全ての労働者階級人民の力で

日本型ネオ・ファシズム権力を打倒せよ



参院選の意味とわが革命的左翼の任務


 先の参院選挙において、石破自民党が大惨敗を喫し、自公は歴史上初めて衆参両院において少数与党へと転落した。日本型ネオ・ファシズム支配体制の根幹をなしてきたブルジョア階級政党たる自民党が、その土台から崩落したのだ。
 他方、「日本人ファースト」党たる神谷の参政党が、伸張をとげた。「核武装」「天皇の元首化」「外国人の排斥」「極左の撲滅」を公然と叫ぶ真正ファシスト党たるこの参政党が、自民党の支持基盤だけではなく野党の支持層をも大きく切り崩し票をかすめとったのである。
 今回の参院選において露わとなったものは、自民党、公明党だけではなく立憲民主党、日本維新など一切の「既成政党」にたいする労働者人民の幻滅の一挙的拡大にほかならない。
 自民党の歴史的な崩落とそれゆえの大分裂の危機の深まり、そしてそれを強制した極右ファシスト党たる参政党の伸張とによって、日本型ネオ・ファシズム支配体制は新たな局面に突入したといわなくてはならない。
 「続投」する姿勢を堅持している自民党総裁・石破と、この石破に「辞任」を迫る旧安倍派、旧茂木派、麻生派などの政治エリートとの抗争が熾烈化している。衆参両院での少数与党への転落と自民党大分裂の傾動の強まりのなかで、いまや政府危機が長期化する様相を呈している。
 だが、労働者人民は警戒せよ! このなかでブルジョア階級とその権力は、日本型ネオ・ファシズム統治形態のもとで形式的には維持されてきた議会制を最後的に破壊し、日本にトランプのアメリカのような全体主義的な統治形態を創出することをたくらんでいる。そしてそのために、治安機関などの国家暴力装置を肥大化させ、労働戦線・学生戦線にがっちりと根を張って労働者階級人民の闘いを牽引しているわが革命的左翼にたいする治安維持法型の弾圧にうってでようとしているのだ。
 労働者階級の真の前衛党たるわが党は、政府危機にのたうつ政府・支配階級がその強権性・暴力性をむきだしにしながら全体主義的な統治形態の創出にむけて突破しようとしていることにたいして、これを木っ端微塵に粉砕するために仁王立ちとなってたたかう決意を表明する。すべての労働者・学生は、わが革マル派とともに、決意を新たにして<日本型ネオ・ファシズム粉砕>の壮大な闘いに起ちあがれ!
 これまで日本型ネオ・ファシズム統治形態の中枢に居座ってきた自民党にたいして激しい怒りが突きつけられ、その裏面で参政党(や国民民主党)にたいする支持が拡大したのであるが、その基底にあるものは、非正規雇用労働者の拡大、就職氷河期世代の経済的困窮の深刻化というかたちでの階級間の所得格差の一挙的な拡大、階級分裂の「可視化」という画歴史的な事態にほかならない。
 わが革命的左翼は、労学両戦線において、歴代の自民党政権と独占ブルジョアによる貧窮の強制に反対する闘争をこのかん一貫して創造してきた。
 だがしかし、労働者階級人民がどん底に突き落とされているこの時に、野党や労働運動指導部はいったい何をやってきたのか。石破自民党政権を支える「オール翼賛政党」と化してきたのが立憲民主党、国民民主党をはじめとする一切の野党ではなかったか。そして、労働者階級の総反撃の闘いを組織するのではなく、労働運動をネオ産業報国運動へと完全に変質させ、政府・独占資本の下僕となってきたのが「連合」の芳野指導部ではなかったか。日本共産党の志位=田村指導部にしても、修正資本主義の党としてブルジョア秩序党としての本性をむき出しにし、そうすることで労働者人民から総スカンを食ったのではなかったか。
 こうした既成の野党や労働運動指導部への幻滅が広がったことのゆえに、少なからぬ労働者人民がフェイクをSNSで垂れ流しつづけた「日本人ファースト」の党を支持してしまうという由々しき事態が生みだされてしまったのである。
 まさにそれゆえに、わが革マル派を先頭とする革命的左翼の責務は重かつ大であるといわなくてはならない。労働戦線の深部において、貧窮に苦しむ非正規雇用労働者やロストジェネレーションの労働者を賃金闘争などの組織的闘争に組織してきたのは、革命的・戦闘的労働者である。そして学生戦線において、反戦闘争とともに全国学費闘争の大きなうねりを創造してきたのは、全学連のたたかう学生たちである。革命的左翼のみが、貧窮に苦しみ「既成政党」にたいする幻滅をあらわにしている労働者人民に進むべき道を照らしだすことができるのだ。
 われわれは、労学両戦線から総力をあげて起ちあがるのでなければならない。歴代自民党政権のもとで貧窮と圧制と戦争を強制され、憤激を募らせている労働者人民を、さらにさらに組織し、反ファシズムの広範な戦線を構築するために奮闘しようではないか。
 すべての労働者階級・学生・人民は、わが革命的左翼とともに起て!
 いまこそ反ファシズムの広大な戦線をつくりだし、もって日本型ネオ・ファシズム権力を打倒せよ!

自公惨敗と「日本人ファースト党」の台頭――その根拠

 今回の参院選において石破自民党(改選五十二議席から三十九議席に沈没)は、伝統的保守層の離反に直面しただけではなく、十〜三十代の若い世代や、四十・五十代のいわゆる「就職氷河期」世代(ロストジェネレーション)の支持を最後的に失った(これらの世代における自民党の比例得票率はわずかに一割台)。長きにわたり自民党と連立を組んできた公明党もまた同様であった(改選十四議席から八議席へ)。これにかわって議席を大きく伸張させたのが、「手取りを増やす」と連呼した玉木の国民民主党(改選四議席から十七議席へ)であり、「日本人ファースト」をかかげた神谷の参政党(改選一議席から十四議席へ)であった。比例区についていえば、十代、二十代は国民民主が、三十代、四十代は参政党が、それぞれ最多の票を得たほどであった。
 その裏面では、野党第一党たる野田の立憲民主党は、比例票では国民民主・参政につぐ野党第三位に甘んじ、改選議席をかろうじて維持したのみ(二十二議席)であった。日本維新の会もまた同様に、改選議席を二議席増やして七議席を獲得したにとどまった。これらの政党は、とりわけ若年世代の労働者人民からは自民党と同じ「既成政党」とみなされ、低得票に沈んだのである。
 〔なお、参政党とならぶ真正ファシスト党である日本保守党は二議席を得た。「ミサイルより米を」と訴え続けた福島の社民党は改選一議席を守った。〕
 こうした今次参院選の結果こそは、生活苦にあえぎ「将来生活の安定」を切望する労働者・勤労人民の一定部分が、既成政党のいっさいに絶望するとともに・「手取りを増やす」(国民)、「まず減税」(参政)という甘言を弄した新興二党への支持を寄せたこと、なかでも電脳を駆使して「外国人排斥」の宣伝――「外国人は生活保護で優遇されている」とかのフェイクに満ちたそれ――をくりかえした参政党をば閉塞状況を打破する勢力≠ニみなして期待を寄せたことを、示しているといわねばならない。
 まさにこのように、貧窮に苦しむ人民が政権与党たる自民党を見限り、「日本人ファースト」党を一時的にもせよ支持したという事態は、だがいったい何ゆえに許されたのか。それは、今日版産業報国会たる「連合」の労働貴族どもが、生活苦にあえぐ労働者たちをことごとく見殺しにしてきたからではないのか! 独占ブルジョアジーにひざまずき「第二労務部」と化した彼ら労働貴族どもは、非正規雇用労働者にたいする資本家どもの「雇い止め」や「派遣切り」にたいしても、何ひとつたたかうことなく、使い捨てにされ路頭に投げ出された彼らを見捨ててきたではないか!
 わが戦闘的・革命的労働者は、このような「連合」指導部を弾劾しつつ、彼ら非正規雇用の労働者をも職場深部における闘いに粘り強く組織し、彼らとともに資本家どもによる首切り・賃下げ・雇い止めの攻撃に抗してたたかいぬいてきた。「連合」を内側から脱構築すべく一貫してたたかってきたわが戦闘的・革命的労働者こそが、貧窮を強いられ既成の政党や労働運動指導部に幻滅している労働者人民を大胆に反ファシズムの戦線へと組織してゆくために、いっそう奮闘すべきときなのだ!

 外国人排斥を叫ぶファシストの台頭を許すな

 われわれはまさにこのような反ファシズムの戦線に労働者人民を組織してゆくためにこそ、参政党の輩どもが「反グローバリズム」の名において煽りたてる「外国人排斥」の宣伝、そのファシスト性を満天下に暴きだすのでなければならない。
 労働者人民が、自民・公明さらには立民・維新などを「既成政党」とみなし離反し、一定の部分が参政および国民を支持したこと――この基底にあるものは、政府・独占資本によって貧窮のどん底に突き落とされ、さらには翼賛政党と化した既成政党や産業報国運動にうつつをぬかす労働貴族に見捨てられてきた労働者人民の絶望と怒りにほかならない。
 ソ連邦崩壊後に加速したいわゆる<経済のグローバル化>のもとで、日本の製造業独占体は生産拠点を次々に海外に移転するとともに、国内においては工場の統廃合をおしすすめ、労働者の首切り・賃下げ・非正規雇用への転換をおしすすめてきた。このことによって国内製造業の<空洞化>がもたらされるとともに、労働者人民は正規・非正規を問わず貧困のどん底に突き落とされてきた。
 こうしたなかで、安倍政権以降の歴代自民党政権がブルジョアどもの飽くなき利潤欲を満たすためにおこなってきたのが、「アベノミクス」=「異次元の金融緩和」によって円安を人為的に誘導し、そうすることで外国資本による日本への投資の促進や、「インバウンド需要の取り込み」と称する外国人富裕層の観光の奨励などをおしすすめることであった。歴代自民党政権は、日本の労働者人民が日本企業の製品やサービスを購買できないほどの低賃金にあえいでいるなかにあっても、外国からの投資や需要を呼びこむことで資本家どもに利殖の機会を与えてきたのである。――この「安いニッポン」誘導政策は、日本の労働者人民にたいしては、輸入品価格の上昇を理由にした独占資本家による価格つり上げ=物価暴騰として襲いかかった。
 それとともに、政府の後押しをうけた製造業・建設業・小売業の独占体および中小企業の資本家は、「より安価な労働力商品」を手に入れるために、東南アジアや中国の労働者たちを「特定技能外国人」とか「技能実習生」とかの名目で日本に呼び寄せ、極限的な低賃金でその生き血をすすってきた。
 このように歴代自民党政権は、日本の労働者階級人民を貧窮に縛りつけながらブルジョア階級に莫大な利潤を得させるためにこそ、「インバウンド需要」創出政策や外国人労働者導入政策を推進してきたのである。
 こうしたなかで、貧窮に苦しむ日本労働者人民の憤懣を、彼らの真の敵である政府・独占資本家階級にではなく、同じく低賃金と重労働に苦しむ外国人労働者に向かわせ、「外国人から日本人を守れ」とSNSで煽りたてるトランプばりの手法を駆使したのが、神谷ら参政党のチビ・ヒトラーどもなのだ。
 しかもこの神谷らは、「外国人」への勤労人民の反感を煽ることによって同時に、「外国人の侵食から日本人を守る国家」への人民の帰属意識≠醸成することを狙っている。見よ、参政党の「憲法案」なるものを。そこに踊っているのは、「日本は、稲穂が実る豊かな国土に、八百万の神と祖先を祀り……」「日本は、天皇のしらす(『お治めになる』の意)君民一体の国家である」等々の、天皇崇拝まるだしで日本の優越性≠扇動する文句の数々なのだ。
 そればかりではない。神谷は「共産主義者を弾圧した治安維持法は正しかった」などと吹聴している。そうすることで、警察権力によるいっさいの反政府的な運動への弾圧を正当化するための煙幕を張る役割を積極的に担っているのだ。
 日本の労働者階級人民は、かかる真正ファシスト分子の跳梁を断じて許してはならない。日本ブルジョア社会の最底辺で低賃金労働に従事させられている外国人労働者たちと手をとりあって、独占ブルジョアによる強搾取や首切りにともに断固として反対しようではないか。ファシスト突撃隊による外国人労働者への迫害を絶対に許すな!
 歴代自民党政権による<貧窮の強制>に真っ向から立ちはだかりたたかってきたわれわれ革命的左翼とともに、いまこそたたかおうではないか!

<反ファシズム>の戦線を構築せよ!

 すべての労働者・学生諸君! まさにいま、参院選における自民党の歴史的な崩落を決定的な契機として、そして参政党の台頭を旋回軸として、日本型ネオ・ファシズム支配体制は――自民党大分裂・政界大再編への傾動をもはらみながら――より強権的なかたちで強化されようとしている。われわれはいまこそ、日本型ネオ・ファシズム政権打倒をめざして奮闘しようではないか!
 日本共産党は、今回の参院選において改選七議席のうちわずか三議席しか獲得できず、ついに泡沫政党へと転落した。〔非改選四議席とあわせて七議席に。ちなみに副委員長の山下芳生も落選。〕比例区の得票数は、前回参院選(二〇二二年)の約三六〇万票からさらに減らして約二八六万票。二〇一六年の約六〇〇万票と比較すればじつに半減以下である。従来の基礎票をさえ大きく失ったこの惨憺たる結果に、議長志位・委員長田村以下の代々木官僚どもは泣きっ面をさらし、文字通り茫然自失となっている。
 これこそは、文字通りのブルジョア秩序党と化して日本労働者階級にたいする裏切りを重ねてきたこのネオ・スターリニスト党の、まさに断末魔いがいのなにものでもない。
 選挙戦の過程において代々木官僚は何をやってきたのか。石破政権による改憲・大軍拡・安保強化にたいする大衆的な反撃の闘いの創造も、いわんやウクライナ反戦、ガザ・ジェノサイド反対の闘いも完全に放棄したうえで、「物価高対策」の対案(それも「責任ある財源提案とセット」と称してうちだされた「消費税の五%への減税」という、立民以下的なしろもの)を宣伝してきただけではないか。だからこそ、「憲法改正」「日本核武装」さらに「左翼撲滅」をがなりたてる参政党に何ら対決できず、このファシスト党の伸張をみすみす許したのではなかったか! そもそもこの十年というもの、「保守層との共同」路線にもとづいて「自衛隊の活用」とか「有事における安保条約第五条の適用」とかというような代案の右翼的な緻密化に血道をあげ、そうすることで官僚たちみずからのイデオロギー的溶解をも招きよせてきたのが代々木官僚よ、お前たちではないか!
 まさにこのことを完膚なきまでに暴きだすイデオロギー闘争を展開することによって、わが革命的左翼は良心的党員たちの党中央からの造反をつくりだしてきた。日共の今次参院選での大敗北は、もはやガタガタとなった党組織の現状をもうつしだしているのである。
 心ある日共党員諸君! 参院選惨敗ショックでもはや足腰もたたない・腐敗しきった代々木官僚のくびきから、最後的にみずからを解き放ち、党中央から訣別せよ! 真の前衛党であるわれわれ革マル派とともに、<反ファシズム>の闘いに起とう!
 すべての労働者・学生諸君! われわれ革命的左翼はあらためて訴える。自民党が崩落し、チビ・トランプどもが新たな台頭を見せているこのときこそ、革命的左翼の底力を発揮すべきときだ。いまこそすべての戦線から<日本型ネオ・ファシズム粉砕>の闘いの嵐を断固として巻き起こせ!
 参院選惨敗にたたきこまれた石破は、党内から巻き起こる「石破辞任要求」に包囲されながらも、「比較第一党の責任を果たす」と称して首相の椅子にしがみついている。延命をはかる石破は、そのためにも、トランプ政権とのあいだで関税交渉を妥結させたこと(七月二十二日)を「成果」として党内外に最大限おしだしている。この交渉において日本側は、トランプが当初ふっかけた相互関税税率「二五%」を「一五%」に引き下げさせることと引き換えに、日本からアメリカへの五五〇〇億ドル相当の投資・融資・融資保証をおこなうことや、米国産のコメの日本への輸入拡大、毎年数十億ドル規模の米製兵器の追加購入などを確約したのであった。トランプ政権に日米安保の鎖で締めあげられた「属国」日本の石破政権は、トランプのアメリカからのさらなるむしりとりを許すとともに、それにともなういっさいの犠牲を日本の労働者人民におしつけようとしているのだ。これを絶対に許すな! 日米軍事同盟の強化と大軍拡に反対せよ!
 政府危機を深刻化させ長期漂流≠開始した日本ブルジョア階級の政治委員会は、対外的には、世界の覇権をかけた米―中の激突の最前面におしだされている。
 中国の習近平政権は、トランプのアメリカがグローバルサウス諸国にも「関税戦争」を仕掛けていることを逆手にとって、東南アジア・中南米諸国との関係強化にのりだすとともに、西太平洋への進出を一挙に本格化させている。朝鮮半島においては、北朝鮮の金正恩政権がロシアから核ミサイル技術の供与を得て核武装へと突き進んでいる。ロシアのプーチン政権は、中国との結託を強化しつつ、極東アジアでの威嚇的な軍事行動を常態化させている。
 この中国・北朝鮮・ロシアと対峙している日本型ネオ・ファシズム権力は、「主人」たるトランプ帝国からは、軍事費のGDP比五%への増額という要求を突きつけられている。この軍事費増額要求は、トランプ関税の発動とあいまって、地盤沈下著しい日本帝国主義経済(すでに名目GDPはドイツに抜かれ世界第四位に転落、まもなくインドにも抜かれ第五位となることが確実)の危機に追い打ちをかけるものとなるにちがいない。
 こうした「外患」にもさいなまれている日本の支配階級とその権力はそれゆえにこそ、現下の政府危機をば全体主義的統治形態の創出というかたちで突破することを策しているのだ。その治安弾圧体制の照準を、日本階級闘争を領導するわが革命的左翼に絞りあげながらである。闘いはまさにいまが正念場なのだ。
 すべての日本労働者階級人民は、わが革マル派とともに起ちあがれ! 反戦・反ファシズムの闘いを日本全国津々浦々から巻き起こし、危機にあえぐ石破「少数与党」内閣を十重二十重に包囲せよ! 労働者階級人民の総力をもって、日本型ネオ・ファシズム権力を打ち倒せ!
  (七月二十七日)