第1653号(2001年1月29日)の内容


<1面〜3面>
2001年春闘の戦闘的構築を!
資本に全面屈服し資本の土俵の上での労使協議に
春闘を解消する
「連合」労働貴族を弾劾せよ

中央労働者組織委員会


<4〜5面>
リニア新幹線建設をめぐる政府・支配階級内の対立・抗争
JR労働者への人員削減・労働強化、勤労人民への増税をもたらす リニア新幹線建設の策動――その反労働者性を暴く!

〈補〉「技術立国」戦略にもとづく超電導技術開発

<6面>
都労連本部の石原当局への屈服と裏切りを弾劾せよ!
Topics 「連合」版首切りセーフティネット
「連合メンバーズカード」の犯罪性

<8面>
2001年 年頭の決意(4)
中国地方委員会/社会事業労働者委員会/中小企業労働者委員会
神奈川東部地区反戦労働者会議

<7面>
万華鏡2001――情勢の断層を読む
あれから10年
バルカン・シンドローム
言い逃れ
部外者≠フ悲鳴
最後のおつとめ
・新年号〈20世紀人物写真〉正解
週間日誌<世界の動き・日本の動き>


「解放」最新号



  

2001年春闘の戦闘的構築を!
資本に全面屈服し資本の土俵の上での労使協議に春闘を解消する
「連合」労働貴族を弾劾せよ

中央労働者組織委員会

はじめに

 生命保険会社の相次ぐ経営破綻、ゼネコンや流通業の経営不振と倒産、これらを契機に再燃し始めた金融諸機関諸独占体の不良債権問題。九九年以来の「ゆるやかな景気回復」も束の間に、昨二〇〇〇年をとおしての国際原油価格の高騰を背景にして日本経済はふたたび不況圧力の増大に見舞われている。これに追い撃ちをかけるかのように、二〇〇一年のっけからアメリカのナスダック市場ならびにニューヨーク市場での株式の急落がひきおこされた。自動車をはじめとした製造業諸独占体の業績不振、クリスマス商戦の不振に示される民間消費の低迷、そしてアメリカの奇跡≠支えてきたはずのIT関連株の急落、……。明らかにバブル経済の崩壊の始まりを示すこれらの事態は、対米輸出の落ちこみとして日本経済を直撃し、「ゆるやかな景気回復」の底の浅さを再びみたび露わとするにちがいない。
 たしかに、昨年九月期決算において日本の諸独占体は、特定の勝ち組≠ニ称される諸独占体を中心にして増収増益ないしは減収増益を果たした。とはいえ、いわゆる「ゆるやかな景気回復」なるものは、業種間・企業間の著しい跛行性をはらんだ斑模様≠フものでしかなく、携帯電話、パソコンなどの一部の製品を除いては民間消費は冷え込んだままである。それは、もっぱら諸独占体の過酷なリストラによる首切り・賃金切り下げなど労働者への犠牲転嫁にもとづくものでしかなく、森政権が惰性的にとっている公共投資中心の景気対策に支えられたものでしかないのである。いわゆる雇用なき景気回復≠ネるものの実態はそのようなものでしかないのだ。
 そもそも、失業者数は企業倒産やリストラなどによって、いまなおうなぎのぼりに増加している。政府(労働省)発表の二〇〇〇年十一月の完全失業率四・八%、三〇九万人という統計上の膨大な失業者数にしても、実は女性を中心としたいわゆる「不安定雇用」の増大によって実態よりも低くおさえこまれた数字にすぎないのだ。
 それにもかかわらず、「連合」労働貴族どもはいう。「日本経済はようやく明るさを取り戻しつつある」「この流れを確実なものとすることが、いま問われている」(二〇〇一年版『連合白書』)と。そして、「二%程度の実質成長率を確実なものとするために」労働者は「純ベア一%」という要求を二〇〇一年春闘において――昨二〇〇〇年と同様に――掲げるべきなのだ、と。去るも地獄、残るも地獄≠フ一大リストラによって生みだされている悲惨な労働現場・職場実態を意図的に無視抹殺しているのみならず、そもそもそのような事態を資本家どもと一体となってつくりだしてきた労働貴族ども。その彼らの二〇〇一年春闘方針とは、独占資本家どもの第二次リストラ攻勢に尻尾をふって呼応し協力するための方針でしかないのだ。いみじくも彼らは言っているではないか。「リストラによる企業の収益改善にたいして適切な配分を求めていく」と。かつてはパイの分け前≠フ名のもとに労働者を生産性向上に駆り立てたのが労働貴族どもであった。右肩上がりの経済≠ェ終焉したいまは、首切りの分け前≠こそ労働者は要求すべきだ、というわけなのだ。この「連合」労働貴族どもの反労働者性も露わな立ち回りを下から打ち破る闘いを創造することなくしては、日本労働者階級の未来を、いや明日≠切り開くことは決してできないのである。
 しかも、いまや、アメリカの景気後退とバブル経済の崩壊の予兆に脅えている日本支配階級は、直面している大不況下の危機を暴力的に突破することをも企んで、これまでにも増して凶悪凶暴な策動をくりひろげつつある。「失われた十年」の間に失墜した経済大国・日本≠フ権威を回復しアジアの盟主≠ニしての地位を確立するために今現在彼らが強行しようとしているのが、日米安保同盟の強化を絶対的基礎としつつも対米自立≠フ方向で今日版大東亜共栄圏を構築する攻撃であり、日本型ネオ・ファシズム支配体制の反動的強化の攻撃であり、それらを完遂するための憲法改悪・教育基本法改悪にほかならない。アジア人民の血を吸った天皇制ボナパルチズム権力下の軍国主義日本を現在的に復興することを企むこの日本政府・支配階級のドス黒い野望を全力を挙げて阻止すること、これこそが日本労働者階級の現在的任務にほかならない。
 わが戦闘的・革命的労働者は、今日版の産業報国運動を推し進める「連合」労働貴族どもを弾劾するイデオロギー的=組織的闘いを、二〇〇一年春闘のただなかにおいて下から・職場から推し進め、「連合」そのものを解体構築するために断固としてたたかうのでなければならない。
 (以下、章見出し)
1 危機突破をかけて労働者への犠牲転嫁に狂奔する政府・独占資本

2 「救国」産報運動を食い破る戦闘的労働運動の奔流を創造・強化せよ
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リニア新幹線建設をめぐる政府・支配階級内の対立・抗争

 昨年暮れに森政権と三与党は、整備新幹線の三区間をフル規格で新規着工することなどをもりこんだ二〇〇一年度予算案を決定した。すなわち、整備新幹線の三区間(北陸新幹線の上越〜糸魚川、新黒部〜富山、九州新幹線の博多〜船小屋)をフル規格で新規着工する。すでに「スーパー特急」方式で建設中の二区間(北陸新幹線の糸魚川〜新黒部、九州新幹線の船小屋〜西鹿児島)をフル規格に変更する。さらには東北新幹線の盛岡〜新青森の工期を短縮する。これらを政府案として決定し、そのために国家財政からは二二九三億円(二〇〇〇年度予算比二・一三倍)を支出することを予算案にもりこんだのである。もちろん、彼らはJR各社と地元自治体にも応分≠フ負担の増大を求める肚を固めたのだ。
 森喜朗、野中広務、亀井静香ら政府・自民党首脳は、株価下落・円安にその兆しを露わにした日本経済の景気回復の腰折れをなんとしてもくいとめるために、二〇〇一年度予算案に大型公共事業を大盤ぶるまい的にもりこんだのだ。まさに、その目玉商品が、整備新幹線の全区間フル規格での建設という計画にほかならない。(整備新幹線問題については本紙第一六五二号、吉田忠雄論文を参照)
 そして同時に政府・支配階級は、「東京―大阪間五〇〇キロリニア中央新幹線」計画なるものを掲げて、その実現のための研究・開発を国家的プロジェクトとして推進しているのだ。「東京―大阪五百キロが一時間で結ばれ……、自然に恵まれた人口七千万人を擁する広大なエリアが一つのビジネス・生活圏として世界最大の市場になる」(昨年JR東海とJR西が主催した「高速鉄道国際会議二〇〇〇」の基調講演)などと語りながら。
 もちろん、リニア新幹線計画そのものが直面している技術上・コスト上・財源上の諸困難(以下で具体的に紹介する)はなんら打開できているわけでも、打開のメドが具体的にたっているわけでもない。にもかかわらず政府・支配階級は、世界唯一の超電導式リニアモーターカー°Z術をば、新世紀におけるイノベーションのひとつに位置づけて、リニア新幹線計画をなにがなんでも実現しようとしているのだ。
 実際、運輸省の超電導磁気浮上式鉄道実用技術評価委員会は、二〇〇〇年三月九日に、山梨実験線で三年間走行試験を実施してきたリニア新幹線について、「超高速大量輸送システムとして実用化に向けた技術上の目処はたった」という結論をだした。運輸省は、わずか一八・四キロメートル、試験走行時間はたったの四分余り(時速五〇〇キロメートルの走行時間はほんの数十秒)でしかない箱庭的な山梨リニア実験線での走行試験をもってリニア新幹線建設の「技術上の目処」を強引に宣言したのだ。
 これをうけてJR東海と鉄道総合技術研究所は二〇〇〇年四月から五年後をめどに「コスト低減」を中心課題とする技術開発にのりだすことを表明している。とはいえ、五兆円弱という莫大な長期債務をいまもなおかかえているJR東海社長の葛西は、財務上の体力を大きく超えるリニア中央新幹線建設の巨額の出費を背負わされることに逡巡している。そしてこのことをも大きな要因として葛西は、JR完全民営化にたいして、「電力会社並の債務二兆円台であればいいが」という条件を主張してこれを拒んできたのだ。このような葛西の態度を「リニア計画への熱意が薄くなっている」ものとみなして苛立ちをつのらせている自民党の亀井静香は、「熱心に取り組まなければ計画自体を(政府・自民党が)取り上げるぞ」と葛西を恫喝してきた。そして運輸相・扇は、十二月初旬に次期通常国会にJRの完全民営化のための「JR会社法」の改定案を提出する意向を表明したのである。
 いまや長期大不況と国家財政の未曽有の赤字のもとで、国家的プロジェクトとしてのリニア新幹線建設計画をめぐる政府・支配階級内の対立はますます激化の一途をたどっている。そして整備新幹線建設とリニア新幹線開発における財源上の障壁をのりこえるために、政府・JR各社経営陣は、JR労働者にたいしては大量人員削減・首切りや極限的な労働強化などをかけるとともに、勤労人民にたいしてはよりいっそうの過酷な増税などの大衆収奪の攻撃をかけ犠牲を転嫁してくるであろう。われわれはリニア新幹線建設のためのあらゆる犠牲転嫁の策動の反労働者性を完膚なきまでに暴きだし、それを粉砕するためにたたかうのでなければならない。

 (以下、章見出し)
A 「実用化の目処がたった」と強弁する運輸省

B 立ちふさがるコスト上の巨大な障壁

C リニア建設をめぐる利害対立の尖鋭化

D 超電導技術開発をもかけた国家的プロジェクトの推進

補 「技術立国」戦略にもとづく超電導技術開発
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最後のおつとめ -- 唯一の虚点≠フ潰しかた

 青解・山茂派が二十数年間にわたって活動・生活の虚点≠ニして使用していた明治大学学生会館など四施設(千代田区神田・2068・駿河台、杉並区和泉、川崎市生田)が、一月七日に、機動隊・公安デカの配備のもとで明大当局によって封鎖された。
 マスコミは、この明大学館等の閉鎖を、仰々しく報道。フジテレビは、二日前の一月五日に、「明大当局は、学生会の公認停止を決定」し「学生会館については、バリケードを勝手に築きあげ要塞化している」から「全面的に使用禁止」にしたと、予告&道。日本テレビにいたっては、一月十二日に、「見た! 過激派の拠点」などと特集を組み、封鎖以前に、明大当局の案内で日テレの報道局員が明大学生会館内にテレビカメラを持ち込み収録したものをも含め、千木良派の襲撃≠ノ備えた消火器やコーラビンなどをも映しだしながら、「荒廃した過激派の拠点」をこれ見よがしに放映。
 もちろんこれは、権力にとってはシナリオどおりの演出。これまでの山茂派にたいする仕打ちをみれば、それは一目瞭然。昨年五月十五日の和泉キャンパス内新学生会館への「放火ゲリラ」事件。六月八日に、警察権力が頭目・山田茂樹ら山茂派十七人を「凶器準備集合罪」で丸ごと逮捕。七月九日には、生田学生会館への家宅捜索に際して、「凶器を発見した」と称し山茂派十名を逮捕。さらに、八月三十日の「明大生協従業員労組委員長」片山美恵子「襲撃」事件。そしてついには、十一月二日に、明大学生部長・長尾史郎への「襲撃」事件……。
 こうして、四半世紀の長きにわたって青解派を用心棒≠ニして飼いならし、ヨセ場≠ニ「城」を提供してきた明大当局も、ついに彼らと手を切り放逐せざるをえなくなった、――ということなのだが、この明大学生部長襲撃事件にしても、山茂派がやったとは思えない。一切が権力によって演出されていることは明らかではなかろうか。
 山茂派にたいする逮捕、襲撃、そして虚点≠ツぶし……。これらは、用済みスパイ≠最後的に抹殺処分しようとするものだけれども、これをも治安弾圧の強化のために活用しようというのが、権力の狙い。いいかえれば、惨めにつぶされることが、走狗どもの最後のおつとめ。「過激派には人権などない」という社会的風潮づくりと、弾圧の一挙的エスカレートを許してはならない。
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