ウクライナ反戦、反改憲に起て


「反安保」を放棄する日共をのりこえ反戦反安保闘争を創造せよ


中央学生組織委員会



 プーチンのロシアが放った侵略軍は、ウクライナ人民にたいする残虐無比な殺戮戦を、東部ドンバスのマリウポリ、ハリコフ、南部のオデッサなどにおいて強行している。そして、ウクライナの労働者・人民は、このプーチンの殺戮部隊をうち破るために、ウクライナ軍との連携のもとに武器を手にして命を賭して戦いぬいている。
 ロシアの侵攻軍は、数多のウクライナ人民を血の海に沈め、都市を徹底的に破壊し、すでに四〇〇万を超える人民を国外に追いやった。まさにそれは、四二〇〇万の人口と欧州第二の国土をもつウクライナ国家を民族まるごと地上から抹殺するという歴史上かつてない蛮行にほかならない。しかも、プーチンは、ウクライナを引き裂いて分断国家をつくりあげようとしているのだ。
 いっそう熾烈化する<新東西冷戦>のもとでユーラシアの東でも戦争勃発の危機が高まっている。台湾・南シナ海を焦点として米・日の帝国主義とネオ・スターリン主義中国とが政治的・軍事的角逐をいっそう激化させているのである。
 この世界史的な激動のただなかで、日本の岸田政権は、アメリカのバイデン政権とともに対露制裁を強化しつつ、日米軍事同盟をグローバル同盟として強化する策動に狂奔している。そして、アメリカの核兵器の共同保有というかたちで核武装をはたすという野望をたぎらせながら、<軍国日本>の再興をかけた憲法改悪の策動に血道をあげているのが、安倍晋三らネオ・ファシストに羽交い締めにされた岸田政権なのだ。
 全学連のたたかう学生は、いまこそ、ウクライナ反戦の闘いの大爆発をかちとれ! ウクライナ、そしてロシアのたたかう人民と連帯してたたかおう!
 「反安保」を放棄する日共翼下の反対運動をのりこえ、反改憲・反戦反安保の巨大な闘いを創造せよ!
 <新東西冷戦>下で高まる戦争勃発の危機を突き破る革命的反戦闘争を嵐のようにまきおこそうではないか!

1 ロシアのウクライナ軍事侵略と熾烈化する<新東西冷戦>

 A キエフ侵攻軍の敗北とウクライナ東部総攻撃

 プーチンのロシアが、ウクライナにたいする軍事侵略にうってでてから約一ヵ月半――「首都キエフなど二日間もあれば陥落できる」などとうそぶいていたプーチンは、ウクライナ政府軍および領土防衛隊・住民組織の連携した猛反撃によって、「キエフ陥落」を狙った総攻撃戦において敗北を喫した。キエフ北部のイルピンをはじめとする諸都市では政府軍と連携した住民組織がロシア侵攻軍を叩きだした。いま街にはウクライナ国旗が翻っている。<占領下においたキエフでゼレンスキー政権を倒して親露派政権を樹立し・もってウクライナ全土をロシアに併合する>などというプーチンの野望は、いまや打ち砕かれたのだ。
 このキエフ総攻撃戦における惨めな敗退に直面したプーチンは、残存している北部の侵攻部隊とグルジアの南オセチアの部隊や民間軍事会社(ワグネル)の部隊などをかきあつめて東部・南部地域での戦闘に集中的に投入している。復讐心をたぎらせているプーチンは、東部・南部の地域をロシアの完全制圧下に組み敷くことを狙って、包囲するマリウポリやハリコフにたいする無差別攻撃を命じているのだ。
 東部地域と南部地域・クリミア半島をむすぶ要衝である港町マリウポリでは、ロシア軍は、食糧・水・燃料などの物資の搬入を阻んで一〇万人以上の市民を飢餓状態に陥れている。このマリウポリで、ロシア軍部隊は、ミサイル攻撃、戦車による砲撃、歩兵による銃撃によってウクライナ人民を虐殺している。このロシア軍に包囲されたなかでウクライナ軍の精鋭部隊が「マリウポリ防衛」のために徹底抗戦をおこなっている。
 そしてこのなかで「人道回廊」などの名で住民たちをロシアのシベリアやサハリンに強制連行しているのが、プーチンにほかならない。まさにそれはかつてスターリンがおこなったのと同じ蛮行ではないか!
 いままさに第二次大戦時の「独ソ戦」における「レニングラード包囲戦」のような残虐な攻撃にさらされているマリウポリ。「二十一世紀のヒトラー」プーチンの焦土作戦によってすべてが完全に破壊されたこの街には、殺戮された人々の亡骸(なきがら)が弔うこともできずに放置されたままにされているのだ。
 こうしたドンバス地域の諸都市にたいする総攻撃に戦力を集中するにあたって、プーチンは、国防省をして「軍事作戦の主要な段階は達成された」「ウクライナ軍の戦闘能力が低下したので、ドンバスの解放という主要目的に集中することができる」などと発表させたのであった。だがそれは、侵攻当初の「キエフ陥落=ゼレンスキー政権打倒」のための軍事侵攻が打ち砕かれたがゆえに、プーチンがドンバスに残存兵力を集中するほかはなくなったことを自己暴露するものにほかならない。
 いまやプーチンは、二〇一四年にロシアが一方的に併合したクリミアとともに東部ドンバスのドネツク州・ルガンスク州を新たにロシアに併合し、さらにウクライナ海軍の拠点であるオデッサを陥落させウクライナ南部地域をもロシアに併合するということに、その目的と作戦を変更したのである。
 あさはかにも「速戦勝利」を夢想したプーチンがキエフ侵攻における敗退を突きつけられたのは、このKGB(旧ソ連国家保安委員会)出身の男が、ウクライナの人民が祖国と民族をまもるために一致団結して侵略軍を迎え撃つことなど思いもよらなかったからだ。しかも、このウクライナ人民が政府軍と一体となって武器を取ってロシア軍にたちむかい、これを撃退することなど予想だにしていなかったからである。
 ウクライナ軍は、気温上昇でぬかるんだ道をノロノロとすすむロシアの戦車部隊にたいして、木立や草むらにひそんでドローンや携行型の対戦車ミサイルなどを駆使して撃破した。莫大な燃料を消費する戦車部隊に燃料や食糧を補給するために駆けつける車両部隊も標的にし攻撃した。司令官の指示がなければ軍事行動一つできないロシア軍は、司令官の多くが携帯電話をウクライナ軍に傍受され位置情報もつかまれ殺害されたがゆえに、その部隊の多くが壊滅に追いこまれたのであった(二十人の司令官のうち六人が死亡)。こうしたウクライナ軍の攻撃は、領土防衛隊に入隊した人民および武装住民組織などのレジスタンス部隊の援護なしには決して実現されなかったのだ。
 プーチンは追いつめられている。すでに戦死者は二万人にもおよび、戦費も一日二・五兆円にのぼり国家財政は破綻寸前になっている。そして何よりも米欧による経済制裁によって労働者・人民の窮乏はいっそう深まっているのだからである。
 このなかでプーチンは、「反戦・反プーチン」のうねりがひろがることを怖れて、「戦争の真実」を伝えようとする報道機関にたいする徹底的な弾圧やSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の遮断などに狂奔している。そして、子供たちの避難先であった劇場をロシア軍が攻撃したことも「ウクライナ過激勢力の仕業」などと描きだすフェイクニュースを連日たれ流しているのだ。だがしかし、プーチンが放ったロシア軍に殺戮された数多のウクライナ人民の亡骸を隠しとおすことなど決してできはしない。
 「偉大なロシアの復活」という野望をたぎらせて世紀の蛮行に踏みきったプーチンに未来はない。キエフへのさらなる無謀な前進も、ウクライナから去りゆくという後退も、プーチンには無惨な敗北のうえに戦争犯罪人として歴史の裁きをうけるという奈落しか待ってはいないからだ。
 そうであるからこそプーチンは、東部ドンバスおよび南部の地域のウクライナ人民を殺戮しつくし完全に制圧しロシアのもとに併合するまで、この悪逆無道な<プーチンの戦争>を続けようとしているのだ。
 このプーチンは、「停戦協議」でゼレンスキー政府の代表が「NATO加盟」を断念する代わりに「NATOに代わる安全保障の枠組み」(米・英・仏と中国・ロシアなどで構成する枠組み)を提案したことにたいしても、「機は熟さず」などとほざきながらこれを時間稼ぎのためにのみ利用し、その時間的猶予のうちにロシアの支配地域を東部から南部オデッサまで一挙的に拡大することをたくらんでいるのだ。
 このプーチンにたいして、ゼレンスキー政権もまた、「ロシア軍の全面撤退」を熱願するウクライナ人民を背にしているがゆえに屈辱的な妥協をすることはできず「徹底抗戦」を貫くにちがいない。
 明らかにロシアのウクライナ侵略戦争は泥沼化・長期化することは必至である。このなかで追いこまれれば追いこまれるほどプーチンは、生物・化学兵器や小型核兵器をウクライナ攻撃で使用する衝動を強めていくであろう。それは、間違いなく熱核戦争としての第三次世界大戦の勃発の引き金になるにちがいないのである。

 <プーチンの戦争>の現実的・歴史的背景

 いままさにウクライナ人民を血の海に沈めている<プーチンの戦争>――それはもちろん、直接的には、二〇一九年に登場したウクライナの大統領ゼレンスキーが「NATOへの加盟」の志向を表明したこと、そしてこのNATOへの加盟が実現するならばモスクワの目と鼻の先にミサイルが配備されること、これにたいするプーチンの危機感と焦燥感にもとづくといえる。
 プーチンは二〇一四年、クリミア半島を力ずくでロシアに組みいれたのであったが(このことのゆえに、その後のウクライナの権力者はNATOとの関係を一挙に強化したのであった)、このクリミア半島のロシアへの併合にたいして、NATO加盟諸国は経済制裁をおこなっただけで、併合を実質上は黙認したのであった。
 まさにこの欧米の対応を見て、ドンバス地方(ドネツク州・ルガンスク州)に触手を伸ばすために親露勢力にテコ入れしウクライナ政府軍との内戦を演出してきたのが、プーチンであった。
 そして、われわれが終始一貫して「暗黒の世紀」として暴きだしてきているように、「一超」帝国アメリカの衰退と米中対決時代への転回、さらに米―中・露の新東西冷戦の激化のなかで、米・日・欧の帝国主義がアジアの東の「台湾問題」への対応にその力を集中させ、かつインド太平洋地域での「米中覇権争い」に狂奔しているまさにその間隙をついて、プーチンは今回のウクライナ侵略戦争の挙にでたのである。
 このことは、ウクライナ侵略戦争の勃発というこの世界史的大事件を、一九九一年のソ連邦の崩壊を結節点的転換とする現代世界史の展開がもたらした現局面としてとらえるのでなければならないことをしめしている。
 ソ連邦の崩壊をもって「世界独覇」の野望をむきだしにした軍国主義帝国アメリカは、「自由と民主主義と市場」を掲げて全世界の政治的・軍事的支配と市場経済のグローバル化のために暴虐のかぎりをつくした。
 この「一超」帝国は、軍事的には、ユーゴ空爆(一九九九年)、アフガニスタン空爆(二〇〇一年)、イラク侵略戦争(二〇〇三年)という三つの戦争を強行した。そしてロシアにたいしても、「NATOの東方拡大」によって東欧諸国・旧ソ連構成諸国を切り崩し・それらをNATOに組みこむかたちで、欧州におけるアメリカ主導の支配秩序をロシア国境に迫るようにおし広げてきたのであった。
 このようなソ連邦崩壊以後のアメリカ帝国主義による「NATO東方拡大」にたいして、「アメリカはNATOを一インチも拡大しないという約束を破った」と非難し・これに断固反対してきたのがロシアのプーチン政権であった。
 このプーチンは、グルジアの「バラ革命」(二〇〇三年)、ウクライナの「オレンジ革命」(二〇〇四年)、キルギスの「チューリップ革命」(二〇〇五年)などを「カラー革命」と呼び、アメリカ帝国主義がロシアの勢力圏を突き崩すために仕組んだ政治工作と見て警戒を強めてきた。
 現にプーチンのロシアは、旧ソ連構成諸国に親米欧の政権が誕生しようとするたびごとに、「大ロシア民族の版図復活」の野望をたぎらせて、グルジアへの軍事侵攻(二〇〇八年)、そしてウクライナのクリミア軍事占領の強行(二〇一四年)などをくりかえしてきたのである。
 現在のプーチンのロシアによるウクライナ軍事侵略は、こうしたソ連邦崩壊以降の「NATOの東方拡大」をめぐる米・露の角逐を歴史的な背景としてもっているのである。
 そしてさらにロシアのウクライナへの軍事侵略をつき動かしているもの――それは、プーチン政権がロシア=大ロシア、ウクライナ=小ロシア、ベラルーシ=白ロシアの三つを単一の民族とみなす大ロシア主義にほかならない。ウクライナ侵略は、これをウクライナにたいして暴力的に貫徹するいがいの何ものでもないといえる。また経済的には、「亡国ロシア」の経済を建て直すために、肥沃な穀倉地帯を抱えるとともに工業が盛んな大国ウクライナをロシアに組みこむことを狙ったものでもある。FSB(連邦保安局)強権型支配体制のもとでの歪んだ国家資本主義(擬似資本主義)のゆえに経済的な危機にたえずさらされているのがロシアである。石油と天然ガスのほかには、武器や小麦ぐらいしか輸出するものがないロシア経済のこの脆弱性を突破するために、プーチンによってウクライナ軍事侵攻は強行されたのである。
 まさにこのような政治的・経済的な目的を貫徹するために、「NATO加盟」を志向していたゼレンスキー政権を武力でもって打ち倒し・ウクライナをロシアに組み敷くことを狙った世紀の蛮行にうってでたのが、スターリンの末裔にして現代の雷帝を装うプーチンなのだ。
 このプーチンはいま、ロシア革命の指導者レーニンの民族政策こそが「ウクライナを増長させた」などと悪罵を投げつけている。
 レーニンの死後、「一国社会主義」という虚偽のイデオロギーを掲げて革命ロシアを簒奪し、かつ全世界のプロレタリアートを裏切ったスターリン。そして「反スターリン的」とみなした共産党員や人民にたいする大量の粛清をおこない、また六〇〇万人ともいわれるウクライナ人民を餓死に追いやった「ホロドモール」に象徴される、ロシア人以外の諸民族にたいする苛烈きわまる抑圧政策を強行したスターリン。このスターリンがかつてウクライナ・ベラルーシはもとよりカフカス諸国をもロシア連邦共和国に統合しようとしたとき、断固としてスターリンとたたかったのがレーニンであった。
 だが今、かのソ連邦崩壊を「二十世紀最大の地政学的悲劇」と呼んできたプーチンは、このレーニンこそが「ソ連解体」の原因をつくったなどと断罪している。そうすることによって、「資本主義ロシアの復活」をはかったゴルバチョフやエリツィンによって埋葬された革命ロシアを再び埋葬したのだ。

 B 熾烈化する米・日・欧と中・露の<新東西冷戦>

 「ウクライナ問題」をめぐる米欧日と中露の角逐

 ロシアによるウクライナ軍事侵攻にたいして、アメリカ帝国主義のバイデン政権は、これをロシアのみならず中国にたいする米・欧・日の帝国主義諸国の世界的な包囲網を形成するための契機たらしめようとしている。そればかりではない。アフガニスタンからの惨めな米軍撤退、物価の高騰などによって支持率が低落しつづけ、トランプ人気に水をあけられているみずからの窮地からの挽回をはかるために、ウクライナ問題を利用しているのだ。
 NATO首脳会議(二〇二二年三月二十四日)においては、米欧諸国の首脳によって対露経済制裁の強化が確認されるとともに、アメリカの主導のもとで対ロシアの「前線」となるバルト海から黒海までの八ヵ国にNATOが戦闘部隊を置き・かつそれを増強することが決定された(エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランドに加えて、ハンガリー、スロバキア、ルーマニア、ブルガリア)。
 これをもつうじてバイデンは、欧州諸国からの「兵とカネ」の拠出を増大させるかたちでNATOをば対露の軍事同盟として再構築する道筋をつけることに奏功したかにみえた。だがしかし、「世界大戦は起こさない」などとうそぶきつつ・ウクライナ政府がもとめる「飛行禁止区域の設定」を頑として拒絶しつづけているアメリカ権力者と、多くの避難民をうけいれているポーランドを筆頭にウクライナへの「平和維持軍」の派遣をもとめる旧東欧諸国権力者との政治的亀裂が、はやくも露わとなっているのだ。
 こうしたなかで、ロシア国防省がおこなった三月二十五日の「第一段階の特別軍事作戦の終了」という発表を区切りとして中国の習近平政権は、侵略国ロシアにたいする露骨な擁護姿勢をむきだしにして、「対ロシア制裁反対」と「ウクライナの即時停戦と対話の継続」の旗を公然と掲げてインドをはじめとしてアフリカ・中央アジア・東南アジア諸国にたいする外交攻勢に猛烈にうってでている。
 そして、この中国の外相・王毅のインドへの電撃的訪問(三月二十五日)が露払いとなるかたちで、ロシアの外相ラブロフのインド訪問(四月一日)も実現された。この外相会談では、ロシアからのインドへの安値での石油輸出の拡大にかんして協議を開始することが合意されたのである(ロシアはインドに、ドルではなくインド通貨ルピーでの取引を提案)。
 このインド訪問によって中国権力者は「対ロシア制裁」の国際的な陣形に風穴を開けるべくたちまわった(中国は、中国独自の銀行間決済網CIPSとロシアのそれとを相互運用することもロシア側に提案している)。
 それは同時に、インドを対ロシア包囲網に組みいれるというアメリカの追求に横やりを入れることによって、対中国包囲網としてつくりだされているクアッドにおける米・日・豪とインドとの政治的連携を突き崩すという中国権力者の政治的目的にもとづくものなのだ。
 こうしてロシアのウクライナ侵略によって街が灰燼と化し数多の人民が殺戮されているこのときに、ロシアを擁護する中国とアメリカとは、酷たらしいまでの政治的な駆け引きをエゴイスティックにくりひろげているのである。

 台湾・南シナ海をめぐる米中の激突

 こうしたロシアとの連携を強化するとともに、中国の習近平政権は、バイデン政権がウクライナ問題への対応に力を割かざるをえないこのときを狙って、米・英・豪のAUKUSと日米軍事同盟を連結するかたちでのアジア版NATOの構築に反対する気運をつくりだすために、ASEAN諸国にたいして「アジアへの冷戦思考の持ち込み反対」の旗を掲げた政治的な攻勢を強めている。
 その裏面で中国政府は、南シナ海の軍事拠点化にふまえて西太平洋への軍事的進出の足がかりをつくりだすために、みずからは南シナ海の南沙諸島の三礁(ミスチーフ礁・ファイアクロス礁・スービ礁)に軍事要塞(ミサイルや航空機の格納庫・レーダー施設を擁する)を完成させるとともに、オーストラリアの北側に位置するソロモン諸島の政府とのあいだで中国海軍艦船の寄港を認める「安保協力の枠組み合意」を締結する動きを強めているのだ。
 そして、バイデンに「台湾関係がうまく処理されなければ両国関係に破滅的な影響をおよぼす」と警告を突きつけたオンラインでの首脳会談(三月十八日)のその日に合わせて、国産空母「山東」を台湾海峡の金門島付近を航行させるというデモンストレーションをおこなったのが習近平であった。
 まさにこのように「台湾統一」の野望をたぎらせている習近平の中国による台湾・南シナ海における軍事的攻勢にたいして、アメリカ帝国主義のバイデン政権は、日本帝国主義の岸田政権をしたがえて沖縄周辺での日米共同軍事演習の連続的な強行で対抗している。
 そして、いまや反米国家連合を築きつつある中国・ロシア・北朝鮮。これらの諸国家にたいして、アメリカが軍事的即応態勢をとっていることを見せつけるために、バイデン政権は、米海軍第七艦隊のロナルド・レーガンを中国・北朝鮮の喉元に位置する黄海にまで侵入させるという軍事的な威嚇行動をおこなっているのである。
 このように東アジアにおいても、台湾・南シナ海を焦点として、米・日と中国との政治的・軍事的角逐が激化しているのだ。まさに世界の覇者の座をかけての米中の冷戦的激突はいっそう熾烈化しているのである。

2 憲法改悪・日米軍事同盟強化への突進

 A ネオ・ファシズム反動攻撃をうちおろす岸田政権

 ロシアにたいする経済制裁を強化する米欧諸国の権力者に同調することによって、プーチン政権から「非友好国」という烙印を押され逆制裁≠ノ直面しているのが、日本帝国主義の岸田政権にほかならない。石油・天然ガスの代金のルーブルでの支払いの強要、撤収する企業の資産没収などの制裁がそれである。これに加えて軍事的にも、北方諸島での三〇〇〇人を動員した大規模な軍事演習(三月二十五日〜)や、ロシア海軍軍艦による津軽海峡を航行する海軍演習の強行など軍事的な威嚇にさらされている。
 そして岸田政権は、このプーチンのロシアとの「戦略的パートナーシップのさらなる強化」を確認した習近平の中国による台湾にたいする軍事的な攻勢、さらにはロシア(および中国)に支援された北朝鮮の金正恩政権による全米をその射程に入れるICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射実験と核実験の再開準備の策動にも直面している。岸田政権下の日本は、ロシア、中国、北朝鮮という反米諸国家に近接する最前線にたたされているのだ。
 ウクライナ軍事侵攻を契機にして米―中・露の激突がいっそう熾烈化している東アジアのただなかにある日本の岸田政権は、バイデン政権に安保の鎖で締めあげられたアメリカの「属国」として日米グローバル同盟の強化にますます狂奔している。
 この岸田政権にたいして、バイデンの軍国主義帝国アメリカは「同盟の再構築」という戦略にもとづいて日本帝国主義に東アジアにおける対中国包囲網づくりを率先してとりくむことを要求するとともに「日米同盟における役割の拡大」という軍事分担要求を強めている。これらの政治的・軍事的要求に積極的にこたえるために、日本での日米首脳会談の開催、そしてそれに続くクアッド(米日豪印)首脳会議の日本開催を実現しようとしているのが岸田政権なのである。
 岸田政権は、政治的には、クアッド首脳会議に向けて、ロシア擁護を鮮明にしているインドのモディ政権がプーチン政権との関係をいっそう強めることで、対中国の米・日・豪・印の政治的枠組みたるクアッドにも亀裂が生じることを回避するために、モディ政権のつなぎとめに躍起となっている。(日印外相会談で日本はインドから「力による現状変更は認められない」という確認をとりつけた。しかし、「ロシア」の文言は盛りこまれず。)
 そして、軍事的には、バイデン政権が日本に「打撃力」という名の攻撃型兵器を保有することをもとめていることにこたえて、岸田政権は、先制攻撃のための軍事システムの構築に血道をあげているのだ。
 こうしたなかでプーチンによるウクライナ軍事侵略を、日本の軍事強国化と憲法改悪の絶好の好機たらしめようとうごめいているのが、安倍晋三を頭目とする「右翼の軍国主義者」の勢力であり、これに羽交い締めにされた岸田政権にほかならない。
 核兵器の保有はおろか限定的な核攻撃も「合憲」という持論をもつ安倍晋三。このネオ・ファシストは、かつての盟友たるプーチンが「国家の危機には核兵器を使用する」と公然と主張し核攻撃の態勢をとっていることを見て、みずからも核保有の野望をたぎらせているのだ。この輩は、米軍の核兵器を日本に配備し・日米が共同で管理・運用する「核共有」(ニュークリア・シェアリング)をすべきだと叫びはじめた。これに日本維新の会の松井一郎も「非核三原則は昭和の価値観だ」などと呼応しはじめた。まさに自民・維新の極右政治エリートどもは、ウクライナ戦争を利用して、アメリカとの核兵器共有をもふくむ軍事力強化・憲法改悪の気運を煽りたて、もって戦争への道をきりひらこうとしているのだ。
 すでに憲法審査会では、自民、維新、国民民主などの改憲勢力の連携のもとに「緊急事態条項の創設」などの改憲条文案づくりを射程に入れた「緊急事態におけるオンライン国会」などをめぐる審議が強行されている(このなかで自民党・新藤義孝は「憲法改正にかかわる本体論議を具体的かつ本格的に深めてゆく時期にきている」などと主張した)。
 こうした国会の憲法審査会における改憲案づくりの策動と結びつけて、岸田自民党は、憲法改正実現本部に新設した「タスクフォース」の指揮のもとに、ゴールデンウィークまでに全都道府県で「改憲対話集会」なるものを開催するというかたちで改憲翼賛のネオ・ファシズム運動の組織化にも着手しているのである。
 そして、五月十五日に沖縄の「施政権返還五〇年」を迎えるこんにち、岸田政権は、バイデン政権とともに、沖縄本島をはじめとする南西諸島を対中国の軍事攻撃拠点としてうちかためるための策動に血道をあげている。
 アメリカ政府・在日米軍当局は、一月には沖縄のあらゆる基地・演習場において南西諸島などの離島に「戦時の臨時拠点」を構築することを想定した軍事演習を強行した。そしてこれに直続して二月には在日米軍一万人もの海兵隊・海軍を動員して――日本国軍をその翼下に組み入れつつ――島嶼部に分散展開した核部隊が敵国の空母・戦闘機を攻撃する軍事訓練〔「ノーブル・フュージョン(気高い融合)」〕を沖縄近海で強行した。まさにそれらは「遠征前進基地作戦(EABO)」構想にもとづく軍事訓練であり、日米両軍の一体化にもとづいて強行実施されたのである。
 かつて沖縄は、第二次世界大戦時には米軍による艦砲射撃による「鉄の暴風」によってウクライナのような焦土と化し、戦後は米軍事基地権力の支配のもとにおかれ、「施政権返還」後も「核基地の島」とされてきた。この沖縄は現在、「台湾の中国化」をめぐってアメリカ帝国主義とネオ・スターリン主義中国とが激突するフロントラインに位置している。沖縄を中心とした南西諸島・九州は、これを対中国の軍事攻撃拠点たらしめようとする米日両権力者によって、いま再び戦場とされようとしているのである。

 B 「憲法九条を生かした平和外交」宣伝に狂奔する日共中央の腐敗と全学連の闘い

 全学連のたたかう学生は、二月二十四日に強行されたロシアのウクライナ軍事侵攻に際して、ただちにロシア大使館にたいする緊急闘争や街頭での抗議街宣行動に決起した。これを皮切りに、労学統一行動(二月二十八日、三月十七日)に、三月五日には革マル派・反戦青年委員会とともに新宿駅頭での街頭情宣に連続的に起ちあがった。ウクライナ人、ロシア人が参加した三月五日のウクライナ反戦のパレードにも参加し、集会終了後には革マル派の声明が掲載された『解放』号外(ロシア語版)をも配布して、彼らに連帯を呼びかけ討論をつくりだしてきた。
 たたかう学生は、全国のキャンパスから、そして街頭から、労働戦線の深部でたたかう労働者と連帯して「ロシアのウクライナ軍事侵略弾劾」の闘いを反改憲・反戦反安保の闘いとともに創造しているのである。
 このときに日本共産党の志位指導部は、「プーチンに国連憲章を守らせる」などという宣伝活動をおこなうとともに、七月に迫った参院選挙に向けて「憲法九条を生かした外交戦略」という日共式の外交政策の代案の宣伝に一切をきりちぢめている。
 こうした日共指導部の議会主義的な闘争歪曲をのりこえるかたちで、ロシアのウクライナ侵略戦争に反対する諸集会に結集した労働者と連帯して、「ウクライナ反戦」「反改憲」「日米グローバル同盟反対」の闘いを創造しているのが全学連のたたかう学生なのだ。

3 ウクライナ反戦、反改憲・反安保の闘いに起て

 A 学生戦線から闘いを創造せよ!

 (1)全学連のたたかう学生諸君!
 われわれは、プーチンの世紀の蛮行をまえにして、日本政府に「憲法九条を生かした平和外交の推進」を請願するにすぎない日本共産党翼下の反対運動をのりこえ、<ロシアのウクライナ侵略戦争反対>の反戦闘争を日本の地から断固として創造しようではないか。新歓期の全国のキャンパスからウクライナ反戦の闘いの巨大なうねりをまきおこせ!
 いまウクライナ各地でロシア軍の無差別攻撃によって数多の人民が虐殺され、そしてウクライナ人民は兵士とともにロシア軍への血みどろの戦いに身を投じている。この現実を眼前にして、プーチンへの憤激もウクライナ人民への共感の一かけらさえもなく、プーチン政権およびソ連共産党との区別だてに血眼となっているのが、日共の志位指導部にほかならない。
 いうまでもなく、プーチンのさしむけた軍隊によっていま虐殺されているのはウクライナの労働者・人民である。そしてこの侵略をはね返そうと命を賭して戦っているのもウクライナの労働者・人民である。たとえそれがたんなる「反戦・反プーチン」意識に・しかも永い歴史のなかで心の中に刻みこまれた民族意識にもとづくものであるのだとしても、いやまさにそうであるからこそ、このウクライナ労働者・人民の立場にわが身を移しいれることは、ウクライナ侵略戦争問題と対決し肉迫するための出発点なのだ。この現実的ヒューマニズムとしてのプロレタリア・ヒューマニズムを欠如したままになされる一切の評論など、それじたいが害毒でしかないのだ。
 肉親や友人が殺されながらも命をなげうって祖国と民族をまもるためにロシア軍と戦うウクライナ人民。この彼らに心も動かず共感することもできない代々木「共産党」は、そうすることによって死滅していることを自認したのである。
 彼らの頭の中を占めているものは、自己保身でしかない。先の衆院選での大惨敗に続いて三ヵ月後に迫った参院選でも敗北してしまうならば、「野党と市民との共闘」は最後的に凄絶なパンクをとげ、「解党の危機にあえぐ創立百年」を迎えることに怯えているのだ。まさにそれゆえに彼らは、党消滅の危機ののりきりをはかるために、「ソ連共産党は社会主義とは縁もゆかりもない覇権主義だと断固反対を貫いたのが共産党」などという真っ赤な嘘をたれ流しつづけているのだ。
 だが、醜悪なゴマカシはやめよ。一九五六年、ハンガリーでソビエトを結成して起ちあがった労働者・人民とこれにたいするソ連軍のタンクによる血の弾圧にたいして、死のような沈黙を決めこみ、モスクワや北京にならってソ連の弾圧を支持したのが、代々木官僚どもであった。そしてその後も、一九七九年のソ連のアフガニスタン侵略にたいしては、侵略の直前に日・ソ両共産党の「共同声明」を確認していたがゆえに、二週間の沈黙の後になって「同意することはできない」とつぶやいたにすぎなかったのも彼らであった。こうしたみずからがくりかえしてきた反労働者的な犯罪の数々を消しさろうと躍起となればなるほど、われわれは、彼らもまたスターリン主義ソ連邦の巨悪に加担してきたネオ・スターリニストにほかならないことをあますことなく暴露する弾劾の矢を放ってやらねばならない。
 わが反スターリン主義運動は、一九五六年のハンガリー革命とこれにたいするソ連軍による圧殺という歴史的事件に「共産主義者としての主体性」をかけて対決した同志黒田寛一によって創造された。いらい六十五年間にわたって、スターリニスト・ソ連邦が反労働者的な犯罪をくりかえすたびに、これと対決したたかってきた。
 アンチ革命ゴルバチョフによるソ連邦の解体にたいしても、この革命ロシアの埋葬を弾劾して闘いを創造した。以来、この「世紀の逆転」を再逆転するために、われわれはたたかってきた。
 そして、エリツィンの後継として登場したプーチンが「シロビキ」とよばれる元情報機関員や軍人や治安機関員や縁故あるものを石油会社などの国営企業に送りこみ国有財産を簒奪してきたこと、そしてうちかためたFSB強権型支配体制のもとで旧ソ連圏諸国やシリアにたいして暴虐のかぎりをつくしてきたことにたいしても一貫してたたかってきたのだ。
 われわれ革命的左翼は、「大ロシアの復活」という野望のためにウクライナ民族そのものを地上から消しさるジェノサイドに狂奔するプーチン、この世紀の犯罪人にしてスターリンの末裔たるプーチンを絶対に許しはしない。レーニンの民族政策に「ウクライナを増長させた」などと悪罵を投げつけることで、再び革命ロシアを冒〓し埋葬したことを怒りをこめて弾劾するのでなければならない。
 わが日本の反スターリン主義革命的左翼と全学連のたたかう学生、革命的・戦闘的労働者は、この日本の地において、日共翼下の平和運動をのりこえ、ロシアによるウクライナ軍事侵略に反対する闘いを総力をあげて推進し、さらにこの闘いを国際的に波及させるために奮闘しようではないか!
 (2)われわれはこの闘いのなかで同時に、ロシアの労働者・人民に訴えかけなければならない。
 プーチンは、ロシア軍によるウクライナ人民の大量殺戮を「ネオ・ナチからの解放のため」などと正当化している。まさにそれが正真正銘のデマゴギーであるにもかかわらず、これに唱和しているのがロシア共産党なのだ。ロシア人民は、官憲を動員した暴力的な弾圧をもはね返して、ロシア軍のウクライナ無差別攻撃を阻止する闘いに起て!
 プーチンを頭にするFSB強権体制を打ち砕くことなしには、ロシアの労働者・人民には、戦争と暗黒支配とソ連崩壊直後のような経済的な奈落しか待ってはいない。
 いまこそ、ロシア人民は、革命ロシアを埋葬したスターリン主義者とその末裔どもの犯罪を弾劾し、ソ連邦の国有財産を簒奪し勤労人民を賃金プロレタリアに突き落としてきたプーチンら支配者どもに創意工夫をこらして反撃せよ!
 ロシアの人民よ。「悲惨なロシア」を突破する道は、「スターリン時代の偉大なソ連邦」への郷愁を抱き・その復活を願うことにあるのでは断じてない。スターリン主義の反マルクス主義的な本質にいまこそ目覚め、プーチン政権打倒の闘いに起ちあがることこそが、暗黒のロシアを未来に向かってきりひらいてゆくのだ。
 ロシア軍の兵士はその銃口をプーチンに向けよ!
 すべての労働者・人民は、ソビエトを結成して革命ロシアを実現したあのロシアの労働者・農民・兵士たちのように、ウクライナ人民と連帯してたたかおうではないか!
 (3)そしてわれわれは、ロシア軍にたいしてたたかうウクライナの人民に訴える。
 現代の皇帝プーチンの姿にスターリンを重ね合わせながら、侵略軍を打ち砕くために決死の闘争をたたかいぬいているウクライナ人民よ。スターリンいらいのソ連邦によって筆舌に尽くしがたい苦しみを味わわされてきたウクライナの人民よ。アゼルバイジャン軍の副司令官が「プーチンはこの戦争に勝てない。なぜならばウクライナは全国民が団結しているからだ」と言うように、プーチンの戦争を打ち砕く真の根源的な力はウクライナ全人民の団結にある。全人民がうって一丸となってプーチンの戦争を打ち砕け! ロシアで反プーチン闘争をたたかう労働者・人民と連帯し、「プーチン打倒」を呼びかけたたかおうではないか。
 重ねて呼びかける。ウクライナ人民の脳裏と体に憎悪とともに刻みこまれている「コミュニズム」の正体とは、ニセのマルクス主義としての血塗られたスターリニズムにほかならない。いまこそ「社会主義」ソ連邦の反労働者的な本質に目覚め、そしてまたウクライナを見殺しにしている米欧帝国主義の階級的本質にも目覚めよう。
 ウクライナ労働者・人民は、みずからが進むべき道が、ロシア人民と連帯して、いま一度一九一七年のあのロシア・プロレタリア革命によって実現した「ソビエト共和国」を樹立することのなかにあることを自覚し決意して、いまこそ前進しようではないか!

 わが同盟は、このような呼びかけをウクライナ反戦の闘いのただなかで、ウクライナの、そしてロシアの人民に向けて発してたたかっている。われわれは、二月二十四日のロシアのウクライナ軍事侵攻に際して、その三日後に緊急声明を掲載した『解放』号外を――和文だけでなくロシア語版・英語版をも作成――ウクライナおよびロシアの人民に向けて断固として発表した。
 このような呼びかけを、ロシア軍にたいする血みどろの戦いを続けているウクライナの人民に、そしてプーチンの戦争に反対する闘争を官憲の暴力的弾圧をうち破りつつたたかうロシアの労働者・人民に発しているものは、世界でもただ一人わが反スターリン主義革命的左翼いがいには存在しない。
 われわれが日本の地からこうしたウクライナ人民への呼びかけを発したのは、ウクライナにおいて戦う人民の立場にわが身を移しいれつつ、ロシアの侵略といかに戦うか、そして何をめざしていくべきかという方向性をさししめすためにほかならない。ウクライナ人民とともにたたかう立場に立脚することによってはじめて、たたかう人民にスターリン主義の反マルクス主義性と帝国主義のブルジョア階級性への自覚を促し、たたかう戦列を階級的質的に高めていくことも可能となるのである。
 これがまさに内在即超越であって、こうした内在即超越の論理にもとづいてはじめてウクライナ人民への呼びかけの内容は明らかにすることができるのである。
 われわれ反スターリニズム革命的左翼は、こうしたわれわれの訴えを、かつてソ連邦のもとにあったウクライナの、そしてロシアの人民のなかになんとしても届け、彼らとの真のプロレタリア的な連帯を創造してゆくのでなければならない。それこそが、「暗黒の二十一世紀」をプロレタリア革命の世紀に転じるためにたたかっているわれわれの任務なのだ。
 いまこそ、全学連のたたかう学生、戦闘的・革命的労働者は、ロシア軍にたいしてレジスタンスをたたかうウクライナ人民と連帯して、全国のキャンパス・職場からウクライナ反戦の闘いの巨大なうねりを創造しようではないか!

 B <米中冷戦>下の戦争勃発の危機を突破する反戦闘争を推進せよ!

 われわれが、昨年末いらい、全世界人民に向けて明らかにしてきたとおりに米―中・露の<新東西冷戦>のもとでウクライナにおいてロシアによる侵略戦争の劫火が吹きあがった。まさしく現代世界は、<戦争の時代>に突入した。このもとで、東アジアの台湾および南シナ海を焦点としたネオ・スターリン主義中国と米日両帝国主義国家との軍事的・政治的な角逐が熾烈化し、刻一刻と戦争勃発の危機が高まっている。いままさに第三次世界大戦の勃発の危機が切迫している。
 われわれは、<新東西冷戦>下の戦争勃発の危機を突破する反戦の闘いを断固として創造するのでなければならない。すべてのたたかう学生は、労働戦線の深部でたたかう労働者階級と連帯して、「反安保」を放棄した日共系の既成反対運動をのりこえ、「憲法改悪阻止・日米グローバル同盟粉砕」の巨大な闘争をいまこそ全国のキャンパスからダイナミックに創造しようではないか!

<軍国日本>再興のための憲法改悪を絶対に阻止せよ

 第一にわれわれは、岸田政権による憲法改悪の策動を木っ端微塵に打ち砕くのでなければならない。
 憲法第九条の破棄と緊急事態条項の創設とを二本柱とする「自民党改憲四項目」の憲法審査会への提出を断じて許すな!
 憲法改悪の先導役を任じている安倍を筆頭とする自民党内ネオ・ファシストグループと真正ファシストの党・日本維新の会とが結託しながら、日本に米軍の核兵器を配備し・これを日米共同で管理するなどという「核兵器シェアリング」を叫びたてている。プーチンのロシアのウクライナにたいする核攻撃の危機が迫っているときに、安倍らは、これに乗じてかねてから安倍が抱いてきた核保有の野望をむきだしにしている。まさにそれは、「戦力不保持」「交戦権の否認」を謳った憲法第九条の破棄をたくらむものたちが、プーチンの亜流というべき<軍国日本>の再興をたくらむ戦争亡者にほかならないことを自己暴露するものにほかならない。
 岸田政権が強行しようとしている憲法改悪こそは、台湾を焦点として米・日―中が激突する切迫した情勢のもとで、日米軍事同盟をグローバル同盟として強化し・日本の軍事的役割を一挙的に拡大するためのそれにほかならない。それは対中国のグローバル同盟の一方の担い手である日本国家を「一流の帝国主義国家」にふさわしく「交戦権」はもちろんのこと核兵器をもふくむ「打撃力」を有した軍事強国たらしめるための一大攻撃なのだ。
 この決定的なときに、改憲反対闘争方針から「反安保」を抜きさる日共官僚の犯罪性は明らかではないか。彼ら代々木官僚どもは、「憲法を生かした外交政策」なるものを岸田政権が採用するように請願している。だがしかし、彼らがみずから吹聴しているように、この「憲法を生かした平和外交」なるものは、代々木官僚どもによって日米軍事同盟の存在するもとでもとりうる外交政策などとされているのだ。いま日米軍事同盟をグローバルに強化し・日本が軍事的役割を拡大するために、まさにそのために岸田政権によって憲法改悪がたくらまれている。そうであるからして、こんにちの日共が明らかにしている「反安保」を抜きさった反改憲方針なるものが、岸田政権の憲法改悪を打ち砕くことなど決してできないことは明らかではないか。
 われわれは、「反安保」を完全に放棄する日共指導部を弾劾しつつ、憲法改悪阻止の闘いを、<日本の軍事強国化を阻止する闘い>として、そしてまた<反安保>=<日米軍事同盟強化反対>の闘いとしておしすすめるのでなければならない。核兵器のシェアリング絶対反対! 日本の核武装を断じて許すな!
 緊急事態条項の創設を許すな! 「ウクライナ戦争を見ても必要だ」などと吹聴するネオ・ファシストどもが注視しているのは、大統領権限で侵略戦争を開始し・国内での反戦=反プーチンの闘いを弾圧するための大統領令などを乱発するロシアのプーチンである。まさに、「二十一世紀に蘇ったヒトラー総統」のような強権を首相が手にし、労働者・人民を戦争に総動員するために民主主義的な諸権利など根こそぎに剥奪することこそが、緊急事態条項創設の狙いなのだ。
 こうしたドス黒いたくらみを満天下に暴きだし、岸田政権の緊急事態条項の創設を阻止するために、戦争遂行のためのネオ・ファシズム支配体制の強化に断固反対するという旗幟を鮮明にするのでなければならない。

 「日米グローバル同盟粉砕」の闘いに起て

 第二にわれわれは、改憲阻止の闘いとともに、日米軍事同盟のグローバル同盟としての強化に断固反対する闘いを、<米中冷戦>下で高まる戦争勃発の危機を突き破る反戦反安保闘争としておしすすめるのでなければならない。
 四月末にも日本で開催されようとしているバイデンと岸田の日米首脳会談こそは、対ロシア制裁を日米共同でおしすすめること、そして何よりも日米軍事同盟を対中国のグローバル同盟としていっそう強化することを確認する場となるにちがいない。
 すでに一月の日米2プラス2において、対中国の戦争計画にのっとって日米両軍を完全に一体化させること、沖縄・南西諸島・九州をはじめ日本列島全域を対中国攻撃の軍事拠点たらしめることなどが確認された。来たる首脳会談においては、日本が長射程のミサイルを保有することやアメリカの中距離弾道ミサイルを日本全土に配備することなどが合意されるであろう。
 われわれは、日米軍事同盟の飛躍的強化のための日米首脳会談の開催を断じて許さず、アメリカ大統領バイデンの来日を絶対に阻止しようではないか! 全学連のたたかう学生は、バイデン来日阻止闘争に全国から決起せよ! 対中国包囲網を形成・強化するための米・日・豪・印のクアッド首脳会談の開催に反対する闘いにも起て!
 われわれは、「反安保」を投げ捨てる日共翼下の反対運動をのりこえ、<安保粉砕>の巨大な闘争を全国各地から創造するのでなければならない。
 「施政権返還五〇年」を迎えた沖縄では、在日米軍が対中国・対北朝鮮の準臨戦態勢に突入している。この米軍は沖縄全島で実戦さながらの軍事訓練を昼夜わかたず強行している。台湾の「武力統一」をも公言する習近平中国の軍隊の西太平洋への進出を阻むために南西諸島にミサイルの壁をつくるとともに、中国海軍空母部隊を撃滅するために日米統合軍が島嶼などに軍事拠点を構築することがたくらまれている。このような軍事作戦構想にもとづいた日米合同軍事演習が連続的に実施されているのだ。
 われわれは、沖縄・日本全土を対中国の軍事攻撃拠点たらしめる一切の策動に反対する反戦反安保の闘いを創造しようではないか!
 日米共同での先制攻撃体制の構築反対! 対中国の戦争計画の練りあげを許すな。EABO構想にもとづく日米合同軍事演習反対。バイデン政権による日本への中距離ミサイルの配備を許すな。核兵器の日米シェアリング反対。日米軍事同盟の核軍事同盟としての強化を許すな!
 沖縄県学連のたたかう学生を先頭とする全学連のたたかう学生は、不屈にたたかう労働者・人民とともに辺野古新基地建設を阻止する闘いの大爆発をかちとろうではないか!
 いまこそ、われわれは、<すべての米軍基地撤去・安保破棄>めざしてたたかおうではないか!
 われわれは同時に、台湾を併呑することをめざしたネオ・スターリン主義中国の一切の軍事的威嚇行動に反対する反戦の闘いをもまきおこすのでなければならない。南シナ海における軍事拠点の構築や他国の漁船などにたいする威嚇などの反人民的な策動を弾劾しよう。「尖閣諸島」の領有を狙った中国権力者の強硬策を断じて許すな!
 われわれは、日米両帝国主義権力者による対中国の軍事的威嚇行動にたいして、そしてまた中国権力者の対米・対日の軍事行動にたいして、日本全国からの巨大な反戦闘争の創造でもってこたえるのでなければならない。
 ロシア・中国を後ろ盾にした北朝鮮の金正恩政権によるICBM発射実験を弾劾せよ!
 全学連のたたかう学生は、「国連幻想」を煽りたてる日共翼下の平和運動をのりこえ、ウクライナ反戦の闘いとともに、台湾を焦点として高まる米日―中の戦争の危機を突き破る反戦の闘いを総力で創造しようではないか。そしてこの闘いを国際的にも波及させるために奮闘しようではないか。
 すべての学生はいまこそ、<反戦全学連>の真価を発揮して革命的反戦闘争に決起せよ!

 C 一切のネオ・ファシズム反動攻撃を粉砕せよ!

 われわれは、岸田政権による「経済安全保障推進法」の制定を阻止する闘いを創造するのでなければならない。
 その核心的な内容は、「官民連携での先端技術開発の促進」「技術流出防止のための特許の非公開化」「半導体などの特定重要物資の指定と供給網の構築」、「基幹インフラ事業の事前審査と機密漏洩への罰則導入」などである。
 こうした「経済安保法」を岸田政権が制定しようとしているのは、「権威主義国家」とみなした現代中国が巨額の国家資金を投入して「軍民融合」での最先端技術開発をおしすすめていることに対抗して、バイデンのアメリカとともに「経済安全保障」のための共同の取り組みをおしすすめようとしているからである。
 こうした「経済安全保障」のための策動は、経済版の日米2プラス2を司令塔として日米一体でおしすすめられているものであって、日米軍事同盟の強化にもとづく日米両国家による対中国の戦争準備策動とかたく結びつけられているのだ。
 同時にわれわれは、こうした「経済安保法」の国会審議の裏面ですすめられている「中国のスパイ摘発」のための治安・諜報部門の日米一体化の策動が、日本型ネオ・ファシズム支配体制を一挙的に強化するものであることをも暴露するのでなければならない。
 われわれは、「経済安保法」の制定に反対する闘争を<日米グローバル同盟反対><経済の軍事化反対><日本型ネオ・ファシズム支配体制の強化反対>の旗幟を鮮明にして断固として創造するのでなければならない。

 すべての全学連のたたかう学生諸君! 労働戦線で首切り・合理化に反対してたたかう労働者とかたく連帯して、日共指導部による闘争の議会主義的歪曲をのりこえ、「ウクライナ反戦」「反改憲」「反戦反安保」の闘いを総力で創造しようではないか! 「経済安全保障法」の制定をはじめとする一切のネオ・ファシズム的な攻撃を粉砕する闘いに起て! ウクライナ軍事侵略と米・欧・日の対露経済制裁とによって拍車がかかっている狂乱的な物価高騰に反対する政治経済闘争をも推進しようではないか!
 こうした一切の諸闘争を結びつけつつおしすすめ、労働者階級・学生の階級的に団結した力で岸田日本型ネオ・ファシズム政権を打倒することをめざしてたたかおうではないか!
 全国のたたかう学生は新歓期のキャンパスから、新入生とともに闘いを創造せよ!
 (二〇二二年四月三日)

 〔付記〕
 四月三日、ウクライナ政府は、ウクライナ軍が解放したキエフ近郊ブチャなどで四一〇名のウクライナ人民の遺体が見つかったと発表した。路上では射殺された遺体、民家の地下では拷問された遺体、子供もふくめて手足をしばられた状態でバラバラに切断された遺体が発見された。ロシアの侵攻軍は残虐極まりない殺戮をおこなった。このプーチンとその軍隊による歴史的大罪を断じて許すな!
 (四月四日)