ロシアのウクライナ軍事侵略弾劾! 全世界の人民は反戦闘争に起て! ロシアの労働者人民はプーチン政権を打倒せよ 二〇二二年二月二十七日 日本革命的共産主義者同盟・革マル派 (1) 二月二十四日、戦争狂の大統領プーチンの号令一下、ロシア軍はウクライナ全土への全面的な軍事侵略を開始した。 プーチンは、ウクライナ東部のドネツクおよびルガンスクの武装勢力をモスクワに呼びつけ、「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認するとともに(二月二十一日)、この二つの「国」の要請を受けたと称して、一挙にウクライナへの軍事侵略の挙に出たのだ。ロシア軍は、ウクライナの軍事施設と飛行場をミサイルとサイバー攻撃などで破壊しつくすとともに、ロシア本土・ベラルーシ・クリミア半島の三方向からなだれこんだ。そしてチェルノブイリ原発を制圧するとともに、首都キエフを陥落させようとしている。ウクライナ人民への威嚇のために、わざと市民の住む集合住宅にもミサイルを撃ち込んでいる。 プーチンはうそぶく――「ウクライナを非軍事化し非ナチス化する」と。プーチンの野望が、ウクライナ全土を軍事制圧し現政権の斬首作戦を強行し、傀儡政権をでっちあげることにあることは、明らかなのだ。 これにたいしてウクライナの大統領ゼレンスキーは、「いまウクライナで起きていることは欧州でも起きることだ」「それなのに世界の強国は誰も助けてくれない」と悲痛な叫びをあげながら「徹底抗戦」を呼びかけ、国民総動員令を下して十八歳から六十歳までの男性すべての出国を禁じ戦闘に動員しつつある。 プーチンの放った戦争放火によって、ウクライナの人民は血の海に沈められようとしているのだ。 (2) こうしたなかで、ロシアの「NATOの不拡大」の要求を無視するとともに「アメリカはウクライナに軍隊を派遣することは検討していない」(昨二〇二一年十二月七日の米露首脳会談の翌日)と早ばやと言明したのが、アメリカ帝国主義の大統領バイデンであった。そうすることによって、かつての「一超」帝国アメリカは――わが同盟が一貫して暴露してきたように――すさまじい凋落ぶりをまたもやみずから白日のもとにさらけだしたのだ。 ちなみに、そもそもエネルギー自給率が七パーセント以下でしかないがゆえに、現出した「ウクライナ危機」に驚愕し、ただただ「国際秩序を壊す試みには国際協調で……」とくりかえすことしかできないのが、日本の岸田政権である。 他方、すでにプーチンが「ソ連邦の解体とNATOの東方拡大は二十世紀最大の地政学的惨事」との主張を再三くりかえしてきたにもかかわらず――「社会主義ソ連邦」の崩壊以後、「経済の民主化」は「政治の民主化」に必ずつながるという妄信に酔いしれてきたことのゆえに――その意図を察することもできなかったのが、欧州の権力者どもであった。このゆえに欧州の権力者どもは、「現代のヒトラー」プーチンが強行した侵略戦争に顔面蒼白とならざるをえなかったのだ。 この米欧日の権力者どもは――ウクライナに一定の武器を供与するとともに――ウクライナをロシアのもとに事実上組みこむというプーチンの野望が誰の目にも赤裸々となってはじめて、国際的な銀行間の決済ネットワークであるSWIFT(世界の一万一〇〇〇以上の金融機関が利用し決済額は一日あたり五七五兆円にのぼる)からロシアの一定の銀行を締め出すことに踏みきった(二月二十七日)。 SWIFTからのロシアの銀行・企業の締め出しは、エネルギーの供給をロシアからの輸入に頼ってきた欧州をはじめとする国々も返り血を浴びざるをえない。けれども、「ウクライナがNATOに加盟すれば、クリミアの帰属をめぐってロシアはNATOと戦争することになる。このことが分かっているのか」「ロシアは今も最強の核保有国だ。われわれを直接攻撃するものは壊滅し、悲惨な結果に遭うことは明白だ」と凄むプーチンの前に、米欧日の権力者たちは、こうした経済制裁に踏みだすことしかできないのである。 こうしたなかで習近平の中国は、「ウクライナ問題は複雑で特殊な歴史的経緯があり、安全保障問題におけるロシアの懸念も理解する」(外相・王毅)、「制裁は問題解決のための有効な手段ではない」(中国外務省)などとうそぶき、国連でのロシア非難の決議にも棄権したのであった。 ロシアと中国とは、明らかにロシアのウクライナ侵攻について腹合わせしているのだ。 (3) 親欧米政権と親露政権とのあいだを揺れ動いてきたウクライナをロシアに併呑しようとするプーチンを突き動かしているもの――それは、まず第一に、大ロシア主義である。ロシア=大ロシア、ウクライナ=小ロシア、ベラルーシ=白ロシアの三つを一つの単一の民族とみなすこの大国ナショナリズムの貫徹が、ウクライナの武力による併合なのである。 第二には、「亡国ロシア」の経済を立て直すためには、肥沃な穀倉地帯を抱えるとともに欧米資本のバックアップにより工業が盛んな大国ウクライナをロシアに組みこむことが必要だからである。 現在のロシアは――後に触れるように――FSB強権型支配体制のもとでの歪んだ国家資本主義のゆえに、擬似資本主義というしかない経済的破局の危機にさらされている。ロシアの輸出は、石油(産出量世界第三位)と天然ガス(同第二位)が七割を占め、あとは武器と小麦くらいしかなく、その経済は一九九九年以降の石油高によって辛くもなりたっているだけなのである。 そしてこのことは、旧ソ連邦においては、産業構造が共和国別・地方別に分断されていたことに淵源している。 第三に、このゆえにソ連邦崩壊の直後から、ロシアはかつてのソ連邦構成諸国にロシアとの経済関係を密にすることを迫ってきた。しかしこれを押しつければ押しつけるほどに、その民族主義的・分離主義的遠心力を助長することとなった。 こうした事態を打開するためにその後ロシアの国家権力がおこなったことは、かつてソ連邦を構成した諸国にたいする、非ロシア人を支配するためのロシア人の移住政策であった。まさしく大ロシア主義の実行である。このゆえに旧ソ連邦内のあちこちで、ロシア人と非ロシア人とのあいだの民族紛争が激発した。そしてロシア政府は、まさにスターリン主義ソ連邦の時代と同様のやり口――軍事力をバックに傀儡政権をでっちあげたり、領土を分割してロシアの版図に組み入れたりする、というそれ――をもって、大ロシア主義に反対する人民の抵抗を圧殺してきたのだ。 (4) プーチンは言う――「レーニンとその仲間(ボリシェビキ)は歴史的にロシアの土地であるものを分離し切断した」「(一九二二年、スターリンは、自治の原則にもとづいて国を建設することを提案したが)レーニンはこの計画を批判し、民族主義者に譲歩することを提案した」「なぜ民族主義者をなだめる必要があったのか」と。 だがこのレーニンへの悪罵こそは、プーチンという人物がまさしくロシア皇帝気取りの俗物でしかないことを、自己暴露したものといわなければならない。 言うまでもなく民族問題についてマルクス主義者は、「分離ののちに連邦制」、「他民族を抑圧する民族は自由ではありえない」というマルクス・エンゲルスの伝統を引き継ぎ、社会主義への過渡期におけるプロレタリアート独裁の国家は、(結合のための)分離をもふくむ民族の自決権をみとめると同時に、民族のちがいをこえた労働者階級の国際的なつながりに立脚しなければならない。このゆえにレーニンは、連邦の名称を「ヨーロッパ・アジア・ソビエト共和国同盟」とすること、同盟議長は各共和国から輪番で選ぶこと、共和国の同盟からの離脱の自由を保障すること、の三つを主張し、絶対に譲ろうとはしなかったのであった。 ところがスターリンは、ウクライナ・ベラルーシはもとより、カフカス諸国をもロシア連邦共和国に統合しようとしたのであった。そして共和国・自治共和国・自治州・自治区などに序列化し、官僚主義的中央集権体制を敷いたのであった。脳卒中でたおれ半身不随になりながらもレーニンはスターリンとたたかい、まさにこの問題でスターリンを書記長から解任せよという遺言を残したのである。 にもかかわらず、「ウクライナが増長するのはレーニンのせいだ」と喚くプーチン。東ドイツでKGBの任につき「ベルリンの壁崩壊」をその目で見ていたプーチンとは、スターリニストとしての罪深い過去など心の片隅にもない・およそ思想とは無縁な・まさしく皇帝気取りの小スターリンでしかないのである。 ロシアの労働者人民よ! 今こそ戦争狂のプーチン政権を打倒せよ! ソ連邦の解体以後のロシアは、資本主義の復活を策したエリツィンのもとで、インフレの三十倍にものぼるハイパー化、失業者の増大、諸物資の極端な偏在と物流構造の崩壊、経済マフィアの横行、そして物々交換経済へと、まさに「亡国ロシア」の悲惨を露わにした。 そしてエリツィンから権力の座を譲り受けたプーチンがやったことは、モスクワのビルを爆破するという謀略を五回にわたって強行し・「チェチェンのテロ」という濡れ衣を着せてチェチェンの人民を血の海に沈めたことである。また、ユーコスという欧米資本のバックアップを受けた最大の民間石油会社のトップを脱税容疑で投獄し、会社そのものをのっとったことである。さらに「シロビキ」と呼ばれた元情報機関員や軍人や治安機関員や縁故ある者を、石油会社をはじめとする国営企業に送りこみ国有財産を簒奪し、また放送局や新聞社に送りこんだ。こうしてプーチンはFSB強権型の支配体制を固めたのだ。 ロシアの労働者人民よ! プーチンを頭とするFSB強権型支配体制を打ち倒すことなしには、ロシアに未来はない。「悲惨なロシア」から復活する道は、二十世紀後半の世界を手玉にとったスターリンとその末裔の時代への郷愁と回帰にあるのでは決してない。まさしくスターリン主義のエセ・マルクス主義としての虚偽性に今こそ目覚め、全世界の労働者階級に希望と勇気と理想を与えたあのレーニン率いるロシア革命の時代をこの暗黒の二十一世紀に再び蘇らせることにこそあるのだ。 そして侵略軍にたいするレジスタンスを果敢にたたかうウクライナの労働者人民よ! ロシア革命を憎悪する大ロシア主義者=プーチンの狙いは、ウクライナのロシアへの併呑ないし属国化だ。この策動をうち砕くために、ウクライナ人民は一致団結しレジスタンスをたたかえ! 都市占領にたいしてはゼネストで反撃せよ! 敵はプーチンが差し向けたロシアの軍隊であって、ロシアの民衆ではない。ロシアの労働者人民に「プーチン政権打倒」を呼びかけ、「連帯」を呼びかけてたたかえ。殺人鬼プーチンが最も恐れているのはこのことなのだ。 今から約一〇〇年前のロシア革命に「ウクライナ社会主義ソビエト共和国」として合流したウクライナの労働者人民よ! あの精神を呼び覚まし、ロシア人民とともに戦争を革命に転化せよ! われわれは、全世界の人民に呼びかける! 今こそ反戦闘争に決起せよ! アメリカの人民は、今日のプーチン・ロシアの戦争は、ムスリム人民にたいするかの「ブッシュの戦争」と酷似していることを、しかもこの「ブッシュの戦争」を淵源としていることを想起し自覚し、断固たる反戦闘争に決起せよ! 欧州の人民は、「ナチスの狂気」に蹂躙されたかの第二次世界大戦に似た状況が現にいま生みだされていることに思いをいたし、断固たる闘争に決起せよ! そして中国の人民は、「現代のヒトラー」プーチンの暴挙を習近平政権が擁護していることを、怒りを込めて弾劾せよ! (5) ウクライナでいま現出しているロシアの侵略戦争は、コロナ・パンデミックで一挙にむきだしになった東西新冷戦構造への世界の推転の・その新たな局面をあらわすものといわねばならない。 「一超」軍国主義帝国アメリカのまるで急坂を転げ落ちるかのごとき衰退。米中対決時代への突入。そして東西新冷戦への急転回。まさしくこのような地殻大変動のなかで、米―中・露の激突による第三次世界大戦勃発の危機が、いま急速に醸成されつつあるのだ。しかもこの戦争的危機は、「使える核」をも投入したところの熱核戦争となる危険をも抱えているのだ。 わが革マル派は、現代世界の危機とその本質を洞察し断固として暴きだし・警鐘を乱打し、そして帝国主義権力者とネオ・スターリン主義中国および「亡国ロシア」の権力者どもによる戦争と圧政と貧困の強制にたいする全世界労働者階級人民の反撃を呼びかけてきた。日本の反スターリン主義運動は、一九五六年十月に勃発したハンガリー革命を契機として、ソ連が反マルクス主義の虚偽の「社会主義」国家でしかないことを完膚無きまでに暴きだし、以来スターリン主義の超克と真の共産主義運動の創造のためにたたかってきた。そして今われわれは、ウクライナ危機に際して「ロシアもNATOも時代錯誤だ」とか「多角的外交を」とかと対応することしかできない日本スターリニスト党を断固として弾劾しつつ、スターリニストの末裔たるプーチンのロシアによるウクライナ侵略戦争反対の闘いをたたかっているのである。 全世界の労働者人民よ! 東西新冷戦下の戦争的危機を突破するために、反戦闘争に決起せよ! そして<反帝・反スターリン主義>世界革命戦略にもとづいてこの暗黒の二十一世紀をプロレタリアの世紀へと転化するために奮闘しよう! ともにたたかわん! |