「対テロ戦争」への出撃のための
米原子力空母「リンカーン」の佐世保入港反対!

今日版祖国防衛主義に転落した社共既成指導部をのりこえ、
有事法制定阻止闘争をさらに推し進めよう!

         革共同革マル派 九州地方委員会

 八月十六日、アメリカ原子力空母「エイブラハム・リンカーン」が、物資の補給のためと称して佐世保入港を強行した! アメリカ・ブッシュ政権は「悪の枢軸」と呼ぶイラクへの軍事攻撃をも視野に入れて、この空母「リンカーン」をアラビア海に出撃させようとしているのだ。と同時にブッシュ政権は、「対テロ戦争」という名の全世界各地への侵略の最前線基地として、日本を全面的に稼働させようとしているのだ。広島・長崎の「平和宣言」において、アメリカの報復戦争に抗議する悲痛な叫びが発せられているにもかかわらず。われわれは、腹の底からの怒りをもってこの米原子力空母の入港に反対する! アメリカ帝国主義によるイラク侵略を絶対に許さない! ブッシュ政権の「対テロ戦争」の拡大に協力し、本格的な参戦を企む小泉政権の策動を許すな!

 ブッシュ政権によるイラクへの
 軍事攻撃を許すな!
 
排水量十万二千トン、五千五百人乗り込みという偉容を誇る巨大な原子力空母「リンカーン」は、核ミサイルを搭載可能なFA18E戦闘機「スーパーホーネット」など約85機を満載し、物資や食糧の補給のために佐世保に入港した。そして四日ほどの後に、空母「ケネディ」に替わってアフガニスタン攻撃に加わるとともに、イラク侵略をも射程に入れて行動するために、戦闘態勢を整えてアラビア海にむけて出撃しようとしている。多数の随伴艦の内の一つである巡洋艦「シャイロー」は、核トマホーク搭載の攻撃型イージス艦であり、これは博多港に入港した。まさにこの空母艦隊はイラクへの核攻撃をも想定した臨戦態勢をとっているのである。佐世保や博多はブッシュ政権の「対テロ戦争」という名の侵略戦争の最前線基地と化しているではないか!
 さらにブッシュ政権は、この八月二十七、二十八日には国務副長官アーミテージを来日させ、「日米戦略対話」なるものを実現しようとしている。昨秋「ショウ・ザ・フラッグ(日の丸を上げろ)」と恫喝して、小泉にアフガニスタン侵略への参戦を押し込んだアーミテージは、今回はイラクへのアメリカの軍事行動に対する日本の全面的な協力=本格的な参戦をねじ込むためにこそ、来日しようとしているのだ。ブッシュ政権は、米空母の入港によって軍事的にイラク侵略への協力態勢をとらせるとともに、アーミテージの来日を通じて政治的にイラク侵略への本格的な参戦を小泉政権に迫っているのである。(裏に続く)
 こんにちブッシュ政権は、「対テロ戦争」の拡大を図りつつも、その行き詰まりに直面している。アフガニスタンはすでに米軍にとって「第二のベトナム」と化している。その上、ブッシュに尻押しされたシャロン政権のパレスチナ軍事攻撃と虐殺は、あいつぐ十代の青年たちの果敢な自爆攻撃の前に、その反人民性をますます浮き彫りにしている。アラブ民衆の〈反米・反シオニズム〉の激しい怒りはますます燃えさかっている。まさにそれゆえにブッシュは、その行き詰まりを強行突破するために、アラブ権力者たちだけではなく、欧州諸国の権力者たちの反対の声をもはねつけて、イラクへの軍事攻撃に打って出ようとしているのだ。それだけではない。ドルと株の大暴落によって、アメリカはついに経済的にもその終焉を開始した。まさにこの経済的危機をのりきるためにも、そしてまた今秋の中間選挙に勝ち抜くためにも、ブッシュ政権は「対テロ戦争」の拡大に打って出ざるをえないのだ。

 小泉政権によるイラク侵略戦争への本格的参
 戦の策動粉砕!

 イラク攻撃において戦術核兵器の使用をも公言しているブッシュ政権の要請をうけいれ、核兵器を搭載している米原子力空母を入港させた小泉政権は、この「リンカーン」の佐世保入港時には海上自衛隊の艦船を護衛に当てることを強行した。作戦行動中の空母を自衛艦が護衛することによって、憲法を踏みにじり、集団的自衛権の行使に踏みだしているのだ。明らかに小泉政権は、イラク攻撃における参戦=日米共同作戦行動を先取りするかたちで、米空母の入港受け入れを強行したのだ。
 それだけではない。アーミテージ国務副長官との「戦略対話」をつうじて、ブッシュ政権によるイラク攻撃に全面的に協力=参戦する姿勢を固めようとしている小泉は、秋の臨時国会で侵略戦争法=有事法の制定を強行することに躍起となっている。民主党の意見を逆手にとって「国民保護法制」をも早急に制定すると称して、「思想・信条の自由」の規制をも明記したよりいっそう反動的内実をむき出しにした有事法の制定を、小泉政権は強行しようとしている。そして、多くの市民や自治体の反対の声をも無視して、この八月五日には住基ネットの実施をも強行したのである。

 既成指導部の祖国防衛主義への転落をの
 りこえて闘おう!

 この春、近年にない盛り上がりを見せた有事法反対闘争は、しかし小泉の「迂回作戦」の前に、危機的状況を呈している。この「リンカーン」入港に際しては、現地地区労を先頭にして平和フォーラムは「全国闘争」として取り組んでいる。にもかかわらず、社共既成指導部に指導されたこんにちの反戦・平和運動には致命的な弱さがあると言わざるを得ない。「今の情勢では日本に攻めてくる国はないから、有事法はいらない」(社民党)とか、「外国に軍隊を派遣する有事法には反対」(共産党)などというように、「自国を守る」ことそのものを肯定した上で、あるべき安保政策の代案を対置することにうつつをぬかしているのだ。彼ら既成指導部は小泉の「国防」論議にからめ取られている。彼らは今日版の祖国防衛主義に転落していると言わなければならない。そのゆえにこそ彼らは、ブッシュ政権の「対テロ戦争」という名の侵略戦争に危機意識をもって反対運動を組織することも、またそれに協力する小泉に怒りをもって反対することもできないのだ。

「対テロ戦争」の拡大を阻止する国際的闘いを!
 すべての労働者・学生・市民のみなさん! いよいよユニラティラリズム(アメリカ一国優先主義)を前面に押し出しながら、凶暴な牙をむき出しにするブッシュ政権の「対テロ戦争」という名の侵略戦争をうち砕く国際的な反戦闘争の高揚をいまこそかちとらなければならない。〈反米・反シオニズム〉を掲げて闘うイスラム人民と連帯し、イスラエルのパレスチナ軍事攻撃弾劾! アメリカ帝国主義のイラク侵略反対!の反戦闘争を闘い抜こう。小泉政権のイラク侵略戦争への参戦阻止!の闘いを、いま直ちに構築しよう。日米安保同盟のグローバルな強化反対! 憲法改悪反対! 既成指導部の祖国防衛主義への転落をのりこえ、有事法制定阻止闘争を戦闘的に再構築しよう!
 本日の米空母「リンカーン」入港反対闘争を最後まで戦闘的に闘い抜こう!