<1面>
自衛隊第二次出兵に反撃の火柱
2・12〜13 舞鶴―横須賀―佐世保 全学連が連続決起
<5面>
「はるな」出撃阻止! 果敢に海上デモ
(二月十二日、舞鶴港)
「酒鬼薔薇少年、今春出所」の意味
<4面>
02春闘の戦闘的高揚をかちとれ
賃上げ・雇用放棄の「連合」中央を許すな
<6面>
日教組全国教研集会(1・26〜29)
教育報国運動への変質に抗して奮闘
<7面>
郵便労働者への大リストラ攻撃を粉砕せよ!
三洋電機の労組再編
Topics 景気悪化―打つ手なし、八方塞がり
<2面>
米英の未臨界核実験弾劾!全学連が両大使館に緊急抗議(2・15)
自治弾圧粉砕の拠点再確立 1・30国学院大文連総会
米大使館(奥の白いビル)に肉迫する全学連
女川原発火災事故弾劾に起つ(2・10)
<8面>
経産省前で怒りのシュプレヒコール
泥沼的危機に喘ぐ日本経済(下)
<3面>
万華鏡2002――情勢の断層を読む
ペイトリオット
汚れた「聖戦」
二十年目の歯ぎしり
最凶のナラズ者の「論理」
監視ネットワーク
週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
「解放」最新号
自衛隊第二次出兵に反撃の火柱 2・12〜13 舞鶴―横須賀―佐世保 全学連が連続決起
政府・防衛庁は、「テロ対策支援」の名における自衛隊の米英軍にたいする軍事支援活動を延長し、すでにインド洋に展開している自衛隊艦隊の一部を交替させるために、京都府・舞鶴基地の「はるな」と長崎県・佐世保基地の「さわかぜ」の護衛艦二隻、および神奈川県・横須賀基地の補給艦「ときわ」の計三隻を第二次派遣艦隊として編成し、インド洋・パキスタンにむけて出港させようとしていたのだ。 この第二次出兵こそ、小泉政権がおごり高ぶるブッシュ政権による「対テロ」侵略戦争の拡大にいよいよ深ぶかと加担し、さらなる侵略戦争の戦列に加わる意志を示したものにほかならない。にもかかわらず、社・共既成指導部はこの自衛隊第二次出兵にたいして、全国的にも当該現地においても、大衆的な反撃の闘いの組織化にほとんどまったく腰が入っていなかったのだ。実際、佐世保現地の地区労が抗議集会をとりくんだ以外には、既成平和運動指導部はいっさい取り組みを組織化しなかったではないか。 全学連のたたかう学生は、このような既成平和運動指導部の度し難い体たらくを徹底的に弾劾し、社・共翼下の既成平和運動をのりこえるかたちにおいて、舞鶴・佐世保・横須賀の各現地において唯一実力闘争に決起したのだ。
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ペイトリオット パラサイト 素性かくして正義の味方 一月二十九日の一般教書演説で、イラク・イラン・北朝鮮を「悪の枢軸」(an axis of evil)と烙印したカウボーイ大統領ブッシュ。戦争パラノイアをますます昂じさせたこの男、アメリカ国民を「テロとの戦い」に動員するために愛国心を煽りたてることに躍起だ。演説原稿を書いた大統領補佐官ライスによれば、「率直に語ることが人びとを結束させる方法」だとか。昨年、「生死を問わず捕まえろ」「奴らを煙でいぶり出せ」などと、率直な言い回しで大衆の心をつかむことができたと味をしめているというわけだ。 なるほど、肉体派・能なし・無教養≠ナ名を馳せるブッシュにふさわしい。今回の演説もひときわ単純明快だ。いわく、「アメリカは正義、アメリカの敵は悪」。いやはや、おそろしく単純な善悪二元論、これで国民を洗脳しようという肚だ。なんという独善ぶりか。 こんなブッシュ政権の意をうけて、洋鬼(ヤンキー)帝国では、マスコミ界、映画界、はたまたスポーツ界までパトリオチズム(愛国主義)の花が狂い咲き。「ワシントン・ポスト」紙が二月三日の社説で「そう、彼らは邪悪だ」とブッシュの「悪の枢軸」論を正面から擁護した。いわく、「悪の枢軸」論は、それが「真実であるのが強みだ」と。三国の脅威をあげつらい、フランス、ロシア、中国を名指ししてイラクに甘いと切って捨ててみせた。これぞ、愛国的社説、いやさ大本営発表まる写しの「報国」言論界。 映画では、国連の平和執行部隊(UNOSOM2)の中核を担った米軍のヘリがソマリアの武装勢力によって撃墜された事件を題材にした「ブラックホーク・ダウン」が全米で大ヒット。一月公開ものでは「スター・ウォーズ特別編」に続き、歴代二位の売り上げを記録したそうだ。映画の舞台は、一九九三年、ソマリア。そう、現地の住民に引きずりまわされる米兵の遺体の写真が新聞に載り、米軍がソマリアから撤退するきっかけとなったあの事件だ。その描き方がいかにもハリウッド的。 ――冒頭から、米軍については「混乱のソマリアに秩序を回復させにきた」と説明される。米兵は、同胞愛に満ち、敵に勇敢にたち向かう。相手が子どもなら、銃を持っていても殺さない。これにたいして、ソマリア人は凶暴、残酷、無慈悲な悪魔のよう。そもそもソマリア人の顔がほとんどスクリーンに映し出されない――。 要するに、米軍は人道的で、ソマリア人は人間性のかけらも感じられない、と印象づけるように仕掛けられているわけだ。時あたかも、ブッシュ政権は、ソマリアのイスラム原理主義組織「アルイティハード・アルイスラミア」(イスラムの団結)がアルカーイダと結びついているとみなし、明日にでもソマリアに「対テロ戦争」の火を放つかもしれない。そんなときに公開されたこの愛国映画、戦意を煽るためにつくられた国策映画に決まっている。 米プロフットボールリーグ(NFL)の王者を決めるスーパーボウルも、愛国心をかきたてる格好の場にされた。試合前のイベントは「フリーダム」と名づけられ、マライア・キャリーが国歌を歌うと、世界貿易センタービルで発見されたボロ切れ星条旗がはためく。試合は、その名も「ペイトリオッツ(愛国者たち)」が優勝をさらった。残り七秒、四十八ヤードの決勝FGの劇的な幕切れというオマケつきときた。できすぎだね。まあ、大統領公認の八百長かも…… そういえば、ブッシュは昨年九月二十日の両院合同会議演説で言った。「彼らテロリストたちはあらゆる場で人びとに過激な信条を強要しようとしている」と。こんな言葉はそっくりそのままブッシュにお返ししよう。 アフガニスタン侵略戦争に思わぬ軍事的勝利を収め「アメリカは最強」と思いこみ驕り高ぶる単脳<uッシュ。彼の言葉を借りて率直に語ろう。――「われわれはその本性を知っている」と。「罪なき人びとの死を笑う」お前の「憎悪の深さと狂気」を。テロリストどもに一発くらわしてやる≠ネどと意気がっているこのペイトリオット、その本性は、軍産複合体のパラサイト(寄生虫)なり。このような輩には歴史そのものが厳しい審判を下す日がくるだろう。
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監視ネットワーク この悪辣な企みに怒りを! 警察権力が、良心的な労組員や反戦・平和運動を担う人びとを「反社会分子」とみなし、弾圧を狙って徹底的にマークする。集会や闘争へ参加するときだけではない。職場への行き帰りの駅や街角、友人と会い、銀行に立ち寄って買い物をすることまでも。 ただ、マークするといっても、公安デカによる尾行や張りこみによってではない。街に張り巡らした監視カメラで「顔」を特定し記録する。リアルタイムではもちろんのこと、溜めこんだ膨大なデータの中から過去の行動も検索。メガネをかけようが、髭を生やそうが、年をくってしわが増えても、顔のかたちが変わらない限りそれは続く。これは、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』や映画「エネミーオブアメリカ」など、フィクションの世界の話ではない。 昨年十一月ごろから、東京都内の道路に異様なものが現れた。逆L字型のポールに載せた、撮影角度の可変なカメラや、黒っぽい鳥の巣箱のような形をした装置。週刊誌などでは、「IR(Infra Red=赤外線)システム」とも名づけられたこの装置。赤外線を使い、100メガbpsもの高速度・大容量のデータ伝送能力を持つ、と。この装置について警察は、「交通事故や刑事事件にスピーディに対応すること」が目的だと押しだしている。 だが、とんでもないごまかしだ。大量のデータを高速度で送る必要のあることといえば、そう、膨大な画像データを処理しなければならない「人間版Nシステム」の導入以外にない。人間の顔の特徴を数値化し照合する顔貌認識技術を導入したこのカメラによって、カメラに写るすべての人の顔がデジタル画像としてとり込まれデータ処理される。そしてすでに登録されている特定の顔貌データと合致するかどうかが瞬時に検索され、合致すれば「ヒット」のアラームが鳴り響くことになる。顔のデータは、集会などで撮った写真はもちろん、免許証やパスポートの写真を使って非合法的に登録していることはまちがいあるまい。警察権力は、この「IRシステム」を全国に導入し監視網を一挙に広げようとしている。さらに、他の監視ネットワークとのリンクをも進める企みも。 たとえば、どこのコンビニエンス・ストアーにもある防犯カメラを、愛知県警は、全国に先駆けて警察署のモニターに連結しようとしている。また、成田空港では、昨年十月、「テロ防止」の名のもとに、新東京国際空港公団と日本航空が、搭乗手続きの際に、旅客の顔をテレビカメラでとらえ、パスポートの写真と同一かを識別するシステムの実験を始めると発表。この装置もコンビニエンス・ストアーの防犯カメラと同様に、トーゼン警察と連結されるだろう。 路上に設置した「人間版Nシステム」と、空港、駅、銀行、諸もろの店舗など、いたるところに備え付けられた監視カメラを警察権力のもとでリンクして、巨大なネットワークを形成し、監視の網の目を限りなく細かくした監視社会を完成させる。あらゆる「反社会」的な活動を封じ込めるために、警察権力がそれをたくらんでいることは明らかだ。米・英帝国主義の対アフガン侵略戦争に参戦した小泉政権がつくりだそうとしている国家総動員体制を支えるものとして、「人間版Nシステム」はつくられようとしている。この警察権力の悪辣な企みに、怒りを浴びせよ!
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02春闘の戦闘的高揚をかちとれ 「賃上げも雇用も」放棄した「連合」中央を許さず闘おう 〇二春闘は、アメリカ・イギリス軍のアフガニスタン軍事侵略とさらなる戦火の拡大のなかでたたかわれようとしている。現にいま、アメリカ・イギリス軍はウサマ・ビンラディンと彼の率いるアル・カーイダを殲滅するために、アフガニスタン東部と南部の山岳地帯に執拗に空爆をくりかえしているではないか。そればかりではない。ブッシュのアメリカは、「テロ根絶」をうたい文句にフィリピンにすでに特殊部隊を投入している。また一月二十四日には、アメリカ・イギリス軍がイラク南部に三度目の空爆をおこない、さらにソマリア、スーダン、イエメンにも戦火を拡大しようとしているのだ。 このようなアメリカの侵略戦争を全面的に支持する小泉政権は、「テロ対策特措法」を制定し、自衛隊艦隊をインド洋に派遣した。まさに日本帝国主義は憲法をも踏みにじり、戦後初の本格的な参戦にふみきったのだ。しかも小泉政権は、アメリカ軍のアフガニスタンの破壊・殺戮行為に協力・加担すると同時に、その他方では一月二十一、二十二日にアフガニスタン暫定行政機構の議長カルザイや各国権力者を日本に招いて、アフガニスタン復興支援会議なるものを開催した。あたかもアフガニスタンに平和がおとずれ社会経済の復興が開始したかのように演出されたこの会議は、だがしかし、米英軍の空爆の最中にもたれただけでなく、日本やアメリカ、ロシア、周辺諸国の権力者の利害がからみあった欺瞞に満ち満ちたものでしかなかった。実際、この復興支援会議の直前に、米軍はアフガニスタン東部トラボラ地区で過去最大の空爆をおこない、アフガン人民とアル・カーイダの兵士たちを虐殺した。この一事をとってみても、「平和復興」などという大義名分をかかげたアフガン復興支援会議の欺瞞性は明白ではないか。 しかも、アフガニスタン北部クンドゥズでは、この会議のさなかに、北部同盟内部のドスタム将軍派の部隊とラバニ前大統領派の部隊とが衝突し、多数の死亡者、負傷者が生みだされたのだ。「平和」へのセレモニーとは裏腹に、タリバン政権崩壊後のアフガニスタンではすでに血みどろの内戦がはじまっているのだ。 このような現代世界の戦争の危機のより一層の深まりのなかで、そして小泉政権の有事法制定をはじめとする反動諸攻勢に抗して、われわれは今春闘をたたかっている。「連合」労働貴族をはじめとする既成の労働運動指導部は「テロ根絶」の大合唱に唱和し、「連合」労働運動は「救国」産報運動に完全に変質させられてしまっている。すべてのたたかう労働者は、このような<戦時下の産報運動>をつき破り、〇二春闘を戦闘的に高揚させるために全力でたたかいぬこうではないか! 以下、見出し 一 独占資本家どもによる大量人員削減と賃金切り下げ攻撃の嵐 二 「雇用維持」に名をかりた賃金切り下げを容認する「連合」指導部 三 政府・独占資本家に「ワークシェアリング導入」をお願いする「連合」労働貴族を弾劾し02春闘を戦闘的に闘おう! |
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明るみにだされた米日謀略機関再編の暗部 ――「酒鬼薔薇少年、今春出所」の意味 日本全国を震撼させたあの神戸小学生惨殺事件の発生から早くも四年八ヵ月。われわれは、事件発生直後から、労働者・学生・市民・文化人とともに、この事件の謀略性を完膚なきまでに暴きだし、米日の謀略=諜報機関の犯罪を白日のもとにさらけだすためにたたかってきた。いま、四年有半にわたるわれわれの地を這うような真相暴露の闘いの、その正当性がものの見事に実証されつつある。 本年初頭より、一部のマスコミが「酒鬼薔薇少年、今春にも出所」という暴露記事を一斉に掲載しはじめた。わが国の犯罪史上類例をみないあの猟奇的殺人事件の「犯人」とされたA少年のこの余りにも早い「釈放」という動き。この事態は、――「非対称型戦争」を担いうる実戦部隊へとCIAおよび日本の謀略=諜報機関を再編・強化する策動の一環として――ブッシュ政権の主導のもとに米日諜報機関内の新勢力が旧勢力を一掃するために、旧勢力の所業(神戸事件のみならず走狗集団を活用した謀略などのマイナス面=jを暴露しはじめたという動きと結びついている。事実、暴露週刊誌『DIAS』一月三十一日号には、A少年直筆の作文(関東医療少年院内で書いたそれ)のコピーが掲載された。この作文それじたいが、その筆跡や文体、国語力からして、A少年が「酒鬼薔薇聖斗」ではありえないことを証明しているだけではなく、ほかならぬA少年自身が「俺の人生このままでいいのか」(作文中の言葉)と真実を語ろうとする意志を芽生えさせつつあることを示しているのである。 神戸事件を覆ってきた深い闇は、今ついに溶けつつある。われわれが日本のマスコミ、知識人ならびに一切の諸党派の腐りはてた対応を弾劾しのりこえ、神戸事件の謀略性(その真相と深層)を完膚なきまでに暴きつくし、とりわけこの事件が米CIAの仕組んだものであることを深くえぐりだしてきたこと、その正当性が実証されつつある。そのゆえに、そしてこの事件の真相究明を希求する声が全社会的に広がってきているがゆえに、ついに闇夜の空は白みはじめ、やがて劇的に空は明け染めるにちがいないのだ。 「俺の人生このままでいいのか」 ――A少年の脳裏によみがえったものは? 「酒鬼薔薇少年の出所、間近か」という暴露記事の氾濫のなかで、光文社発行の週刊誌『DIAS(ディアス)』一月三十一日号は、「あの『酒鬼薔薇』が今春、極秘出所する!」というスクープ記事を八頁にわたって掲載した。そしてその中で、A少年が関東医療少年院で書いた七百字ばかりの作文の直筆のコピーを掲載した。 『DIAS』の言うところによれば、その顛(てん)末はこうである。すなわち、森忠明という童話作家が、昨二〇〇一年一月に関東医療少年院に講師として招かれ、院内で少年Aに会った。二度目に会った時、森は少年AからAの作文を預かった。ところがその翌日、森は少年院から呼び出され「まるで特高警察の査問のごとき迫り方で」作文を取り戻されると同時に講師をお払い箱にされた。そして森は、「(あの作文は)神戸事件の少年が書いたものではない」と強弁する法務省の「保身」にたいして「徹底抗戦」するために、一年後の今日、秘かにコピーしておいたこの作文の公表に踏みきったというのである。 このようなA少年の作品の公表の顛末の不自然さ≠ノついては後に述べよう。さしあたりまず、神戸事件から四年八ヵ月、突如として身に覚えのない殺人事件の犯人に仕立てあげられて以後、牢獄の壁で外界と隔(へだ)てられてしまったA少年も、今では二十歳まぢかの青年となった。このA少年の現在の心境を、作文のなかに読み取るべきであろう。 少年院から与えられたテーマが「掟(おきて)」なのだろう。七百字ばかりの作文のストーリーは、ごく簡単で幻想風のものである。駆けだしの探偵である春日風太郎は、かつての自分の教師である桜子という女性の動向を追っている。彼女の姿を見失ったと思いきや、彼女は一人の男性と共に姿を現わす。その男性は、桜子の身辺調査を頼んだ依頼主だ。あわてる風太郎に向かって桜子は言う、「私達、籍を入れたのよ。……もう良いんですって」と。こうして風太郎の探偵としての仕事は、桜子へのほのかな恋と共に終わるのである。 ちなみに森は童話作家よろしく、この作品の中に少年院の一女性スタッフへのA少年の恋なるものを勝手に読み取っているにすぎない。だが、A少年が自身と同年齢(十九歳)の「主人公」春日風太郎に仮託して、作品の中にちりばめている数々の言葉の意味をこそ読み解くべきなのだ。 受験生活のさなかに「挫折」し「曖昧な日常」を送っている風太郎。この「風太郎の脳裏に突如蘇った昔の記憶」。そして「『俺の人生このままでいいのか』と、ぼんやりしている今日この頃」。 少年Aの脳裏に蘇ったものは何であるか。それが、「犯人はお前だ。証拠はここにある。お前の筆跡と挑戦状の筆跡は一致している」という警察・検察の偽計に嵌(は)められ、これを出発点に濡れ衣(ぎぬ)を着せられてしまった五年前の出来事であることは、明らかではないか。 このことは、A少年と森との面会の場面の、森による描写においても示されている。森は次のように書いている。―― 私が別れの直前に拙著を差し出したとき、確信を秘めて言った。 「どこかの少年が『透明な存在』と書く四半世紀前に、自分のことを『透明』と思っていた少年の物語だよ」 少年は「アッ」とひるんだような表情を浮かべ、身をひねらせた。今までクールに振る舞っていた少年が初めて動揺をみせた瞬間だった。 まるで何か嫌なものでも思い出したかのように――。 「『アッ』とひるんだような表情」「初めて動揺をみせた瞬間」――A少年が思い出した「嫌なもの」とは、童話作家・森忠明が言うような「五年前に自分が行った犯行」では決してない。まさしくその逆であり、権力に嵌められて「犯人」に仕立てあげられたことなのだ。 そしてA少年は今、「俺の人生このままでいいのか」と自らに問いはじめているにちがいない。少年は作文の題を「愛想笑いに手には名刺を」と付けた。作文の最後の文章は、「心のままに記してみたくなったから」である。そして末尾に「――オキテだらけの挑戦」と追記している。 「愛想笑い」とは何を意味するのか? 権力の偽計に嵌められたことへの憤怒はやがて内にこもって怨恨となる。しかも、権力の妨害により両親との面会を遮断されると同時に弁護団もまた救いの手を差し出さなかったことのゆえに、絶孤の悲哀につきおとされた。未だ自我なき少年がこの孤独の悲哀をやわらげるには、周囲に迎合するしかなかった。この不甲斐ない自分を、少年は「愛想笑い」と表現したにちがいない。 だが少年は書いている――「手には名刺を」と。これは、本当の自分を他者に示さねばならぬとの想いではないか。少年の胸中には、「掟だらけ」にたいする「挑戦」の心が芽生えつつあるのではないか。もちろん、鬱(うつ)積(せき)したものを抱えている少年の胸の内で、この反抗心はなお浮かんでは消え、消えては浮かんでいるのであろう。「その戦慄が……脳裏を又、掠める」というように、「戦慄」という言葉が幾度も使われている。また「傍らに背広を着た男性が。……予定外のことに焦る」「周りの木々がざわめき立つ」というような心の乱れも随所に表現されているからである。 ともあれ、公表されたA少年のこの作文は、ただたんにその筆跡において、また「懲役十三年」に代表される三つの挑戦状との対比において、A少年が「酒鬼薔薇聖斗」ではありえないことを示しているだけではない。主人公に託してA少年が吐露していることそのものが、何よりもそのことを示しているのだ。そしてこの作文は、やがてA少年が真実を主張し全社会に天変地異をもたらすことへのプロローグとなるにちがいないのだ。 A少年「釈放」の背後に――進む米日諜報機関の再編成 ところで、ブルジョア・マスコミの報道によれば、A少年は、昨二〇〇一年十一月に、関東医療少年院から秘かに全国に五十三ヵ所ある中等少年院の一つに身柄を移されたという。そして、医療少年院から普通の少年院に移されたということは、「少年の精神障害がすでに治癒」しており、今年七月で二十歳になる青年Aは二十歳までには出所することになる、というのである。 少年法の規則によれば最長八年の拘束が可能であるにもかかわらず、史上類例を見ない猟奇殺人事件の「犯人」のこのあまりにも早い「社会復帰」の動きは、いったい何を意味するのか? そもそも、ロバート・レスラーが書いた≠ニいうべき「懲役十三年」にしめされるように、A少年に長期刑を科すことが当時のアメリカCIAの肚の内ではなかったのか? すでに述べたように、『DIAS』誌上でA少年の作文を今日この時に公表したのはなぜか? 森は、一年前にこの作文を一日だけ預かり、その時にたまたまコピーして取っておいたからにすぎないかのように言う。 だが、外部からの接触を完全にシャットアウトしている少年院が、「A少年の作品を預かる」という講師の要請に「OK」を出すことなどありえない。この少年Aの作文が今日この時に公表されたということは、――たとえ森その人は童話作家よろしく「少年=酒鬼薔薇聖斗」と信じこんでいたとしても――何者かの指示≠ノもとづくことは疑いえないのだ。「作文」の扱いや、マスコミでの公表についても法務当局の規制をはねつけることができる何者かである。 このことはいったい何を意味するのか? かつて五年前にCIAが主導し実行したと推断しうる神戸小学生惨殺事件――この謀略事件を、ブッシュ政権のもとに組織されたCIA内の新勢力が、まさに旧勢力を駆逐しCIAを解体的に再編成してゆくために、その一端を暴露しはじめたことを意味する。クリントン政権下においてCIAがおこなったこと、とりわけ、わが革命的左翼によって暴露されてしまった謀略事件を清算するのみならず、CIA内旧勢力を一掃するために、A少年が犯人でないことを裏付けるものをあえて暴露する、かつ、かつてCIAの工作によって濡れ衣を着せられたA少年を釈放することも辞さない。――このような現在のCIAの意志が、『DIAS』の暴露記事には示されているといえる。 このことは、昨二〇〇一年の一年間に、旧CIAの所業(謀略=諜報工作)の数々が相ついで暴露されたことをみるとき、一目瞭然であるといわなければならない。 二〇〇一年二月の『公安調査庁(秘)文書集』(いまやスパイ稼業を売り物にしているかつてのブクロ官僚・白井朗や小西誠がたむろする社会批評社から発刊された)および四月の『公安アンダーワールド』(宝島社)とにおいて、CIAのエージェントとして公安調査庁にも食いこんでいた「キツネ目の男」宮崎学に、権力の走狗集団=ブクロ中核派官僚が骨の髄までしゃぶられていたことが暴露された。一九七四年六月以来、わが同盟が謀略テロルによって奪われた七十八名の仲間の遺志を胸に抱いて敢然と推進してきた謀略粉砕・走狗解体の闘争。この闘いによってわれわれは、スパイ集団ブクロ派が、もはや彼らを操ってきた者どもにとっても「利用価値ゼロ」となり、むしろこの走狗集団を最終的に使い捨て処分に付す意志を固めざるをえなくなるところにまで、徹底的に追いつめてきたのだ。 しかも、ブクロ派を解体・処分するという新CIAの意志は、昨二〇〇一年八月の『公安調査庁スパイ工作集』(社会批評社)において、ブクロ派残存政治局員のすべてが米CIAおよび公安調査庁のスパイと化していることが、実名入りでより具体的に赤裸々にされたのであった。まさにこの事態は、わが同盟の二十八年間にわたる闘いの正当性を全面的に実証するものにほかならない。 また二〇〇一年六月には『自衛隊「影の部隊」』(講談社)という本が発行され、ほかでもない日本版CIAである自衛隊陸幕二部別班の創設にかかわった元自衛隊陸将補の山本舜(きよ)勝(かつ)が自衛隊内「青桐隊」を実行部隊とした数々の謀略工作の実態を事実上暴露した。そして、奇怪なことに、この著者の山本は、本の発行から三ヵ月後に変死し、しかも彼の死はしばらく伏せられていたのである。 これら一連の事態は、次のことを示している。すなわち、ブッシュ共和党政権が新たな世界制覇戦略にもとづいて、具体的には「アーミテージ=ナイ報告」(二〇〇〇年秋)で内外に宣言された「米日の諜報機関の再編成、両国諜報活動の統合と均衡の取れた分担」政策にもとづいて、とりわけ9・11事件以降「非対称型戦争」を担いうる部隊へと再編するために、米日諜報機関の解体的再編成――日本支配階級内の対米自立°ュ硬派を抑えこみ日本の暴力装置を支配下におくこと――をすすめているのだ。このことを如実に示すものにほかならない。 そしてまさにこのゆえに、旧CIA系列の部分は、「A少年の出所は早すぎる」と主張し、また「彼を超えるには彼を殺すしかない」ということをわめいている(『女性セブン』二月七日号、高山文彦ら)。彼らは、A少年の「釈放」に抵抗するとともに、彼の抹殺を予告してさえいるのだ。 だが、米日諜報機関の再編の流れとA少年の内に芽生えつつある挑戦心とは、やがて神戸事件をめぐる三度目の大激震を――一度目は事件の発生、二度目はA少年の逮捕、そして冤罪のついに晴れる時――を呼び起こすにちがいない。そもそも、事件発生の直後から、日本警察内の「特命班」が元CIA職員などに「プロファイリング」を依頼していたこと。そして犯行声明が届く以前からアメリカの「凶悪犯罪研究者」ロバート・レスラーが、A少年に該当する「犯人像」を予言し「朝日新聞」をつうじて宣伝していたという事実。これらの分析をつうじて、われわれは、小学生殺害と「A少年=犯人」説のデッチあげにCIAが深く関与していたことを満天下に暴きだしてきた。この神戸事件の謀略性を徹底的に暴きだすわが闘いは、全国津々浦々の労働者・人民・文化人の共感を呼んだ。そして今まさに、権力の熾烈な弾圧と彼らの意を体した一部マスコミの誹謗中傷を突き破り、われわれの四年八ヵ月にわたる闘いの正当性が一点の曇りもなく実証されつつあるといわなければならない。さらに前進しよう! |
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日教組全国教研集会 「教基法改悪反対! 日本の参戦反対!」 戦時下≠フ教育報国運動への変質に抗して奮闘 一月二十六日から二十九日に、宮崎の地において日教組全国教研が開催された。アメリカ帝国主義のアフガニスタン侵略戦争への参戦をなしとげた小泉政権は、有事法を今国会に上程し、憲法・教育基本法改悪にのりだした。まさにこのような戦時下≠ノおいて開催された全国教研で、<日本の参戦反対! 憲法・教基法改悪阻止!>の闘いを創りだすことが革命的教育労働者にとっての緊急の課題であった。全国から集まった戦闘的・良心的組合員は危機感を募らせて教研集会に臨んだのだ。 会場入口には、風雨荒れ狂うなか、権力の弾圧に抗して情宣をくりひろげたわが部隊の「アフガン空爆弾劾! 教基法改悪阻止!」と大書した横断幕が高だかとひるがえる。全国から結集した日教組組合員に全国教研の戦闘的再生を力強く訴えたのだ。日教組本部ダラ幹どもは、右翼対策と称して警察権力と結託し、西日本全域から動員された機動隊を活用し、わが情宣部隊のビラ配布への弾圧にのりだした。しかし権力の妨害をものともせず配布されたビラを組合員たちは真剣に読み始める。今や「教え子を再び戦場に送るな」の指針を投げすてた日教組本部を弾劾し「日教組教研運動の変質を許すな!」と呼びかけた見出しを目にし、その通りだ! 頑張るぞ! わが同盟の訴えを心に刻み、たたかう組合員たちは日教組全国教研を全力でたたかいぬいたのだ。 以下、章見出し 「教え子を再び戦場に送るのか!」 戦闘的・良心的組合員が本部を弾劾 教基法改悪に手を貸す本部に怒りの声 「学力低下の元凶=日教組」宣伝に屈した本部と対決 教研運動の変質=官製研修への合流に抗して 反動マスコミとつるんだ本部を追及 |
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