米帝のアフガン侵略阻止!
 
日本の参戦を断固阻止せよ!
  今こそ戦争放火者どもの蛮虐を打ち砕く
  国際反戦闘争の烽火を!

 アメリカの世界貿易センタービルとペンタゴンにたいして、イスラム復興主義のゲリラ・グループを実行部隊として敢行された<ジハード=聖戦>の名における自爆攻撃。――ハイジャックした民間航空機もろとものこの体当たり・自爆攻撃は、全世界民衆の憎悪と怨嗟(えんさ)の的となってきた「世界最大のならず者国家」アメリカ帝国主義の土手っ腹に巨大な風穴をあけ、アメリカン・グローバライゼーションによる世界独覇の野望をたぎらせ驕(おご)り高ぶってきたヤンキー帝国主義の権威と威信を轟音とともに崩落させた。
 まさにそれゆえに、茫然自失となり恐怖にうち震えながらも、「世界唯一のスーパーパワー」の頭目としてのメンツをつぶされ怒り狂った大統領ブッシュは、ほかならぬCIAが育ててきたイスラム復興主義者=ウサマ・ビンラディンを「極悪犯人」に仕立て上げ、彼を中心とする「テロリストのネットワーク」と「テロ支援国家」への全面的「報復戦争」への突入を宣言した。ブッシュは、全世界各国の権力者どもにむかって「アメリカにつくのか、テロリストの側につくのか」などと脅迫のドスをつきつけてみずからへの随順を強制するとともに、ビンラディンが身を寄せてきたアフガニスタンのタリバン政権に「ビンラディンの身柄引き渡し」という最後通牒をつきつけた。そしてそれが「拒否」されるのを見とどけるまでもなく、空母や爆撃機・戦闘機をインド洋・ペルシャ湾に集結させ、「イスラム原理主義の巣窟」とみなしたアフガニスタンのタリバン政権を、さらには「テロの黒幕」とみたてたイラクのフセイン政権を殲滅(せんめつ)≠キるための軍事行動を開始したのだ。
 このようなアメリカ帝国主義・ブッシュ政権のなりふりかまわぬアフガニスタン・中東侵略戦争への突撃にたいして、いちはやく「報復全面支持」を表明したのが、わが日本の小泉政権にほかならない。しかも、アメリカのアーミテージ国務副長官の「ショー・ザ・フラッグ(日の丸を見せろ)」という恫喝に縮みあがり、「湾岸戦争におけるような屈辱は二度と味わわない」という強迫観念に衝き動かされた小泉は、「米軍の後方支援」の名において、イージス艦「きりしま」と早期警戒機AWACSを派遣するというかたちでの自衛隊の<参戦>を急きょ決定し、いままさに強行しようとしているのだ。このようにして日本政府は、「同時テロ事件にたいするアメリカ政府の対処への全面支援」を名分としながら、彼らの悲願であった「集団的自衛権の行使」という名の本格的参戦に、かつ・それにそなえる国内有事臨戦態勢の構築に、そして憲法第九条の改悪に、まさに火事場泥棒的に突進している。いっさいの既成野党が「無差別テロ弾劾」の大合唱に唱和し、「アメリカ支援」の大波にのみこまれていることに勢いづき、それを援軍としながらである。
 こうしていまや、アメリカはもとより、西欧の、そして日本の帝国主義諸国権力者どもは、こぞって新たな侵略戦争態勢に突入している。夥(おびただ)しい数の労働者・人民を、この「テロリズムから文明を守るため」と称する戦争に、実は地に墜ちたヤンキー帝国主義の権威と威信を防衛するためだけの侵略戦争に、動員しようとしているのだ。それこそは、数億の中洋イスラム圏の人民を血の海に沈めるための皆殺し戦争であり、全世界の労働者・人民を第三次世界大戦の地獄へとたたきこみかねない狂気の戦争にほかならない。
 この世界戦争の危機にさいして、わが同盟は訴える!
 今こそ、全世界の全ての心ある労働者・知識人・学生・市民は、世界民衆を新たな大戦の惨禍にたたき込もうとするアメリカ帝国主義のアフガニスタン・イラク侵略戦争に断固として反対し、自国政府のこの侵略戦争への参戦・協力・加担を打ち砕くための国際反戦闘争の烽火をいっせいに燃えあがらせようではないか!
 アメリカ本国では、血迷ったブッシュの軍事報復に反対する勇気ある労働者・市民の反戦デモが広範に展開されつつある。全世界のムスリムをはじめとする人民は、みずからの国家的テロリズムに頬被りしながら「テロ根絶戦」を叫ぶアメリカ帝国主義によるタリバン=ビンラディンらイスラム復興主義勢力にたいする戦争放火に抗して、「聖戦」を叫んで反撃の闘いに陸続とたちあがっている。
 この日本の地においてわれわれは、このような全世界のたたかう人民に向けて「非暴力主義」的抗議やイスラム教にもとづく「ジハード」的反逆の限界をものりこえてたたかうべきことを呼びかけつつ、彼らと固く連帯して「アメリカ帝国主義のアフガニスタン・イラク侵略阻止! 日本帝国主義の参戦阻止!」の闘いを、渾身の力をふりしぼってつくりだそうではないか!

 「威信」回復をかけた狂気の「報復戦争」

 ブッシュは、九月二十日に上下院の合同会議において絶叫した。――「アメリカは外交、情報、司法、経済力、必要なすべての武力を用いて世界のテロネットワークを破壊するために、これまで経験したことのない長期の作戦を敢行する」、「これは世界の文明全体の闘いである」、と。
 「鳴りやまぬ拍手」なるものに包まれた・この血に飢えた「総力戦」宣言こそは、傲(おご)り高ぶるヤンキー帝国主義権力者の戦争狂いのあまりのヒステリーと単純無比な西部劇的スピリッツを、恥ずかしげもなく全世界に誇示≠オているというべきではないか。まさに「世界唯一のスーパーパワー」の国際的威信と面子を完全に潰され逆上したあまり、みずからの帝国主義的=戦争狂的本性をむきだしにした、というべきではないか。
 このようにUSAパトリオチズム(愛国主義)をヒステリックに鼓吹して戦争ムード≠つくりだしたブッシュ政権は、いま、この対アフガニスタン(=対イラク)軍事作戦に傲岸不遜にも「限りなき正義(インフィニト・ジャスティス)」などと命名し、あらんかぎりの軍事的手段を駆使しての侵略態勢をうち固めつつある。インド洋には米軍第七艦隊の核空母を根こそぎ急派し、アフガニスタンをとりかこむ周辺地域には総数一〇〇機以上の爆撃機・戦闘機をすでに配置した。米軍は、いまにも巡航ミサイルや爆撃機による空爆を開始しようとしており、それに続いて陸軍デルタフォースと海軍シールをはじめとする特殊テロ部隊のアフガニスタン強襲作戦を強行し、さらには二〇万もの地上軍戦力の大量投入をも準備しつつある。いやすでに、七六年の大統領令で表向きは禁じてきた海外での「要人暗殺」(=CIA工作部隊の謀略戦)を公然と解禁し、ウサマ・ビンラディンやサダム・フセインの「首」をとるための暗殺部隊をアフガニスタン国境地帯に潜入させてもいるのだ。――「西部劇の『おたずね者』のように、生かそうが殺そうが身柄を確保する」(ブッシュ)などとうそぶきつつ(本号第三面「万華鏡」を参照せよ)。
 他方でブッシュ政権は、G8各国の権力者を参勤交代≠謔しくワシントンに呼びつけ、また閣僚各人をG8各国やアフガニスタン周辺の中東諸国に派遣して、「反テロリズムの国際共同戦線」への結束を誓わせるとともに、国連決議なき武力制裁への参加・協力を強要している。しかも、パキスタンをはじめとする他の中東・アラブ諸国にたいしては、「アメリカにつくのか、テロリストの側につくのか」の二者択一を迫り、アメリカへの「随順」の証(あか)しに、米軍の出撃基地の提供を強制しているのだ。そのうえさらにブッシュは、国内でのイスラム復興主義勢力の反乱・独立運動に揺さぶられているロシアのプーチン政権および中央アジアのCIS諸国権力者たちをも脅して彼らから情報提供・出撃基地提供などの「協力」をとりつけ、さしあたりはNATOとロシアを束ねて、アフガニスタンおよびパキスタンやイラクにたいする政治的包囲網を形成しようとしてもいる。
 けれども、プーチンは、アメリカの自国利害をむき出しにしたこのような独断専行への警戒心と中洋・アラブ地域におけるロシア国家独自の利害を貫徹する思惑とからして、ブッシュ政権への「協力」を表向きは約束しながらも、それをもタテとして反タリバン≠フイランや中央アジア諸国権力者たちのロシア翼下へのからめとりをこそ策しているのだ。いや、それどころか、ブッシュのMDシステム開発・配備の策動を打ち砕くために、このイスラムの<ジハード>の背後で旧KGB=現FSB(ロシア連邦保安局)の工作部隊を暗躍させたにちがいないロシア権力者は、内心では「ざまあ見ろ」の心境でブッシュの戦争ヒステリーを冷ややかに突き放してもいるのである。今回の一大事の事前に、プーチン政権・FSB幹部がブッシュ政権・CIA幹部にたいして、「MD推進よりはアメリカ国内でのテロへの警戒を」と忠告していた、――このようなことを今さらながらにリークしているところに、プーチンらロシア権力者の心境と思惑が露骨に示されているのだ。
 EU諸国もまた、アメリカへの道義的政治的支持≠表明し、NATOの「集団的自衛権」条項の適用を決定したにもかかわらず、――もう一人の戦争狂たるブレアのイギリスを除いて――「軍事報復」への自国軍隊の参戦そのものについては一転して及び腰になりつつある。それはいうまでもなく、アメリカの主張する「正義の闘い」が、軍事的にも政治的にも勝利の展望のみえない消耗戦≠ニなることが歴然としており、そしてまたコソボでの劣化ウラン弾惨禍のようにアメリカの勝手放題なやり方によって自国兵士さえもが大きな被害をこうむったことの悪夢が、各国権力者どもの脳裏にこびりついているからにほかならない。
 まさにそれゆえにブッシュは、傲岸不遜なユニラテラリズム(単独行動主義)を露骨に発揮し、国連決議もあえて求めないかたちで「正義の闘い」を強行しようとしているのである。いや、地に墜ちたみずからの国際的威信と権威を回復するためには、みずからに刃向かう「テロリスト」と「テロ国家」をなにがなんでも殲滅≠オなければならないという狂信と妄執にとりつかれて闇雲に戦争放火へと突進しているのが、「自由と民主主義と文明」という名の<疑似宗教>に凝り固まった「世界最大のならず者国家」の大親玉=ブッシュ・ジュニアなのだ。
 もとよりブッシュにしても、何ひとつ「勝利」の成算があるわけではない。いや、彼の胸中は恐怖と不安でいっぱいにちがいないのだ。「テロ」に脅えて丸一日もホワイトハウスに帰れずにアメリカ中を逃げ回っていたときのあの恐怖が、彼のトラウマになっているというだけではない。なによりも、一九八〇年代にあの世界最強といわれたスペツナズを含むソ連軍を勇猛果敢な山岳ゲリラ戦で撃退し殲滅さえしたアフガニスタンのムスリム戦士たち、そしてその後も内戦につぐ内戦のなかで一段と鍛えあげられた彼らにうち勝つ展望が見えないからこそ、ブッシュをはじめとしたアメリカ権力者どもは底知れぬ不安に駆られているのだ。そしてまた、米軍がハイテク兵器を駆使した総攻撃をかければかけるほど、「見えない敵」による肉弾自爆の報復攻撃が激発することは必定であり、まさにそれゆえにブッシュらの恐怖感はいや増しに増しているのである。
 だからこそブッシュ政権は、振り上げたこぶしの落とす先をもとめて、次なる標的を、湾岸戦争で圧伏したフセインのイラクに向けようとしてもいる。そしてまた、募る一方の軍事的不安をかき消すために、戦術核兵器の使用さえもちらつかせているのである(パウエルは一応否定しているが)。パニックにおちいり血に飢えたブッシュは、いまやアフガニスタン全土を、いやイラクをはじめとする中東地域を、文字通りの焦土と化すことをなにもためらわないほどに、ヒステリー化しているのである。
 「文明」の名による「野蛮なインディアン」の皆殺しにむかう騎兵隊同然の心境で、異境での戦闘長期化・泥沼化への不安と「見えない敵」への恐怖とにおののきながら、ただ闇雲に絶望的な進軍ラッパをうちならしているのがブッシュであり、チェイニーであり、パウエルなのだ。

限りない不正義≠ノつらぬかれた世紀の蛮行を許すな

 ブッシュは言った。――「なぜわれわれを憎むのか?」と。だが、「テロリストはわれわれの自由と文明を敵視しているからだ」などと幼稚園児のような答え≠ほざく前に、己の胸に手を当てて考えてみろ、というものだ。
 みずからは絶対に反撃を受けることのない超高空から、あるいは公海上から、「ピンポイント爆撃」と称して高性能のハイテク爆弾やトマホークを炸裂させ、何万人ものイラクやユーゴの民衆を虫けらのように殺してきた殺人者は、いったい誰なのだ。劣化ウラン弾を雨あられと降り注ぎ、何世代にもわたる放射能禍にイラクやユーゴの人民を(さらにはNATO同盟諸国の兵隊たちを)たたき込んでおきながら、そのような戦争を「きれいな戦争」などと称して「戦勝」の凱歌をあげてきた人非人は、いったい誰なのだ。九三年のオスロ合意にもとづくパレスチナの「檻の中の自治」さえもぶちこわす意図をむきだしにしている強硬派シオニスト・シャロンのパレスチナ国家撲滅作戦にゴーサインを与え、多くのパレスチナ人民の無差別虐殺を煽ってきたのは、いったい誰なのだ。
 このような神をも恐れぬ#ニ罪行為を戦争ゲーム♀エ覚で嬉々としてくり返しながら卑劣にも「自由と民主主義」「文明」の名においてそれを正当化してきた連中と、中洋イスラム圏の人民にたいするアメリカ帝国主義やイスラエル国家の悪逆な虐殺・収奪に一矢を報いるためにみずからの身体をも武器として体当たりしたムスリム戦士とでは、いったい、どちらが野蛮で人非人なのだ。
 いやそもそも、KGB(現FSB)の暴露によるならば、KGBは事前に「イスラム原理主義勢力によるアメリカ本土での大規模なテロ」の可能性を再三再四アメリカ情報当局に警告したにもかかわらず、「アメリカ政府はそれを無視した」という。この暴露は、KGBの事件への背後からの関与を問わず語りに語るものであると同時に、他方ではCIAじしんが、「ならず者国家征伐」の格好の口実にするために一定規模の「テロ」を期待≠オていたことを示しているではないか。にもかかわらず、みずからのサイバー機器を駆使した情報収集・分析能力を過信していたからこそ、イスラム・ゲリラの新たな形態の「ジハード」に完全に裏をかかれ本家本丸への突撃を許してしまい、こうしてみずから墓穴を掘ったのが、アメリカ政府でありCIAなのだ。六〇〇〇人以上の生命を奪ったかの「悲劇」を招いたものは、まさに汚い情報戦略と謀略依存症にとりつかれたアメリカ政府・CIAの自家中毒的自己過信≠ノほかならないということは、いまや明白ではないか。ブッシュ政権が、このような情報戦・謀略戦における惨憺(さんたん)たる完全敗北の責任を回避するためにこそ、ウサマ・ビンラディンを「悪の権化」にしたてあげ彼を血祭りにあげようとしているということは、誰の目にも見え透いているのだ。
 いやそもそも、ブッシュ政権が「悪の権化」のようにしたてあげたビンラディンにせよ、その「庇護者」たる(=じつはビンラディンによって中枢を握られているといわれる)タリバンにせよ、もともとは、アメリカ帝国主義がアフガニスタンにおける対ソ戦争や、その後の反米<Cスラム・ゲリラ勢力掃討戦のための「テロリスト」として訓練し育ててきたグループではないか。もしもビンラディンが「主犯」であるというのなら、それは、自分が育て武器を供与し鉄砲玉として活用してきたムスリムたちに、イスラムの戒律・伝統・慣習を「野蛮」とみなしてはばからないみずからの不徳≠フゆえに反旗を翻された、ということにほかならないではないか。(そもそも、サダム・フセインにしてからが、イスラム宗教国家イランを倒壊に追いこむ思惑から、アメリカ権力者・レーガン政権が――ゴルバチョフのソ連ともたばかって――軍事援助を与え対イラン戦争をけしかけてきた、という汚い過去≠ェあるのだ。)このようなヤンキー的合理主義、いやマキャベリズム丸出しのあくどい利用主義≠アそが、誇り高いムスリム戦士たちのアメリカへの憎悪と反逆を引き起こしている原因ではないのか。
 まさしく今回の事件こそは、あらゆる意味で、全世界に悪の地雷≠まき散らしてきたアメリカ帝国主義の<自業自得>というべきものであり、彼らの限りない悪行への<因果応報>にほかならない。みずからが全世界に埋めまくった地雷≠ノよって致命的な被害を受けたからといって、そのとたんに被害者面をして「地雷撲滅」を叫ぶような輩に、いったい誰が同情するというのだ!
 このようなアメリカ帝国主義権力者にイスラム復興主義勢力にたいする「制裁」や「報復」を語る資格などまったくないことは明々白々ではないか! アメリカの血迷った「報復」作戦、「限りない正義」と称するこの軍事報復作戦は、まさしくみずからの限りない不正義≠隠蔽するためにのみおこなわれる世紀の蛮行以外のなにものでもありえない。

 アメリカ人民に訴える!

 しかし、悲劇的なことには、多くのアメリカ人民が、このようなブッシュ政権が鼓吹するUSAパトリオチズムにまきこまれ、星条旗を振り回しながら、ブッシュの「テロリスト狩り」に歓喜の声をあげている。アメリカ国内でも、アラブ系人民やイスラム教徒にたいして、しかもアラブ系とまちがえられたインド系のシーク教徒を含めて、悪名高いKKK(クー・クラックス・クラン)もどきの虐殺・襲撃がくりひろげられているほどなのだ。
 だが、アメリカ的な「平和と繁栄」が脆(もろ)くも崩れ去ったことに驚愕しているアメリカの労働者・人民は、いまこそ自覚すべきではないのか。諸君たちの享受してきた「平和」は、――サダム・フセインが言うように、また勇気あるユダヤ系アメリカ人の言語学者ノーム・チョムスキーが告発したように――海の向こうの諸国・人民にたいするみずからの政府と軍隊の度重なる侵略戦争と人民虐殺行為によってのみ守られてきた「平和」ではないか。ムスリムの<ジハード>によって崩れ落ちたニューヨークの「繁栄」こそは、世界中で幾千万の人々を搾取し収奪し餓死に追い込んでいるアメリカ多国籍資本の非道のうえに築かれた「繁栄」ではないか。いやいやアメリカ権力者が唯一絶対の価値として描きつつ「防衛」しようとしている「自由と民主主義」なるものそれじたいが、アメリカ内外における多くの労働者・勤労人民やマイノリティのエスニック勢力・人民にたいする抑圧と暴力と収奪を隠蔽するために謳いあげられているそれではないのか。
 かの事件に際して「アラー・アクバル」と叫んで喝采をあげたパレスチナ人民の魂の叫びを、そして「貧しい国の人々がテロで何千人も死んでいるときには黙殺しながら、なぜアメリカが犠牲になったとたんに大騒ぎするのだ」と語るアジアやアラブやアフリカの民衆の冷たい視線を、アメリカ労働者・人民は直視すべきなのである。「なぜアメリカはこんなに憎まれるのか?」ということを、みずからの胸に手を当てて考えることもせずに、一時のパトリオチズム的激情に駆られて星条旗を振り回し「テロ根絶戦」という名の戦争を翼賛するのは、まことに愚かで嘆かわしい所業というべきではないか。
 われわれは、すべてのアメリカ労働者・人民に訴える。――自国政府と自国軍隊がおかした「人道に反する」累々たる犯罪の現在と過去に、痛苦の念をもって思いを馳せよ!
 諸君の祖国が謳歌してきた虚構の「平和と繁栄」にむかって、「われ汝とともに滅びん」の精神で体当たりし自爆した十九人もの青年がいたということの衝撃的な意味を、いまこそ深く深く考えよ!
 権力者どものUSAパトリオチズムの絶叫に巻きこまれ、ゆめゆめウォーモンガーどもの手先として動員されることなかれ! ベトナム侵略戦争の愚を二度とくり返すことなかれ! アウシュビッツに比肩すべきヒロシマ・ナガサキと同様の人類史的犯罪を「第二のパールハーバーへの報復」の名のもとに諸君の支配者たちがおこなうことを絶対に阻止せよ! イスラムの反米<ジハード>への恐怖を「十字軍」の精神に託して語り、そうすることによって全世界のムスリム人民にむかって宣戦布告するような野蛮で蒙昧な大統領を、いまだにみずからの「指導者」として頭に頂いていることを、諸君は深く恥じよ! 今こそ、自国の権力者・支配階級の二十一世紀最初の侵略戦争を阻止すべく、全世界の労働者・人民とともに決起せよ!

本帝国主義のアフガニスタン侵略への参戦を阻止せよ!

 このようなアメリカ帝国主義の戦争放火にたいして、これを「千載一遇のチャンス」と見なしてそれにとびつき、一気にアフガニスタン・中東侵略戦争への参戦の道をひた走っているのが、小泉ネオ・ファシスト政権にほかならない。「ショー・ザ・フラッグ」というアメリカ権力者の恫喝をも追い風≠ニして。
 わが日本の小泉政権は、他の各国権力者どもの誰にも先んじていちはやく「報復を断固支持する」ことを表明した。そして、九月十九日には、海上自衛隊のイージス艦「きりしま」や航空自衛隊のAWACS(早期警戒管制機)をインド洋に派遣して、「後方支援」という名において米軍の対アフガニスタン作戦に参加させることを骨子とする七項目の「テロ対応措置」なるものを決定し、そしてそれを法的に基礎づけるために、米軍支援の「特別立法」を臨時国会開会早々におこなうことを宣言した。いや小泉政権は、このような「法的整備」を待つこともなく、二十一日には横須賀軍港からインド洋に向かって出港した米空母キティホークの「護衛」と称して海自の護衛艦・掃海艇を出撃≠ウせたのだ。これはまさしく、どさくさに紛れた参戦行為そのものにほかならない。いや、自衛隊イージス艦の派遣を区切りに、小泉政権は明確に参戦しようとしているのだ。
 このように「テロの犠牲者にお悔やみする」などと称しながら、「犠牲者」をダシに使って、日本支配階級の悲願である「戦争のできる普通の国」への飛躍を一気に成しとげようと企んでいる卑劣漢が、小泉なのだ。
 こうしていまや、限りない不正義″戦の前線基地として沖縄・横須賀をはじめとする在日米軍基地がフル稼働させられている。またそれゆえに、この在日米軍とリンクして自衛隊に臨戦態勢をとらせているのが、小泉政権なのだ。「集団的自衛権の行使」をめぐる与党内外での解釈論議に現実≠ノよって決着をつけ、これをステップとして明文改憲=憲法第九条の改悪へと突進しようとしているのが、わが日本権力者なのである。
 だが、許し難いことに、このような小泉政権の火事場泥棒そのものの参戦策動にたいして、すべての野党や自称「左翼」は、「無差別テロ弾劾」の大合唱に加わり、そうすることによってこの参戦策動を支えているのである。
 いまや日本の既成諸政党は、完全にネオ大政翼賛会と化している。見よ。鳩山の民主党は、アメリカ支援の「特別立法」に先頭で賛成し、公明党以上の戦争翼賛勢力として躍り出ているではないか!
 社民党や日共は、「テロ弾劾」の国際的大合唱の第五列に加わったうえで、ただもっぱら「国連決議」を要求しているだけではないか!
 日本労働者人民は、このような野党や「連合」指導部の腐敗に支えられて一気にタブー≠突破しようとしている小泉政権の参戦―改憲策動を阻止するために、一切の既成左翼の腐敗をのりこえつつ、いまこそ奮闘しなければならない。

戦争補強勢力≠ニ化した日共官僚を弾劾せよ!

 とりわけ、「野蛮なテロ弾劾」の声の大きさを小泉と張り合いながら、「軍事力による報復ではなく法にもとづく裁きを」などという愚劣な代案≠対置しているにすぎない代々木官僚の犯罪性は、ここに極まれり、というべきである。
 彼らは言う。――「今回のテロは多数の市民の生命を無差別に奪う憎むべき蛮行であり、絶対に許されない卑劣な犯罪行為です」「いま必要なことは、国連が中心になり、テロ犯罪の容疑者、犯罪行為を組織、支援した者を逮捕し、裁判にかけ、法にてらして厳正に処罰すること」である(九月十七日付の不破・志位署名の「各国政府首脳への書簡」)、と。
 驚くべきことに、ここには、全世界の民衆を虐殺し続け、そしていま現に「テロへの報復」を名分にしてアフガニスタン人民への皆殺し戦争を強行しようとしているアメリカ帝国主義にたいする「弾劾」はおろか、微塵の怒りさえもないではないか。
 「国連による法の裁き」だと!? アメリカ単独軍ではなく、国連決議にもとづく多国籍軍を派遣してビンラディンを生け捕り≠ノしろ、とでもいうつもりなのか?
国連は誰が牛耳っているのだ? 国連こそは、湾岸戦争におけるアメリカ同盟軍によるイラク兵皆殺しのお墨付きを与えた立て役者ではないか!
 不破よ、志位よ。「世界最大のならず者国家」アメリカの犯罪にたいする憎しみは、どこへ消えて失せたのだ。「反米」のスローガンなどは、とうの昔に投げ捨てたというわけか。
 今回のイスラム復興主義グループの<ジハード>的突撃行為は、平和ボケした代々木官僚がいうように、けっして「無差別テロ」であるわけではない。それは全世界に戦争の火を放ち罪なき民衆を殺し続け、放射能をまき散らして人類に取り返しのつかない惨禍を強要してきたアメリカ帝国主義、その軍事司令部であり全世界の怒れる民衆の憎悪の対象であるペンタゴンにたいして敢行された的確無比な貧者のピンポイント攻撃≠ノほかならない。そしてまた、貧しい国々の人々を何十万人も餓死させるような規模の富の移し替え=収奪を、わずか一秒の電子取引によってくりかえし、そのようなあくどい収奪によって蓄えられてきたアメリカ的富の象徴として世界を睥睨(へいげい)してきたニューヨーク摩天楼、グローバル・キャピタリズム教≠フ総本山であり国際ヘッジファンドの巣窟でもある(さらにいえば国際ユダヤ資本の拠点でもある)WTCビルにたいしての、飢えたる人民の怒りの突撃なのだ。それは、アメリカ帝国主義とその手先によってなぶり殺しにされ収奪され名誉を傷つけられてきた全世界の無数の虐(しいた)げられた民衆、高度な軍事力とはいっさい無縁な彼らによるところの、憎むべき虐殺者=収奪者にたいするやむにやまれぬ肉弾反撃にほかならない。
 こうしたことがらに毫(ごう)も思いをいたすこともない代々木ノーメンクラツーラどもの冷血無比な「テロ弾劾」の声の、なんと虚ろでなんと空しいことか。
 文化人類学者・山口昌男でさえ言っている。――「あのテロ行為を支持することは絶対にできない。しかし、米国民自身を含めた世界中の不幸≠ネ人々にしてみれば、少なからず『やった』という気持ちが胸のどこかで蠢くのを否定しきれないであろうと思ったのだ。米国政府はWTCビルの破壊を『自由と民主主義への挑戦』と非難しているが、それは、実は一部の白人特権階級の自己防衛のための言い回しに過ぎない。あの破壊行為は、これまで表立って言い出せなかった無数の人々の不満が、史上最悪のテロという形で露呈したのだと私は考えている。」「破壊されたのはビルではない。第二次大戦以来、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争と、アメリカが強硬に守り続けてきた軍事的民主主義、言い換えれば、アメリカのアイデンティティそのもの」だ、と(『週刊現代』十月六日号)。「反米」「反帝」の魂を失ったわが代々木スターリニストどもは、左翼でさえないこの文化人類学者の爪の垢でも煎じて飲むべきではないのか。
 いや、小泉政権が「テロ対策」と称して今まさにアメリカの「報復戦争」に参戦しようとしている今日このときに、このようにただもっぱら「テロにたいする厳正な法的裁き」をしかお願いできない日共中央は、完全な戦争補強勢力≠ニ化したというべきなのである。われわれは、代々木共産党中央のこのような犯罪的対応を断固として弾劾してたたかわなければならない。

 闘う中洋人民と連帯し国際反戦闘争の炎を噴き上げよ!

 アメリカン・グローバライゼーションの狂宴の上に「世界唯一のスーパーパワー」の核軍事力を基礎として築かれてきた帝国主義的な「平和と繁栄」の虚構は、イスラム復興主義の<ジハード>の前に音を立てて崩れ落ちた。そしてこの衝撃もろともに、擬似的な「平和と繁栄」に寄生しそのなかにまどろんできたすべての自称「左翼」、自称「革新」もまた、完全に自滅自壊したのだ。
 すべての労働者・人民は銘記すべきである。ムスリム戦士の決死の<ジハード>は、ただたんに帝国主義アメリカにたいする怒りの肉弾戦であるだけではない。おしなべて自国政府の鼓吹する民族排外主義にからめとられ、パレスチナで、イラクで、スーダンで、リビアで、いや全世界のあらゆるところで、アメリカ帝国主義やシオニスト国家がおこなってきた暴虐を許し放置し、あまつさえそれを尻押しさえしてきた先進資本主義諸国の労働者・人民とその堕落した指導部にたいする激烈な弾劾でもあるということを。
 アメリカ帝国主義の軍事・経済の心臓部に風穴をあけたこの歴史的事件が、プロレタリア階級闘争の爆発によってではなくして、イスラム復興主義勢力の<ジハード>によってもたらされたというこの事態こそは、じつに、スターリン主義の自己崩壊とそれをのりこえるべき労働者階級の国際的闘いの危機のゆえにもたらされている悲劇にほかならないのである。けだしこのことは、「現代に生きるマルクス・ファンダメンタリスト」を自任し、スターリン主義をのりこえてプロレタリアートの階級的自己組織化の闘いの最先頭に立ってきたわが革命的マルクス主義者にとって、<屈辱>以外のいったい何であるのか!
 わが革命的左翼は、この<世紀の大事件>の歴史的=思想的意味を深く胸に刻みつけつつ、乾坤一擲(けんこんいってき)の精神で新たな闘争への決起を決意するのでなければならない。
 いまこそ、わが日本反スターリン主義革命的左翼の真価をいかんなく発揮し、いっさいの既成左翼の屍をのりこえて、国際反戦闘争の大爆発の先頭に起て! この闘いの不動の拠点こそは、<反帝国主義・反スターリン主義>であり、それに立脚した<プロレタリア国際主義>にほかならない。
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