第1680号( 2001年8月6日)の内容
MDシステム開発配備反対! 米兵犯罪弾劾!全学連が
米大使館に抗議闘争(7・19)
<1面>
自民党大勝≠カサにきた小泉政権のネオ・ファシズム反動攻勢強化を許すな!
小泉の靖国神社公式参拝強行を阻止せよ
<4〜5面>
デフレ・スパイラル下の大リストラ地獄
リストラ加速による「日本経済再生」の白日夢
<2面>
MDシステム開発配備反対! 米兵犯罪弾劾!全学連が米大使館に抗議闘争(7・19)
自衛隊北方機動演習阻止の火柱(小牧、帯広)
帯畜大生が市教委を追及(7・12)
<3面>
全学連第70回大会をかちとる(7・17〜18)
各地の「タウン・ミーティング」会場で奮闘(奈良県橿原、名古屋、三重県津)
<6面>
全分会からJR九州労再建の闘いを吹き上げよう!
Topics 都立病院再編を企む石原都当局
・教育三法案粉砕闘争に参加して
<7面>
空自戦闘機砲撃事件の真相
福祉施設を標的≠ノした砲撃を弾劾しよう!
<8面>
・新刊紹介『新世紀』第194号
本号は「万華鏡」を休載します
「解放」最新号
自民党大勝≠カサにきた小泉政権のネオ・ファシズム反動攻勢強化を許すな! 小泉の靖国神社公式参拝強行を阻止せよ
七月二十九日の参議院選挙は自民党の圧勝に終った。この選挙結果を「改革への信任」とみなして、小泉政権は、いよいよ本格的な反動攻撃にうって出ようとしている。 失業率が五%に迫り、東証株価が一万一〇〇〇円台に落ちこんでいるように、日本経済の危機がますます深刻化する一方であるにもかかわらず、選挙結果をカサにきた小泉は、「痛みを伴う改革」の大ナタを振り下ろそうとしている。それこそは、諸独占体の一大リストラ強行によって失業・生活苦のドン底に突きおとされている労働者・人民に、さらに「痛み」=犠牲を強制するものにほかならない。 それだけではない。中国と韓国の両政府から再三再四の中止要請を受けているにもかかわらず、小泉は八月十五日には靖国神社への公式参拝を強行しようとしているのだ。「国家のために命を捧げた人に敬意を表することのどこが悪いのか」と傲然と開き直りながら。 ところが、この小泉政権の大反動攻撃をまえにして、野党各党、とりわけ社民党と日本共産党は、ただただ選挙の大敗北に打ちひしがれ、「逆風がものすごかった」と弁解に汲々としているだけという始末なのだ。そもそも、野党各党は、「構造改革」をガナリ立てる小泉に完全に押し負けたうえで、「改革の具体的中身がない」とか、あるいは「景気対策がない」などと自民党・橋本派と見まがうような代案を掲げ・その宣伝にウツツをぬかしてきたにすぎない。小泉「改革」の反人民的=ネオ・ファシズム的本質を暴きだすこともできず、労働者・人民を「改革」への幻想から解き放つ闘いをなんら創造しえないできたことからして、参院選での敗北は必然だったのである。 いや、問題はそれにとどまらない。マスコミを総動員して煽りたてられた「小泉ブーム」に多くの労働者・勤労大衆がのせられ、内閣支持率がシンキロウ政権の五%から八〇%に跳ね上がった余勢をかって自民党が選挙で圧勝したという事態そのものが、きわめて危険で危機的なことではないか。「改革抵抗勢力」=「利権政治」にたいする「闘い」を絶叫する小泉に多くの労働者・勤労人民が仄(ほの)かな幻想を抱いてしまっているというこの状況は、生活苦にあえぐ小ブルジョアや失業者をば「反ユダヤ」「反共」の民族排外主義を煽りたてつつ組織化してヒトラーが権力を奪取した一九三〇年代のドイツの状況と、きわめて類似しているというべきではないか。だが、「構造改革」の補完者でしかない民主党・自由党はもとより、社・共両党も、この危機的状況にたいして警戒心どころか直観すらも持ちえずに、政治のワイドショー化というネオ・ファシスト的大衆操作術の土俵に、むしろ積極的に乗っかって「真の改革」を競いあっているにすぎないありさまなのである。 今こそわれわれは、この危機的現実を突破し軍事大国化・戦争準備や改憲や「痛みをともなう構造改革」などのネオ・ファシズム反動攻撃を打ち破るために、全力をあげて奮闘しなければならない。 以下、見出し 自民「圧勝」と社・共惨敗の深層 鬱積した労働者・人民の不満のネオ・ファシズム的組織化 「小泉改革」の補完物と化した野党・既成「左翼」 戦争準備-ネオ・ファシズム体制の強化を粉砕する闘いの奔流を!
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全学連第70回大会をかちとる 安保粉砕! 改憲阻止! 闘いの戦列をうち固める 7・17〜18 全学連のたたかう学生たちは、さる7月17日と18日、全学連第70回定期全国大会を実現した。この場において、全国から結集した闘う学生たちは、今夏・今秋の闘いの指針と体制をがっちりと確立したのである。(写真は大会2日目) |
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デフレ・スパイラル下の大リストラ地獄 リストラ加速による「日本経済再生」の白日夢 アメリカにおけるITバブルの崩壊を契機とした世界的な景気後退の始まり、このもとで、日本の独占体諸企業は今年に入って、九八年秋の第二次大リストラ開始以降でも当初計画を上回る大リストラを強行しはじめた。 日産の「ゴーン・リストラ」の第二段階へのおしあげ。それに触発された三菱自工、マツダ、いすゞなどの業績不振の自動車諸独占体の大規模な工場閉鎖=人員削減計画の発表とその開始。「料金引き下げ」「グループ解体」の圧力に促迫されながらうちだされたNTTの前古未曽有の一〇万人削減計画。そしてついに「日本的雇用」の代名詞とされてきた松下電器までもが、五〇〇〇人規模の「早期退職」募集を開始した。…… このリストラの一大ラッシュは、なによりも日本経済総体のデフレ・スパイラルへの突入に促迫され加速されていると同時に、小泉政権による「痛みを恐れぬ聖域なき構造改革」の絶叫とそれにもとづく「不良債権処理」促進や「規制緩和推進」の諸政策によって拍車がかけられてもいるのである。 小泉政権の「構造改革」を謳う諸政策に尻押しされた、このような諸独占体の大リストラ・「人員整理」攻撃によって、現にいま、これまで以上に多くの労働者たちが次々に街頭に放りだされ、失業の蟻地獄に突き落とされている。 それだけではない。独占資本家どもは、このように労働者の生首を切るだけではなく、「人件費の変動費化」などと称して、「総額人件費」の縮減のために、「終身雇用」を一応は保障した正社員の比率をドラスティックに押し下げる方向で雇用形態の再編を進めるとともに、賃金制度その他の処遇制度のさらなる「大改革」=改悪に血道をあげてもいる。メガ・コンペティションと称される激烈な国際競争のもとで米欧諸独占体に敗北し・かつアジア諸国(中国を含む)企業のキャッチアップをも受けて業績悪化に直面した独占資本家たちは、しかし大不況からの脱出を果たすための有効な方途をなんら見い出しえないままに、現在の経営困難をただもっぱら「人件費コスト」の極限的な切り下げによってのりきろうとしているにすぎないのである。 いまや日本の労働者たちは、例外なく、首切り・雇用形態改悪・賃金切り下げなどを一挙に同時に貫徹しようとする独占資本家どもの大リストラ攻撃の暴風雨に襲われているのだ。この暴風雨のあとに出現するものは、まさに日本労働者階級がいまだかつて体験したことのない大失業地獄であり、弱肉強食の壮絶な修羅場と化した「競争社会」いがいではありえない。だが、いまや完全に独占資本家どもの飼い犬となった「連合」傘下の労働貴族どもは、このような破滅的大リストラにこぞって賛成し、「痛みの分かち合い」などと称してその受け入れを組合員たちに強要してさえいる! この既成労組幹部の許し難い腐敗と犯罪によって、こうした悲惨な現実が招来されているのである。 以下、章見出し T エスカレートする未曽有の大リストラ U <日本型経済システム>の解体的再編 V 「聖域なき構造改革」は何をもたらす? |
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大量脱退劇の演出者=狩生・北執行部の欺瞞的総括を弾劾せよ 全分会からJR九州労再建の闘いを吹き上げよう! 革共同革マル派 九州地方委員会 七月十四日にJR九州労第十三回定期大会が開催された。この大会に際してわが同盟九州地方委員会が配布したビラを掲載します。 編集局 九州労第十三回定期大会に結集した九州労組合員の皆さん! そして、この大会を痛苦な思いで注視している元九州労組合員の皆さん! いま鹿児島新幹線の部分開業を目前にして、JR九州会社は、新幹線乗務員の養成をもテコとして、一大合理化攻撃をかけると同時に、九州労や新ユニオンの組合破壊にのりだしている。この会社の尖兵としてうごめいているのが、養殖組合=E九州労組ダラ幹どもなのだ。 だが、一〇〇名を越える元九州労の組合員たちが、彼らに切り崩され養殖組合≠ノつぎつぎと加入させられたという無惨な事態。これこそは、昨年十月のかの大量脱退劇を九ヵ月間にわたって反省することを回避し、脱落組合員の奪還の闘いを投げ捨ててきた当時の北・狩生執行部がつくりだしたものではないか。 脱退四人組(小椿、谷川、内川、一万田)主演・JR総連小田委員長らの監督のもとに、北・狩生執行部がかの大量脱退劇を演出したこと。――この真相に口をぬぐっている狩生・北現執行部の「総括」は、ウソと欺瞞に満ち満ちている。本大会の課題は、このような欺瞞的総括を弾劾し、大量脱退問題の真の反省論議をまきおこすことにある。 大量脱退を仕組んだ自己責任を一分会書記長に転嫁しようとした北執行部。この誤りを断罪した福岡地裁の「決定」に照らして、狩生・北執行部は誠実に謝罪せよ! 率直な反省論議をつうじて分会運動をよみがえらせ、九州労の下からの再建をかちとろうではないか! 「曖昧さの打破」を語る執行部の曖昧とゴマカシの総括を許すな! 「組合員権停止の処分」を下した北・狩生執行部は謝罪せよ! 新ユニオンとのなしくずし的合流方針の欺瞞性をあばきだせ! 九条連集会の秘密集会化に反対し改憲阻止の闘いを横に拡大せよ! |
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空自戦闘機砲撃事件の真相 福祉施設を標的≠ノしたF4戦闘機二機による砲撃を弾劾しよう! ―――北海道 北広島現地調査団 六月二十五日、午前十時五十五分ころ、南西航空混成団所属(那覇)の空自最精鋭部隊といわれる第三〇二飛行隊のF4EJ改戦闘機が、北海道の島松射爆撃場から東方向へ約五・五キロメートル以上も離れた北広島の福祉施設を標的≠ノして、建物とその一帯に20ミリ機関砲弾を一八八発もぶちこんだ。このまったく許しがたい前代未聞の暴挙にたいして、北のヒロシマの住民は「演習の完全中止」などを要求して起ちあがっている。 だが、既成左翼は、住民の怒りを選挙カンパニアへ解消しようとしているにすぎない。そのなかで、わが全学連のたたかう学生たちが、唯一、地元住民と連帯して、連日、北広島現地における砲撃弾劾の闘いの高揚をつくりだしているのだ。とりわけ、政府・防衛庁の「戦闘機は演習場内を飛んでいた」であるとか「電気系統の故障による訓練弾の誤射」とかといった発表のデタラメ性を暴きだしたわが全学連の現地調査団のビラなどは、地元の住民に熱い共感をよびおこしているのだ。 じっさい、七月八日と十四日に、福祉施設に隣接する町内会主催の住民説明会が開かれ、地元の住民は自衛隊の幹部を追及したのである。西地区連合町内会主催(八日)と北広島団地連絡協議会主催(十四日)の二回の説明会において、住民は「北広島団地まで飛行機は飛んできている」「福祉施設を標的にしたのではないか」と次々に自衛隊幹部を追及した。ところが、自衛隊幹部は、飛行コースすら具体的に説明できず、むしろ追及する住民にたいして「目撃したのはどんな機種か言ってみなさい」などと開き直ったのである。そして、つめよる住民にたいして、道警のデカどもがビデオをとったり写真をとるなどの不当弾圧を加えてきたのである。 いまや、福祉施設周辺の住民で自衛隊の説明を信じる人は、誰一人としていない。だが、既成反対運動のぜい弱さを見すかした政府・防衛庁は、次々と訓練を再開している。われわれは、F4戦闘機によるゲリラ戦を想定した空対地射爆訓練の反人民的な実態をあますところなく暴露し、奮闘する決意である。そのために、わが北広島現地調査団による調査によって判明した射撃訓練の許しがたい実態を明らかにしておく。 現地調査で判明した訓練の実態 A 自衛隊の発表はウソ八百! 怒りにみちた証言の数々 われわれ現地調査団は、福祉施設の入所者や通園者、さらに付近住民と交流し、空自による砲撃の実態について怒りに満ちたリアルな証言を得ることができた。 @「白っぽい大きな光」 「見たこともない白っぽい大きな光が窓から見えて、一瞬明るくなった」(福祉施設通園者Aさん) 「いつになく戦闘機の音がうるさいので窓の外を眺めると、小さい光が鋭くピカっと光った(通園者Bさん) F4戦闘機は、「敵機」から発見されないように、制空迷彩といわれる二色のグレーで塗装されているので、機体そのものが白く光って見えることはない。では、何が光ったのか? それは、F4戦闘機が20ミリ機関砲を撃ったさいに機関砲の銃口部分に生じる発射光にほかならない。問題は、施設の通園者がこの瞬間的な発射光を、しかも「一瞬明るくなった」と感じるほどの光の強さを目撃しているという点にある。このことは、F4が機関砲を発射した地点が、福祉施設から至近距離であったことを雄弁に物語るものではないか。 A「空が割れるような音」 「飛行機が上ったか、下ったか、どっちかわからんけど……突然、ものすごい音がした。バァーンという空が割れるような音だった。そして音はヒューとセンター(福祉施設のこと)の方へ行った。私は空襲の経験はないけど、戦争とはこういうものかと思ったね。ともかく恐ろしくて庭の植木にしがみついたのさ」(福祉施設から西へ約一・五キロ地点に住むCさん) 「突然、屋外からバンという大きな音を耳にした。その直後、今度はパリパリパリという音が二、三秒続いた」(福祉施設の職員Dさん) ほかに、付近住民の「ガス爆発かと思った」とか「飛行機が落ちたと思った」などという証言が多数あったのである。 日常的に、戦闘機の急上昇・急降下の訓練や様々な砲撃訓練の音を聞いてきたことのある住民が、一様にこれまで聞いたこともないほどのすざましい音を聞き、「戦争だ」と感じたのである。これほど住民を恐怖させた音とは何か。それは、超音速で飛行する航空機の衝撃波が地上に達して発する音、通常ソニック・ブームといわれるものにほかならない。 付近住民がソニック・ブームを聞いたということは、F4戦闘機が、低空域で、しかも民間施設の上空で、音速をこえるスピードで飛行していたことをしめしている。航空自衛隊は、驚くべきことに、このような異常かつ危険な演習をおこなっていたのである。 B二つの機影 「私は飛行機の姿は見ていないと思うんだけど、二ついたと思うんだ。何でだかわからないけど」(前出のCさん) 「当日じゃないけど、その三日前くらいだと思うけど、二機で飛んでいた。近いよね。これくらい(両手で二〇センチぐらいの大きさに見えたことを示して)に見えた。もちろん戦闘機の形がはっきり見えたさね」(福祉施設入所者のEさん) Cさんは、先述の衝撃波の音を聞いた住民である。衝撃波は、超音速時に生じる現象であるから、Cさんが衝撃波であるすさまじい音を聞いたその方向を見ても、そのときには機影は見えなかったにちがいない。「音があとからやってくる」といわれるゆえんである。おそらくCさんは、福祉施設の方へ急降下していく二機のF4戦闘機を見かけた直後に強い衝撃波を感じて、そのときには機影を見られなくなったと思われる。 それゆえに、Cさんは「何でだかわからないけど」としか言えないようだが、Eさんの証言は、砲撃のあった二十五日の演習から三日前の二十二日の射爆撃訓練において、空自が二機編隊で訓練をやっていたということを明らかにしているものである。 そもそも、軍事評論家のX氏によれば、「戦闘機による空対地射爆撃訓練は、通常二機編隊でおこなっている」というのである(注1参照)。しかも、後で詳細に明らかにするが、砲弾が福祉施設にどちらの方向から飛んできたのかという点にかんするわれわれの現地調査でも、西方向からと南方向からの、九〇度も異なる二方向から飛んできたことが実証されているのである。このことは、F4戦闘機二機が西側と南側の二方向から急降下し、福祉施設とその周囲を砲撃したということを明らかにするものにほかならない。 C「真上を、バリバリバリ」 「二階の窓(西向き、演習場方向)全部をあけていた。そしたら真上をバリバリバリと音がした。いつもと違うすごい音。何の音だろうと思った」(福祉施設から西側に約一・三キロ離れた地点に住むFさん) 「農作業をやっていた。九時ころから演習がはじまって一度休んだと思ったらまたはじまった。十一時ころ、『バタバタバタと頭の上で音がした。機関銃かなと思った。オレの感じじゃ二秒どころじゃなかった。三秒はあったんじゃないかな」(福祉施設から西側へ約二キロ地点の畑で作業中だったGさん) Fさん、Gさんとも、福祉施設から西側へ一・三〜二・〇キロ付近の地点で「バリバリバリ」とか「バタバタバタ」という音を真上で聞いているのである。このことは、空自がマスコミにタレ流している福祉施設から五キロ以上離れた島松演習場で「訓練弾」が撃たれたというのは、ウソ八百であり、福祉施設の近くで砲撃がなされたことを明らかにしているものであると言わなければならない。 以上の数々の証言から、およそ以下のことが推論しうるのである。 α、F4戦闘機は、二機編隊で島松演習場から国道三十六号線をこえて福祉施設方向へ超音速で急降下しながら接近したこと。β、そのさい、F4戦闘機は超音速で急降下したために、地元の住民がこれまで聞いたこともない強い衝撃波が生じたということ。γ、機関砲は福祉施設を目がけるように至近距離でぶっぱなされたこと。δ、機関砲は二秒ないし三秒間連続的に発射されたこと。以上の四点である。 B 砲弾痕が物語るもの 二機が急降下しながら砲撃 砲撃直後の六月二十五日と六月三十日の二回にわたって、われわれ現地調査団は、福祉施設のいたるところに残された生なましい着弾痕の調査をおこなった。とくに施設のアスファルト地面に残された弾痕の一つ一つについて、その入射角、方角、深さなどをじっさいに計測した。右の調査から判明したことは以下のことである。 @すさまじい破壊力 まず驚かされたのは、そのすさまじい破壊力である。アスファルト地面には直径二センチメートル深さ四〜五センチメートルにおよぶ着弾痕が八つ残されていた。また渡り廊下の鉄製屋根は、二センチメートルほどの丸い穴があき、真下のコンクリート地面を穿(うが)っているのだ。「直撃されていたら確実に死んでいた」という福祉施設関係者の証言は、まさに実感そのものなのである。 そもそも、空自が発表しマスコミがそれをうのみにして報道している「訓練弾」なる表現は、人民をたぶらかすためにデッチあげたものである。20ミリ機関砲弾は、たとえ火薬をつめていなくても強力な殺傷力をもっていることは明らかなのだ。たとえば、陸自が使用する12・7ミリ機関銃は、火薬をつめない鋼鉄製の弾を発射するものであるが、それをはるかに上回る殺傷力をもっているのであって、じっさい、空自は「普通弾」と呼称しているのであって、「訓練弾」などと呼称していることじたいが欺瞞なのだ。 A砲弾の入射角、方角 われわれが福祉施設敷地内で確認し、計測した砲弾痕は、九ヵ所である。(表、図1を参照) (イ)方角について 砲弾痕の計測から、およそ西方向から飛んできたと推定できるものが七ヵ所(番号B〜E、H、I、L――Aグループとする)である。 他方、この七ヵ所とは方角が明らかに異なるものが二ヵ所あった(GとK――Bグループとする)。これは、およそ南方面から飛んできたと推定できるものであり、Aグループの入ってきた方角とは異なる。なかでも、DとGとでは、なんと一五〇度もちがうのである。このことは、砲撃が二機でおこなわれたことをしめすものにほかならない。 (ロ)入射角について 個々の弾痕の入射角は表のとおりである。Aグループは、それぞれ入射角はまちまちであり、最大八〇度(B)から約四〇度のものまである。Bグループは、2ヵ所だけであるが、いずれも約七〇度(K)と約八〇度(G)と、入射角がAグループのものと比べてやや高い。とまれ、Aグループにせよ、Bグループにせよ、計九ヵ所のうち三ヵ所が八〇度の入射角であり、急降下して砲撃したことをうかがわせるものである。 (ハ)深さについて Aグループは、約四センチメートルの深さであるのにたいして、Bグループのものは五センチメートルと、約一センチメートルものちがいがあった。これは、(イ)の方角の問題と重ねて推論すると、二機の戦闘機の機関砲を発射した地点のちがいによるものと思われる。なお、アスファルト地面の硬度については、同質のものを同時期に敷いたと推察されるので、箇所による硬度のちがいはないと思われる。 以上の計測結果から、砲弾は少なくとも二方向から、しかも急角度でぶちこまれているということである。軍事評論家のX氏は、「F4EJ改戦闘機が搭載している20ミリ機関砲の特性からして、一五〇度もちがう方向から弾が飛んでくることはない。二機が、各々別の方角から福祉施設めがけて撃ったとしか言いようがない」と明言している。まさに、砲弾痕は、F4戦闘機二機が大きくいって西方向と南方向から福祉施設にむけて急降下しながら砲撃したことをしめしているのだ。 B見つからない砲弾 ところで、自衛隊は事件発生以降七月十四日までの間に、のべ二万数千人の陸上自衛隊員を動員して、「着弾予想範囲」(リハビリセンターを中心に幅約五〇〇メートル、延長約三キロメートル――図2参照)なるエリア内での砲弾さがしを演出してみせた。しかし、発射されたと発表した一八八発の砲弾のうち、合計でわずか二十四発しか発見できずに早々と捜索を打ち切ったのだ。 これは一体なぜか。自衛隊の設定した「着弾予想範囲」じたいが、きわめてデタラメに設定されたものでしかない。地元住民がこぞって福祉施設の至近距離で砲撃があった音を聞いているにもかかわらず、自衛隊はハレンチにも福祉施設から五キロメートル以上離れた島松演習場の空域で発射したと強弁しつづけているのだからして、着弾予想範囲などだせるはずもないのである。まさに、じっさいに着弾したエリアは発表された「範囲」とは別であると言わなければならない。福祉施設を仮想攻撃目標とした、しかもF4戦闘機二機での砲撃の実態をひたかくしにするために、のこりの砲弾がどこに着弾したのかということをモミ消そうとしているのだ。そもそも、自衛隊の発表している発射数一八八という数それじたい疑わしいのである。 C 最精鋭部隊によるピンポイント攻撃のための慣熟訓練 福祉施設関係者およびその近辺の住民の多数の証言、そして物証たる着弾痕の分析をつうじて、六月二十五日のF4EJ改戦闘機による福祉施設への砲撃の実態は、あますところなく明らかとなっているといわなければならない。 政府・防衛庁は、許しがたいことに「戦闘機は島松演習場の訓練空域内しか飛んでいない」「電気系統の故障による不時発射」と発表している。しかしこれは「大本営発表」そのものであり、つまりウソでぬりかためたものである。 二方向からの着弾痕、福祉施設の至近距離で目撃された二〇ミリ機関砲の発射光と音、地元住民が聞いたこともない(戦闘機が超音速で急降下したさいに生じた)衝撃波のすさまじい音。 まさに、これらのことからして、F4戦闘機は、二機編隊で、島松演習場の訓練空域から東へ5キロ以上も離れた福祉施設上空へ飛来し、同施設とその周辺を仮想の攻撃目標として、超音速で急降下し20ミリ機関砲をぶっぱなすという訓練を強行したにちがいないのだ。 この福祉施設が仮想攻撃目標と設定されたのは、おそらく、小高い丘の上に建ち(写真参照)、かつ周辺はゴルフ場や民家が点在しはするものの全体としては広大な林にかこまれているという地形上の特徴のためと思われる。つまり、武装したゲリラ部隊がたてこもっている軍事拠点と見たてたにちがいないのだ。――もちろん、じっさいの砲撃ポイントは、福祉施設からわずかにズラした付近の林地としていたと思われる。しかし発射した砲弾の一部が福祉施設を直撃したのだ。ちなみに、対地攻撃において、二〇ミリ機関砲を使用する軍事的目的は、建物の陰などにひそんでいる武装ゲリラ部隊を撃滅することにあると、一般的には言われている。 そもそも、南西航空団のF4戦闘機は、六月十八日に千歳基地に到着してから、次のような訓練をおこなっていたのである。少なくとも、二十二日に、F4戦闘機が二機編隊で福祉施設上空を飛んでいることが目撃されていることからして、この日、空自は福祉施設を仮想攻撃目標とした侵入コースや攻撃ポイントの確認などのシミュレーションをおこなっていたに違いない。そのうえで二十五日の訓練が敢行されたのである。まさに、空自が、対ゲリラ戦を想定したピンポイント攻撃に慣熟させることを目的にして、民間施設をも仮想攻撃目標とした許しがたい訓練計画をたて強行したことは歴然としているのである。 ところで、今回、福祉施設への砲撃をおこなった南西航空混成団所属の第三〇二飛行隊こそは、空自の中でも最精鋭部隊にほかならない(注2参照)。対中・対北朝鮮の最前線部隊として位置づけられている飛行隊だからこそ、この部隊を投入して、民間施設を標的≠ニしたピンポイント攻撃の慣熟訓練を強行したのである。 そして、この訓練は、六月十九日から強行されていた自衛隊の北方機動特別演習と連動しておこなわれていたのである。すなわち、北方機動特別演習の一大ポイントが七月二日の十勝・浜大樹での敵前上陸訓練であった。この敵前上陸を敢行するさいに、空から敵の軍事拠点やゲリラ部隊を撃滅しておくことが軍事作戦上の要をなすからなのである。 日米共同侵略戦争遂行体制の構築を急ぐ小泉政権 政府・防衛庁は、台湾海峡・朝鮮半島有事≠ノ備えての日米共同作戦体制の強化、とりわけ臨戦態勢に入っている在日米軍との共同作戦行動を直接担えるような自衛隊として強化することを急いでいる。そのために、国内で唯一空対地の射爆撃ができる島松演習場(青森県三沢市の雨ヶ森演習場も空対地の射爆撃場であるが主要には東方海域の水上標的への射撃訓練をおこなっている)一帯を敵地にみたて、民間施設の建物をも標的≠ニする訓練を強行したのだ。 いうまでもなく、アメリカのブッシュ政権は、中国を軍事的・政治的に封じこめていくために、「アジア重視」の新たな軍事戦略をうちだしている。このブッシュ政権による「パワーシェアリング」にもとづく軍事分担要求の強化に呼応して、小泉政権は、台湾海峡有事∞朝鮮半島有事≠想定した日米共同作戦体制の飛躍的かつ一挙的強化に突進しているのである。集団的自衛権の行使の合憲化、有事法制定・改憲をうたいあげ、そして、きわめて実戦的な軍事演習を矢継ぎ早に実施しているのだ。住民の危険をいっさい省みることもなく。しかも、戦争準備を急ぐ小泉政権は、国家総動員体制を強固にうち固めるために、教育の反動的再編や公務員制度の抜本的改悪をおしすすめているのである。 既成左翼の闘争歪曲を弾劾して闘おう 砲撃事件以降、わが同盟とそれに指導された闘う学生たちのみが唯一、北広島現地の労働者・農民・市民と固く連帯して、砲撃弾劾の闘いの高揚をつくりだしている。 ところが「小泉人気」に完全に腰砕けとなっている社共既成左翼は、この砲撃事件に飛びつき「事故原因の調査要求」「訓練中止」をかかげてはいるものの、住民の生活をおびやかす問題へと切りちぢめたうえで、選挙カンパニアへと埋没しているにすぎない。 われわれは、今こそ、政府・防衛庁による砲撃事件のもみ消しを許さず、既成左翼による「訓練中止要求」をかかげた選挙カンパニアへの歪曲を弾劾し、<日米共同の戦争遂行体制づくり反対! 安保粉砕! 基地撤去!>のスローガンを高だかとかかげて闘いぬこうではないか。 注1 『戦闘機パイロットの空戦哲学』(「光人社」発行、服部省吾著)によれば、「編隊戦闘の最小単位は二機という考え方が今では定着している。……ロッテ戦法と称する」と論じられている。それだけでなく、九州の日出生台演習場での空対地訓練の現実について次のように書かれている。「演習場の地上統制官が、白い煙を出す発煙弾の位置を基準にして、白煙の真西五百メートルの位置に敵の陣地があるので、それを爆撃せよ、と指示するのに従って、急降下爆撃の動作を行った。地上には陸上自衛隊員がいるので、模擬爆弾の投下などはせず、爆弾投下ボタンに連動するカメラで、ボタンを押したときの照準状態を撮影するだけである。二番機も私にならって急降下し、爆弾投下の動作をしてから上昇してきた。私は彼に、密集隊形をとれと指示した。事前の申しあわせで、爆弾のほか機銃には全部、弾丸が装填してあることになっていたので、二機編隊ですばやく敵陣地に機銃掃射を一撃くわえて引きあげようというわけである」と。日出生台では実弾は使えないのでシミュレーションだけであるが、空自の空対地射爆撃訓練が二機編隊でおこなわれていることがリアルに、ベテランパイロットの著者によって語られている。 注2 第三〇二飛行隊は、一九七四年に千歳基地の第二航空団の下に発足して以来、対ソ連の最前線部隊として強化され、その後、沖縄の南西航空混成団(那覇)へと所属を変えて今日に至っている。一九八六年十二月に発生したソ連機TU16バジャーの「領空侵犯」にたいして空自として戦後はじめての警告射撃をおこなったのもこの飛行隊にほかならない。 |
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最新号紹介 『新世紀』第194号(2001年9月) 新連載 「問題だらけの『つくる会』教科書」 ――狡猾な手口と危険な本質を暴く ・第一特集 大リストラと軍事強国化を策す「小泉改革」を許すな! 読者待望の連載企画「問題だらけの『つくる会』教科書」をいよいよ本号から開始する! 中国・韓国からの非難にたいしても傲然と居直った日本政府・文部科学省、彼らの後押しをもうけて「つくる会」教科書採択の国民運動がつくりだされ、これにたいして各地で「つくる会」教科書採択阻止の闘いが今くりひろげられている。本企画は、この切迫した情勢にタイムリーにきりこんだ。おしなべて「つくる会」教科書にたいして「歴史の事実」を対置するにとどまっている既成の反対論調を質的に凌駕して、「つくる会」の狡猾な手口とその根底に貫かれている主義主張の危険性を具体的に論証的に満天下に明らかにした画期的なものなのだ。教育労働者をはじめとするすべての人びとの期待に十二分に応えるのが、本企画だ。 連載第一回の本号では、基調的な二論文を掲載した。まず、「戦争賛美と『天皇制』礼賛」(久住文雄)は、「歴史」教科書の批判だ。たんに過去の事実を学ぶのではなく「過去の人の考え方」を学ぶのが「歴史」だなどと、一見もっともらしい語り口で「つくる会」は語る。だが、たとえば第二次世界大戦当時の「人々の考え方」を学ぶと称して、中国・アジアへの侵略戦争と植民地支配にうってでた天皇制国家・日本を礼賛するような考えをもつように生徒を誘導する魂胆が、そこには見え隠れしているではないか。「大東亜聖戦」の神話、「日本近代化」の神話、「日本民族と天皇制国家」の神話――「つくる会」教科書がねつ造しているこの三大神話を次々と暴きだしていく! 「公民」教科書が狙うものも同様である。「憲法理念の国家主義的改ざん」(平尾謙司)は、「公民」教科書が表向きは現行憲法の諸理念や諸権利を説明するという形をとりながら、実は改憲の立場からの憲法解釈のみを羅列し、生徒に「権利の制限」や「お国を守る」という滅私奉公≠フ精神を植えつけようとしたものであることを赤裸々にしている。盛りだくさんの「補註」やコラムも、「つくる会」教科書の奇怪な主張を暴き、また読者に批判の武器を提供するにちがいない。 すべての仲間たち! 警戒しよう! 時ならぬ「小泉ブーム」にのって参院選で勝利した<自公保>連立政権は、国際公約にした「構造改革」を今や一挙に実現しようとしている。本号では、第一特集に「『小泉革命』の神話」を組み、小泉政権の正体と「痛みをともなう改革」の本質をくまなく明らかにした。 まず、「『改革』の虚飾をまとった新型ファシズム」(石垣次郎)は、「小泉人気」の深層をえぐりだしている。「永田町の論理の打破」「自民党政治の変革」を叫ぶ「純ちゃん」に国民的喝采≠ェ巻き起こされ、支持率八%の森政権からわずか数ヵ月で八〇%の支持率という、この異常現象に、一九三〇年代に国民的人気を博して登場したナチス・ヒトラーを想起すべきではないか。また、有事法制、集団的自衛権行使の合憲化、憲法改悪、靖国神社公式参拝強行などは、アメリカとともに新たな戦争体制を構築し・これに向けて国民統合=国民動員を進める企みであることを、本論文は力強く訴えている。他方、「構造改革」が労働者・人民に多大な犠牲を強制するものでしかないことを明らかにしているのが、「『聖域なき構造改革』の虚構」(結城力也)だ。アメリカ出羽(では)の守(かみ)≠閣僚に配しアメリカ製新自由主義を猿真似しただけの小泉政権の「改革プログラム」。それがもたらすのは、リストラ促進・大量失業・福祉改悪・大増税などの過酷な犠牲ではないか。本特集は、小泉政権への幻想を断ち切り、「構造改革」と戦争準備の企みに反対していくための、格好の理論的武器だ! ・第二特集 没落社民主義の変貌 第二特集は「没落社民主義の変貌」である。「破産した『EUモデル』」(利根川洪)は、<独=仏枢軸>のもとで通貨統合をなしとげ形成されたユーロランド≠ェ危機に陥っているのは一体なぜなのかを明らかにしている。大陸EU諸国の社民党主導政権がアメリカ製新自由主義に対抗して模索しているヨーロッパの政治的経済的そして軍事的の統合=「EUの社民モデル」は、だがしかし、そのうちに破綻の必然性がはらまれているのだ、と。 そして、イギリス・ブレア政権が打ちだした「第三の道」論を批判しているのが、「新自由主義への屈服の道」(芦田重雄)である。旧来の社民主義でもなく新自由主義でもない「第三の道」を唱えるアンソニー・ギデンズ。しかし国家独占資本主義の破綻を克服すると称するブレアのブレーンたる彼の処方箋は、レーガン・サッチャーリズムをとりこんだ陳腐なものでしかないことを鮮明にしている。 さらに本号では、「わが闘争史――黒ダイヤの火は消えず」(番匠谷太郎)を掲載した。戦後労働運動史に残る一九六〇年の三井三池闘争。そこで、筆者は安保全学連の一員として「労学連帯」の闘いを追求した。筆者が三池炭鉱労働者の闘いに見たものは何か? 闘いの敗北を余儀なくされた根拠と全学連運動の方向性について、いかに思索し苦闘したのか? 反スターリン主義運動の先輩が語る若き日の闘いの教訓! 多彩な企画と充実した内容の本号を、職場で、学園で活用し、みんなで読もう! |
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