第1772号(2003年6月9日)の内容

<1〜2面>
6・15闘争に起て!
中央学生組織委員会

◆サミットの終わりの始まり

<3面>
有事法制定阻止の闘い高揚
5・20大阪5・17沖縄/5・23日比谷
全学連新歓集会かちとる(5・11 東京)

<4面>
プーチンの繰り言
アルゼンチン大統領選挙の意味

<5面>
郵政公社の大リストラ攻撃を打ち砕け!

<6面>
Topics 主要企業「増収増益」の実態
リポート労働戦線
 「民間人校長」の自殺を活用した「是正指導」
 第74回愛知メーデーに檄
 5・3憲法集会で奮闘(福岡)

<8面>
「新しい人間の探求」を読んで
◆統一戦線と統一行動について
祖国防衛主義に抗して(第2回)

<7面>
万華鏡2003――情勢の断層を読む
深い亀裂
終わりの終わり
新種のキメラ
一点支配
副知事は警視監!?

週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
「解放」最新号










































 


    

有事法制定阻止! イラク新法の制定阻止!
米帝のイラク・中東の植民地化を打ち砕け!

6・15労学統一行動に決起せよ

 「われわれは反テロ戦におけるパートナーである」――五月二十三日、カウボーイ大統領ブッシュは、アメリカのイラク戦争を支持した日本の首相・小泉をテキサス州クロフォードの牧場に招いて手厚くもてなした。「イラク戦の決断は正しかった」という小泉の言葉に満足気にうなずいたブッシュは、「日米同盟は地球規模のものである」などと宣言してみせた。このブッシュからイラク戦争の「戦勝国」の一員として破格の待遇をもって迎えられた小泉は、第二次世界大戦の敗戦国としての汚辱の歴史をついに清算できると意気込み、「今や世界の中での日米関係を強化する」とブッシュに誓約した。日米安保同盟に縛られている日本帝国主義権力者は、アメリカ帝国主義と心中≠キる意志を公然としめしたのである。
 イラク戦争に賛成した「有志連合」諸国を歓待し、戦争に反対した仏・独・露三ヵ国にたいしては、「フランスを罰し、ドイツをけん責し、ロシアを許す」(大統領補佐官ライス)などと恫喝を加えてきたブッシュ政権。彼らは、シラクの顔に泥をぶっかけるために、フランスが議長国を務めるエビアン・サミットを中途で退席するという露骨ないやがらせをやってのけた。そもそも、小泉と延べ十時間にわたって一緒に過ごしたブッシュは、エビアンでのシラクとの会談では、わずか三十分しか時間を取らず、握手はほんの二、三秒という冷たい握手であった。シュレーダーにたいしては「個人的関係が元通りになるかどうかは答えられない」(ライス)と称して、個別に会うことすらしなかった。
 「ヨーロッパとアメリカが同じ世界観を共有しているという幻想にすがるのは止めるべき時期がきている」(「アメリカ新世紀プロジェクト」のロバート・ケーガン)と傲然と言い放つネオコン一派(チェイニー、ラムズフェルド、ウォルフォヴィッツのタカ派トリオ)に牛耳られたブッシュ政権。彼らは、アメリカのユニラテラリズムに反対し「多国間の協調」を唱えるフランス、ドイツ、ロシア、そして中国に手足を縛られることを嫌い、アメリカのイラク戦争を支持した「有志連合」(ラムズフェルド)から成る第二国連づくりに踏みだしている。この「有志連合」を足場としてブッシュ政権は、「中東民主化」の名のもとに、我がもの顔でイラクそしてアラブ・中洋全域への侵略戦争の拡大と植民地化にのりだしている。
 このブッシュ政権に、イラクへの陸上自衛隊部隊一〇〇〇人の派遣を公約したのが日本帝国主義の小泉政権なのである。この政権は、なにがなんでも有事関連三法=武力攻撃法を参院で採決し、つづけざまに国会の会期を延長し「イラク復興支援法案」を国会に上程しようとしている。
 たたかう学生・労働者諸君! 事態は風雲急を告げている。今こそわれわれは、「国連の下での紛争の平和的解決」の幻想に浸る社・共翼下の既成平和運動をのりこえて、<有事法の参院採決絶対阻止! イラク新法の制定阻止! アメリカ帝国主義のイラク・中東の植民地化粉砕!>の闘いを断固として推進しようではないか! すべての労働者・学生は6・15労学統一行動に決意も固く決起せよ!(六月一日)

以下、章見出し
T 米軍国主義帝国の一超支配の策動と深まる亀裂

U 今なお国連幻想を煽る日共中央をのりこえて闘おう!
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有事法制定阻止の闘い高揚
5・20大阪 七千の労学市民が決起 陸・海・空14労組の共同行動
五月二十日、大阪扇町公園で、陸・海・空・交通運輸関係十四労働組合の呼びかけによる「有事関連法案を廃案に! 5・20大阪集会」が開催された。集会には十四労組の呼びかけに応えて、「連合大阪」「大阪労連」「全労協大阪」傘下の各組合がナショナルセンターの違いを超えて多数参加し、七千有余の労働者、市民、学生が結集した。大阪経済大学T部自治会、奈良女子大学学生自治会、神戸大生の会もこの集会の参加団体に加わり新入生とともに結集した。
写真上  扇町公園に林立する組合旗(5・20)
写真左 闘う学生の横断幕に参加者が注目


5・17 米軍基地撤去の叫び轟く 沖縄県民大会に五千の労学
沖縄施政権返還から三十一年目の〈5・15〉に、「有事法制定阻止! 基地の島・オキナワから全国へ」を合い言葉にして、たたかう労働者・学生は、小泉政権を打倒する決意に燃え、有事法制定の先兵となった民主党の暴挙を満身の怒りで弾劾し、平和行進・県民大会を戦闘的に牽引した。
写真左  平和行進団が嘉手納基地に怒りの拳(5・17) 
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終わりの終わり
本当の「大量破壊爆弾」はどこにある?

 「ブッシュ君、いったい大量破壊兵器はどこにあるんだい? と私は現政権に問いたい。実は私はこれらの兵器を見たことがあるので隠し場所を知っている。兵器は失業・貧困・絶望≠ナす。それらは米国内にあります。」――イラク戦勝に有頂天になっているブッシュ政権の足下から、辛辣な政権批判が次々に飛び出している様を、マッド・アマノが紹介している(「東京新聞」五月二十五日付コラム)。
 「勝利宣言」を発したもののブッシュの胸中は穏やかではない。頭痛の種が次々と……。米軍政権力下のイラクでは、シーア派諸勢力の反米闘争に引っかき回され、人民の憎悪と怨念の渦に包囲されている米軍はみんな縮みあがっている。アルカーイダなどが世界各地で反米の自爆攻撃に陸続と決起。Oh no! Oh my God!=uアメリカの終わりの始まり」の宣告にいたく傷つけられたブッシュの悲鳴が聞こえてこようというもの。当然の報いだぜ。
 一超帝国の終焉は、もちろん、その本体から。冒頭の発言は、民主党の次期大統領候補である下院議員クーセニッチのもの。マイケル・ムーアもどきの皮肉と舌鋒でブッシュを責めたてるのには、それなりの理由があるというわけ。彼は選挙政策で言う。「軍事費を削減し金持ちの減税をやめて、すべての人に国民健康保険を与え、病院に行けるようにし、退職年齢を六十五歳に戻し、幼稚園から大学までの教育費を無料にします」と。アメリカ社会を覆う悲惨がにじみ出ている。
 ハイテク大量殺人兵器の開発とムスリム人民の大虐殺のために国家予算を湯水のように注いでいるブッシュ政権。その足下は火の車。膨大な国家財政赤字、「株式資本主義」の大破綻。不況がさらに拍車をかける。地方財政は軒並み破産し、全米五十州が第二次大戦後最悪の財政危機。各州政府は年内だけでも総額一千億ドル(約一一兆六千億円)もの歳出削減をうちだした。具体的には……出るわ、出るわ。
 隗(かい)より始めろ、ではないが、歳出削減のトップは官部門。刑務所の食事摂取量を一日二七○○カロリーから二五○○カロリーに引き下げ週末は一日二食に(テネシー州)、拘置所の食後のデザートを果物から安いゼリーに切り替え(ミネソタ州)、はたまた、麻薬や窃盗などの軽犯罪受刑者の釈放に踏みきった(ケンタッキー州)とか。「社会のろくでなし」の待遇劣悪化どころか、逆に犯罪を奨励し広げるようなもの。泥棒天国、犯罪大国でも世界一超に。
 ニューヨーク市は、市内八ヵ所の消防署の閉鎖を計画とか。9・11事件のヒーローも、もはやお払い箱に。火事が起きても消す人間がいない。これが本当の火の車。ミシガン州のある都市では、なんと、警察のパトカーの車体に有料広告掲載を検討中。悪徳企業や逮捕されたCEOがいる企業の広告を車体に塗りたくって、「社会の安寧と正義」の守り手とくらあ。これってブラック・ユーモア? ノースロップ・グラマン社の広告をデカデカと貼りつけたパトカーが、グラマン社に乗りこみ、ネオコンのウォルフォウィッツ(同社顧問)を逮捕する場面を想像する方が楽しいぜ。
 だが、本命は、いずこも同じ、教育・福祉関連予算の大削減。カリフォルニア州は、すでに教員二万五千人に解雇を通知。コロラド州では、高齢者一二万人の税控除を一時凍結。オハイオ州も公的医療保険の削減を検討中とか。これらは、まだまだ序の口。
 何が「豊かで自由なアメリカ」だ。潤っているのは軍需産業と石油産業の独占体のごく一握りのブルジョアジーだけ。労働者・勤労人民の生活はますますジリ貧化、アラブ系やヒスパニック系の人々には人権すら保障されていない。世界最大の大量破壊兵器保有国アメリカは、「失業・貧困・絶望」の巨大な時限爆弾を抱えている。そう、「アメリカの終わりの終わり」を告知する爆弾を。
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