米兵による婦女暴行事件弾劾!
 在沖米軍基地の対中国最前線基地としての強化反対!
  社共既成指導部による「地位協定見直し」要求運動をのりこえ、
    <基地撤去・安保破棄>めざしてたたかおう!



 すべての労働者・学生諸君!
 6月29日午前2時5分ごろ、沖縄県北谷町美浜の「サンセット美浜」の駐車場において、米兵によって20代の女性が暴行されるという断じて許しがたい事件が引き起こされた。しかも、あろうことか米軍司令部はブッシュ政権の指示にもとづいて、この蛮行をはたらいた米兵の日本官憲(沖縄県警)への身柄引き渡しを、日米地位協定を盾にして拒否し、かばい続けたのだ。暴行に手を染めた米兵の「人権の尊重」(!)なるものを口実としておしだしながら。この米軍当局ならびにアメリカ政府のごう慢極まりない態度は、1995年9月の3人の米兵による少女暴行事件をまざまざと思いおこさせ、すべての沖縄の労働者・人民の憤激をいっそうかきたてずにはおかなかった。
 刻一刻と高まり渦まいた労働者・人民の憤怒に満ちた糾弾の声をつきつけられて、アメリカの権力者は、事件発生から一週間もたった7月6日に、ようやく米兵の身柄を日本側に引き渡した。このことをもって日・米双方の権力者は「円満な決着をみた」などとほざいている。だがしかし、われわれは、このような米兵の蛮行とアメリカ権力者の傲岸な対応を断じて許しはしない。われわれは、社・共既成指導部による「地位協定見直し」要求運動をのりこえ、<在沖米兵の婦女暴行事件弾劾! 在沖米軍基地の対中国最前線基地としての強化反対!>の闘いを断固として創造し、<基地撤去・安保破棄>めざしてたたかうのでなければならない。

臨戦態勢強化のなかで、再び繰りかえされた米兵の蛮行

 またしても引き起こされた米兵による婦女暴行という憎むべき蛮行と米軍司令部の身柄引き渡し拒否に対して、沖縄の労働者・人民の怒りは沸点に達した。わが県学連の闘う学生をはじめ沖縄の労働組合・市民団体や女性団体が連日抗議行動に立ち上がっている。また地元北谷町をはじめとする自治体の議会でも「抗議決議」が次々とあがっているのだ。日ごとに津波のごとく高まる米軍当局・アメリカ政府への怒りと糾弾の渦のなかで、7月6日の午後3時半ごろ、ベーカー駐日アメリカ大使は、外相・田中真紀子に、米兵の「身柄引き渡し」に同意するという「アメリカ政府の決定」を伝えた〔そして同日午後8時50分に米兵が逮捕された〕。しかしこのことは、これ以上「身柄引き渡し」を拒みつづけるならば労働者・人民の怒りの抗議の高まりによって、日米安保同盟にもとづく在沖米軍基地の存続を危うくしかねないと焦燥感をつのらせたアメリカ政府権力者が、やはり同様に日米同盟に亀裂を入れかねない事態を恐れた日本政府の要望を聞き入れ、抗議運動の沈静化をはかるために下した「決定」にほかならないのだ。
 じっさいアメリカ帝国主義権力者は、今回の起訴前の犯人の引き渡しについてはアメリカ側の「好意的な配慮」にもとづく「例外的措置」であることを押し出しているのであり、地位協定の改訂要求などには断じて応じないという姿勢を明確にしてさえいる。
 95年の少女暴行事件を契機とした労働者・人民の反米・反基地の怒りの高まりをおさえこみ、あくまでも在沖米軍基地の安定的維持をはかるためにこそ合意してみせた日米地位協定の「運用面での改善」なるものの欺瞞性が、そして日米安保同盟の維持強化をこそ何よりも最優先するというアメリカ権力者の階級的意志が、今ふたたび赤裸々にさらけだされたのだ。
 他方、先の日米首脳会談においてこの事件にただのひと声も触れさえしなかった首相・小泉は、アメリカ政府との合意を「地位協定の運用面での改善でうまく納得できるような解決ができた」などといけしゃあしゃあと言ってのけた。いや日米首脳会談でブッシュとともに「日米の揺るぎない同盟」を謳いあげ「沖縄の基地の重要性を認識している」と宣誓した小泉は、“これで一件落着”とばかりに涼しい顔をして、県当局などの「地位協定改定要求」など歯牙にもかけず、むしろ在沖米軍基地の再編強化にいっそう協力していこうとしているではないか。
 そもそも、今年1月以降をとっただけでも、米兵による犯罪や米軍事故はたえることなく繰り返されている。今年1月の金武町における米海兵隊員による女子高生に対する強制わいせつ、2月の北谷町での米海兵隊員による連続放火事件、3月の米海兵隊員による日本人従業員へのモデルガンでのプラスチック弾発砲など枚挙にいとまがないほどなのだ。6月だけでもプラスチック弾発射事件、普天間基地所属ヘリからの民間地域への米軍物資の落下事件など、県民の命を奪いかねないような悪辣きわまりない米兵犯罪・米軍事故は後をたたないではないか。
 いくら米軍当局が「綱紀粛正」や「良き隣人政策」なるものを押しだそうとも、それは、沖縄の労働者・人民の怒りを押さえ込んでいくためのおためごかしでしかない。実際、今回の婦女暴行事件当日に、「県民は……米軍基地の支援に多大な貢献をしてきた。この地域の平和と繁栄に大きな役割を果たしていることに誇りをもってほしい。いやもつべきだ」などと平然とのたまったのがジョーンズ米海兵隊総司令官であった。米兵犯罪や米軍事故による苦痛と苦悩を沖縄の労働者・人民に強要しておきながら、「米軍基地への多大な貢献」を「誇り」をもって担いつづけよなどと、ごう慢このうえない説教を垂れているのが米軍当局なのだ。
 言うまでもなく、ここ沖縄における米兵犯罪や米軍事故の続発という事態こそは、在沖米軍の臨戦態勢のエスカレートのただなかで生みだされているものなのであり、今日の東アジアにおける米・中の角逐を焦点とした戦争的危機の高まりのもとで必然的に引き起こされている事態にほかならない。いま、アメリカのブッシュ政権は、「最大のライバル」として台頭しつつある中国を軍事的・政治的に封じ込めていくために、「二正面戦略の見直し」をはかり、「アジア重視」の新たな軍事戦略をうちだしている。すなわち「パワーシェアリング」の名のもとに日米安保同盟の強化=日米共同のアジア・中東侵略戦争遂行体制の構築を策しているのがアメリカ帝国主義なのであり、かつそのためにも、在日(在沖)米軍基地の「有事即応能力」の維持・強化に狂奔している。まさにブッシュ政権は、沖縄をはじめとする在日米軍基地を、対中(露)の最前線基地として飛躍的に強化しようとしているのである。そしてそのために名護市辺野古への新型輸送機オスプレー配備に対応した新海兵隊基地や浦添新軍港の建設を強行しようとしているだけではない。台湾海峡をにらみ波照間島・下地島の両民間空港を有事即応基地として確保すべく、新ガイドラインにもとづいて強制的に使用しているのである。さらには米海兵隊の訓練地域を、「沖縄県民が背負っている負担を軽減する」ためなどとおしだしつつ、グアムやフィリピンなどのアジア各地に拡大しようとしているのである。

「反安保」抜きの「地位協定見直し」要求運動をのりこえ、
<反戦・反安保>の闘争の高揚をかちとれ!

 
だが、このように、アメリカの権力者が、あいつぐ米兵犯罪や米軍事故を引き起こし開き直りながら、沖縄の対中国最前線基地としての強化を策しているなかで、「日米地位協定の見直し」と「海兵隊削減」を日・米両政府に懇願するものへと一切の闘いをきりちぢめてしまっているのが社共をはじめとする既成反対運動指導部にほかならない。
 米兵の暴行事件を前にして、「連合沖縄」の指導部は抗議の県民大会を呼びかけている。だが彼らは「地位協定改定と海兵隊削減要求」を「県民ぐるみの要求」とするために、と称してまたしても県知事・稲嶺の担ぎだしに腐心したのだった。〔それ自体は稲嶺にむげに断られた〕。いやそればかりか一部の悪質ダラ幹は「超党派」での県民大会の開催に固執しつづけ、自民党の国会議員を実行委員会に導き入れようとかたくなに主張しさえしたのだった。このように、社民党系および民主党系の既成指導部は、「県民ぐるみの運動」の名のもとに、<反安保>を完全にたなあげし、ただただ「地位協定改定」「海兵隊削減」にのみ要求を切り縮めているのであり、またそうすることによって沖縄における反基地闘争を稲嶺県当局の応援団へと変質させようとしているのである。
 日本共産党にしても、ただただ、「日本政府の対米追随姿勢」をなじり、「日米地位協定の抜本的改定」を日本政府は「主権国家」としてアメリカ政府に求めるべきだ、と主張しているにすぎない。だがしかし、これでは、日米安保同盟の安定的維持をはかるという観点から「地位協定の見直し」を政府に要求しているにすぎない自民党や稲嶺県当局を事実上尻押しすることにしかならないではないか。県知事や県内保守勢力が反基地運動の沈静化とからめとりのためにこそ「地位協定改定」などの要求を掲げていることの欺瞞性を暴きだし、あいつぐ事件・事故の根源をなす日米安保同盟の強化そのものに反対していく意志の広汎な創造と結集を、むしろおしとどめ破壊するものでなくて何であろうか。
 われわれは、このような既成指導部による<反安保>ぬきの「地位協定見直し」「海兵隊削減」要求運動をのりこえ、米兵の婦女暴行事件を弾劾し、在沖米軍基地の対中最前線基地としての強化に反対してたたかい抜くのでなければならない。
 名護市への新海兵隊基地建設をはじめとするいっさいの在沖米軍基地の再編強化に反対するとともに、小泉政権がうちおろしている「集団的自衛権行使」の合憲化や有事法制定そして憲法改悪の諸攻撃を断乎としてうち砕き、新ガイドラインにもとづく日米共同の侵略戦争遂行体制づくりを粉砕しよう。
 米兵の蛮行と米軍当局のごう慢さに怒りをたぎらせているすべての沖縄の労働者・人民の先頭にたち、わが革命的戦闘的労働者と学生のたたかう部隊は、<反安保>をたかく掲げ、<基地撤去・安保破棄>をめざして断乎としてたたかい抜くものである。
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