高市早苗を首班として発足した自民・維新の連立政権は発足後ただちに、労働者階級人民にありとあらゆる反動諸攻撃を一気にふりおろしはじめた。
軍事費のGDP比二%への増額(一一兆円)の前倒し実施(今年度中)とさらなる軍事費大増額、トマホークを発射できる原子力潜水艦の保有、殺傷兵器輸出の全面的な解禁といった日米軍事同盟強化と空前の大軍拡、そして軍需生産の一挙的な拡大。憲法第九条の破棄と、緊急事態条項の創設・緊急政令の導入という憲法大改悪にむけた策動。スパイ防止法の制定、「日本版CIA」の創設といった治安・諜報機関の一挙的な強化。さらには四兆円規模の社会保障の大削減と、「労働時間規制の緩和」などの独占ブルジョア支援策の実施、「責任ある積極財政」の名による反人民的なアベノミクス政策の継承――こうした極反動の諸政策をこれでもかこれでもかとならべたて、それらの早期実施にむけて猛突進しはじめているのが、高市日本型ネオ・ファシズム政権にほかならない。
この高市新政権の極右性は、その陣容にも露骨に示されている。党内でもきってのネオ・ファシスト分子で安倍晋三を信奉する高市が、官房長官に「教育勅語」礼賛者の木原稔、経済安保・外国人担当相に「外国人排斥」の突撃隊長たる小野田紀美、文部科学相に「南京大虐殺は捏造」と叫びつづける大東亜聖戦論者の松本洋平など、自民党内でも札付きの右翼ゴロツキ分子を政権の要所に多数配した。しかも旧安倍派のボスであり「闇献金」まみれの萩生田を幹事長代行にすえ、副大臣・政務官にも旧安倍派の「裏金議員」七名を任命した(高市自民党は、参院では、右翼ファシスト党たる「NHKから国民を守る党」の議員とも統一会派を組んだ)。
自民党は、労働者人民から総スカンを食らい少数与党に転落したことをむしろ逆手にとって、極右政党・維新の会と連立を組むばかりか、N国党などの極小のファシスト諸党をかき集めて、高市を首班とする極右政権をデッチあげた。そうすることによって、日本型ネオ・ファシズム統治形態は飛躍的に強化されたのである。
高市自民党は、議会において再び多数を占めるために政治的な術策をも弄している。自民党は、維新が「連立」の条件として自民党につきつけた「衆院定数の一割削減」をうけいれた。維新が提案したこの要求をのんだ格好をとって、「衆院比例代表の定数(五十議席)削減」を実施しようとしているのだ。「連立から離脱した公明党をはじめ立憲民主などの野党各党を議席激減に追いこみ、そうすることで危機に瀕する自民党の起死回生をはかる」――このような狡猾なたくらみにもとづいて、選挙制度の大改悪に踏みだそうとしているのが高市政権なのである。
いまわれわれが眼前にしている高市自民・維新連立政権こそは、歴代の自民党政権のなかでも最も反動的で、その凶暴性をむきだしにした日本型ネオ・ファシズム政権にほかならない。
わが同盟革マル派は、労働者階級人民の最先頭で、高市極右政権に仁王立ちとなってたたかう決意を明らかにする。そして、すべてのたたかう労働者・学生に呼びかける。
たたかう労働者・学生はいまこそ、高市政権によるトランプ政権との日米軍事同盟強化、日本の大軍拡、憲法改悪、スパイ防止法制定といった一切のウルトラ反動攻撃を木っ端微塵に粉砕する闘いに起て。「反安保」も「反ファシズム」も放棄している日本共産党中央翼下の反対運動をのりこえ、反戦・反ファシズムの闘いの大爆発をかちとろうではないか。たたかう労働者・学生は、労働者階級を中軸とする広範な<反ファシズムの戦線>を築くために、決意もかたく起ちあがれ!
トランプ帝国との軍事同盟強化と軍事費の大増額を阻止せよ!
首相・高市は、十月二十四日におこなった所信表明演説において、「新しい戦い方の顕在化など、安全保障環境の変化」のなかで「自立して国を守れるかたちをつくる」などと叫びたてつつ、史上空前の規模での大軍拡をおしすすめる意志をぶちあげた。
それは、二〇二七年度に軍事費とその関連費を合わせGDP比二%(約一一兆円)にするという目標を前倒しにし、それを今年度中に実現するというものである(軍事費と関連予算とで九・九兆円としていた当初予算に、補正予算分の一・一兆円を足して一一兆円に増額する)。これに加えて、この目標を定めた安保三文書を来年中に改定することも明らかにし、さらなる軍事費の大増額と一大軍拡に踏みだす決意を披瀝したのが、首相・高市にほかならない。
十月二十八日開催の「日米首脳会談」を控えた首相・高市は、訪日する予定の大統領トランプにたいして、「軍事費のGDP比三・五%への引き上げ」をもとめてきたアメリカの要求に唯々諾々と従って、軍事費のさらなる大増額とトマホークなどの米国製兵器の爆買いを誓約することを前もって示したのである。まさにそれは、アメリカに安保の鎖で締めあげられた「属国」日本がトランプ帝国への隷属をよりいっそう深めることいがいのなにものでもない。
だからこそトランプは、この高市の卑屈さを見透かして、たたみかけるように「軍事的役割をさらに拡大せよ」「NATO並みに増やせ(GDP比五%)」と居丈高に迫ってくるにちがいない。
われわれは、首脳会談において、高市がトランプとともに日米軍事同盟の飛躍的な強化を謳いあげることを断じて許してはならない。
「ネオ・モンロー主義者」たるトランプの軍国主義帝国は、「アメリカ・ファースト」をむきだしにした軍事戦略にもとづいて「アメリカ本土の防衛」に専念するとともに、「アメリカの裏庭」とみなした中南米において、反米・忌米の諸国家の政権を転覆することをめざした軍事的な諸策動を強めている〔「麻薬対策」を口実として、ベネズエラ(やコロンビア)の船を連続的に攻撃。CIAにベネズエラ国内での活動をも指示。米空母「ジェラルド・R・フォード」をも南米沖に派遣〕。
このトランプのアメリカから高市政権は、中国・北朝鮮およびロシアとの最前線にある日本こそが、アメリカの軍事的役割を肩代わりして・米軍に支援されつつも日本国軍が主力となるかたちで対中国・対北朝鮮の先制攻撃体制を構築するように強く求められているのである。
東アジアで中国、北朝鮮、ロシアという結託を強化しながらますます核武装を強化している反米諸国家と直接対峙している日本帝国主義国家。その高市政権は、こうしたトランプ政権からの軍事分担要求に積極的にこたえ、長射程ミサイルなどの米国製兵器を爆買いして大軍拡をおしすすめようとしている。そして、沖縄・南西諸島、九州をはじめとした日本列島を丸ごと対中国・対北朝鮮の先制攻撃をおこなう軍事要塞たらしめ、そのために全国の空港、港湾、鉄道をも軍事利用し、公務労働者・民間労働者を根こそぎに動員する国家総動員体制をつくりあげようと血眼となっているのだ。
われわれは、高市政権による日米軍事同盟の強化と大軍拡の策動を粉砕する反戦反安保闘争の大爆発を絶対にかちとるのでなければならない。
日本版CIAの創設・スパイ防止法の制定を許すな!
アメリカ大統領トランプの命にしたがって対中国の戦争準備と国家総動員体制の構築の策動をおしすすめている首相・高市は、維新との「連立合意」で謳いあげた「国家情報局の創設」にもふみだした(これと合わせて国家情報室も設置する)。新たに設置されようとしている国家情報局は、現在では内閣官房・警察・法務・外務・防衛と五つに分かれている諸諜報組織を、首相・内閣官房のもとに一元的に統括する国家情報会議(関係閣僚で構成)の事務局としてつくられようとしている。新たにつくりだされる国家情報会議と国家情報局は、国家安全保障会議(NSC)・国家安全保障局(NSS)と同格の組織として内閣官房のもとに設置される新たな指揮・統括機関とされている。そしてこれらと合わせて「対外情報庁」の新設もたくらまれている。まさにそれらは、「日本版のCIA」を国家機関として公然と創設する策動いがいのなにものでもない。
高市政権は、首相・内閣官房のもとに国家安全保障会議と同格の国家情報会議を設置し、この二つを車の両輪にして治安弾圧体制を一挙的に強化するための国家改造にふみだしたのだ。そして高市の自民党はいま、吉村の維新とともに、あらゆる反政府的な勢力を弾圧するための法整備上の要をなすスパイ防止法の制定にむけても、猛突進を始めているのだ。
このスパイ防止法の目的については、高市や吉村の意図を代弁するかたちで参政党の神谷が公然と語っている――「(公務員について)極左の考え方を持った人が社会の中枢にがっぷり入っている」「極端な思想の人たちには辞めてもらわなければならない。これを洗い出すのがスパイ防止法だ」と。そしていまや、自民党の極右政治エリートにつながる輩どもがネット上で「スパイ防止法に反対する者はスパイだ」などというフェイクをいっせいに垂れ流しはじめた。
これらのことからして明らかなようにスパイ防止法とは、政府の戦争政策や治安弾圧に反対する反政府的な思想をもったあらゆる者に「スパイ」の烙印を押して、その活動を徹底的に監視し弾圧するための稀代の治安弾圧法、すなわち今日版の治安維持法にほかならない。
首相・内閣官房のもとに設置され、諜報活動をおこなう国家情報局は、――本家アメリカのCIAがそうであるように――謀略的な手段をも駆使しながら、政府の政策に反対するものを「スパイ」にデッチあげようとしているのだ。
ファシスト政党をかきあつめることで極右政権を樹立した高市政権は、一切の反対運動を弾圧するための治安体制の飛躍的強化をはかり、さらに憲法大改悪の道を一挙に掃き清めようとしている。
高市自民党は、維新の会が提言してきた「憲法九条二項の削除による集団的自衛権の全面容認」や「国防軍の保持」、さらには「緊急政令をふくんだ緊急事態条項の創設」を採用するかたちで、新たな改憲条文案を策定しようとしている(「連立合意文書」)。
ここでいう「緊急政令」とは、「戦時」や「大規模災害」などの「緊急事態」に際して、行政府たる内閣が、立法府たる国会での審議をまったく経ることなく制定できる政令のことであって、ナチス・ドイツの「授権法」で総統ヒトラーに与えられたような強大な権限を首相に与えるものである。まさにそれは、首相が「緊急事態」を宣言すれば、労働者人民の「基本的な人権」を即時に停止し・戦争のために強制的に動員することを可能にするものにほかならない。
われわれは、高市新政権による日本型ネオ・ファシズム支配体制を強化するための一切の策動を粉砕するために、反改憲・反ファシズムの闘いの大爆発をかちとるのでなければならない。
労働者階級人民はただちに<反ファシズム>の広範な戦線を築け!
こうしていま、強権的=軍事的支配体制の強化のための策動に狂奔している首相・高市、維新の吉村、そして高市自民党の別働隊たる参政党の神谷などの極右ファシスト分子は、「外国人」と「左翼=反政府勢力」とを「日本民族にとっての内なる敵」として仕立てあげることに血眼となっている。
だがいうまでもなく、「外国人」や「左翼」を「民族の敵」として描きあげ、それらを社会から撲滅するためのフェイクを垂れ流すのは、――ナチスのヒトラーがそうであったように――ファシストどもの常套手段にほかならない。
安倍以来の歴代自民党政権がとってきたアベノミクスなどの経済諸政策のもとで、労働者人民は物価高や低賃金・使い捨ての不安定雇用などに苦しみ経済的な奈落に突き落とされてきた。こうした労働者人民の憤懣と怒りを、真の敵である政府・支配階級に向かわせず、外国人や左翼勢力に仕向けるという姑息で悪辣な手口を弄しているのが、極右高市政権なのである。
中国・ロシア・北朝鮮とアメリカ・日本との新東西角逐の熾烈化とトランプのアメリカの「属国」としての隷従をいっそう深める日本の「アジアの孤児」化。こうした世界的な大激動のまっただなかにおける日本帝国主義国家の経済的・政治的な力の零落。こうした状況を「国難」ととらえ焦燥感を募らせているのが、高市ら極右ファシストどもにほかならない。まさにそれゆえに、首相・高市らの政治エリートは、連立相手である維新代表・吉村らと謀って、日本帝国主義国家の危機突破のために<軍国日本>を再興する野望をたぎらせているのだ。そしてそのために、日本型ネオ・ファシズム統治形態のもとで形式的には維持されてきた議会制民主主義を実質的に破壊し、治安機関・諜報機関などの国家暴力装置を突出させるかたちで、戦前型の全体主義的な統治形態を創出する策動を強めているのである。
そしていまや、高市や吉村らは、戦後八十年に際して大東亜聖戦論を鼓吹するとともに、「古来例外なく男系継承が維持されてきた皇室の歴史」=「日本の伝統」をおしだし、そうすることで日本ナショナリズムを人民のなかに注入するためのイデオロギー攻撃を強めているのだ。外国人排斥のための民族排外主義の鼓吹は、こうした攻撃と表裏一体のものにほかならない。
われわれは、極反動の高市政権によるウルトラ反動の諸攻撃を粉砕するための一大闘争に決意もかたく起ちあがるのでなければならない。歴代自民党政権のもとで塗炭の苦しみを強制されつづけてきたがゆえに憤激を募らせている労働者人民を、われわれは労学両戦線から断固組織しよう!
この重大な局面において、「連合」の芳野指導部は、日本型ネオ・ファシズム統治形態を下から支えるネオ産業報国会としての姿をますますむきだしにしている。
「連合」内の右派労働貴族どもに支えられた玉木の国民民主党は、自民・維新連立の高市政権にたいして、「一〇三万円の壁の撤廃」などの諸政策の実現がはかれるならば、連携する意志があることを露骨に示しているほどである。
そしてこれを黙認している芳野指導部は、平和フォーラムなどの諸労組が反戦・平和の運動にとりくむことを徹底的に抑圧している。さらには立憲民主党に、安保法制や原発問題などの基本政策を最後的に破棄し、国民民主党との基本政策の一致をはかることを強要しているのである。
いまこそ、「連合」内の戦闘的・革命的労働者は、このネオ産業報国運動を内側から食い破り、「連合」の脱構築をめざしてたたかうのでなければならない。
全学連のたたかう学生たちは、労働戦線の深部でたたかう労働者と連帯して、反戦・反ファシズムの闘いの最先頭でたたかおうではないか。
たたかう労働者・学生は、「反動ブロックの危険に立ち向かう新しい共同」と口にしながらも、「反ファシズム」も「反安保」も放棄してしまっている日本共産党の志位=田村指導部の議会主義的な闘争歪曲をのりこえ、たたかうのでなければならない。
日本全国から、「日米軍事同盟強化反対・大軍拡粉砕」の反戦反安保闘争、「スパイ防止法制定阻止・憲法改悪反対」「ネオ・ファシズム支配体制をうちかためるための選挙制度改悪反対」の反改憲・反ファシズムの闘争、「賃下げ・首切り反対」「社会保障の大削減反対」の政治経済闘争、<プーチンの戦争>と<ネタニヤフの戦争>を打ち砕く革命的反戦闘争の大爆発をかちとろう。
いまこそ、労働者階級・学生・人民は<反ファシズム>の戦線を強力かつ広範に構築するために、あらゆる戦線から起ちあがれ! もって高市日本型ネオ・ファシズム政権を打倒しようではないか!
(十月二十六日)
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