催をまえにして、「安保理はアメリカ主導のこの戦争を支援せよ」とまで言っていることも知った。
 ワレサよ、恥を知れ! これが独立自治労組「連帯」の委員長であった男の言葉であることを思うと、われわれは怒りに体が震える。ポーランドの心ある労働者たちもあまりの屈辱に言葉を失ったにちがいない。
 ブッシュ政権は「世界の果てまで死と暴力を輸出する」と公言してはばからない。圧倒的な軍事力にものをいわせて、イラクを、中洋を、全世界を自己に従わせようとしているこの軍国主義帝国を「現代のナチス」と言わずしてなんと言おう。
 このブッシュに率いられた「ハーケンクロイツ同盟」の尻尾にくっついているのがポーランドの現政権だ。彼らは、米英軍のイラク侵略戦争支援にこれ務めただけではない。血塗られたイラク軍政の一角を担うために二〇〇〇人以上のポーランド兵士をイラクに送っている。米英軍とともに、ポーランド軍がイラクの民衆に銃を突きつけているのだ。ワレサよ、このクワシニエフスキ=ミレル政権にたいして断固たる抗議と弾劾の声をあげないのはいったいどうしてなのだ。血にまみれたイラク民衆のうめきが、憤怒の声が、お前には聞こえないのか。
 五月末にポーランドにたち寄ったブッシュは、アウシュビッツ収容所跡を訪れて涙を流してみせた。今ヒトラーのこうした行為が、この強制収容所のなかで殺されたユダヤ人をはじめとする何万もの人びとを、ナチスとたたかい倒れたポーランド人民を、愚弄するものであることが、お前にはわからないのか。首相ミレルらと同様に、ワレサよ、お前も第二次世界大戦の悪夢を忘れはてている。
 米ロッキード・マーチン社の戦闘機購入を決めたとき、首相ミレルは米空軍の軍服を着てF16に乗りこむというパフォーマンスまで演じてみせた。そして今、欧州における米軍基地の中心拠点をポーランドに建設することがアメリカ政府とポーランド政府とのあいだで合意されている。ポーランドは、西に独仏を、東にロシア・旧ソ連圏諸国を睥睨(へいげい)するアメリカ帝国主義の軍事拠点となる。このことに嬉々としているのがポーランド政府権力者どもなのだ。ポーランドは、欧州におけるアメリカ帝国主義の文字どおりの「属国」と化している。ワレサよ、ミレル政権の買弁のごときふるまいにたいして、なぜ非難を浴びせないのか。
 ポーランド出身のローマ法王は「戦争に反対する」とくりかえし述べた。多くの国のカトリック司教団が「武力行使に反対するために、国際社会の勇気ある連帯が必要だ」と声明した。だが、お前はこの戦争を賞賛する。ワレサよ、お前は敬虔なカトリック教徒ではなかったのか。確かにお前も「国際連帯」を口にした。しかしお前が言う「連帯」は、バチカンや、欧州の多くの国の政府や国民が言うそれとは反対に、「アメリカとその同盟者の戦争を国連安保理は支持するべきだ」という意味でしかない。ワレサよ、お前は、アメリカ帝国主義者に魂も売り渡してしまったのか。
 お前がここまで堕落しはてた根拠は、帝国主義のイデオローグと同様に、スターリン主義の破産を「共産主義の終焉」とみなし、そうすることによって、その対極としての資本主義にただ憧憬するだけの「資本主義賛美」論者に転向したことにある。独立自治労組「連帯」指導部は「労働者主義・反官僚主義」というみずからの理念をさえ放りだし、労働者・人民を裏切った。ワレサよ、お前がなすべきことは、この恥ずべき転向を土下座して謝罪すること、ただこれだけである。
 「経済では日本がモデルだ」と言いながらも、いざトヨタの工場の労働現場を目にすると、「労働者が人間として扱われていない」と悲鳴をあげる程度には労働者的であったワレサ。しかし、今のお前には、働く者としての誇りや働く者のヒューマニズムはただの一片もない。
 何度でも言おう。ブッシュ政権のイラク侵略戦争・中洋世界の植民地支配につき従い加担するクワシニエフスキ大統領やミレル首相らに反対するどころか、スターリン主義からの転向者である彼らと同様に、いや、彼らと競いあって「アメリカの戦争」を賞賛し、このアメリカとの「連帯」を呼びかけるワレサよ、恥を知れ!
 「他民族を抑圧する民族は自由ではありえない」――マルクスとエンゲルスがこう語ったのは、ポーランド蜂起(一八三〇年)十七周年を記念する集会においてであった。ナチスに屈せず、スターリン主義の専制支配にも屈しなかった、苦難に満ちた、しかし輝かしい民衆の歴史を負うポーランドの労働者であるならば、この言葉を忘れることはけっしてできないはずなのである。

(註)北大西洋条約機構(NATO)へのポーランドの加入をアメリカ権力者に請い願ったのは、一九九五年まで大統領であったワレサ自身であった。一九九九年にNATOにポーランドが正式加盟した、その数日後にNATO軍によるユーゴスラビア空爆は開始された。「同盟国の一員」としてこれを支持し協力支援したのは、「連帯選挙運動」主導のブゼック政府であった。アメリカ帝国主義への追従・その侵略戦争への加担という点において、ワレサをはじめとするかつての「連帯」指導部は、ミレル政権と競い合いこそすれ、すこしも対立していない。
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「無償広告」の成果?

ローテク兵器がなぜ売れる

 「米国によるイラク攻撃が開始されてから、ロシア製兵器の需要が高まっている」と、ロシア国防相セルゲイ・イワノフは胸を張って言った。実際、今、東南アジア諸国においてはロシア製兵器が、とりわけ戦闘機がちょっとしたブームになっている。
 八月はじめに大統領プーチンはマレーシアを公式訪問し、スホイ30十八機の売却契約を結んだ。マハティールに、米国製のF18を退けてスホイを採用させたのだから、プーチンとしてはホクホクであったに違いない。
 インドネシアには、すでにスホイ27戦闘機二機が納入された。二機のスホイ30と軍用ヘリコプター二機も間もなく届けられる。ミャンマーには、二年まえに十二機のミグ29戦闘機が販売された。
 二〇一〇年までに、少なくとも二〇〇機以上のスホイおよびミグがアジアをはじめとする世界各国に輸出される、とロシア政府は踏んでいる。中国やインドや北朝鮮でおこなわれているライセンス生産をふくめれば、この数はさらに二倍三倍になるであろう。
 ロシア製兵器が何故こんなに売れるのかって?
 そりゃあ、ともかく安いからよ。スホイやミグのお値段は、ヤンキー製戦闘機の約三分の一であるだけではなく、英国製やフランス製よりもはるかに安い。ロシア製輸出用戦車T―90Sは一四〇万ドルで日本の90式戦車(七億五〇〇〇万円)の四分の一以下。兵器輸出のばあいは、いくら値引きしても「ダンピング」で提訴される心配はない。
 あのヤンキー帝国と本当にやり合ったならば、どんな戦闘機や戦車を持っていても、たいした役にはたたない。戦闘機なんてのは、しょせんは見せびらかして威嚇するための飾り物。隣国との紛争などで実際に使うとしても、撃ち落とされたり事故を起こしたりして壊すだけ。だから、あまり高くないものにしたい。それに、戦闘機の維持・補修とか訓練とかを利用して、米国製戦闘機を購入した国を軍事的にも従属化させようとするのがヤンキー政府だ。そんな奴らのヒコーキは買いたくない――マハティールたちはこう考えたに違いない。もっとも、インドでライセンス生産されたミグ21のように、訓練飛行中にしょっちゅう墜落するので「空飛ぶ棺おけ」と呼ばれるようなヤツでは困るけれども、と。
 それにしても、RMAを豪語するヤンキーのハイテク兵器は、フランスやイギリスやドイツのそれに比べて技術的に二十年も先をいっているそうだ。ロシア製はこの仏・英よりも十年、いや二十年は遅れている……。このローテクあるいはチューテクのロシア製兵器が世界の中・後進国権力者からこれほどまでに注目されるのは、どうしたことか。
 じつは、米英軍がイラク侵略戦争を開始した後に、とりわけ、「ロシアは対戦車ミサイルや夜間戦闘用暗視装置やGPS誘導妨害装置等々をイラクに供与している」と米政府が非難したのを受けて、ロシア製通常兵器の国際的需要は急激に高まったのだそうである。だから、「無償広告をありがとう」(イワノフ国防相)というわけだ。
 確かに、ソ連製およびロシア製兵器を装備したイラク軍に、超ハイテク兵器をもつ米軍はさんざん苦しめられた。そして今、地下にもぐったサダム親衛隊やたたかうムスリム戦士は、米英占領軍を相手に、旧イラク軍の武器を手にして神出鬼没のゲリラ戦を展開している。
 だが、このことをもって「ロシア製兵器の効力」を言うのは、「誇大宣伝」いや「ウソ広告」というべきではないか。米英占領軍に恐怖を味わわせ追いつめているのは、怒りに燃えたイラクのムスリム人民の闘いである。担い手と切り離して「武器の効力」を云々するのは、ヤンキーと同様の「兵器物神化」の、あるいはスターリニストに伝統的なタダモノ主義のなせるワザにほかならない。
 それはともかく、輸出する武器の質においても量においても、ロシアは、往年の「武器輸出大国」ソ連からはほど遠い。だからこそ、プーチンもイワノフもなりふりかまわずロシア製兵器の売り込みに走り回っているのだ。それならば、「ハイテク化」などを願望しないで、いっそ「超ローテク製品」に特化するほうがよい、という意見もでているらしいよ。
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