第1757号(2003年2月24日)の内容
<1面>
職場から反戦・春闘≠フ奔流を!
2・9怒りの労働者総決起集会をかちとる
<4―5面>
民族排外主義の煽動に唱和する代々木官僚
「かけはし」が「反北朝鮮」を絶叫
<2面>
世界1000万人民と連帯
2・14共同行動が高揚(東京)
強襲揚陸艦のカタール派遣阻止呉現地闘争(2・4、関西共闘)
鹿大生が「イラク侵略阻止」アピール行動(1・23)
国立大の独法化阻止に決起(2・1、東大)
<6面>
トヨタ資本の長時間・サービス残業の強要を粉砕せよ!
Topics 労基法改悪―解雇ルール法制化を許すな
<7面>
竹中式「金融再生プラン」の悪辣な企み〈下〉
増殖する不良債権と金融システム破綻
<8面>
さびしき思索 熊野純彦の「ふれはば」
◆亡き同志に誓う 私は頑張るぞ!
<3面>
万華鏡2003――情勢の断層を読む
◆隠匿・虚偽の「証拠」
◆いよいよ断末摩
◆「電撃戦」
◆多喜二よ、怒れ
週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
「解放」最新号
職場から反戦・春闘≠フ奔流を!
二月九日に、東京・練馬文化センターに全国から結集した一二〇〇名のたたかう労働者たちは、「〇三春闘勝利! イラク侵略戦争阻止! 日本の参戦反対! 2・9労働者怒りの総決起集会」を盛大に実現した。
アメリカ国務長官パウエルが、「イラクの査察妨害・大量破壊兵器の隠蔽工作」を示す「証拠」と称して、怪しげな盗聴テープと衛星写真を国連安保理に二月五日に提出した。戦争狂ブッシュは、これをもって「ゲームは終わった」と宣言し、イラク侵略戦争の最終ステップを踏みだそうとしている。この緊迫した情勢の只中で、今次〇三春闘を、既成指導部の抑圧と歪曲に抗して反戦・春闘≠ニしてたたかう決意を、たたかう労働者たちは強固にうち固めた。 「連合」指導部は今次春闘を前にして、「雇用一本に特化する」と称して、賃上げ統一要求基準の設定そのものを放棄したのみならず、「雇用確保」のための「多様就業型ワークシェアリング」の名のもとに正規労働者のパート社員化を軸とする雇用形態の再編と賃金切り下げを積極的に丸のみしている。この腐敗しきった労働貴族の裏切りとしめつけに抗し、「全労連」指導部による春闘の統一地方選向けカンパニアへの歪曲に抗して、〇三春闘の高揚を断固として切り拓く決意を、結集した労働者たちはガッチリとうち固めたのだ。 以下、見出し 「民族排外主義の嵐に抗しイラク侵略阻止の闘いを」 第1基調報告 「賃下げ・首切り攻撃を打ち砕こう!」 第2基調報告 各職場から活気溢れる決意表明 |
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民族排外主義の煽動に唱和する代々木官僚
「一超」軍国主義帝国アメリカによるイラク侵略戦争への突入をまえにして、日本の反戦・平和運動は今、決定的な岐路に立たされている。 欧米諸国の反戦闘争や中洋・イスラム諸国の反米・反シオニズムの闘いに相呼応しつつ、日本でもイラク反戦の闘いが燃え広がりつつある(1・18〜19、2・14〜15)。わが革命的左翼は、その最先頭で現に今たたかいぬいている。にもかかわらず、総体としては、日本の反対運動は既成指導部の腐敗に決定されて、なお大きく立ち後れている。日共系の場合には「イラクは国連決議を守れ」という日本共産党中央のスローガンに端的なように、国連依存の小ブルジョア平和主義を刻印されている。 いや、そればかりではない。より深刻な問題は次のことにある。昨年の九月十七日に金正日政権が日本人の拉致という過去の国家的犯罪を自白して以降、「反北朝鮮」の排外主義的キャンペーンが、連日連夜、それこそ洪水のようにタレ流されてきた。日本人拉致事件を活用したこの熱狂的な民族排外主義の宣伝・煽動のまえに、日本の既成左翼は完全に膝を屈した。それゆえに日本の労働者・人民の多くが洗脳≠ウれ、日本の反戦・平和運動はかつてない試練に立たされている。 見よ!「連合」が支持する民主党は、北朝鮮政府にたいする憎悪をむきだしにした。その北朝鮮問題プロジェクトチームの座長(中川正春)は、今や朝鮮総連にたいする破防法の適用を呼号するまでにいたっている。社民党・土井執行部は、これまで朝鮮労働党と友党関係を続け、金正日の言辞を鵜呑みにして日本人拉致などは存在しない≠ニ強弁してきた。まさにそのゆえに、彼らは右翼ファシストどもの悪宣伝に対応しえず、社会的な袋叩きにあって一人また一人と国会議員が離党し、今や組織消滅寸前の危機にまで追いこまれてしまっている。およそこれでは、イラク侵略戦争や有事法制定攻撃に反対する闘いを創造するどころの話ではない、という惨状を露わにしているのだ。 だが、あらゆる意味において、この社民党よりもさらに犯罪的な対応に終始している徒輩が存在している。それが、日本共産党の不破=志位指導部なのである。 以下、章見出し 小泉政府批判を「自制」! 「国益」を掲げた野党補完外交の帰結 革命の放棄にもとづく「国際的無法」への非難 |
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トヨタ資本の長時間・サービス残業の強要を粉砕せよ 隠蔽に加担する労働貴族を許すな 労基署が再度「是正勧告」 トヨタ自動車は今年一月、豊田労働基準監督署によって元町工場・生産技術部門の「サービス残業」を摘発され、「是正勧告」を受けた。だが、これは氷山の一角にすぎない。こんにちトヨタ自動車ならびにその系列諸企業では殺人的な長時間労働が強制され、そしてその多くが賃金不払い=「サービス残業」にされているのである。 トヨタ自動車がサービス残業の「是正勧告」を受けたのは二〇〇〇年十二月に続いて二度目のことである。この二〇〇〇年の勧告を出発点にして労働基準監督署に「内部告発」が相次ぎ、監督署はトヨタ系三十数企業に立ち入り「監督指導」をおこなった。日本共産党も国会質問でとりあげ、また議員が直接会社にのりこむなどの取り組みをおこなってきた。 これらの事態に直面して危機意識に駆られたトヨタ自動車は、サービス残業を強要してきたことにはほおかむりしながら、欺瞞的にも「豊田ゆとり創造大会」なるものを労働基準監督署と一体となって開催し、「長時間残業の解消」を謳いあげたのであった(昨年十一月二十八日)。またこの会社当局の動向に呼応して、トヨタ労組、トヨタ労連・各単組の幹部どもは昨年の「秋の取り組み」以降、「勤務した時間をきっちり申告し、上司も承認する」という「時間管理に関するワークルールの徹底」を「最重点課題」と称してとりくんできたのであった。これは今春期「生活改善の取り組み」の重要課題としても設定されている。 にもかかわらず現在においても長時間・サービス残業は横行している。いやより隠微な形で広範に存在しているのだ。まさに再度の「是正勧告」は会社当局と労組幹部どもが一体となっておしすすめてきた「労働時間管理の適正化」なるものの欺瞞性を白日の下にさらけ出すものでもあるのだ。 以下、見出し 裁量労働的勤務形態による不払い残業の温存 会社と一体化しサービス残業隠しに狂奔する労組幹部 日共の社会問題化路線≠フ無力性を暴きだせ 賃下げ攻撃粉砕! 大幅賃上げ! 長時間・サービス残業粉砕! 〇三春闘の高揚をかちとれ |
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さびしき思索 ―熊野純彦の「ふれはば」― 一 なんとなく或る期待が寄せられていた事柄が、時の経過とともに期待はずれの様相を呈しはじめるのは、世の常である。こうしたさいには、或る寂しさを覚えるのが普通である。人の世は、こうしたものである。 広松渉が彼のライフワークの『存在と意味』第二巻に二度も名前を記したほどに、期待を寄せられていた熊野純彦(ちなみに、広松全二巻の中で挙げられている哲学者の名は、十九世紀後半に活躍した二名のみ)――彼の著作たる『ヘーゲル』(筑摩書房)の「補論一および二」だけを読んだ(二〇〇二年十月七〜八日)。このかぎりでの感想は、期待はずれの一言であった。少し言い過ぎだろうか。一九五八年生まれのこの若き哲学者への広松渉の熱き期待を知らされていた読者の一人として、味わわされた寂寥感は深いものがあった。これは歪んだ感想なのだろうか。私の無理解のゆえのものなのだろうか。 「あとがき」の末尾に見える彼の哲学的思索の「ふれはば」(振幅=ゆらぎ)の告白に、誠実さを感じるよりは、かえってむしろ驚愕を覚えた。これも理解の浅さのゆえの歪んだ感想なのだろうか。 未だ読んではいないし読む気もないが、数年前に、ユダヤ教の倫理学者レヴィナスにかんする二著が公刊された時の困惑感が、よみがえってきた。 哲学的知識の欠乏のゆえの困惑と驚愕やも知れぬと、その当時は考えた。間違っているかも知れぬ。けれどもこの二著の公刊は、熊野自身の哲学研究に方向が定まってはいないことのあらわれであることを、右の「告白」のなかに見出さないわけにはいかなかった。 広松渉を師と仰ぎながらも同時に彼との距離をおかざるをえないことから、哲学的探索の「ブレ」〔「ふれはば」の広さ〕は生じたのではないだろうか。近代主義的二項図式超克の哲学と、レヴィナス哲学ならびに合理的神秘主義としてのヘーゲル哲学を、ほぼ同時期に研究していたこと――もちろん広松理論を枢軸(?)にして――、この事のなかに、かの「ふれはば」は看てとられうるであろう。 確かに、<人倫を哲学する>かぎり、人間主体の問題が問われなければならない。人間そのものを哲学することを「近代主義」として排斥する広松の現象学的な存在論をもってしては、しかし「我と汝」の問題は説きえない。「誰のものでもなく誰のものでもある」ような「認識論的主観」が「この身やあの身」に「化身」する、とするincarnation論またはreification論は、在るところの人倫を説き明かす学にとっては、まことにはかなき代物でしかない――このことが、告白されている「ふれはば」を不可避にし必然としたと言えるのではないだろうか。 いわばフッサール現象学の、ないし「人間または主観」の観点からするところの、カントの理論理性の解釈しなおし、これにもとづくフュヒテの「自我―非我―絶対我」論の時代錯誤的ほりおこし、さらに「自我―他我」関係論の視点からする、ヘーゲル大論理学の中の本質論にみられる「反照〔反省〕の論理」の素朴な再興。――パトスなき哲学者然たるこれらの解説が、「補論一」の内容といえるだろう。間違っているかもしれないが。 これにつづく「補論二」では、「広松哲学の原理=始元」の設定が、広松自身の<躓き>のシンボルであることが、いみじくもつきだされている。だが、それにもかかわらず、ヘーゲル哲学の「始元」の捉え方との関係に、人間存在の問題は収斂されてしまう。ああ。…… |
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隠匿・虚偽の「証拠」 ノリとハサミ≠カゃ情けない 「フセインはうそつきで信用ならない」「イラクの治安機関が外国のテロ組織支援や外国大使館の秘密情報の入手に動いている」――このことを立証し暴露して対イラク戦争の正当性と必要性を訴えるために、イギリス政府は二月三日に「イラクの隠匿・虚偽・脅迫の基礎にかんする」報告書を発表した。 この英国政府報告と二人三脚で、米国務長官パウエルが、国連安保理でのくだんの「決定的証拠暴露」の報告をやったことは周知のこと。パウエルはそこで、英国政府報告書を紹介して絶賛していた――「英国が昨日発表した報告書に注目していただきたい。そこでは、イラクがおこなっている隠匿・虚偽について非のうちどころなく詳細に論じている」と。 「サダムの治安・情報組織について英国情報機関が収集した最新情報」と銘打って、ブレア政府が発表したこの文書。ところが、なんと! そのほとんど全文が剽窃なのであった! 政府のこの「盗作」が暴露されて、今やイギリスは上から下まで・右から左まで大騒ぎ、揺れに揺れている。 この剽窃たるや、半端なものではない。全一九ページのうち、六ページ目から一六ページ目までは、すでに昨年の中東情勢専門誌に掲載された米国の大学院生の論文の丸写し。そして、残りの一六ページから一九ページまでは、一九九七年と二〇〇二年に軍事評論雑誌『ジェーン』に載った二名の研究者の論文の引用符なき引用。要するに、ほとんどすべてのセンテンスが他人の論文の無断転載、つまり盗作なのだ。 米国の学生の論文にいたっては、筆者である中東系米国人の若者の文法上の誤りやスペル・ミスまでそのまま転載。どうやら、ろくに読みもしないでそのままコピーして貼りつけたらしい。 まことに恥ずかしいこの事実をつきつけられて、英国首相府もしぶしぶと「盗用」を認めた。「引用の仕方」は不適切だったが、しかし「内容的には正確な情報だ」というのが、彼らの「反省」ならぬ居直りの弁。だが、内容抜きの形式(引用の仕方)はなく、形式のない内容もあるはずがない。 そもそも、この学生が資料として使ったのは、一九九一年以前に、つまり十年以上前に収集された「クルド人反対派の文書」や、湾岸戦争の時にイラク治安部隊がクウェートに「残していった文書」。これらの資料は秘密でも何でもない。この情報を得るのに「卓越した技術と個人的リスク」(パウエル報告)などは少しもいらない。大学の図書館か資料室に行けばよいのである。筆者の学生もそのようにした。彼はイラクに行ったこともない。 しかも、英国政府報告書作成者は、筆者の学生にはもちろん無断で、二つ三つ単語を取り替えた。すなわち、「外国大使館を監視し」を「……をスパイし」に変え、「敵対する国々の反対派を助け」は「……のテロリスト組織を支え」に、というように。ほんの少し字句を変えれば、古い学術論文もナウーイup‐to‐the‐minute情報になる。 「引用の仕方のまずさ」を謝るまえに、英国政府は、まずは報告書のタイトルを変えるべきである。「隠匿と虚偽」にもとづく戦争「脅迫」、すなわち「アングロ・ヤンキーの隠匿・虚偽・脅迫の基盤」というように。 さて、突然、英国政府文書の筆者になってしまった青年は言った、――「びっくりしたなぁ。英国の報告書にボクの論文が載せられるとは光栄です。でも、あらかじめ言ってくれれば、もっと新しい情報を提供できたのに」と。 英国の支配階級にとっては、「びっくりしたなぁ」では済まされない。わが国の「情報活動が実際にはインターネット上でのリサーチでしかないとしたら……えらいことだ」、問題は「情報機関が得た情報と偽ったこともさることながら、イラク内の政治動向についての情報源をわがイギリスが実際にはまったく何も持っていない、ということだ」と、ケンブリッジ大学のイラク専門家は危機感をあらわにしている。 でも、007氏なら、きっとこう言うであろう――「ボンドがなくて糊とハサミとは情けない」。 アングロ・ヤンキー帝国主義者ほど「うそつきで信用ならない」奴はいない。奴らとその提灯持ちどもを、全世界労働者・人民の怒りの拳でぶっとばせ! |
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