第1673号( 2001年6月18日)の内容



<1面>
6・17国会包囲闘争に決起せよ!
<新東西冷戦>下の小泉政権による戦争準備・改憲策動を許すな!
<反安保>抜きの「護憲」運動をのりこえて闘おう

<4〜5面>
擬似革命≠フ小泉流「構造改革」
「聖域なき構造改革」は労働者・人民に過酷な「痛み」を強制する!

<2面>
社民党「平和構想」の空想性
小泉の反動攻撃粉砕の闘いに決起
鹿児島(5・18)/金沢(4・27)

<6面>
Topics 小泉政権が労働諸法制を再改悪
リポート労働戦線
5・26「連合大阪」集会で大情宣/上原解任劇の顛末/「大阪の教育を正す会」集会の実態/「つくる会」大阪で戦争賛美の大合唱

<7面>
投稿 「座標軸」――おのれの内側とむこうっかわ
国民総背番号制導入を阻止せよ〈下〉

<8面>元校長が事件の真実に迫る
『校長は見た! 酒鬼薔薇事件の「深層」』―

扇国土交通相の国会答弁弾劾!

<3面>
万華鏡2001――情勢の断層を読む
自虐・被虐・加虐
大誤算
「NO!」と言える村
新イソップ物語
隠すより現る
週間日誌<世界の動き・日本の動き>





「解放」最新号



  

6・17国会包囲闘争に決起せよ!
<新東西冷戦>下の小泉政権による戦争準備・改憲策動を許すな!
<反安保>抜きの「護憲」運動をのりこえて闘おう

 現代世界はいま、米―中・露の新たな核軍拡競争と東アジア・中東を焦点にしての戦争・戦乱の危機に覆われている。アメリカ帝国主義のブッシュ政権は五月一日にミサイル防衛網を全世界的規模で張りめぐらすことを謳いあげ、これにたいして、残存スターリン主義大国・中国と破産大国ロシアの両国権力者は「ミサイル防衛構想」への政治的非難をタテとしての反米&囲網の形成と対抗的軍拡とで応酬しようとしている。しかも、東アジア、とりわけ米軍偵察機と中国戦闘機の衝突事件を契機にして米―中対立が一挙に顕在化した台湾海峡では、今まさに中国の一〇万人の軍を動員した大軍事演習が開始され(六月五日)、軍事的緊張がいや増しに高まっているのだ。中東では、イスラエル・シャロン政権の対パレスチナ強硬策の展開にたいするパレスチナ・アラブ諸国人民の憤激の高まりを背景にして、イスラム復興主義勢力の「自爆テロ」とこれにたいするシャロン政権の報復的軍事攻撃という戦争状態が果てしなく続いている。
 このように米―中・露の政治的軍事的角逐の激化を根底にしてアジア・中東での戦争的危機がますます深まっているただなかで、日本帝国主義の小泉政権は、六月三十日の日米首脳会談において日米の同盟的絆の強化をブッシュ政権と確認しようとしている。彼らは、中東・アジア有事に即応するための日米共同の侵略戦争遂行体制を構築する策動を一気呵成におしすすめようとしているのだ。
 実際、ブッシュ政権は「国防戦略」の練り直しにふまえつつ、小泉新政権にたいして「パワーシェアリング(力の分担)」の要求をゴリ押ししているではないか。これにたいして小泉政権は、この対日軍事分担要求を積極的に受け入れ有事法制定や「集団的自衛権行使」の合憲化の策動を、第九条の改定を含む憲法改悪をも射程に入れて傲然とおしすすめようとしているではないか。しかも、「ミサイル防衛構想への疑念」や「日米安保からの自立」などの発言を外務官僚筋からリークされ窮地に立たされている外相・田中真紀子を表向きは擁護している首相・小泉は、政府・連立与党内の安保=外交政策をめぐる混乱と迷走に政治的決着≠つけるという構えで六月三十日のブッシュとの会談に臨もうとしているのだ。
 だが、小泉政権が「新世紀維新」を謳いあげ「小さな政府・強い国家」を理念として労働者・勤労人民に多大な犠牲を強いる「聖域なき構造改革」を断行すると同時に、戦争準備・改憲の策動を着々と強めているにもかかわらず、にもかかわらずだ! なんら有効な反撃の闘いを組織化しえていないのが社・共既成指導部とその翼下の反対運動ではないのか。巻き起こされている小泉フィーバー=Aこの擬似「革命」の装いをすらとったファシスト的大衆操作の罠にはまり、来たる都議選(六月二十七日)および参議院選(七月二十九日)での惨敗を少しでも防ぎ止めるべく自党の議席を確保するために大わらわになっているだけなのが、社民党の土井執行部であり共産党の不破=志位指導部なのである。彼らは、小泉政権の極反動攻撃にたいして、<反安保>を抜きにして「護憲」を弱よわしく語っているだけであって、日米共同の戦争体制づくりにたいして真っ向から反撃する闘いをなんら組織化しようとしていないのだ。
 すべてのたたかう労働者・学生・市民諸君! このような社・共既成指導部の無力で犯罪的な対応を断固としてのりこえ、反戦・反安保―ネオファシズム的反動化阻止の闘いの奔流を今こそ創造し小泉政権打倒をめざしてたたかおうではないか。すべてのたたかう労学は、6・17統一行動に決起し、国会―首相官邸に向けて戦闘的デモンストレーションをくりひろげようではないか!

対日軍事分担要求をゴリ押しするブッシュ政権

世論誘導をテコに戦争準備に突進する小泉政権

<反安保・改憲阻止>の奔流を創造せよ!
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自虐・被虐・加虐
新しいディベートの仕方をつくる会?

 「朝まで生テレビ」で、「激論! 歴史教科書問題とは何か?!」と題して、西尾幹二や藤岡信勝、仙谷由人(民主党)や福島瑞穂(社民党)、学者らがディベート(五月二十五日)。途中まで見たけど、胸クソ悪くなった。だってそうだろ、基本的に西尾・藤岡らの言いたい放題なんだから。
 ディベートを二、三紹介しよう。「つくる会」会長の西尾は、「あなた方は一つの思想信条をもって運動をやっているでしょう」という姜尚中(東京大学教授)の指摘にたいして、こう反論する。
 「私たちは家永さんと違って、一つのイデオロギーや一つの歴史思想を主張するためにやっているのではない」「歴史を学ぶとは、今の時代の基準から、過去の不正や不公平を裁いたり、告発することではない。過去のそれぞれの時代には、それぞれの時代の善悪があり、特有の幸福があった」ことを伝えるのだ、と。つまり、自分たちこそ「客観・中立・公正」の立場だ、というわけ。
 これは屁理屈。姜尚中がすかさず、「じゃあね、鎌倉時代の美術についてイタリアよりはるかに早い、日本のバロック美術といってよい≠ニいう価値評価はどこから出てくるわけ? それは今の評価、あなた方の評価でしょう」と揚げ足を見事に≠ニった。これには西尾・藤岡も苦虫をかみつぶしたようなしかめっ面。
 しかし、戦争や侵略の問題に入ると、反論がか弱い。たとえば、「韓国併合」について、上杉聴(「日本の戦争責任資料センター」事務局長)は「朝鮮半島が日本に敵対的な大国の支配下に入れば、日本は、自国の防衛が困難となる。朝鮮半島は日本に絶えず突きつけられている凶器」という記述を問題にした。「逆に朝鮮半島から見れば日本列島は朝鮮半島をとり囲む位置にあり、もし日本列島が大国の支配下に入れば朝鮮半島の安全は危険になる。そうすると日本を植民地化しろ、となる。あなた方は戦争をしろ、というのか」と反論。
 ところが、「日本政府が当時そう考えていたのは事実じゃないか」「日本列島は北から下りてくるロシアと、南から北上するアメリカと、西からやってくるフランス・イギリス・オランダ等々にもみくちゃになっていた。韓国併合というのは基本的には防衛だということだ」と、列強間の対立のもとでのやむをえざる選択だったと反論されると、もう誰も反論できない。
 要するに、「つくる会」が「歴史に善悪を当てはめ、現在の道徳で裁く裁判の場にすることもやめよう」と唱えているのは、彼らが「大東亜戦争」を遂行した天皇制国家の価値観=皇国史観にホレていることの言い換え。したがって問題は、皇国史観を復活させ軍事強国・日本をつくるためにこそ、かつてのアジア侵略戦争を美化する教科書をつくったという核心を執拗にネチネチ、ゴリゴリと追及し暴くことにあるはずだ。
 ところが、ダメなんだな、これが。ミスキャストというべきか、特に仙谷と瑞穂さん。ずるがしこい仙谷は、肝心な所には口をはさまずに、もっぱら交通整理役。ま、西尾らを批判する理由は、民主党にはあまりないけどね。
 瑞穂さんは、田原総一郎から安保についての評価を問われて、「そっ、それは、えー」としどろもどろ。なんだ、なんだ。「安保条約は軍事的側面が強すぎるので、日米平和友好条約にかえる」という土井ドクトリンくらい覚えていなさいよ。「あなた方は戦争勢力だ」ぐらい言ってみたらどうか。
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 擬似革命≠フ小泉流「構造改革」
労働者・人民への「痛み」の強制

 「新世紀維新」を叫び「改革断行内閣」を自称している小泉政権は、政権発足一ヵ月にして「聖域なき構造改革」の基本指針の「原案」を「骨太の指針」の鳴り物入りで発表した。すなわち、小泉じしんが議長を務める経済財政諮問会議が、「今後の経済財政運営の基本方針の原案(目次案)」(以下「原案」と略す)なるものを発表したのだ。
 この「原案」の発表以前からすでに小泉政権は、「痛みをともなう構造改革」なるものへの「国民的支持」をあおりたてるために、マスコミをフルに利用しながら「原案」にもりこむ予定の諸もろの「改革」プランを宣伝してきた。道路特定財源制度の見直し、公共事業費のGNP比引き下げ、特殊法人の民営化あるいは廃止、地方交付金の大幅減額、納税者番号制度の導入、成田・羽田両空港の民営化、「社会保障個人勘定」制度の導入、課税最低限度の引き下げ、等々の「改革」案が、財務相・塩川の談話や経済財政諮問会議の審議内容の公開などというかたちで新聞やテレビさらにはサイバー空間をも連日にぎわしてきたのだ。
 そのうえで小泉政権は、石原伸晃や竹中平蔵などのタレント大臣の出席を目玉商品とする「タウンミーティング」なるものを六月十六日の鹿児島と青森を皮切りに全国各地で開催しようとしている。「政策決定プロセスへの国民の参加」なるものを演出するためにタレント大臣を人寄せパンダにして全国各地で政治ショーを催そうというわけだ。それだけではない。タレント経済学者・田中直毅を「郵政三事業のありかた懇談会」の座長に任命し、また元信州大ブクロ派あがりの転向分子のタレント評論家・猪瀬直樹を「行革断行会議」の座長に登用した。このように、小泉内閣は、「朝生」的・ワイドショー的衆愚政治手法を徹底的に駆使しながら、「小泉改革」にたいする支持の世論をあおりたてているのである。
 実に痛苦なことには、このような小泉政権のワイドショー的手法が一定程度功を奏してしまっているのだ。社・共既成反対運動指導部の完全な腰砕けにも助けられながら、小泉政権が掲げている「痛みをともなう構造改革」が、あたかも自民党橋本派や霞が関官僚どもにたいする「闘い」ででもあるかのような幻想が一定程度つくりだされているといえる。田中真紀子と外務省官僚とのバトル≠ェ、そのような幻想をいっそうかきたててさえいるのだ。だがしかし、われわれは次のことを断固として暴きだすのでなければならない。小泉が掲げる「聖域なき構造改革」なるものは、そのプランの隅から隅までが、市場原理万能主義に貫かれたものであり、独占資本家どもの大リストラ攻撃にフリーハンドを与え・社会保障制度を大改悪し、労働者階級・勤労人民を弱肉強食の生存競争≠ノおいやることを内実とするものにほかならないということを。もしもその実施を許してしまうならば、小泉のいう「痛みをともなう改革」の言葉より以上に、労働者階級・勤労人民はすさまじい痛みと苦しみを味わわされることになるのだ。というのも、今回発表された「原案」の内容にこそ、首相・小泉が謳う「聖域なき構造改革」なるもののネオ・ファシズム的本質が毒々しく貫かれているのだからである。

(1) 出羽の守$サ「改革」の戯画

(2) 「日本経済再生」への試行錯誤

(3) 新自由主義の反人民性の露出
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わが同盟への弾圧強化を叫ぶ扇国土交通相の国会答弁弾劾!
自由党・西村真悟とヤジキタ問答

 「日本の核武装」を公然と唱え、尖閣列島(釣魚諸島)への「上陸」を試みたりした札つきの右翼ゴロツキ代議士=自由党・西村真悟は、JR会社法改正案(JR本州三社の完全民営化=政府持ち株の一〇〇%放出など)を審議するために開かれた五月二十五日の衆議院国土交通委員会において、この法案とはまったくかかわりのない「革マル問題」なる質問を延々と四十分におよんでくりかえした。(六月七日にも、参議院国土交通委員会でJR連合議員懇の民主党・山下八洲夫が同様の質問をくりかえした。)
 西村は、わが同盟を「反社会集団」として印象づけるために、ありもしないことを捏造しながら質問し、警察庁警備局長・漆間や国土交通相・扇らの意図的答弁を引き出す役割を買ってでた。そして西村の質問に応えて扇や漆間は、JR総連・JR東労組とわが同盟とが同一であるかのような言い回しをして、治安対策上の由々しき事態としておしだしている。そして許しがたいことに、新幹線のレールにチェーンをまきつけたり、新幹線の犬釘をぬいたこと、香川県坂出の送電線鉄塔を切断したことなど、数年前に引き起こされた権力者による謀略を、あたかもわが同盟や組合がしくんだ組織的な犯罪であるかのような虚構をつくりあげることに血道をあげたのである。まさにこの手口こそは、かの戦後三大謀略を労働者・組合員のしわざなどと政府権力者がわめきたてたこととまるっきり同じではないか!
 われわれは彼らのわが同盟にたいする階級的憎悪をたぎらせたそのようないわれなき中傷を弾劾し、弾圧=組織破壊攻撃を強化するための策動を粉砕する闘いを展開しなければならない。その一環として、すでにわれわれは扇国土交通相らにたいして、衆議院国土交通委員会における彼らの欺瞞的にして反動的なやりとりを弾劾する抗議文を手交してきた。〔六月四日に配達証明付きで抗議文を扇に郵送した。別掲〕

「列車妨害や送電線鉄塔破壊も革マル派・JR総連の犯行」
西村が大デマ!

「JR東労組東京地本のビラは国会審議を冒涜」
扇が暴論!

 
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神戸小学生惨殺事件から4年
元校長が事件の真実に迫る
『校長は見た! 酒鬼薔薇事件の「深層」』(五月書房刊)

 神戸小学生惨殺事件から四年。事件当時神戸市立友が丘中学校の校長であった岩田信義氏が、『校長は見た! 酒鬼薔薇事件の「深層」』(五月書房刊)という本を出版した(五月二十八日)。
 ここにおいて岩田元校長は、そのタイトルのとおり、自身が目のあたりにしたマスコミ(とりわけ「朝日新聞」)による記事の捏造と、その背後における警察との癒着を突きだすことをつうじて神戸事件の「深層」に迫っている。こうして本書では、「『声明文』や『懲役一三年』は少年Aとは別人が書いたもの。犯人はもう一人いる」と言い切っているのである。
 神戸事件の謀略的権力犯罪としての真相と・その深層を究明し社会的に明らかにするために、労働者・学生・市民や文化人諸氏が先頭にたっておしすすめてきた闘いが前進することによって、「A少年=犯人」説にたいする疑惑が、ついに学校関係者からも公然と噴き出しはじめたのである。

「『朝日新聞』は故意犯だ」

「警察にべったり」とマスコミを告発

「挑戦状はA少年には書けない」と断言

真相究明の大きなうねりを巻きおこそう!

 
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