第62回国際反戦集会海外アピール 

2024年7月7日 第62回国際反戦集会実行委員会
(全学連・反戦青年委員会・革マル派)

プーチン政権のウクライナ侵略戦争粉砕!

ネタニヤフ政権のガザ人民ジェノサイド弾劾!


全世界人民の団結で核戦争勃発を阻止しよう



殺人鬼政権による民族抹殺の暴挙を許すな

 全世界の労働者・学生・市民諸君!
 いまわれわれは、ひとつの民族そのものをこの地上から抹殺しようとする残虐無比な戦争を目の当たりにしている。ひとつはウクライナにたいする<プーチンの戦争>であり、ひとつは<イスラエルのネタニヤフ政権によるガザ人民へのジェノサイド>である。
 「天井のない監獄」と言われる狭いパレスチナ・ガザ自治区に住む二三〇万人の人民にたいして、ネタニヤフの政府とその軍は、「ハマス根絶」を叫びながら、非人間性と野蛮をむきだしにしたジェノサイドを、今この時も強行している。彼らは、ガザ人民を南へ北へと幾度も追いやったうえで、住居や学校や病院にも・難民キャンプにさえもミサイルと砲弾を雨霰と降らせて、彼らを血の海に沈めている。国境を封鎖し水や食糧や医薬品の搬入を断って、人々を飢餓地獄に突きおとしている。死者はすでに四万人にのぼろうとしており、その約四割はいたいけな子供たちなのだ。瓦礫の下に埋まった犠牲者は数も知れない。
 彼ら殺人鬼政権の最終的な目標は、あきらかに、パレスチナという民族そのものをこの地上から抹殺することにある。だからこそ彼らは今、ガザ人民の大虐殺と同時にヨルダン川西岸地区のパレスチナ人民にたいしても、みずからの入植地を拡大しつつ残虐行為をほしいままにしているのだ。
 これまで一貫してイスラエルのシオニスト政権の後ろ楯となってきたアメリカ帝国主義は、この残忍きわまりないホロコーストを事実上黙認し、今もミサイルや爆弾を提供している。バイデン政権が時折「紛争の調停案」を唱えてみせるのは、秋の大統領選を前にして米国の若者を中心に高まる「虐殺反対」の声をかわすためにすぎない。
 この<ネタニヤフの戦争>と同様の虐殺が、ウクライナではすでに二年半にわたっておこなわれている。ブチャの虐殺、ボロディアンカの虐殺。そしてマリウポリの大虐殺。……人口四〇万人のマリウポリでは、劇場に避難した人民への無差別爆撃をはじめとするロシア軍の残忍な攻撃によって、二万人もの無辜の人民が虐殺されたのだ。
 現代のヒトラーたるプーチン皇帝とこれを支えるFSBなどの「シロビキ」どもは、大ロシア民族主義にもとづいて、ウクライナという独立した国を解体しロシア連邦のもとに組みこむことを野望しているのだ。
 ロシアが占領地でやっていることを見よ。彼らは住民全員を調べあげて「反ロシア的」かどうかを選別し、ある者は殺害しある者はシベリア送りにし、またロシアの軍服を着せてウクライナ同胞との戦闘に駆りだしている。多くの子供たちをロシアに連れ去り「ウクライナを憎むロシアの若者」に育てようとしている。
 だからこそウクライナの人々は、愛するわが子のため家族のため、彼らの未来のために、侵略軍を叩きだすことをめざして命を賭して闘っているのだ。

<プーチンの戦争>を粉砕するために闘おう

 五月以降ロシア軍は、欧米諸国によるウクライナ支援の停滞につけこんで、東部ドネツク州や新たにハルキウ州にたいしてロシア領内からの滑空爆弾の投下と越境攻撃を強行し、また多くの難民を生みだすことをも狙ってウクライナの発電施設の八割を破壊した。これにたいしてウクライナ軍は、十分な防空システムがないにもかかわらず、またロシア軍の八分の一の砲弾しか持っていなかったにもかかわらず、ウクライナ人民が作った自前のドローンを主な武器にして、この侵略軍の攻撃を食い止めた。
 だが、ウクライナのレジスタンスはいま新たな困難に直面している。
 大統領選の真っ只中にあるアメリカ帝国主義では、かのTV討論におけるバイデンの失態によって、「トランプの方がまだまし」という空気が一気に広がっている。このトランプは、大統領に返り咲いたら、「ウクライナはNATOに加盟しないことを約束したうえで、クリミアと東部国境地帯のどこまでをロシアに割譲するかを、プーチンと交渉する」などというかたちで戦争を終わらせることを策している。そしてこれと符節を合わせるかのように、プーチンは、「ウクライナ軍はロシアが併合した四州から完全に撤退すること、NATOに加盟しないこと。これが交渉の条件だ」とうそぶいている。
 こうしたなかで、七月一日からEUの議長を務めることとなったハンガリーのオルバンが議長就任の翌日には早くもキーウを訪問し、ゼレンスキー政府に「一時的な停戦と平和交渉の開始」を迫っている。そして七月五日には、「和平への第一歩を踏みだす重要な役割を果たす」と称してモスクワでプーチンと会談した。
 オルバンは、親プーチンかつ親・習近平であるだけでなく、「トランプの復活を望む」ことを公言している。たとえその議長の任期は今年一杯だとしても、このオルバンのふるまいは、一方的な侵略者たるプーチンを免罪し、ロシアに完全に有利なかたちでの「ウクライナ戦争の終結」の流れを加速しかねないのだ。
 ロシア皇帝プーチンが、もしもこのようなかたちでウクライナへの軍事侵略の「終結」にこぎつけたとするならば、彼らは「次は何か」を虎視眈々と窺いだすにちがいない。
 たとえいかに国内が荒廃しようとも、彼らには、前方への逃避∴ネ外に道は残されていないのであって、彼らは、ウクライナという国を消滅させ民族の歴史や文化そのものを消し去り、民族的アイデンティティーそのものを抹殺していくにちがいない。それだけではない。「ソ連邦の解体は地政学的大惨事であった」というプーチンの言辞を想起せよ。彼らは、この「大惨事」の「失地回復」をめざして、みずからの核戦力をバックに侵略の魔手を旧ソ連の構成国へ・さらには東欧の旧ソ連衛星国へと伸ばすという黒い野望を膨らませていくにちがいない。

欧州の労働者人民は極右の跳梁を許すな

 われわれは、「二十一世紀のヒトラー」プーチンの野望を絶対にうち砕かなければならない。
 だが、先の欧州議会選挙において極右勢力が大きく議席を伸ばしたことに示されたように、欧州諸国では今、「ウクライナ支援をやめて、国内経済対策を優先せよ」などと主張するフランスの「国民連合」やドイツの「AfD」などの極右勢力が跳梁跋扈している。彼らは、ロシアから資金を供与されていることを公言している親ロシアの勢力なのだ。
 無念にも、インフレの昂進や難民の急増などの社会的経済的諸矛盾の深刻化のなかで、労働者人民の一定の部分が、この極右勢力を支持してしまった。
 だがしかし、欧州の労働者の仲間たちよ! ウクライナの同胞を見捨てることは、労働者階級としてのみずからの首を絞める行為ではないか? われわれは今一度、ウクライナの闘う人々の訴えに耳を澄まそうではないか!
 六月上旬の欧州議会選挙をまえに、ウクライナの諸労働組合とその他の団体(学生を含む)が会合を開き、「ウクライナの労働者に正義を!」という共同アピールを発した〔これは一参加団体のウェブサイトに掲載されている〕。アピールは、「ウクライナ社会の強靱性は一般の労働者にかかっています。軍の大多数を構成し、兵站、生産、重要インフラの維持管理という国内戦線の機能を保障しているのは労働者です」ということをあらためて確認し、次のように訴えている。
 「国際社会が優柔不断に陥っているなかで、これを喜ぶロシア占領軍は攻勢を強めています。われわれの同志たちは、前線で十分な武器供給もないまま戦うことを余儀なくされて死んでいます。充分な防空体制がないなかで、発電所・工場・家屋は潰滅的な攻撃にさらされています。本当に『揺るぎない支援』があったならば、これは避けられないことではなかったでしょう。しかし、いま、私たちは、ほとんど自力で侵略者と対峙しなければならなくなっています。」
 そして彼らは、EU諸国の労働者たちに訴えている。「私たちは、共に力をあわせることによってのみ、帝国主義者の侵略、独裁者の圧力、オリガルヒの欲望、極右の煽動から民主主義と社会正義を守ることができると考えます」と。
 欧州の労働者たちよ!
 労働者は共に資本主義社会の底辺に生きる者として、同胞の犠牲のうえにみずからの利害を追求することはできない。支配階級の国家権力に抗しうる労働者階級の力の源泉は、ただ賃金奴隷としての自覚にもとづく労働者階級の階級的団結にこそある。そして本質的に国境をもたない労働者階級の団結の質は、国家の壁によって隔てられた兄弟にたいする態度の中にこそ示される。
 だから労働者は、ウクライナの同胞を見捨ててはならない。「ウクライナへの支援反対」などというスローガンを、決して掲げてはならないのだ。
 東欧の労働者たちよ!
 ロシアのウクライナ侵略から二年の二〇二四年二月には、東欧諸国の各地で、「ロシアのウクライナ侵略反対」の大きなデモンストレーションがくりひろげられた。オルバン政権下のハンガリーでは、労働者たちは、「一九五六年、二〇二二年、敵は同じだ」というスローガンを掲げてデモをおこなった。
 一九五六年にハンガリーの労働者人民は、「非スターリン化」を要求し労・農・兵・学がソビエトを結成して武装蜂起した。しかしこの闘いは、ソ連のスターリン主義官僚政府が送りこんだ戦車によっておし潰され、数万の人民が虐殺された。わが運動の創始者は、このハンガリー労働者の血叫びをわがこととして受けとめ、日本の地で反スターリン主義の革命的共産主義運動を創成した。以来、<反帝国主義・反スターリン主義>の旗のもとにわれわれは闘ってきたのである。
 かつてクレムリンの暴虐と闘ったハンガリーの労働者よ! チェコとスロバキアの労働者よ! ポーランドの労働者よ!
 ソ連「社会主義」時代の共産党専制体制において、人民を強権的に支配するその暴力装置の中枢を担っていた部分が、今「シロビキ」としてロシア連邦の新たな支配者に成り上がっている。この歴史上類例を見ない巨悪にまみれた「帝国」のなかに、いまウクライナ同胞が引きずり込まれようとしている。われわれはこの歴史的大犯罪を座視してはならない!

 労働者の団結で「人民の平和」を

 だが欧州の左翼の一部は、こうしたウクライナの闘う人々にたいして信じがたい罵声を浴びせ、<プーチンの戦争>を陰に陽に弁護している。
 彼らは言う、「ロシアもウクライナも武器を置き、即時停戦をせよ」「ウクライナには支援すべきレジスタンスなどない」「『ウクライナを守れ』というのは民族主義だ」「悪いのはロシアよりもNATOの方だ」と。
 もちろん、ひとしくこのような主張を口にしているとはいえ、その内実は様々であろう。ウクライナの人々の苦悩に心を痛めながらも、NATO傘下の国家の中で活動している以上、戦争を尻押しするようなことは言えない、と考えている者もいるかもしれない。「ウクライナでの戦争はスラヴ人同士の領土争いだ」などと考える者もいるかもしれない。中には、ウクライナの戦う人々を「民族主義者」と罵るだけでなく、「『ガザ人民の虐殺弾劾』などというスローガンはナンセンスだ。パレスチナ人などいない」などと、極右同然の言辞を弄する者もいる。
 だが、いずれにせよ、こうした主張をする者に共通していることは、次のことである。すなわち――
 「侵略しているのは誰であり、侵略されているのは誰か」というこの出発点を故意に曖昧にしていること。侵略者への怒りがまったくなく・虐げられた労働者への共感がまったくないこと。そもそも彼ら自身が政府=支配階級と同様に自国第一主義に陥っていること。
 「NATOとロシアとどちらが悪いか」などという問題のたて方は、苦悶し苦闘するウクライナの労働者人民の現実とはまったく無縁な地平で、「パワー・ポリティクス」を信奉する権力者と同様の政治力学的な発想に陥没したものでしかないのだ。
 これにたいして、ウクライナの闘う左翼や欧州において彼らを支援する人たちは、労働者階級の立場に確固として立っている。
 たとえば、ENSU(ウクライナ連帯ヨーロッパ・ネットワーク)のSNSによるならば、ウクライナと欧州の諸団体(東欧を含む)は、六月に「帝国の平和ではなく、人民の平和を」と題する宣言を発した。
 宣言は言っている――「彼ら〔欧州と北米の政府〕がウクライナを支援しているのは、世界的な帝国主義の競争において自国の利益を主張するためである」「私たちに必要なのは、ウクライナとロシアの国民と労働者の利益にもとづき、またその利益によって支えられた平和です」と。
 だからまた、こうも言う――「ウクライナにたいする効果的な軍事支援には新たな軍備増強は必要ない。われわれはNATOの再軍備計画と第三国への武器輸出に反対します」と。
 そして、こうした立場にたって、「私たちは、ウクライナにロシア占領軍への大規模な譲歩を迫る『西側』政府、NATO、EUの代表者の試みに反対します」と訴えているのだ。
 彼らは、どこまでも全世界の労働者人民と心をひとつにしている。
 彼らは、侵略国ロシアの労働者人民にも連帯を呼びかけ、とくに戦争に駆りだされている少数民族に心を痛めつつ連帯を呼びかけている。彼らは一貫してパレスチナ人民との連帯を謳い、戦火の中にあっても「ガザ人民虐殺反対」の署名を集めている。彼らは、第一次大戦後に帝国主義者どもの策謀によって建国の夢を果たせなかったクルドの人民にも、連帯を表明している。
 全世界の労働者人民よ!
 戦争のただなかで「労働者の正義」を求め、戦火の彼方に「人民の平和」をみつめて闘っている彼らと、心をひとつにし手に手を取り合って進もうではないか。

核戦争勃発の危機をうち破れ

 旧ソ連邦の版図の回復をめざした<プーチンの戦争>という歴史的暴挙を決定的な転回点として、現代世界は今、軍事的政治的経済的危機を一挙に深め、第三次世界大戦前夜とも言うべき局面に突入している。われわれは熱核戦争の勃発による人類滅亡の危機をうち破らなければならない。
 プーチンのロシアはすでにベラルーシへの核弾頭の配備を完了し、核の使用にむけての合同演習を強行している。そして東アジアでは、このロシアという新たな後ろ楯を得た北朝鮮の金正恩が、いまや「南北朝鮮の統一」という戦略をも破棄して、韓国・日本およびアメリカへの核攻撃体制の構築に向かって突進している。
 いま世界は、東西の二つに大きく引き裂かれている。没落帝国主義アメリカは、日本を事実上の「属国」として従えつつ、中国とロシアの対米挑戦にうちかつためのアジア版NATOの構築に狂奔している。
 これにたいして、「市場社会主義」という看板を掲げたネオスターリン主義・中国は、ウクライナ侵略戦争で泥沼にはまったロシアを支えつつ、この戦乱を利用して「米国主導の国際秩序」を突き崩し、「新たな国際秩序」を形成することに血道をあげている。この中国とロシアは、上海協力機構を「新たな国際秩序」なるものの中核として固めながら、BRICSの拡大を図ろうとしている。そしてこれをバックに、中国の習近平指導部は台湾の併合と南シナ海の領海化の策動を加速し、またプーチンのロシアは「グローバル・サウス」の権力者を引きこむことでウクライナ侵略戦争の行き詰まりを打開せんとしているのだ。
 まさにこうした<米欧日 対 中露>の激しい角逐のゆえに、第三次世界大戦の危機は日に日に高まっているのである。
 われわれ日本の労働者・学生と革命的左翼は、いま<プーチンの戦争>に反対する闘いと<ネタニヤフの戦争>に反対する闘いを、固く結合して闘っている。
 わが戦闘的労働者たちは、日本共産党などが「ロシアのウクライナ侵略反対」にまったくとりくもうとしないなかで、この現状を突破し労働戦線から闘いを大きくつくりだすために日々奮闘している。わが全学連の学生たちは、在日ウクライナ人の集会に参加して「ウクライナ侵略反対」と発言しただけで退学処分にされるといった大学当局のファッショ化に抗して(愛知大学の場合)断固として闘っている。約二年におよぶこの闘いは、日本の学生・労働者・市民の中に大きな共感を生みだし、いま日本でも、若者たちが「戦争反対、虐殺反対、大学授業料値上げ反対、大学の軍事協力反対」の声をあげて起ちあがりはじめている。
 われわれはまた、東アジアにおける米・日・韓と中・露・朝との激突という一触即発の軍事的危機をうち砕くために、断固として闘っている。
 金権にまみれたブルジョア政党=自民党の政府危機のなかで、日本共産党は、あわよくば政権の一角にありつくことを狙って「日米安保条約反対」の旗を完全に投げ捨ててしまっている。このブルジョア秩序党へと変質しさった共産党をはじめとする既成指導部の底知れぬ腐敗を弾劾しつつ、われわれは、「沖縄を最前線とする先制攻撃体制の構築阻止」「日米安保同盟のグローバル同盟化反対」「大軍拡阻止、憲法大改悪反対」などのスローガンのもとに闘っている。
 世界がいまかつてない大軍拡競争の時代に突入しているなかで、われわれは核戦力の強化に血道をあげる権力者どもを弾劾し、忍び寄る第三次世界大戦勃発の危機を全世界の労働者階級の団結した力でうち砕くのでなければならない。
 全世界の労働者・学生諸君! 万国の労働者は今こそ団結し、戦争も抑圧も貧困も搾取も収奪もない新たな未来をめざして、共に闘い共に前進しよう!

 〔追記〕 七月八日午前、ロシア軍はウクライナの五都市を攻撃し、首都キーウでは七二〇床をもつ最重要小児病院「オフマディト小児病院」にミサイルを撃ちこんで破壊した。この攻撃により夥しい死者・負傷者が生みだされた。狂気の殺戮者プーチンを弾劾せよ!