第1783号(2003年9月1日)の内容

<1面>
国家総動員体制の構築を阻止せよ
9・1「防災」訓練の強行を許すな!

自衛隊のイラク派遣絶対阻止!
「国民保護法制」の制定を許すな!

<4・5面>
断末魔のブッシュ政権
――21世紀世界の再編


<2面>
イラク反戦 全国で8・3集会
北海道/関西/北陸


<6面>
Topics 改定医療法施行2年半
「全教」第20回定期大会報告
7・11愛知県民集会で奮闘
相次ぐ大型トラック事故

<7面>
アンチ「革命」の「綱領改定案」
日共式修正資本主義路線の純化(下)


<8面>
反戦集会へのメッセージ 第3回
イギリス革命的マルクス主義者/バングラデシュ労働者連盟議長/バルカン社会主義センター/ニューズ・アンド・レターズ
転んでもただでは起きないぞ!

<3面>
万華鏡2003――情勢の断層を読む
◆及び腰の介入
◆「新思惟」外交
◆天国への階段
◆怪説・反戦の歴史
◆原因不明?
週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
「解放」最新号







































 


    


国家総動員体制の構築を阻止せよ

9・1「防災」訓練の強行を許すな!


自衛隊のイラク派遣絶対阻止!

「国民保護法制」の制定を許すな!


イラク国連事務所爆破攻撃の衝撃

「自助・共助の防災」の名による国家総動員体制づくり

 「東京から日本を変える」を標榜している真正ファシスト・石原を知事に戴く東京都をはじめとする首都圏八都県市の主催のもとに、九月一日の「防災の日」に、自衛隊基地や米軍基地をも使用しての大規模な「防災」訓練が、交通機関や病院、地域住民や労働者・児童・生徒ら数万人を動員して強行されようとしている。この「防災」訓練を国家として指揮・監督している小泉政権(=中央防災会議)は、有事法・イラク特措法を制定したことにふまえて、「防災」の名のもとに平時から国家総動員体制を構築するための「訓練」として位置づけ強行しようとしている。
 東京都・神奈川県・横浜市・川崎市・千葉県・千葉市・埼玉県・さいたま市で構成されている八都県市防災対策委員会が主催する第二十四回目の「合同防災訓練」、この訓練では、首都圏がマグニチュード7程度の直下型の地震に見舞われたことを想定して、自衛隊・警察などの国家暴力装置や消防、そして報道機関のみならず、自治体労働者や児童・生徒、市民を強制的に大動員する。参加人数は約五万四〇〇〇人にものぼる。さらにこの訓練に準ずるかたちで各地方自治体・地域において独自の防災訓練もおこなわれようとしている。
 この八都県市主催の訓練では、以下のプランが明らかにされている。まず第一に、一昨年の「ビッグ・レスキュー東京2001」にひきつづいて、小泉政権(=中央防災会議)とその指揮下にある八都県市の防災委員会は、今年も大規模なかたちで自衛隊を動員しようとしている。彼らは首都圏八ヵ所でおこなわれる訓練において、通信・救助・医療・架設橋の設置・物資輸送などの訓練に自衛隊部隊を充当しようとしているだけではない。入間航空自衛隊基地が広大な面積を占めている入間市が今年の幹事都県市会場とされている。当該の入間基地でも埼玉県当局・自衛隊は緊急物資搬送・受援・広域医療・避難所訓練をおこなおうとしている。さらに昨年に続いて、東京都知事・石原は米空軍の横田基地を広域応援物資輸送や重傷者搬送の訓練基地に設定している。
 第二には、すでに今年一月に実施した七都県市・政府合同防災訓練(図上訓練)にもとづいて、各都県に設置された災害対策本部が政府の対策本部および各省庁と相互に「連携」しつつ(その実は政府の指揮のもとで)、自衛隊・警察・海上保安庁の国家暴力装置を要にして、日本赤十字社・東京ガス・東京電力・NTT東日本・KDDI・鉄道バス会社などのいわゆるライフラインにかかわる業種の企業体・事業主体をもすべて統括しつつおこなおうとしている。
 それだけではない。第三には、これまでの合同訓練の「成果」にふまえて、今回の訓練の主たる目的に、「幅広い人たちの主体的な訓練参加」と「連帯意識の醸成」をあげている。東京都・日野市合同訓練では、「住民による自助・共助体制の確立」を謳い、「自分たちのまちは自分たちで守る」「共助」を訓練の「統一テーマ」にしている。
 小泉政権ならびに訓練当事者である石原をはじめとする各自治体当局者は、一昨年の「ビッグ・レスキュー2001」以来の追求にふまえて、政府の指揮・統制のもとに地方自治体の枠を越えて指揮・命令系統を確立し、そのもとに自衛隊や警察などの国家暴力装置を中核部隊として配し、地域住民を「自助・共助」という草の根からの防災≠フ名のもとに動員しようとしている。東京都の訓練の場合(日野市との共催)では、地域防災の拠点に全小学校が設定され、小学校での避難所開設や住民避難訓練に住民を総動員しようとしている。このことにしめされているように、地域住民を学区ごとに隣組的に網の目的に組織化してゆくことを彼らはめざしているのだ。
 それだけではない。政府権力者は、「大規模地震災害への対応」の名のもとに、ますますキナ臭く戦時色≠フ強い訓練をおこなおうとしている。事実、自衛隊(基地)や警察を通信や輸送の中軸部隊として活用するだけではなく、「道路交通対策訓練」と称して自衛隊車輌の輸送路を確保する訓練。さらに「災害医療」と称して医療労働者・自治体労働者や市民を動員して、緊急医療拠点の設営や遺体安置所設置をおこなう訓練。これらにとどまらず、重症患者と軽症患者を識別し、治療しても助からないと見なした患者は後まわし(放置)するという戦地医療方式≠導入するための「トリアージ訓練」。この医療≠フノウハウ・マニュアルの習得を、政府権力者は、日本赤十字社や国立・都立病院の医師や看護師に促すことをも企んでいる。
 まさにこのようにして、政府権力者は、「防災」の名のもとに「平時」において「有事」における国家総動員体制を構築することを企んでいる。たたかう労働者・学生の反対の声をふみにじって有事法制定をなしとげた小泉政権。彼らは今、これにふまえて、次の通常国会において、民主党と約束≠オた「国民保護法制」を制定することを企んでいる。――この「国民保護法制」なるものは、政府が「有事」と認定したならば「国民の命と暮しを守る」=「保護する」ことを大義名分にして、「私権」=「基本的人権」にも制限を加えることができるという国民「不保護法制」にほかならない。まさに「国民保護」の名のもとに人民を戦争に動員することを企んでいるのが政府権力者なのである。そのための地ならし=訓練として、彼らは、「9・1防災訓練」を位置づけ実施しようとしているのである。

以下、見出し
「有事」に備えての国民総監視・総管理体制の構築

反ファシズムの広範な戦線を創造しよう
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断末魔のブッシュ政権

――21世紀世界の再編 <上>

Tラムズフェルドの大誤算

 アメリカ国防副長官ウォルフォビッツは、七月二十三日の記者会見で、対イラク戦争において重大な「誤算」が生じたことを公式に認めた。連合暫定占領当局(CPA)による軍事占領が「当初想像していたより悪い」状況にあり、サダムの軍隊のゲリラ戦を「過小評価」してしまっていた、と告白せざるをえなかったのだ。
 大統領ブッシュが華ばなしい儀式を演出しつつ高らかに「戦闘終結宣言」(五月一日)を発したにもかかわらず、いまや、地下に潜ったサダムの軍隊のゲリラ戦が激しく組織的に展開されている。「戦闘終結宣言」百日めの八月九日までの米軍戦死者は――米軍当局の公式発表によるかぎりでも――五十六名にのぼり、開戦いこうの合計では九一年湾岸戦争のそれをゆうに上回っている(七月十八日で一四八名になり、湾岸戦争の一四七名を越えた)。米軍兵士はいつなんどきゲリラ部隊の標的とされるか知れないという恐怖にとり憑(つ)かれ、彼らの士気は極端に低下している。米テレビ局の現地インタビューに応じた陸軍第三師団の兵士は、「ラムズフェルドがここにいたら辞任を求める」と切羽つまった表情で発言し、米軍幹部たちを狼狽させた。ベトナム戦争末期においてさらけだされた米軍の士気低下・麻薬づけ・精神失調・腐敗狼藉といった事態が、軍事占領後わずか三ヵ月のイラクにおいて露呈しはじめた。
 六月いこう国防総省・米軍当局は、「砂漠のサソリ」「砂漠のガラガラヘビ」「ツタのヘビ」などと銘うったゲリラ掃討作戦を次々と指令し、駐留米軍を引きずり回してきた。けれども、この軍事作戦は現在にいたるも何ら功を奏してはいない。
 こうした局面において、イラク駐留米軍は、モスルの地元部族幹部宅に潜伏していたサダム・フセインの長男ウダイ、次男クサイを六時間の銃撃戦の末に射殺した、と発表した(七月二十二日深夜)。イラク人民の疑惑を打ち消すために、米軍はむごたらしい遺体写真≠公表してみせた(二十四日)。それがイスラームの戒律に反する愚策でしかないことさえもわきまえずに、である。これ、米軍兵士の士気を鼓舞しイラク軍政の破綻的危機をおし隠さんがために仕組まれた演出といわずして何というべきか。
 サダム・フセイン軍の大逆襲に直面させられて、いまや米英連合軍のイラク軍事占領じたいが破綻しかねない危機に瀕している。ブッシュ政権は、ブレマーの暫定占領当局の「業績」を一応は誉め称えながらも、この軍政を「補強」するためと称して、各国の対イラク債権問題の処理を遂行するために「大物」の人物を配するという意向を表明した。(パパ・ブッシュ政権時の国務長官ベーカーの名があげられている。)これはまさしく、ブッシュ政権じしんがイラク軍事占領の破産を自認したことを如実にしめしている。
 この重大事にくわえて、占領後三ヵ月たっても大量破壊兵器(WMD)などはなにひとつ発見されていない。このゆえに、ブッシュ政権およびブレア政権がなにがなんでも対イラク武力攻撃を強行するために数かずの「情報操作」を仕組んだという疑惑が米・英両国内で全社会的に暴露されている。アフリカのニジェールからのイラクのウラン購入とか、イラクが四十五分以内に生物・化学兵器を戦闘用に配備しうるとかというブレア報告は、すべてデッチあげであることが明るみにだされた。イラクの大量破壊兵器保有の「脅威」除去などという大義名分は、嘘とデマで塗り固められたものでしかないことが、いまや完全に露見している。
 こうした「情報操作」疑惑の大々的暴露は、ブッシュ政権の追い落としを狙ってアメリカ支配階級内の特定の部分(東部エスタブリッシュメント)が仕組んだにちがいない。これによって、米英のウォーモンガーどもの政権は絶体絶命の政治的窮地に追いつめられている。来年十一月の大統領選で再選を果たすというブッシュの展望には暗い陰りがさしている。支持率が二五%にまで落ちこんだブレア政権は、与党(労働党)内からの反発・造反の続出という危機に直面させられ、いまや倒壊寸前である。稀代(きたい)の戦争狂<uッシュ政権は、先制攻撃戦略にもとづいて強行したイラク侵略戦争によって、かえってみずからの墓穴を掘る結果を招き寄せたのである。

以下、見出し
サダムの逆襲

拙速′R事作戦と拙劣な「戦後処理」策

ムスリム魂の逆なで

U「一超」帝国主義の孤立

先制攻撃戦略の挫折

第二国連づくりとハーケンクロイツ同盟の強化



目  次

T ラムズフェルドの大誤算
・サダムの逆襲
・拙速′R事作戦と拙劣な「戦後処理」策
・ムスリム魂の逆なで
U 「一超」帝国主義の孤立
・先制攻撃戦略の挫折
・第二国連づくりとハーケンクロイツ同盟の強化(以上本号)

V EU・NATOの再編
・東欧の「属国」化
・「EU独自軍」結成とユーロ・ブロックの強化
W <三極>角逐への転回
・「一超」支配への対抗
・第三次世界大戦の危機の醸成
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イラク反戦 全国で8・3集会
北海道集会 「暗黒の二十一世紀」を突き破れ!
労学四百名が闘う決意

関西集会 イラク派兵阻止へ戦列を強化
ムスリム人民との連帯を訴える 

北陸集会 小泉政権を打ち倒せ!
熱気あふれる集会かちとる
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アンチ「革命」の「綱領改定案」

日共式修正資本主義路線の純化 <下>


目 次
T「党勢」衰退への焦燥
U「革命」の全否定
  A 「資本主義の枠内での改革」への完全解消
            (以上第一七八二号)

  B 「独占資本主義」美化論の開陳
V不破共産党の終わりの始まり   (本 号)
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及び腰の介入


のしかかる奴隷制≠フツケ


 八月十四日、アメリカは海兵隊二〇〇人をリベリアの首都・モンロビアに送り込み、「市民は歓呼の声で米軍を迎えた」とマスコミに報道させた。「内戦の調停者」「平和の使徒」としてみずからをおしだそうというのだ。
 だが、ヤンキー帝国が調停者づらをすることほど欺瞞的なことはない。なぜなら、むごたらしいこのリベリア内戦は、アメリカの歴史的かかわりの所産にほかならないから。それはリベリアの建国以来の歴史が物語っている。
 「リバティ=自由」の国・リベリアは、自由を勝ちとったアメリカの「解放奴隷」がアフリカにもどって建てた国であり、アフリカで植民地にされなかった数少ない国の一つといわれている。
 だが実態はどうであったか?
 奴隷解放運動が高揚し始めた十九世紀初頭のアメリカで、「自由になった一部の黒人が米国内に留まったままだと、奴隷制度の根幹を揺るがしかねない」という危機意識を持った奴隷主たちは「アメリカ植民協会」をつくり「解放奴隷」をアフリカに入植させることにした。彼らをアメリカから一掃し、アフリカに植民させるという一石二鳥の計画。
 「里帰り」した「解放奴隷」は何から何までアメリカ方式を模倣した。アメリカ合衆国憲法を手本にして憲法を制定しただけでなく、公用語は英語、通貨はドルとし、当時の米大統領モンローにちなんで首都をモンロビアと命名したほど。それだけではなく、自分たちを収奪していた奴隷主の手法をもまねた。土着民の政治的権利を一切認めず、ゴムやカカオなどの大規模プランテーションや木材伐採・鉱山採掘に駆りたて奴隷のようにこき使って徹底的に収奪した。
 彼らはアメリコ・ライベリアンと呼ばれ、現地の住民に同化しなかった。身についたヤンキー式生活様式と知識に優越感を持ち、四つの語族に分かれる二十八の部族を見下し分断支配する一方で、自分たちの子弟はアメリカの大学に留学させてヤンキー式教育を受けさせた。人口の数パーセントにすぎないアメリコ・ライベリアンがこの国の支配層として君臨しつづけたのだ。
 このアメリコ・ライベリアンに「財政援助」の名において多額の資金を貸し付け、首根っこをおさえていたのが、ファイアストーンを始めとするアメリカ資本。アメリコ・ライベリアンが地元民から収奪した莫大な富は「借金返済」の名目でアメリカ資本に吸い上げられた。リベリアは「独立国」の体裁をとった実質上のアメリカの植民地だった。
 このアメリコ・ライベリアンの支配体制を一九八〇年に打倒したのがクーデタを起こした前大統領のドーだった。旧支配体制を崩壊させたこのクーデタは、同時に覇権・利権をめぐる政党・部族・宗派間の対立を激化させた。それ以来、今日まで血みどろの内戦が続いてきた。
 この内戦がどちらに転ぼうが米系資本の権益に影響をおよぼすことは少ないとみた米政府は、これに介入しなかった。人が何人死のうが、二七〇万の住民のうち二〇〇万以上が難民になろうが、この難民の子供たちが誘拐されシャブ漬けにされて、前線でたたかわされようが(銃を担いでいる少年のなかには六歳の子供もいる)知ったことではない、とばかりに。
 だが、ブッシュ政権はこういうふるまい方を続けるわけにはいかなくなった。アメリカ政府の態度をなじる周辺諸国権力者たちから非難の声があがったからだ。西北部アフリカに影響力をもつフランスと対抗しアフリカ連合(AU)をアメリカ友邦同盟の一角にまきこんでいくためにも、米軍を派遣しリベリアの安定化≠はかることは不可欠なのだから。(しかも、ブッシュ政府は潤沢・良質の石油を埋蔵しているナイジェリアでの権益確保を虎視眈々と狙っているのだ。)だから大統領テイラーがナイジェリアに亡命した機をみはからって、ヘリを飛ばして兵隊を送ったというワケ。
 ラムズフェルドは「ソマリアの二の舞はさけたい」と及び腰の姿勢をついつい表明。だが、アフリカに地歩を築こうとする「一超」帝国の傲岸なふるまいは、アフリカ諸国人民の反米闘争を惹起するにちがいない。
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「新思惟」外交

 軍国主義非難はもう過去の話


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