第1725号( 2002年7月1日)の内容

<1面>
有事立法粉砕へ更に前進せよ
6・16東京 闘う労学数万人民の最先頭で奮闘
「STOP! 有事法制 大集会」に戦闘的息吹

<4面>
郵政大リストラ攻撃を粉砕せよ全逓委員会

<8面>
全世界の闘う仲間へ!
第40回国際反戦集会の呼びかけ

<2面>
有事法公聴会粉砕! 自衛隊艦船出撃阻止!
九共闘が佐世保で連続決起6・7〜8
関西から有事法反対のうねり(6・8)
「全労連」系集会で大情宣(6・13、日比谷)

<5面>
謀略「満州事変」

<6面>
有事に備えての医療体制≠テくりを断じて許すな!
5・23平和フォーラム集会に参加して
Topics 「全労連」版春闘終えん論議

<7面>
英語版『現代ソ連論の根本問題』の翻訳にかんする問題点

<3面>
万華鏡2002――情勢の断層を読む
仲達も笑う
W杯異聞
奇形児の数を数えよ
最後の御奉公

週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉

「解放」最新号

  









































  

有事立法粉砕へ更に前進せよ
6・16東京 闘う労学 数万人民の最先頭で奮闘
「STOP! 有事法制 大集会」に戦闘的息吹

戦闘的・革命的労働者・学生は、
6・16「STOP! 有事法制 大集会」の
最先頭でたたかいぬた。
 六月十六日に、「陸海空港湾労組20団体」などが呼びかけた「STOP! 有事法制 6・16全国大集会」が数万人(主催者発表六万人)の労働者・市民・学生を結集して代々木公園で開催された。6・15国会包囲闘争を戦闘的にたたかいぬいたわが革命的左翼は、この日の「大集会」においてもその底力をいかんなく発揮した。「対テロ戦争」=「非対称戦争」の全世界への拡大にのりだしているアメリカ・ブッシュ政権の要請に応えての侵略戦争法制定の策動、安倍・福田の日本核武装#ュ言、そして憲法改悪の波濤。たたかう労学は、このようなネオ・ファシスト小泉政権の歴史的一大攻撃に危機感を高めている労働者人民の最先頭で、この日の闘争を最後までたたかいぬいたのである。
 わが同盟は、このような労学の闘いに呼応して、独自にビラまきなどをつうじて、社共既成指導部が有事法反対闘争を院内四野党共闘の尻押し運動に歪曲しようとしていることを声を大にして暴きだし、議会主義的歪曲をのりこえて<有事立法粉砕・小泉政権打倒>の一大闘争をつくりだすべきことを鮮明にさししめしたのである。
 すべての労働者・学生諸君! 6・15―16闘争のきりひらいた地平をがっちりと踏みしめ、有事立法粉砕の闘いのさらなる前進をかちとろう!
以下、章見出し
労学市民が怒りの決起

闘う学生の集会・デモに共感広がる

日共中央の議会主義的歪曲に抗して――下からの共同行動の高揚

ブクロ派残党の潜り込み・挑発を許すな
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「言論弾圧」?
これが最後の御奉公

 五月二十五日付「読売新聞」(夕刊)に次のような記事が掲載された。「放火ゲリラ事件」で、「中核派の機関紙編集長に警察が出頭要請」したというのだ。
 それによれば、事の発端は本年四月二十二日、千葉県長南町で起きた県土木部職員宅への「放火ゲリラ事件」。この事件について、ブクロ=中核派が機関紙「前進」(四月二十九日付第二〇五二号)に「軍報速報」を掲載し、「中核派革命軍の戦果」などと報じた。ブクロ派が、この追認記事を掲載してから三週間後、千葉県警が「事件捜査のため」と称して、「前進」の編集長にたいして四回にわたって「出頭要請」をしたというのだ。
 これに腰を抜かしたのが残存ブクロ官僚ども。大あわてで江戸川区松江のボロビル「前進社」にマスコミ記者を呼んで、記者会見。
 彼らの発表≠ノよるならば、千葉県警の「出頭要請」は、五月十三日から「合計四回」にわたって「電話」でなされたという。三回目までの「電話」には、飼い主=警察権力に「お赦し」をいただこうと平身低頭していたブクロ官僚ども。四回目の「電話」で飼い主様が赦してくれそうもないと分かって大あわて。やれ「国家権力の重大な言論弾圧」だの、「革共同結成以来初めて」だの、「報道機関への越境攻撃」だのと大騒ぎ(「革共同声明」)をはじめた。
 もっとも、彼らがオクターブを上げれば上げるほど、飼い主の姿勢の転換に目を白黒させている走狗どもの姿が浮かびあがってくるというもの。インチキ市民運動への没入に延命の道を求め、路線上も方針上も「三里塚ゲリラ」を追認する必然性がまるっきりないブクロ派が、権力によって無理やり追認させられたのが四月のゲリラ事件。なにせ、成田空港開港日にあわせて例年やっていた五月下旬の記念日闘争も今年は放棄した。二本目の滑走路の使用開始(四月十八日)にたいしても、実質上の闘争放棄をきめこんできた。成田空港をも職場にしている航空労組にすりよって、なんとか「二十労組」主催の集会にもぐりこもうとしている今どきのブクロ派が、いまさら「三里塚ゲリラ」なんて、誰が見たって不自然。へん。
 そうはいっても、追認記事を機関紙に載せなければ、ご主人様に何をされるかわからないからイヤイヤ追認した。そこに、思いもよらぬ「出頭要請」がきて、ブクロ官僚どもは完全に頭まっ白、おたついてしまったというわけ。かくして権力に使い捨てられようとしているスパイどもは、今ごろになって「新聞記事を捜査の対象にして何よ」などとご主人様に哀訴してるってわけ。
 ヤンキー帝国にケツをたたかれながら、フーリガン対策だのテロ対策だのを口実に治安弾圧体制の強化をおしすすめている日本の権力者。W杯前になされた「三里塚ゲリラ」とこれの追認記事を出した走狗集団への「出頭要請」は、組織犯罪対策法を「左翼」に適用する布石であることはミエミエ。有事法制定を前にして、権力者どもは、御用済みの走狗を使って侵略戦争に反対する団体の機関紙の発行をおしつぶそうとしている。
 権力の攻撃にとって格好の口実をデッチあげるためにのみ権力に飼われているスパイ=挑発者集団をただちに一掃せよ!
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郵政大リストラ攻撃を粉砕せよ
事業防衛運動に埋没する全逓本部の労働貴族を弾劾して闘おう!

 われわれは昨年の春以降、「郵便事業新生ビジョン(案)」にもとづいた、郵政事業庁当局による以下に述べるような大リストラ攻撃を粉砕するために全力をあげてたたかってきた。だがしかし、全逓本部のたび重なる裏切りによって、このわれわれの闘いは非常な困難を強いられている。いやそればかりではない。郵政当局と一体となった全逓労働貴族は、われわれ革命的・戦闘的労働者にたいする弾圧攻撃を熾烈にかけてきている。われわれは現時点におけるこの否定的な現実にふまえつつ、なお一層、革命的にして実践的な精神を発揮して闘いの新たな地平を切り開いていかなければならない。
 そして同時に、われわれはアメリカ帝国主義権力者や日帝・小泉政権の「テロ根絶」に唱和し戦争翼賛勢力と化している全逓労働貴族を弾劾しつつ、職場深部から創意工夫した反戦闘争を全国すべての地方でつくりだしてきている。しかし、「タリバン・アルカーイダ殲滅」を叫びたて、いまなおアフガニスタン人民の殺戮をつづける戦争放火者ブッシュは、イラクそして北朝鮮にまでも戦火を拡大しようとしている。そしてイスラエルのシャロンはアメリカ帝国主義権力者のそうした意を汲みとりつつ、パレスチナ人民にたいして野蛮このうえない虐殺をくりかえしている。これに呼応して小泉政権は戦後初の参戦を遮二無二強行した。そしていま、そうした「実績」をひっさげて海外侵略戦争をも射程にいれたその法的整備=有事関連三法の制(改)定を、今国会の会期を大幅に延長して強行的に成立させようともくろんでいる。
 われわれはこうした危機的現実を根底からひっくり返していく闘いを、実践=変革主体であるわれわれ自身の飛躍をかちとりながら断固としておしすすめていくのでなければならない。

以下、章見出し
1 開始された郵政版大リストラ攻撃

2 「郵政公社の制度設計」なるもの

3 大リストラを丸呑みする全逓労働貴族
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全世界の闘う仲間へ!
第40回国際反戦集会の呼びかけ
第40回国際反戦集会実行委員会(全学連・反戦青年委員会・革共同革マル派)

アメリカの核武装強化反対!
反テロル局地戦反対!
労働者人民の国際的連帯のもとに
革命的反戦闘争を断固として推進せよ!


1 「テロ根絶」を名分にしたシャロン政権によるパレスチナ
軍事制圧弾劾!

パレスチナ国家独立をめざしてイスラム人民はイスラミック
インター‐ナショナリズムにもとづく闘争を組織せよ!
反米・反シオニズムの旗をかかげて、アラブ人民はパレスチナ人民
を支援せよ!
2 アメリカの核武装強化・MD構築に反対せよ!
米帝のアフガニスタン侵略戦争の続行反対!
イラク空爆を許すな!
インド・パキスタンのカシミール戦争に反対せよ!
アメリカ帝国主義のアラブ諸国への二重基準政策を弾劾せよ!
3 日帝・小泉政権による侵略戦争法および個人情報不保護法=メディ
ア規制法の制定を阻止せよ!
日本国憲法の改悪を許すな!


6月8日、全学連九共闘の闘う学生は、佐世保地区労
の労働者と連帯して自衛隊補給艦「はまな」のインド洋
への出撃を阻止するためにたたかった。
 9・11殉教自爆攻撃によって「一超」を誇ってきたアメリカ帝国主義の国家的威信は完全に失墜させられた。この威信をとりもどすために、「テロ根絶」の名における非対称戦争を、ブッシュ政権はいま中洋・アジア全域および中南米に拡大しつつある。
 こうしたブッシュ政権の野蛮な行為を規定している理念が、国益至上主義のユニラテラリズムであり、その中洋におけるあらわれがダブルスタンダード政策なのである。まさしくこのゆえにブッシュ政権にたいする全世界民衆の怨嗟と怒りの声がわきあがり、アラブ世界における反米・反シオニズムの民族主義のうねりが高まっているのである。
 わが日本の第四十回国際反戦集会実行委員会は、この硝煙に覆われている現代世界の危機をラディカルに断ち切る革命的な反戦闘争を今こそ国際的に断固推進すべきことを、全世界のたたかう仲間に訴える。

A パレスチナの軍事衝突
 またもや中洋世界において第五次中東戦争につながるようなパレスチナ軍事衝突が勃発している。9・11事件にたいする「報復」と称するアングロ・アメリカン帝国主義の無慈悲で野蛮な空爆の硝煙がいまだ消えぬ事態にひき続いて。
 すでに二〇〇〇年九月以降、パレスチナ独立を熱願してきたムスリムたちは、インティファーダを殉教自爆攻撃に転換させ、イスラエル・シャロン政権の横暴なパレスチナ支配に抗してたたかってきた。
 ブッシュがうちだした「テロ撲滅」の名における「戦争のあらたな形態」としての非対称戦争という政策に力づけられたのが、ほかでもないシャロン政権であった。この政権がアラファト自治政府の倒壊をめざして、強引に入植地を拡大してきたことにたいして、ハマスやヒズボラや殉教者旅団などの急進派は殉教自爆攻撃を足かけ三年間敢行してきた。このパレスチナの悲惨は、「一超」アメリカの横暴と専横の象徴にほかならない。
 こうした情勢のもとで、サウジアラビア皇太子アブドゥラは、――アメリカのダブルスタンダード政策への民衆の怒りと反シオニズムの流れを背景にして――イスラエルの占領地からの撤退要求とアメリカのイラクへの軍事攻撃反対をうちあげ、三月二十七―二十八日のアラブ首脳会議で彼の提案が「ベイルート宣言」として採択された。
 この宣言に怒り・しかもブッシュ政権の黙認と支援のもとに、シャロン政権は、ヨルダン川西岸への軍事侵攻とジェニンやベツレヘムやナブルスをはじめとする各地域への軍事制圧を強行した(三月二十九日〜四月十日、五月二十五日〜二十六日、六月六日〜十二日)。とりわけジェニンではパレスチナ人民大虐殺がおこなわれた。(この事態の真相解明のために派遣される予定であった国連調査団は、監禁されていたアラファトの釈放とひきかえに、調査を中止した。)
 この大虐殺が開始されたその日、十八歳のパレスチナの女子学生アヤト・アフラスは抗議の殉教自爆戦闘を敢行した。「眠れるアラブの戦士よ、目を覚ませ」という遺書を残して。ブッシュは、「アラファトはテロの支援者であり敵だ」(四月二日)と言明して虐殺者シャロンを激励するとともに、同時に他方では、アリバイ的調停者として国務長官パウエルをアラブ諸国に派遣するという欺瞞的な手を打った。
 イスラエル軍による武力制圧を基礎にして、ブッシュとシャロンが「テロ防止」をアラファトに強要した。この指導部の屈服を弾劾するハマスやアルアクサ殉教団などは、数多のパレスチナ人民とともに決死のジハード攻撃に決起した。
 パレスチナ人民のこの闘いに鼓舞されて、他のアラブ諸国人民もまた<反米・反シオニズム>の闘いに陸続とたちあがった。一九九一年の湾岸戦争いらい米軍に基地を提供してきたが、アフガン空爆の際には米軍に基地を提供しなかったところのサウジアラビアをはじめとするいわゆる親米姿勢をとってきたアラブ諸国、だがアフガニスタン軍事侵略の際には「反テロ」の一点でアメリカ帝国主義に屈服し協調の姿勢をとった中洋のムスリム諸国の権力者およびムスリム人民もまた、パレスチナ独立闘争をめざすイスラム戦士や若人のレジスタンスに呼応して、反米・反シオニズムのアラブ民族主義の旗をかかげ、こぞってイラクへの軍事攻撃反対の姿勢を鮮明にし始めた。
 そればかりではない。五月、ドイツを訪問してイラク攻撃への同意を取り付けようとしたブッシュを迎えたのは、連日の十万人規模の反米デモであった。このドイツの権力者シュレーダーをはじめとする大陸EU諸国権力者どもは、ブッシュ政権のユニラテラリズムおよびダブルスタンダード政策にたいして次々と批判の火を放っている。こうしてイギリス帝国主義ブレア政権さえもが、イラク攻撃への支持をとりさげざるをえなかった。

B 内戦の続くアフガニスタン
 アングロ・アメリカン連合軍による猛爆撃と陸上戦のゆえに、タリバン政権は崩壊した。それにもかかわらず、アフガニスタンを構成する四つのエスニック集団間および部族間の抗争は依然として続行されている。とりわけドスタム将軍とムハンマド司令官との間で(四月三十日)。それだけではなく残存タリバン軍をせん滅すると称する特殊部隊がアフガン軍と連携してパキスタンとの国境線の山岳地帯で内戦が続けられている。
 シャヒコット渓谷で「アナコンダ作戦」なるものを展開した(三月一日〜十八日)米軍は、逆にゲリラに包囲され、ほうほうの体で逃げ帰った。ムジャヒディン的敢闘精神に燃えるアルカーイダとタリバンは、アフガニスタンとパキスタンの国境にまたがって縦横無尽の山岳戦を展開している。
 焦りにかられた米軍は、パキスタン内のパシュトゥン人居住地帯にまで侵攻し、ゲリラを匿っているとみなした住居や神学校に次々と攻撃を加えている。このことがまたアフガニスタンおよびパキスタン人民の米軍にたいする怒りの火に油をそそいでもいるのだ。いまアフガニスタンは、アメリカ帝国主義にとって「第二のベトナム」と化しつつある。
 たとえ「緊急ロヤ・ジルガ」の壇上で侵略者米帝の傀儡・カルザイが民族伝統服をまといつつ「アフガニスタン元首」としての役割をいかに必死に演じようとも、アフガニスタンの内戦は、各エスニック集団間および各軍閥間の対立を根拠として激化の一途をたどっている。イランにテコ入れされたカーンやヘクマティアルは「カルザイ打倒」を公然と叫んでいる。(なお後者は五月六日にアメリカ軍の爆撃をこうむったが遁走した。)こうしたことからして明らかに、カルザイは、国際治安支援部隊に護られてカブール周辺のみを「統治」しているにすぎない。
 アルカーイダとタリバン残党を一掃するためのアングロ・アメリカ両軍の作戦は完全に行き詰まっている。

C カシミール武力衝突
 イスラム国家パキスタンは、タリバン部隊を一九九四年以降アフガニスタンに送りこみタリバン政権を支援してきたにもかかわらず、今日の軍事独裁者ムシャラフは、アフガン空爆の米軍基地を提供しただけではなく、米軍による空爆と地上戦のためにタリバン政権が崩壊した以降にも、米軍駐留を認めてきた。このことにたいするムスリム人民の反発を排外主義的にかわす思惑をこめて、ムシャラフ政権はカシミール帰属をめぐるインド・パキスタン間の紛争を活用し始めた。通常兵力におけるインドにたいする劣位を覆い隠すために、同政権は核兵器搭載可能な弾道ミサイルの発射実験を三度にわたって強行し自国の軍事力を誇示した。
 インド・パキスタン両国は、カシミールの停戦ラインをはさんで対峙し、計百万人の兵を配備し、いま激しい砲撃戦を連日にわたってくりひろげている。インド・パキスタン両国はいずれも核武装しているがゆえに、この両国家の軍事的衝突は、核戦争へと発展しかねない情勢にある。
 アメリカ帝国主義の意を体してアフガニスタン内パシュトゥン人勢力を支援しているムスリム国家パキスタンが、中国から政治的・軍事的・経済的の援助をうけているのにたいして、自国内に多数のムスリムをかかえこんでいるがヒンズー教を奉じるインドは、プーチンのロシアに支援されている。こうしたコンテクストにおいて、カシミール軍事紛争は、複雑で深刻な様相をその内にはらんでいるのである。

D MDシステム構築に狂奔するブッシュ政権
 ブッシュ政権が昨年の9・11事件いこうEU諸国権力者や、ロシア・中国権力者、アラブ諸国権力者たちを抱きこんで構築してきた「対テロ国際包囲網」という名の協調関係は、早くもほころびを見せ始めた。
 こうした状況のもとで、ブッシュ政権は、プーチンのロシアの協力をとりつけるために狂奔せざるをえなくなった。米帝にとって「最大のライバル」になるとみなす中国とロシアのあいだに楔を打ち込むことをも狙って。五月の米露会談でプーチンは、ブッシュが提示した経済援助などの飴玉=札束とひきかえに、核兵器削減にかんして完全に屈服した。それにとどまらず、ウズベキスタン・タジキスタン・キルギスの基地を利用すること(アフガニスタンやイラクの空爆に必要不可欠)を容認した。けれども、イラク攻撃そのものについてはこれを支持しなかった。
 他方、ブッシュ政権は、中間選挙を目前にひかえている情勢のもとで、民主党がエンロン疑惑の追及に加えて「9・11テロにかんする事前情報の開示」を求めたことからしても、その足下を揺さぶられている。
 このような内外情勢に焦燥感をつのらせているブッシュ政権は、「一超」帝国主義の傲岸をむき出しにして、一月九日に公表された「核戦略見直し報告」にのっとって、小型核爆弾の開発・製造を実際に開始し、MDシステムの構築を、ABM制限条約失効(六月十三日)を契機に促進し始めた。
 フィリピンやベネズエラやコロンビア・グルジアなどの各地域において「テロ退治」を口実とした謀略的間接侵略を強行し、イラク攻撃をはじめとする軍事的挑発への衝動を強めている。米帝の軍事戦略に「核先制攻撃」の選択肢を復活させることを公然と宣言し、世界中の権力者を恫喝しながら。
 かくしてアメリカ帝国主義にたいする中・露権力者の対立と抗争は激化し、EU諸国の分解もまた促進されるであろう。事実、一九九七年頃に謳歌された「ユーロ・ソーシャリズム」は衰退し、シラクのフランスはコアビタシオンから脱してゴーリズムの再興に突進し始め、イタリアやオランダやオーストリアやフランスのルペンなどのネオ・ファシズムが息を吹きかえしている。
 明らかに二十一世紀の世界の幕開きは硝煙と暗黒につつまれているのだ。

E 日帝・小泉政権による侵略戦争法制定・日本国憲法改悪を阻止せよ!

6月7日、九共闘は、有事法佐世保公聴会を
粉砕するために、佐世保地区労
の集会に合流して奮闘した。
 二月の日米首脳会談において小泉は、ブッシュの「われわれはイラクを……迅速に片づけたい」という発言をオウムがえしにしてこれに賛意を表明したといわれている。日帝・小泉政権は、ブッシュ政権による「対テロ戦争」の拡大にたいして、――日米軍事同盟のあらたな再編・強化をもくろみつつ――西欧帝国主義諸権力者を尻目に、積極的に応えようとしているのだ。
 この小泉政権は、いま有事法の制定をたくらみ、日米臨戦態勢のより一層の強化に突進しつつある。
 この有事法の核は、すでに制定されている日本周辺有事事態法と不可分な、いやそれ以上に危険で反憲法的な武力攻撃事態法にある。政府は(「武力攻撃」とは区別されるところの)「武力攻撃事態」という概念をでっちあげた。
 この概念は、――日米軍事同盟にもとづくアメリカ権力者の国家意志につき動かされて――日本政府が、特定の国または勢力〔国内の反権力の旗をかかげた過激派も含意されている〕が日本を武力攻撃するという「おそれ」や「予測されるに至った事態」が発生しさえするならば、先制的な武力行使をおこなうことが可能である、とするところの国家意志を法律として制定するために編みだした用語にほかならない。
 武力攻撃事態法には次のことが明記されている――首相に非常大権を集中し、この首相の一元的統括下で戦争を遂行するために、国家諸機関だけではなく地方自治体や交通・運輸・通信等の公共機関が戦争に協力する義務を負うこと、国民は「自由と人権の制限」を甘受して戦争に協力する義務があること。
 このようなものとしてこの法律は、日米軍事同盟体制を絶対的基礎にして、日本国家が侵略戦争を遂行するための基本法にほかならない。これはまさしく「武力攻撃法」なのであり、すでに制定されている日本周辺有事事態法と一体のものとして制定されようとしているのである。それだけではなく、こうした有事法制の整備は必然的に「戦争放棄と集団的自衛権の放棄」を明記しているところの日本国憲法の実質上の改定を意味するのである。
 しかも、安倍官房副長官は「戦術核の使用は合憲」「先制攻撃も否定しない」などと傲然と言い放った(五月十三日、早稲田大学)。福田官房長官もまた「日本は核兵器を保有することもできる」と述べた(五月三十一日)。
 これらの発言は、国の交戦権放棄を謳った憲法第九条を事実上否定するものにほかならない。それだけではない。これらの発言は、これまでは国是としておしだしてきた「非核三原則」をも反古にし、戦争を公然と遂行できるところの国家として、アメリカ帝国主義と軍事同盟を締結している国家にふさわしい一流の帝国主義国家として、日本国を飛躍させようとする、権力者どものどす黒い意図をむき出しにしたものにほかならない。
 いま小泉政府は、「核保有」発言にたいする内外からの非難の高まりと、自民党内抗争の激化に挟撃されてダッチ・ロール状態に陥っている。それにもかかわらず、国会会期を延長することによって有事法を制定することを執拗に追求している。
 日本においては、交通運輸関係の諸労組が核となって、有事法制反対の共同行動がいま組織されている。この運動は、既成の労組ナショナルセンターの枠をこえて、諸労働組合および学生自治会や市民団体などによって推進されている(六月十六日にもたれた中央集会・デモには約四万名が結集した)。
 こうした反対闘争の高揚にもかかわらず、「連合」中央指導部は、「有事法制は国民の生命財産を守るために基本的に必要である」という反階級的な態度を露骨に示している。JCP指導部もまた「アメリカの戦争に日本国民を動員するから有事法制に反対である」と弱よわしく主張しているだけなのである。この後者の主張は「自衛のための戦争」を肯定したうえでなされているのであって、有事法は「日本国家の防衛にならない」から有事法制に反対であるというものにすぎないのである。これが、資本主義の枠内での改革を「現実政治」の名において正当化してきた基本路線の無惨な露出にほかならない。これは、反米民族民主革命路線の放てきの必然的帰結でもある。
 わが戦闘的労働者・学生たちは、これら既成指導部による闘争の抑圧と歪曲をのりこえ、既成の労組ナショナルセンターの枠をこえて開始された戦闘的な大衆闘争の隊列を強化するためにたたかっている。

F 革命的反戦闘争の国際的高揚を!
 われわれは、昨年の9・11ジハード自爆攻撃に直面して、ブッシュ政権がばらまいた「テロ根絶」の欺瞞に抗して次のように宣言した。
「そは、かのムスリム戦士によるジハード自爆によりてひきおこされし画歴史的なる出来事にあらずや。……予想だにし得ざりしこの出来事は、アラブ世界に於るイスラム人民のアメリカ帝国主義に対する積年の怨嗟の爆発たるの意義を持つものなり。」(The Beginning of the End by Kuroda Kan'ichi)
 そして、われわれはこう喝破した。「ヤンキーダム終焉の端初」と。このわれわれの見解の革命性は、いまや生きた現実をもって明らかになりつつある。
 欧米トロツキストの一部は「テロの野蛮から文明社会を守れ」という帝国主義者の大合唱に唱和した。哀れなことに「社会主義か野蛮か」というトロツキーの図式を想起し、これをもって帝国主義者の反テロル政策を正当化したほどであった。だがわれわれはあらためてくりかえす。
「この事件をただにテロルとして弾劾せむとするは、アメリカ帝国主義に対するこの攻撃が先進国階級闘争の放棄の結果として生ぜし徒花なるの自覚の欠けしを示すものにほかならず。」(The Beginning of the End)
 そもそも、一九九九年のユーゴスラビア空爆にさいしてわれわれは次のように宣言した。
「このむごたらしい現実は、ソ連邦崩壊によってもたらされた<東と西>の角逐の新たな形態を示している。」「次なる世紀は、カトリシズムと東方正教とイスラームの宗教的対立と結びついた民族国家間およびエスニック集団間の戦争の時代となるであろう。」(Kuroda's Thought on Revolution)
 このユーゴスラビアの事態を現代史の本質的転換と規定するならば、9・11の出来事はまさにこの転換を結節点とする現実的転換をなすのである。ブッシュ政権が開始した「対テロ戦争」なるものは、文明と野蛮との戦争ではない。それは、イデオロギー的にはキリスト教的帝国主義のイスラム世界への攻撃としての意義をもっている。「文明」の代表者ヅラをしたアメリカ帝国主義権力者の傲岸と野蛮を、CIA主導の謀略的侵略戦争(ローインテンシティ・ウォーフェア)を打ち砕くために今こそ断固として奮闘せよ!
 今日の先進諸国労働者階級は、自国ブルジョア政府と資本家階級に屈服し階級闘争も反戦闘争も放棄している。なぜなら彼らの指導部が(政)労使協議路線に転落しているからなのだ。全世界の各国労働者たちは、おしなべて自国政府に屈服しているだけではなく、彼らが注ぎこんでいる種々のナショナリズムの波に呑み込まれさえしている。この屈辱的事態はいまこそたたかう人民の力をもって打ち砕かれなければならない。
 戦争挑発者たるアメリカ帝国主義国家ならびにこれに同調するすべての国家の反階級的犯罪行為を、われわれは、労働者人民の国際的に団結した反戦闘争の組織化とこれを基礎にした政治的・経済的闘争の推進をつうじて、あばきだし粉砕するのでなければならない。
 アメリカ帝国主義のアラブ世界への政治的・軍事的干渉を許すな! アフガニスタン戦争継続に反対せよ! イラク侵略を阻止せよ!
 アメリカによる小型核爆弾製造・MD構築に断固反対せよ!「テロ根絶」の名によるシャロンのパレスチナ軍事制圧とアメリカ帝国主義の世界各地での戦争放火に反対し、反戦闘争を国際的に燃え上がらせよ!
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