<1面>
アメリカ帝国主義のイラク侵略戦争反対! 日本の全面的参戦を許すな!
有事法制定粉砕闘争の大爆発をかちとれ
<4面>
国家主義と個人主義を超える「新しいパラダイム」?
<5面>
神戸事件の謀略性を暴きだす闘いをさらに推進せよ!
<2面>
有事法粉砕! 4万労働者が決起
労働者との熱い連帯をかちとりつつ
たたかう首都圏の学生たち
闘う労学が集会を牽引―5・24、明治公園
全学連が新入生歓迎集会(5・12)
<6面>
Topics 「連合」中央が有事法尻押し「見解」
各地のメーデーに闘う檄
「連合北海道」、東京地公労、「連合石川」
文科省が全国一斉学力調査
<7面>
「人工衛星とモスクワ宣言」に思う
ナチスの国会放火謀略 第3回
うた 殉教自爆女性をしのびて
<8面>
新刊案内
内ゲバにみる警備公安警察の犯罪
◆『新世紀』第199号最新号紹介
<3面>
万華鏡2002――情勢の断層を読む
無責任より無能がマシ?
見てきたような……
生臭い映評
あれから15年
週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
「解放」最新号
アメリカ帝国主義のイラク侵略戦争反対! 日本の全面的参戦を許すな! 有事法制定粉砕闘争の大爆発をかちとれ
ムネオ疑獄と外務省の数々の不祥事の暴露にくわえて、いままた露呈した中国・瀋陽での日本総領事館への北朝鮮家族亡命事件をめぐる外務省の不手際=B郵政二法の制定をめぐっての小泉と郵政族°エ本派との対立の激化。そして、なによりも小泉「構造改革」の全的破産と、この小泉政権の政策的無能にたいする米・欧をはじめとしたOECD加盟諸国からの国際的非難の高まり。これらのゆえに完全にレイムダック化し権威のいっそうの失墜に見舞われている小泉政権は、日本帝国主義支配階級の悲願たる有事法の制定だけはなにがなんでも成しとげるために、北朝鮮家族亡命事件を絶好のチャンスととらえて「中国による日本の国家主権侵犯」などという民族排外主義的ナショナリズムを大々的に煽り立て始めてもいる。 このような小泉政権のモタツキぶりにますます苛立ちを募らせているのが、アメリカ帝国主義国家権力者・ブッシュ政権にほかならない。「対テロ戦争の第二段階」と称してイラクにたいする大規模侵略戦争の準備をおしすすめているブッシュ政権は、みずからのこの策動にたいする親米<Aラブ諸国のみならず中国・ロシアさらにEU諸国こぞっての非難に直面させられ国際的孤立におちいるなかで、目下の同盟国%本の対イラク戦争への全面的・本格的参戦をいよいよ声高に強要しているのだ。 すべての労働者・人民・学生諸君! われわれはいよいよ正念場を迎えている。小泉政権の中央公聴会延期を「野党共闘の勝利」などと意味付与した野党四党は、これを機に国会審議に応じ、またぞろ有事法案の「修正」を求める茶番劇をくりひろげているではないか。そうすることによって、有事法制定に反対する労働者・人民・学生の闘いを敗北に導く犯罪的対応をますます露わにしているではないか。 すべての労働者・学生諸君!「野党共闘」の名のもとに有事法そのものには大賛成の民主党および自由党との醜悪な野合をくりひろげる社・共各指導部ならびに「連合」指導部の犯罪性を暴きだしつつ、断固としてたたかうわが革命的左翼への共感が、労働者・人民の内に今や広く深く拡がりつつある。五月二十四日に首都・明治公園で開催された「20労組」主催の有事法制定反対集会においても、日共系「全労連」傘下諸労組内の多くの労働者たちがわが革命的左翼への共感の声をあげているのだ。いまこそわれわれは、有事法制定阻止・憲法改悪阻止、アメリカ帝国主義のイラク侵略・日本参戦阻止の闘いの大爆発をかちとるために打って一丸となって奮闘しようではないか! 以下、章見出し 高まる<反米・反シオニズム>のうねり 「対テロ包囲網」の瓦解とブッシュの強硬的突破策 イラク侵略戦争への日帝の全面的参戦を阻止せよ |
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有事法粉砕! 4万労働者が決起 5・24明治公園 「侵略戦争法粉砕の強力な戦線を!」 闘う労学が集会を牽引
この集会は同時に、有事法粉砕闘争がまさに正念場を迎えているなかで、社共既成左翼が、祖国防衛主義の泥沼にはまりこみ、アメリカ帝国主義と手を携えて侵略戦争に打って出ようとしている小泉政権の画歴史的攻撃を粉砕する闘いの指導性をまったく喪失してしまっている姿をも浮き彫りにしたのである。 このようななかにあって、わが同盟は有事法を絶対に粉砕し同時に「対テロ」戦争の拡大を阻止するためにたたかうことを訴えるビラを集会参加者のすべてに配布した。そして同時にたたかう労働者・学生たちは、既成指導部の無力な対応をのりこえ、職場・学園から有事法粉砕の強大な戦線をつくりだすために最先頭で奮闘したのである。 |
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あれから15年 銃撃殺人者どもの「リバイバル」宣言? 今年の「憲法記念日」は、小泉政権が有事法制定に向けてしゃにむに突進する真っ只中で迎えられた。また、この日は、「朝日新聞阪神支局襲撃」から十五年。事件は「未解決」のまま公訴時効が成立した日ともなった。 それから四日後の五月七日、JR東海道・山陽新幹線「ひかり」号の車体に散弾銃の弾痕が発見された。走行中の新幹線車両が何者かによって狙撃されるという事件が発生した。 博多発名古屋行きの「ひかり」一七四号は博多を十六時五一分に出発し途中の九駅に停車、終点名古屋に到着後約一時間待機したのち、名古屋車両所に移されて車両清掃。ここではじめて、「過去に見たこともない特異な傷」に気がついてJR東海会社が愛知県警に通報したという。 三号車後部と二号車前部のドア付近に縦二メートル二〇センチ、横二メートル六〇センチにわたって楕円状に拡がった五、六十個のヘコミと塗装のはげ落ちがあり、さらに連結部のゴム製外幌に穴が開き、そこから微量の鉛と散弾の鉛を硬化させる薬品が検出され、県警は「散弾銃による狙撃」と断定。愛知県警は、「約五〇メートルの距離から二〇〇キロで走行する車両に発砲しても同様の傷ができる」と発表したという。 しかし、銃弾が貫通した跡はないし、強化ガラスの窓には傷すらないという。それに、使用された散弾は「十号」とも「九号」とも報じられ、どちらも小鳥を撃つための小口径の散弾銃のものだという。 だとすると、狙撃者≠フ狙いは、列車の運行に支障を与えることにあるわけではない。新幹線のドテッ腹に散弾の痕跡を残すことじたいが、狙いだったということになる。 新幹線にむけられたこの狙撃が、反対運動の危機的現状のなかでJR総連をはじめとして「有事法反対」や「改憲反対」をかかげてたたかっている労働者・人民にたいする恫喝の意味を持っていることは明らかだ。 散弾銃を使った狙撃。しかも舞台はかつて「赤報隊」が暗躍した(八七年朝日新聞社新出寮襲撃、九〇年五月愛知韓国人会館放火など)名古屋。誰しも時効になったばかりの「赤報隊」を名のる輩による「阪神支局襲撃」を想起するではないか。 一九八七年の「憲法記念日」、土井たか子のお膝元・西宮で、竹下登の二つの屏風(金屏風と兵庫県屏風地区の土地売買)疑惑と馬毛島OTHレーダー設置をめぐる疑惑を追及していた「朝日新聞」(阪神支局)にたいする恫喝として、かの「赤報隊」を名のるグループは阪神支局襲撃事件を強行した(『共産主義者』第一一〇号参照)。この蛮行を見せしめとして、この輩はすべてのマス・メディアを権力に跪(ひざまず)かせ、その広報班に編みこむことをもくろんだのであった。 それから十五年。「朝日新聞」は、襲撃された記者たちが追及していた、ときの権力者どもをめぐる疑惑だけでなく、この襲撃事件の核心に迫ることをも封印してしまった。オーストラリアのマードックによるテレビ朝日の株式買い占め、これのとり戻しを契機にして、九〇年代半ばに完全に転向≠オた「朝日」は、九七年のかの神戸小学生惨殺事件に際して日本のVOA≠ヨの転落をあらわにし、権力に骨ぬきにされたみじめな姿をさらけだしたのだった(『神戸事件の謎』参照)。 小泉反動政権による侵略戦争法=有事法制定の動きが急ピッチで進められている今、「朝日」をはじめとするマス・メディアはそのお先棒をかつぐ存在になり果てている。 新幹線に刻まれた弾痕は、「赤報隊」を名のり数々の謀略的事件に手を染めてきた輩が、「時効」という節目を迎えて、押さえきれずにあげた勝利宣言≠ノほかならない。犠牲となった記者や心あるジャーナリスト、そしてたたかう労働者・人民の無念をよそに、これを許してしまっているのが裏切りをくりかえしてきた既成反対運動指導部であり、ふぬけとなったマスコミなのだ。 血に飢えた謀略グループの新たな蠢きに警戒しよう。 |
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国家主義と個人主義を超える「新しいパラダイム」? 「活私開公」の「公共性」論の反動性 日教組のシンクタンク・教育総研の長谷川孝は、「与えられた『公』に奉仕するのではなく、個人と個人とのつながりの中の共同性としての《公》をつくりだす」とか「その《公》に根ざす学校が『地域の学校』です」とかというように、「公」とは区別されるところの《公》という概念を使用している(『教育基本法を「生かし活かす」ために』)。この《公》は、@与えられたものでもなく、Aそれに奉仕するものでもなく、諸個人がみずからつくり出すものとされている。つまり、新自由主義と国家主義に「対抗」する形において《公》という概念が使用されているかのように見える。 「教育改革」の代案を基礎づけるためにいま日教組本部がとりこみ始めたところの、そしてまた自治労本部がうちだしている「地域コミュニティー」づくりの指針を基礎づけているところの、《公》や「公共性」にかんする「新しい」考えかたは、いかなる背景と問題意識のもとに追求されているのか、その根本的マヤカシは何かということについて検討していこう。 以下章見出し 1「公共哲学」の潮流 2「ポストモダンの公共性」の反動性 |
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神戸事件から5年 神戸事件の謀略性を暴露する闘いをさらにおしすすめよ! 日本中を震撼させたあの神戸小学生惨殺事件の発生から、早くも五周年を迎えた。われわれはこの事件の発生直後から、この事件が米CIAによって仕組まれた謀略にほかならないことを満天下に暴露してきた。 当時、日本帝国主義国家権力を支える「鉄の六角錐」の一角にがっしりと組みこまれたマスコミは、この事件について「猟奇殺人」であるとか「十四歳の少年の異常な犯行」であるとかという報道を大々的にくりひろげた。その狂騒を煙幕として、米日両政府=支配階級は一挙に新ガイドラインを策定し、日米共同の戦争遂行体制を飛躍的に強化したのであった。さらに当時の橋龍政権は、少年法改悪をはじめとする反動諸攻撃を矢継ぎ早に振りおろしたのだ。われわれはこのような米・日権力者どものドス黒い狙いをも暴露しつつ、神戸事件の真相と深層を暴露する闘いを粘り強くおしすすめてきたのであった。いまや神戸事件の謀略性は、多くの労働者・市民のなかに疑う余地のないものとして浸透しつつある。 諸市民団体による真相究明の闘いの進展 ところで、神戸事件五周年を迎えた今、さまざまな市民団体もまた、地をはうように粘り強く、神戸事件の真相に迫る運動を進めている。 五月二十四日の「朝日新聞」の報道などによれば、これまで、A少年をだまして「自白」を強要した警察官と検察官らを「特別公務員職権濫用罪」で告発しさらに付審判請求裁判をたたかってきた後藤昌次郎弁護士、作家の伊佐千尋氏、国語学者の壽岳章子氏ら二十一名は、この五月二十三日に、新たに「保護処分取消申立」を神戸家裁にたいしておこなったという。これは、A少年の「非行事実」を認定し医療少年院送りとした、かの一九九七年十月十七日の神戸家裁決定を取り消し、審理のやり直しを求めていることからして、事実上の「再審請求」にほかならない。 A少年が少年院に閉じこめられ、両親もまた警察権力などによって社会的に隔離されてしまっているなかで、当事者ではない第三者が裁判所にたいして「職権発動」を求めるというこの異例の「再審請求」は、新規証拠≠ニして高名な法医学者の「意見書」(淳君の遺体の切断はA少年が「自白」したようにおこなうのは現実に不可能であり、したがってA少年の「自白」には信用性がないというもの)をも添付しておこなわれ、神戸家裁によって正式に受理されたということである。 また同日、元大阪高裁判事の生田暉雄弁護士や専修大学教授の矢澤f治弁護士ら約三十名もの知識人が、神戸地検にたいして、A少年に「自白」を強要した警察官・検察官らを再び告発したという。これは一九九八年十月以来、後藤昌次郎弁護士らが進めてきた告発・付審判請求の闘い(本年一月に最高裁によって棄却された)を引き継ぎ、さらに発展させていくためとされている。 さらにその前日二十二日の「毎日新聞」(夕刊)によれば、同日、後藤氏が「裁判官よ、われを告発せよ」と題する「要請書」を内容証明郵便で裁判官たちに送りつけたという。告発にたいする神戸地検の「不起訴処分」を不服とした付審判請求を、神戸地裁、大阪高裁、そして最高裁は、「少年をだました事実がない」として棄却したのであった。しかしこれは、当時神戸家裁がA少年を取り調べた警察官らを直接法廷に呼び出して尋問し、明確に認定した事実をも真っ向から否定するデタラメなものである。これにたいして後藤氏はそのような事実認定をするのであれば、警察官らを告発した自分たちは「虚偽告発罪」にあたることになるではないか。本当にみずからの判断を正しいというのであれば、この私を告発しろ! そうでなければ筋が通らないではないか≠ニ裁判官らにつきつけたとのことである。 以上三つの新たな追求については、五月二十三日に神戸現地で後藤氏、生田氏ら申立人、告発人の代表多数の出席のもとで合同記者会見がおこなわれ発表された。この会見の場では、集まった多くの記者らとのあいだで活発な論議が交わされたという。 今こそ勝利を確信し闘いをおし広げよう 大きな社会的反響をまきおこしつつあるこのような知識人諸氏の闘いともあい呼応しながら、われわれは神戸事件の謀略性を暴きだす闘いをさらにおしすすめるのでなければならない。 すでにわれわれが明らかにしてきたとおり、週刊誌『DIAS』一月三十一日号に掲載されたA少年直筆の作文(関東医療少年院内で書いたもの)のコピーは、その筆跡や文体、国語力からして、A少年が「酒鬼薔薇聖斗」ではありえないことを実証しているだけではなく、ほかならぬA少年じしんが真実を語ろうとする意志を芽生えさせつつあることを示していたのであった(このようなコピーが週刊誌上に暴露されたことじたいが米日謀略=諜報機関内の暗闘にもとづくものであることについては、本紙第一七〇七号春野一論文を参照せよ)。 さらに「読売新聞」五月二十二日付などによれば、A少年の拘束を継続し、しかも現在収容されている中等少年院から再び医療少年院に戻そうとする動きのあることが報道されている。その理由は、「事件については……『まだうまく話すことができない』」「さらに継続した治療などによる更正が必要と判断された」ことにあるという。「事件についてうまく話すことができない」――このことはいったい何を意味するか? A少年を冤罪におとしいれた者どもが、どんなにA少年に「あの犯行は自分がやった」と言わせようとしても、少年はこれを拒否しているということではないか。A少年は「釈放」となれば、いずれ時を待たずして真実を語り出すにちがいないのだ。 われわれは、「A少年の出所は早すぎる」と主張して、「彼を超えるには彼を殺すしかない」(高山文彦『女性セブン』二月七日号)などと、A少年の抹殺すらをも予告する部分が存在していたことを思い起こさないわけにはいかない。 われわれは神戸事件の真相がA少年もろとも闇の底に葬り去られてしまうことを断じて許すことなく、神戸事件の真相と深層を暴きだす闘いの最後的勝利にむかってさらに前進するのでなければならない。 |
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新刊案内 今、ここに明かされる! 闘う労学への謀略襲撃の全貌 ドキュメント資料 内ゲバにみる警備公安警察の犯罪<上・下> 玉川信明編著 玉川信明編著『ドキュメント資料 内ゲバにみる警備公安警察の犯罪』(上・下)が、いよいよ同時発売されました。 編著者の情熱と独創的な企画のもと、吹き荒れた国家権力の謀略をはね返してきた労働者・学生の闘いの記録(「解放」のバックナンバー記事)に、新たな「生命」が注ぎこまれ、恐るべき権力犯罪の闇の実態に迫るドキュメント資料集が、いま・ここに、誕生しました。 「この世にこんなことがあっていいのか?」(<上>の帯より)――腹の底からの怒りを込めて、「内ゲバ」報道によって覆い隠されてきた謀略虐殺事件の真相が、実証と推理にもとづいて暴きだされています。本書全篇に、反権力のロゴスとヒューマニズム溢れるパトスがみなぎっています。本書の根底に流れている謀略粉砕の闘志は、「国家テロル」の虐殺行為を「限りなき正義」と呼ぶブッシュ・ブレア・シャロン、そしてコイズミらの狂った頭脳をも根底から射抜くものとなっています。 あかね図書販売(編集委員会) 新世紀The Communist第199号2002年7月最新号紹介 特集イスラームの政治思想とは何か 有事法制定阻止闘争の理論的武器がこれだ! ◆今国会会期中に何がなんでも有事三法案を強行採決しようと血眼になっている小泉政権。ついに日本帝国主義国家は、戦後初めて、自衛隊の「武力行使」を公然と宣言するにいたった。明らかに、われわれは、歴史の一大転換点に立っている。ここにおいて、われわれがなすべきことは何か? 巻頭論文「有事法=侵略戦争法の制定を阻止せよ!」は、この問いに明快に応えるものである。アメリカの「対テロ戦争」拡大にイギリスとともに協力を表明している小泉政権の、中東侵略にかけた野望を暴きだし、「日本が攻められる」という口実の虚偽性を鮮明につきだしている。 小泉政権の狙いを、われわれはどのようにつかみとるべきなのか。その方法的武器を鍛えるという観点から、鋭い問題提起をおこなっているのが、樫根張夫論文「有事法制定阻止の闘争=組織戦術の解明のために」である。この論文ではとくに、「武力攻撃事態」という概念をデッチ上げたことの意味を、国家論的にも認識論的にも掘り下げている。 ◆本号では、「イスラームの政治思想」と題する特集を組んだ。巷にあふれている興味本位のイスラムもの≠ニは根本的に異なって、イスラム急進派の革命理論はもとより、その文化・文明論をもとりあげ、イスラームという宗教の核心にも迫った諸論考に、読者は目を見はるにちがいない。 特集冒頭の酒田誠一論文「『文明戦争』とは何か?」は、エルマンジュラというモロッコの知識人の『第一次文明戦争』の批判である。アメリカ・イラク湾岸戦争以後の世界を「文明戦争」の時代ととらえ、世界を西欧に一元化しようとする「文化的帝国主義」にこの戦争の根源をもとめ、イスラム世界を先頭とする反撃の闘いによって文化多元的な理想社会を切りひらくことを提唱するエルマンジュラ。このシーア派知識人の多岐にわたる問題提起を正面から受けとめ、マルクス主義者としてラディカルな解答を試みた本論文は、現代戦争について、また文化と文明について、多くのことを考えさせるであろう。 次の論文は、長岡重夫の「ビン・ラディンの戦闘的反米闘争――その錯誤をいかにのりこえるか」である。ここではビン・ラディンの反米・反シオニズムのジハード論をマルクス主義の革命理論を適用して再構成しつつ、徹底的な吟味・検討を試みている。イスラム法(シャリーア)を基準にして現代世界を分析し、国家制度の変革の指針を明らかにするというスンナ派急進主義に固有の方法に深く内在した批判は、強い説得力をもって読者に迫る。 ◆本特集には、アメリカン・グローバリズムに抗して「社会主義的インターナショナル」を標榜するロシア共産党・ジュガーノフの主張、その大ロシア主義的本質を暴いた「ジュガーノフ式『間・民族主義』の欺瞞」(寒田遥)と、9・11事件に直面して日本ナショナリストとしての地金をむきだしにした吉本隆明の末路について論じた「<9・11>で自爆した元ブランキスト」(長浜精一)を併せ掲載している。 ◆「ベア・ゼロ」、春闘後に「賃下げ提案」という惨たんたる結果に終わった二〇〇二春闘。この否定的現実をこじあけるために書かれた、日経連『労問研報告』批判「『ワークシェアリング』の名によるリストラ促進策」(菅原哲也)と、「全労連」の『国民春闘白書』を批判した「『働くルール』要求を煙幕とした賃闘の放棄」(奥園宏一)。この二論文は、労働戦線でたたかう仲間の力強い武器となるであろう。 ◆「解党主義反対」を叫んだのも束の間、その「解党主義者」である「労組交流センター」の手配師どもに制圧されてしまったブクロ=中核派。その末期を明らかにしているのが、「組織崩落の無間地獄に墜ちたブクロ派」(水上源太)である。本論文は、権力の走狗集団をここに解体し尽くしたことを高らかに宣言している! ◆「加藤正の唯物論――その意義と核心問題」(安曇平晴彦)は、エンゲルス主義者・加藤正の「認識の弁証法」についての独自の追究に新たにメスを入れた意欲作である。また、多くの同志・読者の感動を呼んだ「今のぼくは二十七歳」(本誌第一九七号掲載)の続編、「蝸牛の歩みの断片」(吉川文夫)を、期待に応えて掲載している。 その他にも、「イラン大統領ハタミの文明論」など、多彩なコラム・資料を数多く揃えている。学習に、オルグに、おおいに活用されんことを。 |
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