アングロアメリカン帝国主義のイラク侵略戦争を絶対に阻止
せよ!

JRCLはアフガン空爆開始一周年
に際して全世界に訴える

 二〇〇二年十月七日
 日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派(JRCL・RMF)


〔1〕

 戦争狂いのブッシュ政権は、「イラクの大量破壊兵器開発」を口実にして、いまにもイラク民衆に襲いかかろうとしている。
 九月十六日にサダム・フセインのイラクは国連の「大量破壊兵器査察」を「無条件」で受け入れることを表明し、国連とイラクの双方によって「査察開始」が合意された。この事態に慌てたブッシュは、「サダムが素直に査察を受け入れることなどありえない」と強弁して、副官=ブレアとともに、国連の査察を阻止するために狂奔している。一ヵ月前には「サダムが査察を受け入れないから」と言って武力攻撃を正当化していたブッシュとブレアは、サダムが査察を受け入れるやいなや、こんどは武力攻撃を容認する新たな国連安保理決議が通るまでは「査察をするな」と国連に露骨な圧力をかけつづけている。なんと厚顔無恥な連中か。
 「フセイン政権の軍事的打倒」――この邪悪な目標を達成するために、ただそのためにのみ、ありとあらゆる屁理屈をこねまわし、無頼漢そのものの横車を押しているのが、わが史上最悪のカウボーイ大統領ブッシュとその同伴者どもなのだ。
 一年前のアフガニスタン空爆には参戦したフランスやドイツの権力者たちは、「国連無視の対イラク攻撃」に「NO」の態度を表明した。また、国連安保理常任理事国のうち、江沢民の中国と石油利権問題でアメリカと結託したプーチンのロシアもまた、――アメリカの切り崩しに揺さぶられながらも――米英の対イラク攻撃にお墨付きを与える新決議にたいして「反対」の態度をしめしている。
 アングロアメリカン帝国主義の傍若無人な強硬姿勢は、いま平和を希求する世界民衆のごうごうたる非難にさらされている。イギリスでは、四〇万人の労働者人民がブレア政権の戦争政策に反対するシュプレヒコールをあげた。ブッシュのお膝元でも、勇気ある市民たちが、民主党多数派のブッシュ政権への屈服と追随を弾劾して、「戦争反対」の声を挙げている。全世界で「イラク侵攻反対」を叫ぶ民衆の声が今大きくこだましている。
 「イラクの脅威」にさらされているはずの中東湾岸諸国の権力者たちは、ムスリム人民の反米感情の沸騰につきあげられながら、アングロアメリカン帝国主義の理不尽なイラク攻撃にはこぞって「非協力」や「反対」の声を表明している。
 これら諸外国の「反対」の声に直面し孤立を深めながらも、いやそうであればあるほど狂気に駆られたブッシュ政権は、ますますUSAナショナリズムとユニラテラリズムを剥きだしにして、対イラク軍事侵攻に突進しようとしているのだ。チェイニー、ラムズフェルド、ウォルフォビッツなどのクレージーな軍事力万能(オールマイティ)主義者たちが、けたたましい進軍ラッパを吹き鳴らしながら。
 昨二〇〇一年の九月十一日に起きたムスリム戦士のジハード自爆攻撃によって、アメリカ帝国主義は、その経済的・軍事的中枢を射抜かれ、政治的威信を失墜させられた。この事態に驚愕したブッシュ政権は、「テロ根絶」を絶叫しながら、アフガニスタンを皮切りとして、「非対称的戦争」と称する一方的殺戮戦争を全世界で展開しはじめた。だが、この「対テロ戦争」なるものは、いまやムスリム人民を先頭とする全世界民衆の怒りにみちた反撃と、この民衆の闘いに押された中洋イスラム諸国、中・露、大陸EUなどの各国権力者の「反対」や「非協力」によって、今大きな壁にぶちあたっている。それだけではなく、9・11ショックで脳震盪(しんとう)に陥ったアメリカ資本主義経済は、その虚飾の繁栄≠フ化けの皮を完全に剥がされて、いまや奈落の底に転落しつつある。これらの壁を暴力的に突破するために、自暴自棄の進軍ラッパを吹き鳴らしているのが、戦争狂のブッシュ政権なのだ。

〔2〕

 ちょうど一年前に、アングロアメリカン帝国主義は、世界の最貧国たるアフガニスタンに襲いかかり、凄惨無比な殺戮戦争に猛り狂った。米軍は、デージーカッター、サーモバリック、バンカーバスター、クラスター爆弾、そして劣化ウラン弾などの文字どおりの大量殺戮兵器を雨霰(あられ)とアフガニスタンの大地にうちこみ、万余のムスリム人民を虫けらのごとく殺戮した。米軍は、無抵抗のタリバン政権を軍事的に壊滅させただけでなく、捕虜にしたタリバン兵やアルカーイダの兵士をコンテナ詰めにして大量虐殺した。彼らは、生き残った捕虜を世界の目が届かないキューバのグアンタナモ基地に連行して、灼熱地獄のもとで虐待の限りをつくしている。
 ブッシュ政権は、「9・11テロへの報復」を名分として、このような正真正銘の国家テロルと「大量破壊兵器」の実戦使用を誰はばかることもなく強行してきた。アメリカ帝国主義の・この「人道に反する」歴史的大罪は、それにもかかわらず、あたかも「正義」の行為ででもあるかのように「国際世論」によって免罪されている。この不条理きわまりない「国際世論」なるものは、全世界の社会民主主義者やスターリニストがこぞって戦争推進者や戦争協力者になり果てていることのゆえにつくりだされているものにほかならない。いや、これらの腐敗した指導部の影響から今なおみずからを解き放つことができない全世界の反戦平和運動の決定的な弱さのゆえに、それは許されているのだ。こんな不条理・こんな屈辱を、金輪際許してなるものか!

〔3〕

 アフガン空爆開始一周年に際して、われわれは、すべての世界人民に訴える!
 すべての労働者人民は、二度とワシントンの戦争屋どもの恥ずべき共犯者になってはならない。われわれは、アングロアメリカン帝国主義が、アフガニスタンにおけると同じ犯罪をいままたくりかえすことを、いやアフガニスタンに比しても・それを数倍する阿鼻叫喚の地獄をイラク人民に強制することを、絶対に許してはならない。
 ラムズフェルドらの軍事タカ派は、フセイン政権を撃滅するためには「核兵器の使用もためらわない」とさえ公言している。一九九一年のアメリカ・イラク湾岸戦争において、米軍がイラクの大地にうちこんだ大量の劣化ウラン弾によって、いまイラク民衆は深刻な放射能禍に襲われている。このようなイラク民衆の頭上に、彼ら戦争屋どもは、こんどは本物の核爆弾を炸裂させようとしているのだ。
 半世紀以上も前にアメリカ帝国主義が強行した核爆弾による人民の無差別大量殺戮(ヒロシマ・ナガサキ)。――この決して忘れることのできない惨禍を体験しているわれわれ日本の労働者人民は、このような蛮行を絶対に許さない!
 すべての世界人民は、ブッシュ政権とその一切の追随者どもによるイラク軍事侵攻の企てにたいして、いっせいに「NO!」の声を叩きつけよう!

〔4〕

 われわれは、とりわけアメリカ人民に訴える!
 気の遠くなるような量の「大量破壊兵器」を保有し、それを現に使用して、みずからに刃向かう人びとへの凄惨な国家テロルをほしいままにしている自国政府の狂気の暴走を、その足下から阻止せよ! 世界民衆を何千回も皆殺しできるだけの核戦力をふりかざして他国の民衆を脅し廻っているのが、諸君の国の政府なのだ。諸君たちは、フセインの「大量破壊兵器」への恐怖心を煽りたてるブッシュ政権の尻馬にのせられるのではなく、アメリカ政府の核武装強化と他国にたいする核兵器使用を阻止するために全力をあげるべきなのだ!
 USAナショナリズムの洪水に巻きこまれてブッシュの応援団と化している民主党やAFLCIOなどの労働組合官僚の腐敗を弾劾せよ! 彼らの「指導」に唯々諾々と従ってブッシュのイラク侵攻を許すならば、全世界のムスリム人民は、アメリカ人民をもみずからの「敵」とみなして「大悪魔=アメリカ帝国」にたいするジハードを爆発させるであろう。「テロ根絶」のかけ声にのせられてイラク攻撃に賛成したり、「反テロ愛国法」などにもとづくアラブ系国民の予防検束を容認したりすることは、みずからの首を絞めることになるのだということを、諸君は知るべきなのだ。
 いまこそアメリカ労働者人民は奮起し発憤して、全世界のたたかう民衆とスクラムを組み、戦争狂のブッシュ政権を打倒するためにたたかおうではないか!

 われわれは、ヨーロッパ人民に訴える!
 ドイツのシュレーダー社民党政権は「イラク空爆反対」の旗幟を鮮明にして総選挙に勝利した。このことは、ドイツ労働者階級の「反戦平和」の声の強まりの現れにほかならない。フランスのシラク政権も、「自由と民主主義の祖国」としてのプライドに賭けて、ブッシュのカウボーイ的暴走に異を唱えている。
 だが、すべてのたたかう労働者人民は、社民党政権を先頭とする大陸EU諸国権力者たちが、このかんのアフガニスタン侵略戦争の、そして九九年のユーゴスラビア空爆の実行者であったということを片時も忘れてはならない。「大量破壊兵器の国連査察受け入れ」をイラクに要求する英・仏などの諸国家は、同時にアメリカに次ぐ「大量破壊兵器」=核兵器の保有国であるという事実を、すべてのヨーロッパ民衆は忘れてはならない。彼らユーロ帝国主義権力者どもは、自国の独自的権益とEUとしてのリージョナル(地域的)な共通利益にもとづいて、アメリカの「一超」的覇権に異を唱えているにすぎない。彼ら権力者どもは、アメリカに楯突くことが自国の利益を損なうと計算した場合には、容易にイラク空爆の容認へとみずからの姿勢を転じるであろう。独占資本家階級の利益擁護者であり、軍産コンプレックスの利益と深く結びついている彼らEU権力者たちは、一皮めくれば同じ穴のムジナなのだ。
 ヨーロッパ人民は、EU諸国権力者の戦争容認・戦争加担をともに協力して阻止せよ! また同時に、ヨーロッパ全土で、アラブ諸国からの移民・難民への憎悪を煽りながら民族排外主義者が台頭していることに警戒せよ! ロシア人民は、経済援助ほしさにブッシュの戦争政策に是々非々≠ナ協力しているプーチン政権を弾劾せよ!没落し社民党政権の補完物にまでなり下がったスターリニスト党の残骸をのりこえ、右往左往する修正派トロツキスト党の腐敗をのりこえて、ヨーロッパ人民は巨大な反戦闘争を組織しよう!

 われわれは、中洋・アラブのムスリム人民に訴える!
 パレスチナにおけるシャロンの凶暴なジェノサイドは、ひとえにブッシュ政権の尻押しによって可能となっている。「パレスチナ国家独立」を求めるパレスチナ民衆を、シオニスト・シャロンのヒットラー的蛮行から防衛する闘いに決起せよ! イラクにたいする米・英帝国主義の軍事侵攻にたいして、全世界のムスリム人民は、イスラミック・インター‐ナショナリズムにもとづいて総反撃にただちにたちあがれ! 米・英のイラク侵攻に陰に陽に協力するような腐敗・堕落したニセ・イスラーム政権を、人民の実力で打倒せよ! イラク国内でサダム・フセインの圧制に抗してたたかう労働者人民は、同時にアメリカによるフセイン政権の軍事的打倒にも反対してたたかおう! アメリカの行為を許すことは、――アフガニスタンがそうであるように――アメリカ傀儡(かいらい)の新たな圧制者の登場に道を開くだけなのだ。
 「アラブの眠れる兵士は覚醒せよ」というアヤト・アラファラスの熱烈な殉教の訴えに呼応しつつ、すべてのアラブ・ムスリム人民は、全世界で「反米・反シオニズム」の闘争を巻き起こせ! 先進国労働者人民の「反戦」の闘いとインターナショナルに連帯しよう! 

〔5〕

 われわれは、日本人民に訴える!
 小泉政権は、「ブッシュのプードル」という非難をかわすために、イラク侵攻に煮え切らない態度をとりはじめた。それは、日本国家の中東における独自的権益を守るためには慎重に対処すべきだ、という風見鶏ナカゾーネらの入れ知恵によるものだ。中曽根らのネオ国家主義者=日本ナショナリストは、日本の国益のために、アメリカの戦争に主体的≠ノ関与すべきだ、と唱えている。このような亡霊どもの入れ知恵を受けた小泉は、防衛庁長官に札付きの軍事マニアでウルトラ・タカ派の石破を抜擢した。彼らは、「武力攻撃が予測される事態」にさいして、ただちに日本国家が――日米軍事同盟にもとづいて――「武力行使」に踏みきることができる、と定める法律を、万全の体制を敷いて成立させようとしている。この攻撃は、戦後日本国家の手を縛ってきた憲法第九条の不戦条項を最後的に葬り去るものにほかならない。
 いま北朝鮮キム・ジョンイル政権が「拉致」という過去的行為を自白したことによって、日本国内では、ネオ国家主義者たちによって排外主義的ナショナリズムが煽りたてられている。この排外主義的ナショナリズムは、「テロ国家」による「テロや工作船」にたいして「万全な対策」をとるべきだ、という有事法制定へむけての世論誘導のために鼓吹されている。そしてまた、朝鮮や中国において「大日本帝国」が犯した戦争犯罪――南京大虐殺や数十万人におよぶ朝鮮人強制連行や従軍慰安婦問題など――をば、いまだに居直っている日本国家の自己正当化のための具としても使われている。われわれ日本の労働者階級は、過去の戦争犯罪を頬被りしている日本政府権力者たちが、北朝鮮国家による過去の日本人拉致行為の自白にたいして、鬼の首でもとったかのように「国家的テロ犯罪」などと非難している姿を眼前にして、痛憤と恥辱の念に堪えない。北朝鮮スターリニスト国家の国家的犯罪を弾劾することは、歴代日本政府の対朝鮮政策の欺瞞と犯罪を果敢に暴きだすことなくしてはなしえない。
 「テロ根絶」の大合唱に唱和してアフガニスタン空爆反対の闘いをつぶしてまわってきた日本共産党指導部は、北朝鮮問題をめぐっては、誰よりも小泉を支持する「政権与党」と化している。彼らは、いままた「日本の国益防衛」のための代案提示にいそしんでいる。このような日本スターリニスト党の底知れぬ腐敗は、彼らが第二インターナショナル流の祖国防衛主義に転落したことの帰結にほかならない。
 すべての日本労働者人民は、空前の排外主義的ナショナリズムの煽りたてに抗して奮闘しよう! 既成の平和運動の腐敗をのりこえ、全世界労働者人民と連帯しつつ「イラク軍事侵攻阻止・有事法制定阻止」の反戦闘争をこれまで以上に大きく力強くつくりだそう!

〔6〕

 われわれは、ふたたび全世界人民に訴える!
 「戦争・戦争・戦争」――この言葉しか脳味噌に詰まっていないワシントンの狂人どもによって全世界を蹂躙させてよいのか。これ以上の凄惨な大虐殺をくりかえさせてよいのか。NOだ! 絶対にNOだ!
 全世界の労働者人民は、ともに力を合わせてアングロアメリカン帝国主義のイラク軍事侵攻を阻止しよう! 自国政府の参戦・協力・加担を許すな! インターナショナルな反戦闘争の大爆発をもって戦争屋ブッシュ政権を戦慄せしめよ!
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