《特集T》「小泉革命」の神話 |
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「改革」の虚飾をまとう新型ファシズム
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石垣次郎 |
―危険な軍事大国再興の野望― |
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「聖域なき構造改革」の虚構 |
結城力也 |
―労働者・人民への「痛み」の強制― |
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《特集U》没落社民主義の変貌 |
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破産した「EUモデル」 |
利根川洪 |
―ユーロランドの危機突破策― |
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新自由主義への屈服の道 |
芦田重雄 |
―ギデンズ式「第三の道」論の虚妄― |
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わが闘争史 黒ダイヤの火は消えず |
番匠谷太郎 |
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首相・小泉の「絶叫」に拍手喝采を送る群衆の光景に、「血と土」のイデオロギーをもって全欧州と世界に戦禍と夥しい血の犠牲をもたらしたナチス・ヒトラーが当初は博した“国民的熱狂”を想起すべきではないか。一九三○年代にヒトラーは、ナチス党支配を確立するために、“文明の利器”であるラジオを活用した。第一に、大衆が何を欲しているか、その欲していることを代弁すること、しかし第二に、「無知で羊のような大衆」に「ドイツ帝国の再興」と「ゲルマン民族の優越性」を叩きこみ方向性を与えること――要するに、大衆を“洗脳”する術を駆使したのだ。そして今日、“純ちゃんムード”の醸成にはテレビが最大限に活用されている。
だが、小泉が絶叫する「痛みをともなう構造改革」とは、また「国のために血を流した特攻隊の精神」とは、いったい何なのか。「改革」の名において、独占諸資本を救済し労働者・人民に一切の犠牲(=「痛み」)を転嫁する権力者的意志が、そしてアジア侵略戦争としての「大東亜戦争」を賛美する国粋主義的愛国精神が、露骨に表明されているではないか。
それにもかかわらず、勤労大衆の中に“改革への期待”が浸透してしまうのは、労働運動を裏切りつづけ、反戦・平和運動をみずから解体してしまった既成反対運動指導部の誤てる〃指導〃の結果ではないのか。日本軍国主義に屈してしまったという痛恨の過去を背負っているにもかかわらず、社民党・共産党が、今なおネオ・ファシズムの跳梁を感得できずに小泉政権と「改革」を競いあっているという無残な現実。これをいかに覆し<いつか来た道>をくり返さない力を創造するのか――本号の第一特集<「小泉革命」の神話>と第二特集<没落社民主義の変貌>は、その一助となるにちがいない。
本号からは、新連載<問題だらけの「つくる会」教科書>を開始する。「歴史の事実」を対置するにすぎない既成の“反対論潮”をのりこえた「つくる会」教科書批判の方向を明らかにしたい。是非とも活用されたい。
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