第1771号(2003年6月2日)の内容

<1面>
労・学・市民3万余が決起 5・23首都
翼賛議会下の大逆流に抗して闘う力を結集

<4面>
国立大学法人法の制定を阻止せよ!
5・22国立大法人法衆院採決阻止に起つ

<2面>
全国で有事立法阻止の炎
―沖縄/大阪/札幌/帯広


<5面>
03春闘の闘争=組織戦術の解明をめぐって
Topics 完全な有事法≠求める「連合」中央

<3面>
有事法・イラク新法の制定を阻止せよ!
白装束集団狂騒劇の深層

<6面>
労基法大改悪を阻止せよ
5・1北海道メーデーで奮闘
4・6福岡災害救助訓練の実態

<8面>
祖国防衛主義に抗して
―1914年のレーニンに学ぶ(第1回)
『新世紀』第205号紹介

<7面>
万華鏡2003――情勢の断層を読む
◆〈サウジの9・11〉
◆「イタチの枢軸」?
◆新編イソップ寓話
◆できすぎた話
◆「選挙総括」の戯画
週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
「解放」最新号

 














































    

労・学・市民3万余が決起 5・23首都
翼賛議会下の大逆流に抗して闘う力を結集

 五月二十三日に、「陸・海・空・港湾労組二○団体」などの呼びかけで、東京・明治公園において「STOP! 有事法制 5・23大集会」が開催された。この集会には、小泉政権による有事法=侵略戦争法の制定に危機感をもち、ナショナルセンターの枠をこえて起ちあがった労働者を中心に三万余の学生・市民が結集した。
「20労組」などの労働者と連帯し「首都圏学生ネット」
の学生たちは有事法制定阻止の闘いに起ちあがった
(5月23日、明治公園)
 小泉政権は、ネオ保守党=民主党と自由党を抱きこんで、有事関連法案を衆議院で採決し、六月第一週にも参議院で同法案を採決しようとしている。有事関連法案の衆院通過を手土産にアメリカに飛びたった小泉は、大統領ブッシュとの会談において、ブッシュの要請にこたえてイラク周辺地域への自衛隊派遣を確約≠オた。イラク・中東の植民地化を企むアメリカ帝国主義の同盟国として、小泉政権は自衛隊をイラクの地に送りこもうとしているのだ。そのために、小泉政権は有事法制につづいて「イラク復興支援・安定化」法を今国会の会期を延長してでも制定しようと狙っている。
 この局面において有事法制に一応は反対の姿勢を示している社民党や共産党中央は、政府・権力者がふりまく「北朝鮮の脅威」キャンペーンに迎合し(日共)、あるいは無抵抗な姿をさらけだし(社民)、ともに反北朝鮮のナショナリズムの鼓吹にまったく抗することができずにいる。
 わが同盟は、結集した労働者・学生・市民にたいして、軍事強国化の尖兵と化した民主党・菅執行部を弾劾するとともに、小泉政権による有事法制定策動のまえに総屈服している社共既成指導部による闘争歪曲を許さずにたたかうべきことを訴えた。また、「首都圏学生ネット」の学生たちは、結集した労・学・市民と腕を組んで、<ブッシュ政権によるイラク・中東の植民地化を許すな!><「復興支援」を名目とする自衛隊のイラク派遣を許すな!>のスローガンを掲げて、日米安保同盟の強化に反対する方向性を鮮明にし、労働者・学生の実力で、侵略戦争に突進する小泉内閣を打倒すべきことを呼びかけてたたかったのである。
全学連が小泉訪米阻止に決起
(5月22日、首相官邸前)

以下、見出し
有事法・イラク新法制定阻止の火柱

あらわになった社・共中央の浮き上がり

首都圏学生ネットの隊列に熱い共感

安保同盟強化反対! 小泉内閣を打倒せよ!






米帝のイラク・中東の植民地化を打ち砕け!
有事法・イラク新法の制定阻止!
6・15労働者・学生統一行動
6月15日(日)13時  宮下公園(渋谷駅徒歩5分) 
主催 全学連 反戦青年委員会
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国立大学法人法の制定阻止
教育のネオ・ファシズム的再編を打ち砕け!


 政府・与党は五月二十二日、全国の学生・教職員の反対の意志を踏みにじり、国立大学法人法案をはじめとする関連六法案を衆院本会議で強行採決し可決した。彼らは、「二〇〇四年四月の国立大学法人への移行」という目標を達成するために、この国立大学法人化関連六法案を今国会で成立させることを企んでいる。
 国立大学法人法案は、国家が設置している現行の国立大学を国立大学法人が設置する大学へと再編し、国家公務員たる教職員約一二万三〇〇〇人を非公務員化することを定めている。小泉政権は、国立大学への財政支出を徹底的に削減することを直接的目的として、「国立大学の法人化は、明治以来の我が国大学制度の大きな転換点である」(文部科学相・遠山)と叫びながら、「行財政の構造改革」の一環をなすものとして、いま国立大学の法人化をなしとげようと企んでいるのだ。それは、「小さな政府」を理念とし「公的部門」の「民営化」を促進するという新自由主義的な基本政策にのっとって公教育制度をも再編する一大反動攻撃にほかならない。
 たたかう労働者・学生は、今こそ小泉政権による国立大学法人法の制定を阻止する闘いの高揚をきりひらくために奮闘しようではないか。

以下、見出し
T「公的部門」の解体・再編の一環としての「法人化」

 1 大学の経営形態の転換

 2 新自由主義的な「競争原理」の導入

 3 大学の国家的統制の強化

 4 教職員の「非公務員化」

 5 民間的マネジメント手法の導入

  公教育制度のネオ・ファシズム的再編

  危機に立つ既成反対運動

U「自主的な大学改革」を請願する日共系反対運動をのりこえ闘おう
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全国で有事立法阻止の炎 ―沖縄/大阪/札幌/帯広
自民党沖縄県連に「有事法の衆院採決弾劾!」の怒りを叩きつける闘う学生
(5月15日) 
「5・15平和と暮らしを守る沖縄県民大会」に5000名の労学が結集
(5月17日、宜野湾市海浜公園野外劇場)


自民党大阪府連に抗議する関西のたたかう学生
(5月15日)


札幌で1000名の労働者と共に抗議闘争
(5月16日)


帯畜大生が1000名の労働者とスクラム
(5月15日、十勝ブロック総決起集会)

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有事法・イラク新法の制定を阻止せよ!

 五月二十三日の日米首脳会談において、小泉はブッシュにたいして、イラクを軍事占領している米軍の「後方支援」の任につかせるために、イラクに自衛隊を派遣することを表明した。その前日に、米・英・スペインが提出した「対イラク制裁解除決議案」が、国連安保理において、欠席したシリア以外の全会一致で採択された。このことに国連の大義を得た≠ニ欣喜雀躍している小泉は、イラク新法の閣議決定すらしていないにもかかわらず、先行的にブッシュにたいしてイラクへの自衛隊派遣を約束したのだ。
 五月十五日、民主党と自由党の賛成をとりつけて有事関連三法案を衆院通過させた小泉政権は、エビアン・サミット直後の六月六日にも、参院本会議で有事関連三法案を可決=成立させようとしている。有事関連法案の成立を確信している小泉政権は、次はイラク新法だ≠ニ「イラク復興・安定化支援法」(仮称)の制定を強行しようとしている。
 イラクを軍事占領しているアメリカ帝国主義のブッシュ政権は、「中東の民主化」戦略にもとづいて、さらにシリアやイランを植民地化することを策している。それだけではない。「フランスを罰し、ドイツをけん責し、ロシアを許す」(大統領補佐官ライス)とうそぶきつつ、独仏枢軸のEUをぶっこわしNATO同盟を再編する意志をもあらわにしているのだ。彼らは、小泉政権にたいしては、日米安保同盟にもとづいて、イラクを軍事占領している米軍への「後方支援」をおこなう自衛隊陸上部隊の派遣と、対北朝鮮経済制裁――「ミサイル部品」の輸出を停止することを中心としたそれ――をおこなうことを迫っている。
 このブッシュ政権の要請に積極的に応えて小泉政権は、イラクへの自衛隊派遣や、北朝鮮にたいする送金停止・貿易停止などの経済制裁にうって出る準備をととのえているのだ。
 事態は風雲急を告げている。いまこそわれわれは、有事関連三法案の参院可決=成立とイラク新法の制定を阻止する闘いの高揚をかちとるのでなければならない。

以下、見出し
日米首脳会談でイラクへの自衛隊派遣を誓約した小泉

新たな同盟体制の構築を策すブッシュ政権

日米軍事同盟を基礎とした軍事大国化の野望
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「解雇の自由」の法制化=労基法大改悪を阻止せよ

「労働者の保護」の全面否定
 政府・厚生労働省は、「労働基準法の一部を改正する法律案」(三月七日閣議決定)を今国会に提出し、早期成立を目論んでいる。この「改正案」の最大の特徴は、いわゆる「解雇ルール」が法文として盛りこまれたことにある。つぎの条項がそれである。

 「第十八条の二 使用者は、この法律又は他の法律の規定によりその使用する労働者の解雇に関する権利が制限されている場合を除き、労働者を解雇することができること。ただし、その解雇が、客観的かつ合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とするものとすること。」(註一)

 右の条項の主文は、あくまでも、「使用者は労働者を解雇することができる」という一文にある。すなわち「使用者側の解雇権」が大原則であり大前提である、とされているのだ。使用者側が労働者を解雇することは「本来自由である」という一九九九年から二〇〇〇年にかけて東京地裁で下された反動的な判例につらぬかれている資本家どもの思想≠、法文として公式に明記した、ということなのである。
 このことは、重大である。現行労基法とそれを規定している理念を根底から否定するものである。なぜならば、現行労基法は、「戦後民主主義の精神」をうけついで、まがりなりにも建前として「労働者の保護」を立法精神としているのだ。改定案の右の一文は、この立法精神を真っ向から否定するものなのだ。<労働者保護のための労基法>から<資本家のための労基法>への大転換――これが小泉政権が狙っている「労基法改正」の本質にほかならない。
 それだけではない。右のことを大前提としたうえで、労働側が要求していた「解雇権の濫用法理」の法制化は、――「ただし」以下に明文化されたように、――あくまでもただし書き≠ニして、すなわち例外≠ニして付加されているにすぎない。しかも抽象的一般的な表現でしかなく、「整理解雇の四要件」(註二)の明文化は、完全に否定され排除されているのである。「整理解雇の四要件」を、解雇の障壁と感じている資本家どもの意を汲んで、これを「解雇ルール」の中身から完全に抹殺し葬りさったのだ。
 しかも使用者側が労働者を解雇するのは「本来自由」である、ということを大原則として、例外≠ニしてのみ「解雇権の濫用」を問題にすることによって、「解雇権の濫用」の立証責任を提訴した側つまり労働者側におしつけることを企図しているのである。
 これまでは「解雇理由の正当性」を使用者側に立証させる、というのが労働裁判の慣例であった。ところが「改正労基法案」にしたがえば、使用者側が解雇するのは「本来自由」であるから、「解雇権の濫用」であるか否かは、労働者側が立証しなければならない、というようにされることになるのだ。いいかえれば、解雇は正当な理由を必要とする、したがって正当な理由がなければ解雇は無効である=\―このことを立証するのがこれまでの労働裁判の実務上の慣例であったのであるが、「改正労基法」のもとにおいては、解雇は原則として自由だが例外的にその権利を濫用した場合には無効である=\―これを立証するのが労働裁判となる。このゆえに、使用者側ではなく、労働者側が、使用者の「解雇権の濫用」を立証しなければならなくなるのだ。
 企業の経営内容を詳細には知らない労働者側が、右のことを立証することは、極めて困難となる。これまでは、労働裁判において、使用者側が解雇理由の正当性を立証する責任を負っていたがゆえに、経営内容を詳(つまび)らかに裁判所に提出しなければならなかった。このゆえに、労働者側は、企業の経営内容をはじめて知ることができたのだ。ところがこの労働裁判の慣行が打ち破られてしまうならば、労働者側は、事実上「立証」することができなくなってしまう。それだけではない。就業規則に「退職に関する事項(解雇の事由を含む。)」を加えて届け出ることが「改正労基法案」では使用者側に義務づけられた。就業規則は使用者が自由につくることができるものであるからして、そこに書かれ届け出ののち受理された解雇の理由にもとづいて労働者を「合法的に」クビにすることができることになる。労働者がそれを「不当」であるとして訴えた場合には、就業規則に書かれた解雇理由が「解雇権の濫用」に相当するものであることを、労働者側が立証しなければならなくなるのだ。
 以上のように、「労基法改正案」でたくらまれている立証責任の労働者側への押しつけは、提訴を困難にするものであり、解雇問題を裁判にもちこませないようにする、という悪らつな目論見にもとづいているのである。これは「自由な解雇権」を掌中に入れようとする資本家どもの意を百パーセント汲みとったものにほかならない。

以下、見出し
「多様な働き方」の名による大量首切りの促進
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新世紀 The Communist 第205号 2003年7月 最新号紹介

イラク反戦の武器を明解に提起 一超帝国の暴虐を粉砕するために

革マル派結成四〇周年党建設の新たな前進を


 本号は、《軍国主義帝国の暴虐を打ち砕くために》と題して特集を組んだ。
 イラク人民をハイテク・大量殺人兵器で血の海に沈めた米英権力者。この人非人どもが企んでいることは何か。イラク反戦闘争のかつてない国際的な高揚にもかかわらず、戦争を阻止することができなかったのは何故か?
 「戦争のできる国家」への飛躍を目論むブッシュの忠犬¥ャ泉ネオ・ファシスト政権は、「反北朝鮮」の民族排外主義をあおりつつ、このときとばかりに、有事諸法を一気に制定する攻撃をかけてきている。
 特集・巻頭論文「米帝のイラク軍事占領・支配に抗する国際的闘いを」(中央学生組織委員会)は、イラク侵略戦争を焦点とする現代世界の大激震の実相とその意味を暴きだし、われわれは何をなすべきかの指針をさししめす。「米英帝国主義のイラク人民皆殺し戦争を弾劾する!」(革共同・革マル派)は、三月二十日の米英軍のイラク空爆開始に際して、わが同盟が全世界の労働者・人民に発した熱烈なアピールである。
 イラク情勢が緊迫するなかで全学連は、派遣団を組織化しアメリカ現地での闘いに決起した。「AFL‐CIO指導部の裏切りに抗して闘う労働者と共に」(越海進)は、派遣団の奮闘と、アメリカのたたかう労働者・学生との感動的な交流を伝える。革命的反戦闘争の伝統をひきつぐわが全学連の闘いが、現地の労働者・学生にいかに共感をもって迎え入れられたのかがリアルに語られている。現地で発した緊急アピールを英文で掲載した。
 イラク開戦と同時にアメリカの反戦運動は潮が引くように衰退をあらわにした。「岐路に立つアメリカの反戦運動」(越山行蔵)は、戦争狂ブッシュ政権下で苦悩するアメリカの反戦運動、とりわけ二大勢力をなす「ANSWER」と「UFPJ」、そして一月十一日に結成され「イラク戦争に反対する国際労働者宣言」を発した「USLAW」、これら諸団体・諸勢力の指導的イデオロギーと組織的基盤を明らかにし、その限界に迫る。

M・クレアのブッシュ戦略批判を検討

 「『石油のための世界支配』?」(小泉伸一)は、かつての「反体制」軍事評論家マイケル・クレアのブッシュ戦略批判を検討したものである。もっぱら自己の「資源戦争」論のふし穴から石油のための侵略≠説くクレア。彼の背後に米東部系政治エリートの政治的意図を洞察しつつ、「石油のために血を流すな!」というスローガンが広く叫ばれてきたゆえんとその限界をも浮きぼりにする。
 イラク情勢が風雲急を告げるただなかで、わが同盟は、結成四〇周年の記念政治集会をかちとった。植田琢磨議長は、一九九六年の同盟議長就任以降の激闘をふりかえりながら、党組織建設の新たな前進を熱烈に呼びかけた。本号では議長報告とともに諸同志の決意表明を掲載した。<自己止揚の論理と党建設><同盟内思想闘争の生きた伝統><存在論主義的思考法克服の闘い><四位一体の組織破壊攻撃粉砕の教訓>など、歴史的重みをもった諸同志の貴重な一言一言は、すべての同志・読者の学ぶべき生きた教訓≠ネのだ。
 さらに本号ではロシア関連の二論文を掲載した。
 「夢物語の『ロシア経済再生』策」(小尾川光)は、プーチン政権がかかげる「経済再建」「競争力強化」政策なるものが、ガイダール=チュバイス式の「経済近代化」プログラムに依拠したものであり、あらかじめ破綻が約束されているものでしかないことを喝破している。

ロシア知識人からの同志黒田への手紙

 「人間味のある人へ!――黒田への手紙」(オレグ・ロマーノフ)は、かつて『ゴルバチョフの夢』を読んで熱い思い≠語った氏が、『革命的マルクス主義とは何か?』のロシア語版を読んでの感動をわれわれに伝えてくれる。氏は「黒田サン、あなたは第二共産党宣言を書かなければならないのでは?」と感動をこめて訴えている。
 イラク戦争の激震とSARS禍に揺れる中国。胡錦濤=温家宝体制への移行を画した中共十六全大会の問題点を分析したのが「ブルジョア的精神汚染の祭典」(星尾一平)である。江沢民が提唱した「三つの代表」論の党規約化の意味するものは何か? いよいよ資本主義的腐敗を深める現代中国の諸矛盾を暴き、来たるべきものを予見する。

「立私立公」を叫ぶ中教審答申を批判

 小泉政権の反動諸攻撃を打ち砕くために不可欠な武器が、次の二論文である。
 「『公共的個人』像の宣揚」(近藤学)は、教育基本法の改悪をうちだした中教審答申(中間答申)の批判である。「滅私奉公」にかわって主唱されている「立私立公」論、そのネオ・ファシズム的性格が、「公共の形成に主体的に参加する個人の育成」を謳う「公共の哲学」との関係で鮮やかに暴きだされている。
 「《研究ノート》竹中流『構造改革』論」(鵜沢謙司)は、小泉=竹中の「日本経済再生シナリオ」の虚偽性・観念性を暴きだすことをめざしている。セイやソローの新古典派経済学の「経済成長論」をも批判の俎上にのぼせた意欲的な研究論文である。
 すべての同志が本号を意欲的に活用されんことを!
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〈サウジの9・11〉
カクレミノ≠煖ニ火に焼かれ……

 それは、アラブ人の間で「サウジの9・11」と呼ばれている。
 五月十二日深夜、リヤドの外国人居住区三ヵ所に警備員を銃で倒したうえで爆弾を満載した車がつっこみ主要な建物の前で爆発炎上。高級住宅地が一瞬にして瓦礫の山と化した。明らかに相当の訓練をつんだ部隊の行為だ。イスラム急進派グループが敢行したこの殉教自爆攻撃によって、アメリカ人八人を含む三十四人が死亡、一九四人が負傷した。
 襲われたのは、それぞれ「ビネル」「アル・ジャダワル」「アル・ハムラ」という名が冠せられた居住地。このうちビネル居住区は、米国防副長官ウォルフォウィッツも顧問をつとめていた悪名高き軍産複合体ノースロップ・グラマン、その子会社ビネルの城=Bアル・ジャダワル居住区もまた、アメリカの軍事関連会社の拠点。三ヵ所の居住区のほかに、アメリカの建設会社フランク・E・バジルが出資する軍事施設の建設修理を請け負っていた合弁会社も、自動車にしかけられた爆弾で吹き飛ばされた。厳重に警備されたこれらPMC(民間軍事会社)の拠点が、一挙に同時に爆破されたのだ。
 ビネル社は、サウジアラビア国家警護隊の軍事訓練指導を業務としてきた。死んだ八人のアメリカ人を含む同社アメリカ人「従業員」三〇〇人のほとんどは、米軍の「元軍人」。これらの「元軍人」が指導する訓練費用の一部は、米軍が負担してきた。すなわち、「親米国家」サウジアラビアへの軍事的てこ入れをはかるアメリカの国策にのっとって、実質上その軍事顧問団としての機能をはたしてきたのがビネル社というわけ。
 しかも、ビネル社は、軍事訓練指導にとどまらず、九一年の湾岸戦争ではイラクにたいするサウジ軍の戦闘に直接加わった。八〇年代はじめのレーガン政権時代には、カリブ海の島国グレナダの親ソ連派政権打倒を狙ったクーデタ未遂事件に同社が関与〔グレナダには八三年に米軍が直接侵攻して政権を打倒した〕。ニカラグアの反革命ゲリラ支援にからむイラン・コントラ疑獄事件でも、同社「従業員」が容疑者となった。米軍が公然とは担えない謀略的諸任務を、軍人上がり、民間人の顔をした「戦争の犬」たちを使って実行してきたのがビネル社。まさに、CIAの隠れミノ! その拠点が、ものの見事に爆砕されたのだ。
 サウジアラビア人民の間には、イラク侵略者たるアメリカへの反発が渦巻いている。この反発をかわすために、サウジアラビアの権力者は、国内の駐留米軍を年内にカタールに全面移転させることでブッシュ政権と合意した。こうした一定の「反米姿勢」を見せるサウジ王家の権力者たちが、その背後でつくってきたアメリカとのカネまみれ・アブラまみれの腐れ縁をも、リヤドの自爆攻撃は満天下に暴きだした。
 駐留米軍一万人が撤収したとしても、人口二千万人のサウジアラビアに、なお四万人をこえるアメリカ人が在留している。ある者は、PMC関係者としてビネル社のような謀略的活動を担い、またある者は、石油メジャーの先兵としてアラブの石油の利権と人民の生き血を吸って生きている(他面でサウジの失業率は一五%、若年層は四人に一人が失業中)。ムスリム人民の怒りをおそれて、アメリカ人たちは、高さ六メートルの塀を周囲にめぐらし二〜三メートルおきに監視カメラをつけた「居住区」という名の城≠ノ住んでいる。プール、テニス場、さらにナイトクラブなどの歓楽施設まで設置された城≠フ中で、彼らはヤンキー的退廃生活に耽っていた。
 まさしくこの異教徒の城≠、ムスリム過激派の自爆戦闘が、ものの見事に瓦礫の山と化した。ムスリム大衆は、もちろんこれを拍手喝采で迎えている。
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