第1774号(2003年6月23日)の内容

<1面>
イラク軍政参加法の制定阻止!
ブッシュ帝国との一心同体を宣言した小泉政権に階級的一大反撃を

<4面〜5面>
ブッシュの戦争
イラク侵略戦争の意味と世界制覇の野望


<2面>
有事法制定にわき上がる怒り
6・10陸・海・空・港湾20労組集会 東京
沖縄緊急県民集会 6・6
憲法公聴会粉砕に起つ 5・12金沢


<6面>
全逓第57回定期全国大会にむけて
国家と公社に全面奉仕する労働組合づくりを許すな!
Topics 白い巨塔≠フ「事故防止策」
失業者が溢れるハローワーク

<7面>
リポート労働戦線 
 JR各社がSAS対策口実に労務管理強化/道教委が「初任者研修新方式」導入/武田薬品の新賃金制度

<8面>
死をもって生となす<pトス
今、斃れた仲間とともにある
祖国防衛主義に抗して (第4回)

<3面>
万華鏡2003――情勢の断層を読む
牙むく忠犬
兄謀(はか)らんや
悪魔の所業
〈焦点〉パレスチナ化するイラク

週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
「解放」最新号

 













































    


イラク軍政参加法の制定阻止!


ブッシュ帝国との一心同体を宣言した小泉政権に階級的一大反撃を

 小泉政府は六月十三日に、「イラク復興支援特別措置法案」を閣議決定し、「テロ対策特措法」の二年延長案とともに国会に上程した。
 五月一日の「戦闘終結宣言」以後もイラクでは全地域で戦闘が止まず、この十三日までに米軍への攻撃は八十五件、米兵四十人、イラク人民百数十人の死者を数えている。このイラクに戦闘行為をも辞さずに自衛隊を派遣すること。有事三法を成立させた小泉政権はいま、日本帝国主義の野望をこの一点にかけている。
6・15「イラク派兵法制定阻止!」
全学連・反戦が勇躍決起
(表参道交差点 詳報次号)
 砲弾が飛び交う外国に日本軍地上部隊を派遣するのは、もちろんアジア侵略十五年戦争いらい初めてのことである。このゆえに、「自衛隊を丸腰で行かせるのか」という不満が自民党内からさえ噴出した。このような反対論をも逆に利用して、小泉政権と自民党執行部は、武器使用制限枠を緩和する方向に正面突破をはかっている。
 有事関連三法案に賛成したばかりの民主党は、イラク特措法にたいしては一応反対している。しかしその内実は、「丸呑みはできない」というものだ。彼らは再び犯罪の上塗りをするにちがいない。
 日本共産党は、「国連中心の人道・復興支援」を代案として対置している。国連安保理決議一四八三を錦の御旗にする小泉政権の攻撃にたいして、これでは防波堤にもならないことは明らかだ。
 このような反対運動の惨状に抗して、われわれはイラク特措法制定阻止、自衛隊のイラク派兵阻止の闘いの大衆的高揚をきりひらくのでなければならない。
 小泉政権は、日米首脳会談での意志一致にもとづいて、北朝鮮国家にたいして物質的制裁を加えはじめた。船舶にたいする臨検や入港拒否のあいつぐ強行。これらは事実上の経済封鎖いがいの何ものでもない。かの万景峰(マンギョンボン)号にたいしては、入港阻止のファッショ的運動をさえ組織化している。われわれは、この北朝鮮にたいする日本の国家的制裁にも、断固として反対するのでなければならない。

以下、小見出し
戦場への地上部隊派遣の策動

「友邦同盟」諸国に総動員をかける米帝

ハーケンクロイツ同盟への参集

自衛隊のイラク派遣阻止!
Top
 

   


ブッシュの戦争―

イラク侵略戦争の意味と世界制覇の野望


1「勝利」の儀式
 (略)

2 暗黒の二十一世紀への転換

 地球を四周したあのデモ津波にもかかわらず敢行されたこの戦争は、暗黒の二十一世紀を約束している以外の何ものでもない。すでにわれわれは、一九九一年のソ連邦の崩壊を現代史の歴史的転換の結節点として、あるいは二十世紀の終焉としてとらえ、もって現代世界は二十一世紀世界への過渡にある「新東西冷戦」の時代に入った、と規定し、この観点から政治経済動向を分析してきたのであった。
 エリツィンからプーチンに至るロシアは、経済的にも政治的にも社会的にも復興することができず、亡国の悲哀を依然としてかこっている。「社会主義」の後進国である中国を模範として経済再建をおこなおうとしているのだとはいえ、このロシアの再建は遅々として進んではいない。いやむしろ、「民族浄化政策」をとるミロシェビッチのユーゴスラビアにたいする、一九九九年のNATO軍の域外空爆を、チェチェン問題を抱えているロシアは黙認しただけではなく、ユーゴスラビアに自国軍隊を進めたのであった。そればかりではなく9・11ジハード自爆事件以降には、アメリカ帝国主義の理不尽ないわゆる「テロ根絶」に賛意を表することによって、ロシアはアメリカ帝国主義との心中を決意したかのような態度をとった。実際、ロシアの裏庭≠ナあるウズベキスタンやタジキスタンに、そしてさらにキルギスなどに、アメリカの空軍基地を提供することも黙認するという犯罪行為に出たのであった。これをステップにして、タリバン征伐と称するアメリカ連合軍のアフガニスタン侵略戦争は強行されたのであった。
 現代世界史の結節点的転換をなすのは、もちろん一九九一年であって、九一年以降のいわゆる新しい東西冷戦構造は、九九年の国連決議とは無関係に強行されたコソボ・ユーゴ空爆への過渡期にある世界の構造を端的にあらわしたものにほかならない。このユーゴ空爆を現代世界史の本質的な転換点であるとわれわれは規定した。この転換を背景にして、国連決議をぬきにして強行されたアフガニスタン空爆は、現代史の現実的転換として意義をもつ。さらに〇三年三月十九日には、国連決議の採択をソデにし、お仲間同盟=有志連合にもとづいてイラク侵略戦争は強行されたのであった。これが現代史の現実的転換の第二幕であるといえる。
 九九年のコソボ=ユーゴ空爆を二十一世紀世界に向けての本質的転換、その即自的形態であるとするならば、アフガン空爆は、現実的転換の始まりという意味において、現代世界史の転換の向自的局面といえる。これにたいして今回のイラク侵略戦争は、軍国主義帝国アメリカの先制攻撃戦略にもとづいて開かれた暗黒の二十一世紀世界への現実的転換の仕上げを意味するのであり、一九九九年にはじまる二十一世紀世界への過渡期の終りを意味するものとしては、現代世界史の転換の即自且向自的な局面をなす、といえる。
 一口で言うならば、一九九九年より二〇〇三年にわたって巻きおこされた事態は、二十一世紀世界への過渡期をなすのであって、ユーゴスラビア空爆という事態はこの過渡期の即自的局面を、アフガン侵略戦争はこの過渡期の向自的局面を、さらに今回のイラク侵略戦争はこの過渡期の即自且向自的局面を、それぞれあらわすと言える。暗黒の二十一世紀へのこの過渡期(一九九九〜二〇〇三年)の観点からするならば、ソ連崩壊という現代史の結節点的事態より九九年のユーゴスラビア空爆への歴史的過程は、二十一世紀世界への現実的転換にむかい・これを準備したところの、「東」(中国およびロシア)と「西」との新たな対抗関係において運動し発展してきた過渡的過程である、と規定しなおすことが可能である。
 暗黒の二十一世紀世界は、先どり的かつ図式的に言うならば、基本的には次の三極をなして激動してゆくであろう。
 第一の極は米・英・日などを枢軸とした連合国、第二の極は「査察延期」を主張した非戦組=仏・独・露枢軸、この両極から相対的に独立しながらも第二極とも同一性を有する第三極としての中国であって、形成されつつあるアフリカ連合(AU)やイスラム諸国連合(IU)、インドをはじめとするアジア諸国、さらにメルコスルなどは、これら三極のいわば草刈り場≠ニしての重要な位置をもっている。現代世界の脱イデオロギー風潮のゆえに、現代技術文明と世界各国に独自な文化との摩擦および抗争は同時に、キリスト教とイスラームとのイデオロギー的対立をも伴った「文明化=工業化」をめぐる対立としてあらわれるであろう。けれども軍国主義帝国アメリカの世界制覇の野望にたいする階級闘争の進展と、第二および第三極に属する諸国ならびにイスラーム諸国の反抗によって、二十一世紀世界の趨勢は決定されるであろう。

以下、見だし
3 国連安保理の分裂

4 世界制覇の野望

5 経済の撹乱

6 二十一世紀のハイテク宗教戦争

7 危機に立つイラク軍政
Top
 

  

有事法制定にわき上がる怒り


6・10陸・海・空・港湾20労組集会  東京
陸・海・空・港湾労組20団体などが呼びかけた「STOP! 有事法制6・10集会」で、労・学・市民5000名が新たな闘いの決意を固める
(6月10日、日比谷野音)
「STOP! 有事法制6・10集会」の参加者たちと共に「イラク新法制定阻止!」の声をあげる首都圏学生ネットワークの学生たち
(6月10日、日比谷野音)


沖縄緊急県民集会6・6
有事法参院採決強行に抗議する緊急沖縄県民集会に労組員・学生600名が結集
(6月6日、那覇市県庁前広場)


憲法公聴会粉砕に起つ  5・12金沢
金沢大生が憲法調査会・地方公聴会開催に反対して会場前で「改憲反対!」を訴える大情宣
(5月12日、金沢市「ホテル全日空金沢」前)
Top

  


牙むく忠犬


官民一体、寄ってたかって、兵糧攻め

 六月八日に北朝鮮政府は、大型貨客船・万景峰(マンギョンボン)’92号の新潟港へ向けての出航を中止した。もし予定通り万景峰号を新潟港に近づけたならば、日本政府によって実質的に拿捕(だほ)されてしまう――北朝鮮政府はこんな危機感を抱いて出航を中止した。彼らが危機感を抱いたのは当然のこと。
 なにしろ、日本側は、万景峰号が「ミサイル関連機器を不正輸出」だの「工作員への指示」だのというキャンペーンをはり、国土交通省・税関・入管などの関係当局が空前の規模で検査・監視体制を敷いた。船体の安全上の構造や設備を綿密に調べるポート・ステート・コントロール(PSC)検査を十年ぶりにやるぞと手ぐすねひいて待ちうけていた。高速救助艇や消火設備を装備せよという、とても万景峰号がクリアできっこない基準をふっかけて、航行停止に追いこむ目算だったことは明々白々。
 実際、六月十二日に富山港沖で、北朝鮮籍の貨物船が、救命ボートの不備≠口実にして接岸を拒否され事実上の航行停止に追いこまれてしまった。港湾管理権限をもつ富山県当局が、政府の意をうけて海上航行上の規則を厳密に適用したからだ。〔この動きと時を同じくして、茨城県当局が朝鮮総連の公共施設にたいする課税を決定した。地方自治体もこぞって政府の対北朝鮮強硬策に歩調をそろえはじめた。〕
 万景峰号を手ぐすね引いて待っていたのは日本政府だけじゃない。「拉致被害者家族の会」をおしたてた右翼ファシストどもが大挙して新潟に結集し、反北朝鮮の集会を企画していた。
 加えて、これまで北朝鮮の船に燃料を売っていた大手石油会社が、今後は万景峰号に燃料の重油を売らないことを申しあわせた。業界の自粛というのはもちろん形だけ。これは政府による事実上の統制をうけてのもの。なにしろ、北朝鮮とイランにミサイル燃料製造が可能な装置を売った企業の摘発を見て、これまで北朝鮮(系企業)と取り引きしていた企業経営者は震えあがっているのだから。
 マスコミもまた、これらの動きと歩調をそろえて、あたかも万景峰号が対日破壊工作(いわゆるテロ・ゲリラ)をおこなうために接岸しようとしているかのような恐怖心を、さんざんに煽りたててきた。いわく、万景峰号は「ミサイル開発関連品」や「麻薬」などの不正輸出入をおこなう隠れ蓑である。いわく「軍用ソナー」をも装備している、と。こんな悪質な報道をたれ流してきた。
 政府・地方自治体・産業界・マスコミのこれら大がかりな動きは、明らかに、先の日米首脳会談をくぎりにして始まった。アメリカ大統領ブッシュと共に「世界のなかの日米安保同盟」をうたいあげた首相小泉は、「対話と圧力」をシンボルとする対北朝鮮強硬策をとることをブッシュに誓った。小泉は、北朝鮮への「圧力」を強化するために、実質上の経済制裁にふみ切った。年間のべ一四〇〇隻にのぼる北朝鮮船舶の日本各地への入港。これにたいする検査・監視を抜本的に強化するならば、それらはほとんど日本の港に入・出港できなくなる。北朝鮮経済には大打撃だ。小泉政権がおっ始めたのは、官・民総がかりでの対北朝鮮「兵糧攻め」ってことだ。
 北朝鮮・金正日政権を「テロ国家」とみなし、「危険性」「可能性」などと称してあらゆる屁理屈を述べたてて政治的・経済的に締めあげる、いや場合によっては日米共同での先制攻撃をも辞さない、これが小泉のハラの内だ。ブッシュ・ブレアと共に「ハーケンクロイツ同盟」をとりむすんでいるコイズミは、いまや狂暴な牙をむきだしにした。警鐘を乱打せよ!
Top